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【加害者向け】罰金は分割で支払える?罰金を払えないときの3つの対処法

【加害者向け】罰金は分割で支払える?罰金を払えないときの3つの対処法

交通違反や軽犯罪などで罰金刑が言い渡されるケースでは、金額が数十万円にのぼることもあり、特に生活に余裕がない人にとっては大きな負担です。

そのため、以下のように悩む人は少なくありません。

  • 「罰金の支払いを命じられたけれど、すぐに全額払える見込みがない」
  • 「分割払いにできないだろうか…」

本記事では、罰金を分割で支払うことは可能なのか、もし支払えない場合にはどうなるのか、そして罰金を何とか納めるためにできる対処法について、法律上のルールや実務上の運用をふまえて解説します。

「一括払いが原則」とされる罰金ですが、事情によっては例外的に対応してもらえる可能性もあります。

この記事を読めば、今あなたが抱えている不安や疑問を整理し、少しでも納得のいく対応ができるようになるはずです。

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罰金は分割払いにできる?基本的には認められない

罰金を支払わなければならない立場におかれたとき、「分割払いができれば助かる」と考えるのは自然なことです。

まずは、罰金刑の支払いにおける原則ルールと例外について見ていきましょう。

罰金は原則として一括払い

罰金は刑罰のひとつであるため、法律上は所定の期間内に全額を一括で支払うことが原則とされています。

たとえば、交通違反や軽犯罪などで罰金刑が言い渡された場合でも、支払方法として最初から分割を選べるわけではなく、一括払いを前提とした納付書が送付されるのが通常です。

これは罰金が、一定の罪に対する速やかな制裁手段であるという性質によるものです。

そのため、個人の支払い能力に応じて分割を認めるといった制度は設けられていません。

また、仮に罰金を支払う意志があっても、期日までにまとまった金額を用意できなければ、制度上は納付義務を果たしていないとみなされることになります。

例外的に分割払いが認められることがある

罰金は一括払いが原則ですが、全てのケースで分割払いが完全に否定されるわけではありません。

実務上、特別な事情があるときに限り、検察庁が例外的に分割による納付を認めることがあります。

こうした措置は、罰金の支払いが完全に不能となることを避けるために、一定の裁量のもとで運用されているものです。

ただし、これは制度として明文化された権利ではなく、あくまで検察庁の裁量による例外的対応です。

そのため、分割払いを希望する際は「払いたくないから」ではなく、「払えない正当な理由がある」ことを具体的かつ誠実に伝える必要があります。

罰金を分割払いにしてもらうための大まかな流れ

罰金は原則として一括払いですが、どうしても支払えない正当な事情がある場合には、検察庁に相談することで分割払いが認められる可能性があります。

ここからは、分割払いを希望する際の具体的な流れについて説明します。

1.相談先がどこかを確認する

罰金の支払いについての相談先は、事件を担当する検察庁です。

具体的には、罰金の納付通知書に記載されている「徴収事務担当」が窓口となります。

分割払いを希望する場合は、まず通知書に記載されている検察庁名や連絡先を確認しましょう。

担当の検察庁によっては、事前予約制で相談を受け付けていることもあるため、突然訪問するのではなく、電話で状況を説明してから指示を受けるほうが確実です。

2.検察庁の徴収事務担当者に分割払いの相談をする

分割払いを希望する場合には、納付期限内にできるだけ早く、徴収事務担当者に相談することが重要です。

相談の際は、罰金の金額や納付期限に加え、現在の収入状況や預貯金の残高、そして支払いが困難である理由について、正確かつ具体的に説明する必要があります。

たとえば、失業中で収入がない、病気やけがで働けない、あるいは生活保護を受けているといった事情を明確に伝えましょう。

さらに、これらの事情を裏付けるために、通帳の写しや収入証明書などの資料を用意しておくことをおすすめします。

なお、これらの対応は検察庁ごとに異なる可能性があるため、事前に必要書類の有無について確認しておくと安心です。

また、刑事事件で弁護士に依頼していた場合は、弁護士を通じて相談することで、検察庁とのやり取りがスムーズになることもあります。

3.分割払いが認められた場合はそのとおりに支払う

検察庁の判断によって分割払いが認められた場合は、指定された金額や支払いスケジュールに従い、きちんと納付を続けることが重要です。

分割払いはあくまで例外的な措置であり、「支払う意思があるが事情により一括では難しい」という前提のもとで認められます。

遅延や未納が発生すると、分割払いの許可が取り消される可能性があるので注意しましょう。

なお、分割払いの許可が取り消された場合、残額の一括納付が求められるほか、差し押えや労役場留置など、より厳しい措置が取られるおそれもあります。

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罰金を期限までに支払えない場合の2つのペナルティ

罰金は刑罰の一種であるため、期限内に納付できなかった場合には厳しい対応がとられます。

ここでは、罰金を期限までに支払えなかった場合に生じる主なペナルティとして「財産の差し押え」と「労役場留置」の2点を解説します。

1.財産の差押えがおこなわれる

罰金を期限までに納付しなかった場合、まず検察庁から督促がおこなわれます。

督促の方法としては、書面や電話によって連絡が来るのが一般的です。

そして、督促にも応じなければ「差押え」が実施されます。

検察庁は、罰金未納者の財産状況を調査し、未納額に相当する財産を差し押さえる権限を有しています。

差押えの対象となるのは、預貯金口座、給与、自動車、貴金属、家電製品などが一般的です。

生活に必要な最低限の財産を除き、回収可能な資産がある場合には、広範に対象とされる可能性があります。

差し押さえられた財産は売却され、その代金が罰金に充てられます。

このように、差押えによる対応は日常生活に大きな影響を及ぼすおそれがあるため、支払いが困難な場合でも、放置せず早期に相談や対応をおこなうことが重要です。

2.労役場に留置されて作業させられる

罰金の支払いが困難で、差し押えによっても未納額を回収できない場合、最終的な手段として「労役場留置」が実施されることがあります。

労役場留置は刑法第18条に基づく処分で、罰金を納められない人を刑事施設に収容し、一定期間、作業を通じて刑罰を執行する制度です。

罰金を完納できない者は1日以上2年以下の期間、労役場に留置されます。

実際に留置される日数は、未納額と日当額によって計算される仕組みです。

現在の運用では、1日あたり5,000円相当と換算されることが多く、たとえば罰金が20万円の場合は40日間の労役となります。

そして、留置中は刑務所や拘置所内の労役場で作業に従事し、一般の受刑者と同様に生活しなければなりません。

罰金の分割払いが難しい場合に検討するべき3つの対応策

分割払いの申し出が認められなかった場合や、そもそも申請する前に資金の目途が立たない場合でも、差押えや労役場留置を回避する方法を模索することは重要です。

ここでは、罰金を一括で支払うことが難しい場合に取り得る、現実的な対応策を3つ紹介します。

1.家族や友人からお金を借りる

罰金の一括納付が難しいときの対処法としてもっとも現実的なのが、親や兄弟姉妹、親しい友人など、信頼できる人に事情を説明して一時的に立て替えてもらうことです。

罰金の納付は期限が定められているため、身近な人からの支援によって早期に納められれば、差し押えや労役といった厳しい措置を避けることができます。

ただし、借りたお金は当然返済する必要があるので、借用書などの書面を作成しておくようにしましょう。

書面には、氏名、借りた金額、返済予定日などを記載し、相手に保管してもらうことで、誠意を伝えることができます。

2.単発バイトなどでお金を稼ぐ

短期間でまとまったお金を用意する手段として、日雇いや短期のアルバイトに取り組む方法もあります。

即日払い・日払いに対応している仕事であれば、数日間の勤務で罰金の納付に必要な金額を確保できるかもしれません。

日雇いバイトの代表例としては、飲食店でのホール・キッチン業務、イベント設営や撤去作業、引越し補助、軽作業系の工場勤務などが挙げられます。

最近では、求人サイトや専用アプリを通じて即日勤務・即日現金支給の求人を探すことも容易になっています。

ただし、全ての短期バイトが即日支給に対応しているわけではありません。

週払いや月末締め翌月払いといった形式の求人もあるため、応募前に「いつ報酬がもらえるか」をよく確認しておくことが大切です。

また、都市部に比べて地方では即日バイトの数が限られていることもあります。

そのような場合は、知人の紹介や地域の小規模事業者への問い合わせを通じて、短期の仕事を探してみるのもひとつの手段です。

3.不用品などを売却する

自宅にある不要な物品を売却し、現金を確保する方法も有効です。

たとえば、使っていない家電製品、古本、CD・DVD、ゲームソフト、衣類などをリサイクルショップに持ち込めば、その場で現金化できる可能性があります。

さらに、ブランド品や貴金属、スマートフォンなどの高価な品を売却すれば、よりまとまった金額を用意しやすいでしょう。

なお、フリマアプリやネットオークションを利用すれば、リサイクルショップよりも高値で売却できる可能性がありますが、買い手が現れるまで時間がかかる点には注意が必要です。

どうしても手放したくない品については、質屋の利用も選択肢のひとつです。

質屋であれば、一定期間内に返済すれば品物を取り戻すことができるため、事情が落ち着いたあとに再取得できる可能性があります。

ただし、どの方法を選ぶにしても、一度手放した物は簡単には戻ってこないこともあります。

生活に必要なものや思い入れのある品を処分する場合には、慎重に検討したうえで判断することが大切です。

さいごに|罰金は原則として一括払いになるので注意しよう

罰金は刑罰である以上、原則として期限内に一括で納付する必要があります。

分割払いは制度として認められているものではなく、あくまで特別な事情がある場合に限って、例外的に許可されるにすぎません。

したがって、「希望すれば分割にできる」と安易に考えるのではなく、まずは一括納付の見通しを立てる努力が求められます。

一方で、現実として罰金の額は数十万円にも及ぶことがあり、支払いが困難なケースも少なくありません。

そのようなときは、早い段階で検察庁に相談し、分割払いの可能性や支払い猶予の有無について確認することが重要です

対応を後回しにすれば、差し押えや労役場留置といった強制的な措置に発展し、社会生活に大きな影響を及ぼすおそれがあります。

本記事で紹介したように、罰金の納付が難しい場合でも、家族・友人の支援、短期バイト、不用品の売却など、現実的な対処法は存在します。

罰金の支払いについて悩んでいる場合は、ひとりで抱え込まず、早めに行動を起こすことが解決への第一歩です。

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この記事の監修者
磯田 直也 (兵庫県弁護士会)
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編集部

本記事はベンナビ刑事事件を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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