違法ダウンロードで逮捕が出ていない理由と今後逮捕されないための知識

違法ダウンロード(いほうだうんろーど)とは、インターネット上に違法にアップロードされたコンテンツをダウンロードする行為のことです。違法ダウンロードの罰則は、2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金となっています。
著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信(中略)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、自らその事実を知りながら行つて著作権又は著作隣接権を侵害した者は、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
引用元:著作権法119条3項
2012年10月1日に違法ダウンロードの刑罰化が施行されたものの、以下の3点の理由から逮捕者はほとんど出ていません。
- 権利者の告訴がなければ起訴できない(親告罪)
- 違法ダウンロードをしたと証明するのが難しい
- 違法ダウンロードした人物を取り締まるのが現実的でない
(詳細は『違法ダウンロードで逮捕者が出ない3つの理由』にて後述。)
ただ、今後取締が厳しくなる可能性は0ではないので、違法ダウンロードをしないに越したことはありません。
今回は、違法ダウンロードの概要や、逮捕者が出ていない理由などについてご説明します。
「視聴するだけでもアウトなの?」という疑問に対する答えもございますので、併せてご確認ください。
そもそも違法ダウンロードとは
ここでは、違法ダウンロード刑罰化の背景や、具体的に何をしたら違法ダウンロードに該当するのかについてお伝えします。
元は違法なアップロードのみが刑罰の対象だった
冒頭でもお伝えしたように、違法にアップロードされたコンテンツをダウンロードする行為が違法ダウンロードに当てはまるわけですが、元々は違法アップロードのみが罰則の対象でした。
著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者(第三十条第一項(第百二条第一項において準用する場合を含む。第三項において同じ。)に定める私的使用の目的をもつて自ら著作物若しくは実演等の複製を行つた者、第百十三条第三項の規定により著作権若しくは著作隣接権(同条第四項の規定により著作隣接権とみなされる権利を含む。第百二十条の二第三号において同じ。)を侵害する行為とみなされる行為を行つた者、第百十三条第五項の規定により著作権若しくは著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者又は次項第三号若しくは第四号に掲げる者を除く。)は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
引用元:著作権法119条
現在は違法アップロードに加え、ダウンロードも違法となりました。
デジタルコンテンツ保護の一環で違法ダウンロードも刑罰化された
以前は、私的利用の範囲内であれば、アップロードされたコンテンツをダウンロードしても問題はありませんでした。しかし、著作権保護の観点から「アップロードを取り締まるだけでは不十分」という見方が強まり、ダウンロードに関しても刑罰化がされる運びとなりました。
動画を視聴するのは問題ないが保存するのはアウト
一時期は動画サイトを見ただけでも違法になる、という噂が立ったこともありますが、結論から言えばこれは誤解です。違法ダウンロードとは、録画と録音を伴う行為のことです。したがって、動画を再生するだけであれば録画と録音を伴わないため、違法ダウンロードには該当しません。
ただ、今後著作権法が変わる可能性もあるので、あくまで現段階ではこのように決まっているものだとお考え下さい。
違法ダウンロードで逮捕者が出ない3つの理由
なぜ違法ダウンロードで逮捕者が出ないのでしょうか?ここでは、その理由を3つお伝えします。
権利者の告訴がなければ起訴できないから
違法ダウンロードは親告罪といって、権利者の告訴がなければ警察は捜査を始められません。つまり、権利者は自分で違法ダウンロードしている人を見つける必要があるわけですが、どこの誰が違法ダウンロードをしているのか把握するのは現実的ではありません。
違法ダウンロードをしたと証明するのが難しいから
また、違法ダウンロードを証明するためには、侵害者が違法アップロードされたコンテンツを保存している証拠を押さえる必要があります。
一般人が侵害者を特定した上で、スマホやパソコンの中身を確認させてもらうよう申し出たとしても、相手が素直に応じるというのは考えにくいでしょう。
違法ダウンロードした人物全員を取り締まるのは現実的ではないから
違法アップロードをする個人を捕まえれば、少なくともその人のサイトから違法アップロードされることはなくなります。
逆に、違法ダウンロードしている個人を1人捕まえたところで、違法アップロードする人がいる限り問題の根本的な解決にはつながりません。
上記のような理由などから、違法ダウンロードは刑罰化されたものの、ダウンロードする人の逮捕者はほとんど出ていません。
違法ダウンロードで逮捕されないためには
違法ダウンロードは逮捕者があまり出てはいませんが、今後も現状が続く保証はありません。お気に入りの作品やその作者を応援する意味でも、違法ダウンロードは避けたいところです。
最後に、違法ダウンロードで逮捕されないために知っておきたいことを3つお伝えします。
正規の方法でサービスを利用する
正規な方法でコンテンツを視聴すれば、違法ダウンロードをしてしまう心配はありません。お金はかかりますが、そのお金が新しい作品を作るために使われるというのは覚えておきたいところです。
違法にダウンロードしてしまったものを削除する
違法ダウンロードしたものを削除すれば侵害状態は一応回復されるため、少なくとも現状では逮捕されないかと思います。知らずにやってしまったことは後悔しても何も変わらないので、今後は権利侵害をしてしまうことが無いように注意しましょう。
違法ダウンロードしたものをファイル共有・アップロードしない
違法ダウンロードしたコンテンツをファイル共有したり、動画サイト等にアップロードしたりしてしまうと、違法アップロードに該当します。
違法アップロードに関しては逮捕者も出ていますし、罰則も違法ダウンロードより重くなっています(10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金)。知らなかったでは済まなくなる可能性もあるので、注意しましょう。
まとめ
今のところ違法ダウンロードで逮捕者はほとんど出ていませんが、ファイル共有などをして意図せずに違法アップロードをしてしまう場合もありますし、今後より厳しく取り締まられる可能性もあります。
不意に著作権侵害を侵害してしまわないよう、今回お伝えした内容を参考にしていただければ幸いです


【即日対応】【早期釈放に豊富な実績/最短24時間で釈放の実績】少年事件・刑事事件に精通した弁護士が早期釈放に尽力。示談・不起訴・少年院回避の実績多数。高校勤務経験を活かし、事件後の支援まで行います。
事務所詳細を見る
【刑事少年事件専門・24時間365日受付・無料相談・全国に支店】年間相談数3000件超、年間解決事例数約500件、釈放保釈多数の圧倒的実績で社会復帰を強力に弁護する刑事特化のリーディングファーム
事務所詳細を見る
【スピード重視】【電話/メール/LINEのお問い合わせ24時間受付中】盗撮/風俗店トラブル/不同意わいせつ/痴漢/暴行/傷害/窃盗/援助交際など、幅広い刑事事件に迅速対応いたします!経験豊富な弁護士にお任せください!
事務所詳細を見る当サイトでは、有料登録弁護士を優先的に表示しています。また、以下の条件も加味して並び順を決定しています。
・検索時に指定された都道府県に所在するかや事件対応を行っている事務所かどうか
・当サイト経由の問合せ量の多寡


その他の犯罪を起こしたらに関する新着コラム
-
罪を犯してしまったものの、証拠がないから大丈夫だろうと安心している方もいるかもしれません。本記事では、警察がどのような状況で動くのか、証拠の種類や重...
-
本記事では、YouTube違法アップロードに関する逮捕事例などを交えながら、問われる罪や視聴者側の対処法などを解説します。
-
いじめは犯罪だと聞いたことがあるかもしれません。自分の子どもが逮捕されてしまうのか、犯罪者になってしまうのか、と不安に感じる方もいるでしょう。本記事...
-
ついつい感情的になり、他人の物を壊してしまったあとで、防犯カメラに撮られていたのではないかと不安に感じている方もいるのではないでしょうか。本記事では...
-
給付金の不正受給をしてしまったら、返還方法を含めて弁護士に相談しましょう。無料相談できる窓口もたくさんあります。不正受給は発覚すれば詐欺罪に問われる...
-
脅迫事件を含む刑事事件では逮捕・勾留・起訴までの時間が限られているため、できる限り早く弁護士に相談するのが重要です。そこで、弁護士を選ぶ際のポイント...
-
迷惑防止条例違反の初犯の量刑はどのくらいなのでしょうか。不起訴?罰金?もしかして懲役?と不安に感じているのではないでしょうか。この記事では、迷惑防止...
-
器物損壊をしてしまった場合、弁護士のサポートを得ることで逮捕の回避や不起訴の獲得などが望めます。初回相談無料のところもあるので、まずは相談してみまし...
-
たとえ初犯であっても、恐喝で逮捕された場合は重い刑事罰が科せられる可能性があります。この記事では、恐喝の初犯で逮捕された場合、どれほどの量刑が科せら...
-
脅迫の初犯で逮捕された場合、どれほどの量刑が科せられるのでしょうか。場合によっては懲役刑となる可能性もあるため、家族や知人などは早期の対応が大切と言...
その他の犯罪を起こしたらに関する人気コラム
-
違法ダウンロード(いほうだうんろーど)とは、インターネット上に違法にアップロードされたコンテンツ(画像や動画等)をダウンロードする行為のことです。こ...
-
迷惑電話や執拗なクレームは、威力業務妨害に問われる危険があります。自分では正当な理由があると思っていても、刑罰が科せられる可能性があります。この記事...
-
本記事では、名誉毀損が成立する条件、名誉毀損が成立する具体例、トラブルに発展した時の対処法について解説します。
-
脅迫罪とは被害者に害悪の告知をする犯罪で、【2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金】の法定刑が定められています。脅迫に聞こえるような脅し文句や言葉...
-
映画や小説などのフィクションでよく見るサイコパスは、現実に存在します。この記事では、犯罪心理学者にサイコパスの特徴や、その基準を伺いました。イメージ...
-
住居侵入罪(いわゆる不要侵入)は、正当な理由もなく他人の住居に侵入した際に成立する犯罪です。この記事では、住居侵入罪で逮捕された場合の逮捕後の流れや...
-
死刑になる犯罪は全部で18種類あり、殺人罪などのイメージしやすいものから、海賊行為を規定したイメージしにくいものまで多くあります。裁判で死刑が下され...
-
公文書偽造(こうぶんしょぎぞう)とは、国や地方公共団体などの機関や公務員が作成する公文書を偽造・変造する犯罪です。【法定刑は1年以上10年以下】と意...
-
不法投棄(ふほうとうき)とは、法律(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)に反して決められた処分場以外に、廃棄物を投棄することです。
-
護身目的でもナイフなどを携帯できないことをご存知ですか?この記事では銃刀法違反で逮捕されかねないケースと銃刀法違反の罰則、逮捕されてしまったときにと...
その他の犯罪を起こしたらの関連コラム
-
迷惑電話や執拗なクレームは、威力業務妨害に問われる危険があります。自分では正当な理由があると思っていても、刑罰が科せられる可能性があります。この記事...
-
脅迫の初犯で逮捕された場合、どれほどの量刑が科せられるのでしょうか。場合によっては懲役刑となる可能性もあるため、家族や知人などは早期の対応が大切と言...
-
映画や小説などのフィクションでよく見るサイコパスは、現実に存在します。この記事では、犯罪心理学者にサイコパスの特徴や、その基準を伺いました。イメージ...
-
酔っ払って、物を壊してしまった。器物破損での逮捕は、比較的罪の軽い犯罪です。しかし、軽いからこそ身の回りでもよく発生する犯罪でもあります。
-
ヤミ金で逮捕された場合、重い罰則を科される可能性があります。この記事では、ヤミ金で逮捕された場合の対処法から、ヤミ金で問われる罪、重い罰則、逮捕後ど...
-
川での魚釣りや海での潮干狩りも密漁行為になる可能性があります。密漁行為で罰金刑や懲役刑といった重い刑罰に問われる可能性もあり、逮捕される行為、逮捕後...
-
人身売買とは当人の了解を得ず、営利目的に法的な保護がされない不自由な環境下で心身に危険で負担の大きい行為を強いることです。本記事では、人身売買の目的...
-
護身目的でもナイフなどを携帯できないことをご存知ですか?この記事では銃刀法違反で逮捕されかねないケースと銃刀法違反の罰則、逮捕されてしまったときにと...
-
建造物損壊罪(けんぞうぶつそんかいざい)とは、他人の建造物や艦船などを損壊する罪を言います。法定刑は5年以下の懲役のみと、重い罰則が設けられています...
-
同一人物が2つ以上の罪を犯し、確定裁判を経ていないものが併合罪ですが、一見しただけでは観念的競合・牽連犯などと判別が難しいケースも多々あります。この...
-
落書きは逮捕されます。この記事では落書きで逮捕されるケースやシチュエーション、実際に落書きで逮捕された事例、落書きで問われる罪と罰則、落書きで逮捕さ...
-
ハッキングは立派な犯罪行為です。ハッキングによる被害の代表例としては、機密情報の漏えいやWebサイトの改ざんなどが挙げられますが、最近では仮想通貨に...
その他の犯罪を起こしたらコラム一覧へ戻る