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窃盗の時効は何年?刑事・民事の違いや時効が停止するケースなどを解説

藤垣 圭介
監修記事
窃盗の時効は何年?刑事・民事の違いや時効が停止するケースなどを解説
  • 「ほんの出来心で昔窃盗をしてしまったことがある…」
  • 「昔の窃盗はいつまで罪を問われるのだろうか」

過去に窃盗を犯したことがあり、過去の罪を問われるのではないだろうかと不安になっている人はいませんか?

窃盗行為には時効があります。

窃盗に関しては刑事上の時効と民事上の時効という2つの異なる概念があり、それぞれの完成時期も違います。

また、単純に年数が経過すれば時効が完成するわけではありません

時効の期間が進行停止・更新されることがあるのです。

本記事では、窃盗罪における時効制度について、刑事と民事それぞれの違いや完成までの期間、時効が進行停止・更新されるケースなどについて詳しく解説していきます。

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窃盗には「刑事上の公訴時効」と「民事上の消滅時効」がある

窃盗を犯した場合、警察による逮捕や起訴といった刑事上の責任と、被害者への損害賠償という民事上の責任を負うことになります。

刑事上の責任に関する時効は「公訴時効」と呼ばれ、時効の完成で、検察が起訴できなくなります

一方で、民事上の責任に関する時効は「消滅時効」といい、完成すると被害者が損害賠償請求をできなくなります

以下、刑事上の公訴時効と民事上の消滅時効について詳しく解説します。

刑事上の公訴時効|時効の完成で、警察が起訴できなくなる

刑事上の時効とは、一般的に公訴時効と呼ばれるもので、検察官が被疑者を起訴できる期限のことを指します。

公訴時効が完成すると、検察による起訴ができなくなり、結果として刑事罰を受けることがなくなります

民事上の消滅時効|時効の完成で、被害者が損害賠償請求をできなくなる

民事上の時効は消滅時効と呼ばれ、一定期間権利が行使されない場合に、その権利が消滅する制度です。

窃盗事件における消滅時効が完成すると、被害者は加害者に対して損害賠償を請求できなくなります。

窃盗事件の恐怖などにより被害者が精神的に不安定となった場合、加害者に対し慰謝料の請求も可能です。

しかし消滅時効が完成した場合は、加害者に対し慰謝料を請求することもできません。

窃盗における時効期間と起算点

窃盗罪の時効には、刑事上の公訴時効と民事上の消滅時効がありますが、それぞれの時効期間や起算点が異なります

ここでは、具体的な期間とその期間がいつから始まるのかについて、詳しく解説していきます。

刑事上の公訴時効|犯罪行為を終えたときから7年

窃盗罪における公訴時効は、犯罪行為を終えた時点から7年間と定められています。

たとえば、万引きの場合、商品を持ち出してお店の敷地から出た時点が犯罪行為を終えたときとなり、その日から7年間の計算が始まります。

時効期間が経過すると、検察による起訴ができなくなり、刑事罰を科されることがなくなるのです。

刑事上の公訴時効が進行停止となるケース

公訴時効の期間は停止して、時効のカウントがすすまなくなることがあります

刑事上の公訴時効が進行停止するケースは以下のとおりです。

  • 犯人が国外にいる場合
  • 犯人が逃げ隠れているため、起訴状の謄本の送達や略式命令の告知ができない場合

たとえば、罪を免れるために外国に逃亡したり、取り調べ後に所在をくらませたりした場合、その期間は時効期間には含まれません

このような事情がある場合は、犯罪行為を終えてから7年経過しても公訴時効が完成していない可能性があります。

これは刑事訴訟法第255条1項に定められている規定で、犯罪者が意図的に訴追を逃れようとする行為に対する法的な対応となっています。

民事上の消滅時効|損害と加害者を把握してから3年/犯行日時から20年

民事上の消滅時効は被害者が被害の発生と加害者を把握した時点から3年間、もしくは実際の犯行日時から20年間のいずれかが経過すると成立します。

具体的には、以下のような場合に時効が成立します。

  • 被害発覚時の時効(3年)
    例:店舗が万引き被害を認識し、防犯カメラなどで加害者を特定できた場合、その時点から3年
  • 犯行時からの時効(20年)
    例:被害が発覚せず、または加害者が特定できないまま犯行時から20年が経過した場合

時効が成立すると、被害者は加害者に対して損害賠償を請求することができなくなります

これは示談や民事裁判などのいずれの方法においても同様です。

民事上の消滅時効が進行停止・更新となるケース

以下のケースでは消滅時効が進行停止(ストップ)したり、更新(リセット)されたりします

【消滅時効が進行停止する(猶予される/ストップする)主なケース】
ケース 概要/猶予される期間

裁判上の請求をした場合

(調停を申し立てたり、訴訟を提起したりした場合など)

確定判決が出るか、判決と同等の効力がある権利が確定するまで猶予される
協議をおこなう旨の合意をした場合

以下ののうち最も短い期間、時効が猶予される

・合意をしてから1年経過するまで

・合意の際に協議する期間(1年に満たない場合に限り)を定め、その期間が経過するまで

・協議の続行を相手が拒絶する旨を書面で通知してから、6ヵ月間が経過するまで

仮差押え・仮処分 仮差押え・仮処分があってから6ヵ月経過するまで
裁判によらない催告 内容証明郵便で催告した場合など、6ヵ月経過するまで
【消滅時効が更新される主なケース】
ケース 概要

裁判上の請求をした場合

(調停を申し立てたり、訴訟を提起したりした場合など)

確定判決が出たり、判決と同等の効力がある権利が確定したりすると時効が更新される(更新後の時効期間は10年間)
債務の承認

加害者が債務を認めたり、賠償金の一部でも支払ったりした場合は時効が更新される。

なお債務の承認は口頭でも成立するが、証拠を残すためにも書面を使う方がよい。

窃盗罪で逮捕された場合の刑罰は?

窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」と刑法235条で定められています。

ただし、常習累犯窃盗(過去10年以内に窃盗罪などで3回以上懲役6月以上の刑の執行を受けた場合)は3年以上の有期懲役となります。

実際の量刑は事案によって大きく異なりますが、罰金刑の場合、一般的な相場は20万~30万円程度です。

なお、平成18年の刑法改正まで窃盗罪には罰金刑が存在しませんでしたが、昨今では経済的に困窮していなくても万引きなどの窃盗をするケースが増えてきたことなどを受けて、罰金刑が追加されました。

初犯の場合、刑罰はどのくらい?|執行猶予になるとは限らない

初犯であることは有利な情状のひとつとなりますが、それだけで刑罰が決まるわけではありません。

刑罰の判断は、被害額の大きさや行為の悪質性が最も重要な要素となるのです。

また示談が成立しているかや被害を弁償しているかも、刑罰の判断に大きく影響します。

窃盗の初犯だからといって、必ず執行猶予がつくということではないのです。

被害額や行為の悪質性などによっては、初犯でも執行猶予がつかないことが少なくありません。

一方で被害額が大きいとはいえず示談も成立しているといったケースでは、大きな罪に問われないことが多くなります。

具体的には、不起訴となったり略式手続による罰金刑ですんだりするケースが多くなる傾向にあります

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窃盗罪の成立要件(構成要件)は?

成立要件(構成要件)とは、ある犯罪が成立するために必要な要素を指します。

窃盗罪の成立要件は以下のとおりです。

1.対象が他人の占有する財物であること

「他人の占有」とは、他人が財物を事実上支配している状態、つまりは他人が管理している物であることを指します。

たとえば、家の前に停めてある自転車は持ち主の占有下にありますが、道端に放置された自転車は占有が及んでいないと判断されます。

なお、所有権の有無は問われないため、他人に貸したものを無断で取り返す行為も窃盗罪となり得ます

2.対象が「財物」であること

「財物」とは、固体や液体、気体の有体物を指します

重要なのは、財産的価値の有無は問われない点です。

過去の判例では、無効となった約束手形や使用済みの収入印紙なども「財物」として認定されています

3.窃取がおこなわれたこと

「窃取」とは、他人の占有物を占有者の意に反して自己または第三者の占有物にすることです。

相手に知られずに盗む万引きやスリのほか、公然とおこなわれるひったくりなども含まれます

4.不法領得の意思があること

「不法領得の意思」とは、権利者を排除して他人の物を自分の物のように扱い、勝手に利用・処分する意思をさします

自分の所有物として扱うのでなく、嫌がらせ目的で他人の物を勝手に持ち出して壊した場合、窃盗罪は成立しません。

代わりに器物損壊罪と判断される可能性があります

窃盗の時効完成を待つ以前にするべきこと

窃盗をしてしまった後、「時効になるまで待とう」と考えている方もいるかもしれません。

しかし、時効を待つという選択には大きなリスクが伴います

時効までの期間、常に不安な気持ちを抱えて過ごすことになるでしょう。

また時効までに発覚した場合は、逃げ得を図ろうしたと解釈され、より不利な立場に追い込まれる可能性もあります。

そのため、窃盗事件では、できるだけ早期に適切な対応をとるべきといえます。

時効完成を待つ以前にするべきこととしては、下記3つが挙げられます。

  • 被害者との示談を成立させる
  • 自首をする
  • 弁護士に相談する

被害者との示談を成立させる

窃盗事件では、被害者との示談が成立しているかどうかによって、その後の展開が大きく変わります。

被害者が被害届を提出する前に示談が成立すれば、そもそも刑事事件に発展しない可能性もあるのです。

また、被害届が提出された後でも、早期に示談を成立させることで、逮捕や勾留を回避したり、早期の身柄解放を実現したりすることができます

示談金の相場は通常、盗んだ物の金額に加え、その他の実損被害額が含まれます。

たとえば、追跡時の事故によるけがの治療費や休業補償なども含まれることがあります。

これらの金額を全て合計して支払い、示談を成立させることで、比較的軽い処分となる可能性が高まります

自首をする

自首は重要な選択肢のひとつです。

自首により、まず逮捕を回避できる可能性が高まります

通常、容疑を否認すると逮捕や勾留されやすくなり、最長23日間の身柄拘束を受ける可能性があります。

これは仕事や家庭生活に大きな影響を与えかねません。

しかし、自首することで逮捕・勾留が回避され、任意の取り調べで済む可能性が高まります。

自首をすることで、刑が軽くなる可能性もあります

刑法42条によれば、捜査機関に発覚する前の自首は刑の減軽事由となります。

また、自首は本人の反省の態度として評価され、場合によっては不起訴処分となる可能性も出てきます

弁護士に相談する

弁護士への相談は、できるだけ早い段階でおこなうことをおすすめします。

弁護士は法的な観点から、逮捕・勾留の回避方法や示談交渉の進め方、前科をつけないための対応策など、適切なアドバイスを提供してくれます。

また、弁護士は被害者との示談交渉や捜査機関との交渉、さらには刑事手続きでの弁護活動まで、幅広くサポートしてくれます

窃盗の時効に関してよくある質問

窃盗の時効に関し、よく寄せられる質問についてお答えします。

窃盗未遂の公訴時効は何年?

窃盗未遂罪の公訴時効は7年です。

窃盗未遂罪とは、窃盗行為に着手したものの、達成できなかった場合に成立する犯罪です。

たとえば、10年前に窃盗未遂で検挙され、警察で取り調べを受けたものの、その後どうなったのか不安を感じている方もいるかもしれません。

しかし、7年経過し時効が完成していれば起訴されることはありません

公訴時効が完成すると自首しても逮捕されない?

公訴時効完成後は、自首しても逮捕されることはありません

時効後に自首した場合、警察から事情を聴かれ、場合によっては供述調書を取られる可能性はあります。

しかし、公訴時効が完成していると、検察官は事件を起訴することができません。

そのため、仮に事件が検察庁に送致されたとしても、不起訴処分となります。

不起訴処分になれば、当然前科もつきません

未成年が窃盗をした場合の時効は?

14歳以上の未成年者は刑事責任能力があると判断され、窃盗事件を起こした場合は逮捕されて処分を受ける可能性があります。

ただし、14歳未満の場合は刑事責任を問われることはありません

未成年の場合、逮捕直後の流れは成人とほぼ同じですが、捜査終了後は事件が家庭裁判所へ送られる点が大きく異なります。

家庭裁判所では、事件を起こした原因や更生の方法などが検討され、審判不開始とならなければ少年審判を受けて処分が決定されます。

なお、未成年が窃盗をした場合の時効は成年の場合とかわりません。

刑事上の公訴時効は7年で、民事上の消滅時効は、損害や加害者を知ったときから3年です。

過去におこなった万引きの時効は?

万引きは法律上窃盗罪として扱われるため、公訴時効は窃盗罪と同じ7年です。

ただし公訴時効は停止・更新されるケースがあることから、7年が経過したからといって必ずしも時効が完成するわけではありません。

過去の万引き行為について気がかりな点がある場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

さいごに|窃盗事件を起こしてしまったら、できるだけ早く弁護士に相談を!

窃盗における時効制度は、刑事上の公訴時効と民事上の消滅時効の2つが存在することを解説してきました。

しかし、単に時効の完成を待つことは、必ずしも最善の選択とはいえません

時効完成までの期間、精神的な負担を抱え続けることになるだけでなく、もし発覚した場合には責任逃れを試みたとみなされ、より厳しい状況に直面する可能性があります。

窃盗事件では、できるだけ早期に適切な対応をとることが望ましいといえます。

まず被害者との示談交渉をおこなうことで、刑事事件化を防いだり、処分を軽減したりできる可能性があります。

また状況に応じて自首を検討することも、身柄拘束を回避し、刑を軽減できる重要な選択肢となります。

とくに弁護士への相談は、示談交渉の進め方や前科をつけないための対応など、具体的な解決策を見出すための重要な一歩となります

過去の窃盗行為について気がかりな点がある場合は、ひとりで抱え込まず、まずは弁護士に相談してみてください。

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この記事の監修者
藤垣 圭介 (埼玉弁護士会)
これまで500件以上の刑事事件に携わり、特に痴漢/盗撮/暴行/傷害に関する事件の解決を得意とする。レスポンスの早さにこだわりをもって対応し、豊富な経験をもとに即日接見を用いて、早期釈放を目指している。
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編集部

本記事はベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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