薬物で逮捕・起訴された場合、次のようなリスクがあります。
- 長期の勾留で仕事・学校に影響が出る可能性
- 所持の理由によっては重い処分となる
- 前科がつく可能性
逮捕後72時間の対応が、今後の流れを左右します。
弁護士だけが、逮捕後72時間以内に本人と接見することが可能です。
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「家族が薬物犯罪の初犯で逮捕されてしまった、どうすればよいのか」とお悩みではありませんか。
一口に薬物の初犯といっても、所持・使用していた薬物などによっても適用される罪名や罰則が異なります。
また、初めての逮捕でどうすればよいのか、わからないことも多いでしょうから、この記事で以下の4点を解説します。
この記事を参考にしていただいて、事件を解決するための有効な対策を講じ、ご本人が薬物を絶てる環境を整えましょう。
ご家族や自身が薬物犯罪で逮捕されてしまった方へ
薬物で逮捕・起訴された場合、次のようなリスクがあります。
逮捕後72時間の対応が、今後の流れを左右します。
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※弁護士には守秘義務があるので、相談内容が第3者に開示されることはありません。安心してご相談いただけます。詳細:弁護士職務基本規程第23条 |
ここでは、薬物初犯の量刑相場、執行猶予、罰金刑、量刑相場の判断基準、各薬物の罰則について解説します。
各薬物の罰則は以下の通りです。
罪名 |
罰則 |
覚せい剤取締法違反 |
所持・使用:10年以下の懲役 |
大麻取締法違反 |
所持:5年以下の懲役 |
麻薬及び向精神薬取締法違反 ヘロイン・モルヒネ・コカイン・MDMA・LSDなど |
所持・使用:7年以下の懲役 |
毒物及び劇物取締法違反 シンナー・トルエンなど |
摂取・吸引:2年以下の懲役及び100万円以下の罰金 |
医薬品医療機器等法(旧薬事法) 危険ドラッグなど |
所持・使用:3年以下の懲役及び300万円の罰金 |
関税法 |
医薬品医療機器等法に規定する指定薬物の輸入:10年以下の懲役もしくは3,000万円以下の罰金 |
【参考】
薬物初犯の量刑相場は以下の通りです。
覚せい剤取締法 |
|
初犯の量刑相場 |
懲役1年6ヶ月、執行猶予3年程度 |
大麻取締法 |
|
所持・譲渡・譲受 |
懲役6ヶ月~1年、執行猶予3年程度 |
営利目的の輸入出 |
懲役3年以上・罰金150万円以下 |
栽培 |
懲役1年6ヶ月~2年、執行猶予3~4年程度 |
麻薬及び向精神薬取締法:コカイン・ヘロイン・LSD・MDMA・向精神薬など |
|
初犯でごく少量の所持 |
懲役1年6ヶ月、執行猶予3年程度 |
大量所持・輸入 |
初犯でも実刑の可能性 |
毒物及び劇物取締法:シンナー・トルエンなど |
|
初犯の量刑相場 |
懲役6ヶ月~1年、執行猶予3年程度 |
医薬品医療機器等法(旧薬事法):危険ドラッグなどの所持・購入・譲受・授与・使用 |
|
初犯の量刑相場 |
懲役6ヶ月~1年、執行猶予3年程度 |
関税法:医薬品医療機器等法に規定する指定薬物の輸入 |
|
初犯の量刑相場 |
懲役1年6ヶ月、執行猶予3年程度 |
ただし、量刑は後述する判断基準や個々の事情を考慮して判断されますので、これらはあくまで目安としてお考えください。
【参考】
税関|平成27年4月1日より、関税法上、指定薬物の輸入が新たに禁止されます。
薬物の初犯は、言い渡された量刑が3年以下の懲役であれば、執行猶予がつくケースが多くなっています。
ただし、執行猶予は刑の執行を猶予するもので、前科がつくことには変わりません。また、覚せい剤などを営利目的で所持した場合は、初犯でも実刑となる可能性があります。
薬物犯罪で罰金刑が科されるのは、危険ドラッグなどの使用で適用される以下の罰則です。
医薬品医療機器等法 |
|
危険ドラッグなどの所持・購入・譲受・授与・使用 |
3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金 |
関税法 |
|
医薬品医療機器等法に規定する指定薬物の輸入 |
10年以下の懲役もしくは3,000万円以下の罰金 |
初犯なら執行猶予がつくケースはありますが、執行猶予のほとんどは懲役刑に対してつきます。罰金が科された際は、罰金が猶予されるということはほとんどありません。
上記以外だと、例えば、覚せい剤の営利目的の所持・使用・譲渡などは1年以上20年以下の懲役、500万円以下の罰金が併科される可能性があります。
個人使用を目的とした所持などであれば、罰金が併科されることはありません。
薬物初犯の量刑が決まる判断基準は以下の通りです。
これらの事情や減軽(裁判所が刑を軽くすること)理由などを総合的に考慮して、量刑が決定されます。
ここでは、薬物初犯の裁判例をご紹介します。
仕事や家族関係の悩みなどのストレスを忘れるために、覚せい剤を使用・所持していた被告人に、懲役1年6ヶ月、執行猶予3年の判決が言い渡されました。
購入の理由や使用の動機に酌量の余地はなく、複数回にわたり密売人と接触して、複数回購入するなど、親和性も認められるとされました。
しかし、以下の点を考慮して、上記量刑が下されたということです。
裁判年月日 平成30年 7月18日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決 事件番号 平30(特わ)1260号 ・ 平30(特わ)1622号 事件名 覚せい剤取締法違反被告事件 |
参考:文献番号 2018WLJPCA07186010
自宅で大麻を含有する植物片約15グラムを所持していた被告に、懲役1年、執行猶予3年の判決が下されました。
大麻は被告の夫が自宅で収穫し、夫と共同で所持していたものでした。そのため、被告は当初から抵抗感なく大麻を使用し、大麻の害悪や違法性に対する認識が乏しく、また所持量は少なくなく、常習性がうかがわれるとされました。
しかし、以下の点を考慮して上記量刑が言い渡されたということです。
裁判年月日 平成30年 7月31日 裁判所名 福井地裁 裁判区分 判決 事件番号 平30(わ)87号 事件名 大麻取締法違反被告事件 |
参考:文献番号 2018WLJPCA07316003
違法薬物コカインなどを輸入した交換留学生の被告に、懲役3年、執行猶予5年の判決が下されました。
被告が自国で使用していた違法薬物を日本でも使用したいと考え、共犯者である友人にインターネットを通じて、送付するよう依頼して及んだこの犯行は、軽率な行動であり、また、成功する可能性が高い方法で輸入し、所持していたコカインも少量ではなく、日本の法律に従う意識が欠けており、刑事責任は軽視できないとされました。
しかし、以下の点を考慮して、上記量刑が言い渡されたということです。
裁判年月日 平成30年 3月15日 裁判所名 仙台地裁 裁判区分 判決 事件番号 平29(わ)650号 事件名 麻薬及び向精神薬取締法違反,関税法違反被告事件 |
参考:文献番号 2018WLJPCA03156004
もし、あなたのご家族など身近な人が薬物の初犯で逮捕されてしまった場合、まずすべきことは以下の行動です。
まずは、逮捕されてしまった状況を整理して、弁護士に相談することをおすすめします。
薬物の初犯は、確かに執行猶予がつくケースも多いですが、有罪判決には変わりがないので、前科がつくことになります。
また、ご家族にとってはご本人が戻ってきたときに、どのように迎え入れ、協力して薬物を絶つかという点も重要です。
逮捕から起訴されるまでは13~23日間しかありませんし、傍観していてもよい結果にはなりません。
まずは無料相談を活用して、今後の見通しや有効な対策、弁護の必要性も含め、弁護士に相談してみてください。
ここでは、薬物の初犯で逮捕された後の流れと、犯罪白書の統計から見る処分の傾向を解説します。
どのような薬物で逮捕された場合も、逮捕後の流れは以下の通りです。
逮捕された場合、警察は48時間以内に事件と身柄を検察庁に送致します。事件の送致を受けた検察は24時間以内に勾留の要否を判断し、勾留が必要な場合は裁判所に勾留を請求します。
裁判所が許可した場合、被疑者は原則10日間勾留されます。勾留満期に検察が延長が必要と判断し、裁判所がこれを認めた場合、最長10日間追加で勾留が可能です。
勾留の満期までに検察は起訴・不起訴を判断します。仮に正式裁判で起訴された場合、保釈されない限り身体拘束は続きます。
表:勾留期間
逮捕~送致|48時間以内 |
勾留決定まで弁護士しか接見できない |
送致~勾留請求|24時間以内 |
|
勾留期間|10~20日間 |
勾留満期までに起訴・不起訴が判断される |
起訴 |
起訴後も保釈されない限り身体拘束が続く |
【関連記事】
▶刑事事件の流れ|重要な48時間・72時間・23日以内の対応
▶勾留とは|勾留される要件と早期に身柄を釈放してもらうための対処法
薬物の勾留期間は、ほかの犯罪と同様に、原則10日間です。さらに、裁判所に許可されれば10日間延長されます。勾留は最長で20日間、逮捕から数えれば23日間です。
薬物で勾留される割合は公表されていませんが、逮捕されれば高確率で勾留される可能性があります。
2017年の犯罪白書の統計によると、2016年の大麻取締法、覚せい剤取締法の勾留請求率は、それぞれ99.3%、99.8%と、そのほとんどで勾留請求(※) が行われています。
なお、検察の勾留請求に対して、裁判所が勾留請求を却下する勾留却下率は、2016年で2.6%(平成28年版 犯罪白書 被疑者の逮捕と勾留参照)にとどまっていますので、勾留請求がなされればほとんどのケースで勾留されることがおわかりいただけるでしょう。
【参考】
※勾留請求とは 検察が裁判所に勾留の許可を求める手続きのこと。勾留は法律に基づいた身柄拘束だが、被疑者に相当の不利益が生じるため、検察の独断で行うことはできず、裁判所の許可を経て勾留が行われる。 |
薬物犯罪で、共犯者がいたり、犯罪組織とつながりがあったりする場合に、下されやすい処分が接見禁止(※)です。
接見禁止は、検察の判断で行われ、処分の期間も特に定められていません。家族にとってはもちろん、被疑者にとっても、接見が許されない辛い期間となります。
しかし、弁護士であれば、制限されることはありませんので、弁護士を介して接見してもらったり、差し入れを行ってもらったりしましょう。
※接見禁止とは 共犯者や犯罪組織の人間が被疑者と接見して、証拠隠滅が行われることを防止するために、弁護士以外の接見や差し入れが制限される処分。 |
【関連記事】
犯罪白書の統計による2016年の薬物事件の起訴率は以下の通りです。
起訴率 |
不起訴率 |
|
大麻取締法 |
55% |
45% |
覚せい剤取締法 |
80% |
20% |
麻薬及び向精神薬取締法 |
51% |
49% |
毒物及び劇物取締法 |
74% |
26% |
【参考】
覚せい剤取締法と、シンナーの吸引などを罰する毒物及び劇物取締法の起訴率が突出しており、それ以外も半数が起訴されていることになります。
ただし、この統計には初犯以外も含まれていますので、参考程度にお考えいただければと思います。
なお、日本の刑事裁判の有罪率は統計上99%といわれていますので、起訴されれば非常に高い確率で有罪となることが予想されます。
したがって、刑事弁護では、裁判で減軽を主張する以上に、逮捕から起訴されるまでの弁護活動が非常に重要なのです。
【関連記事】
起訴されると99.9%の確率で有罪|不起訴処分となる3つのポイント
起訴された後の勾留において、一定の条件下で身柄を解放してもらえるのが、保釈制度です。申し立てた保釈請求が裁判所に許可されると、保釈が認められます。
「一般社団法人 日本保釈支援協会」のデータ(薬物犯罪以外も含む)では、2016年の保釈率は30.33%となっています。
これを見てもわかる通り、保釈請求が認められる確率は高くありません。したがって、起訴後も勾留が長く続く可能性が高いことは覚えておきましょう。
【参考】
この記事では、薬物初犯の量刑相場、薬物初犯の裁判例、家族がすべきこと、薬物犯罪の処分傾向などを解説しました。
ご家族はもちろん、ご本人にとっても大きな課題となるのは、事件解決後、どのように薬物を絶っていくのかということです。
そのためにも、事件が早期解決できるよう、まずは弁護士に、今後の見通しと弁護士の必要性も含め、ご相談ください。
関連記事では、それぞれ弁護士の無料相談を活用するコツや、弁護士の選び方、弁護士費用などについて解説していますので、あわせてご覧ください。
ご家族や自身が薬物犯罪で逮捕されてしまった方へ
薬物で逮捕・起訴された場合、次のようなリスクがあります。
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