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盗撮は懲役何年?懲役が下されやすいケースや今すぐ取るべき行動を弁護士が解説

笠井 勝紀
監修記事
盗撮は懲役何年?懲役が下されやすいケースや今すぐ取るべき行動を弁護士が解説
  • 「盗撮で懲役になるとしたら何年?」
  • 「盗撮してしまった場合はどのような対応を取るべき?」

盗撮をしてしまい、懲役刑になるのではと不安で頭が真っ白になっていませんか。

実際、盗撮はその内容や状況によっては罰金では済まず、懲役刑が科されるケースも少なくありません

なかには執行猶予がつかず、即日実刑となる事例もあります。

しかし盗撮事件は、早期の対応次第で不起訴処分を獲得できる可能性があります。

本記事では、盗撮の法的リスクや懲役が下されやすいケース、今すぐ取るべき対応策について、弁護士の視点からわかりやすく解説します。

正しい知識を身につけ、ご自身や大切なご家族のために、今すぐ取るべき一歩を踏み出しましょう。

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盗撮によって科される懲役刑・罰金刑

日本の法律には「盗撮罪」という名前の罪名は存在しません

実際の盗撮行為は、主に以下の 5つの法律によって取り締まられ、それぞれに刑罰が定められています。

  • 撮影罪(性的姿態撮影等処罰法)|3年以下の懲役または300万円以下の罰金
  • 各都道府県の迷惑防止条例|最大2年の懲役または100万円以下の罰金
  • 軽犯罪法|拘留または科料
  • 児童ポルノ規制法|3年以下の懲役又は300万円以下の罰金
  • 住居(建造物)侵入罪|3年以下の懲役または10万円以下の罰金

これらの法律がどのように適用されるのか、ひとつずつ具体的に見ていきましょう。

なお、 2025年6月1日の法改正により、「懲役刑」と「禁錮刑」は廃止され、新たに「拘禁刑」に一本化されました。

制度としては名称や運用面で異なる点もありますが、いずれも刑務所での服役を伴う点では共通しています。

本記事では、一般的に広く知られている「懲役刑」という表現を使用して解説します。

撮影罪(性的姿態撮影等処罰法)|3年以下の懲役または300万円以下の罰金

撮影罪に該当する場合は「 3年以下の懲役または300万円以下の罰金」が科されます。

2023年7月13日から施行された「性的姿態撮影等処罰法」により、盗撮行為の多くは「撮影罪」として処罰されることになりました。

「撮影罪」とは、正当な理由なく、ひそかに人の性的な部位や下着などを撮影する行為を罰する法律です。

以前は各都道府県の迷惑防止条例で対応していましたが、盗撮行為をより厳しく罰するため、全国一律の法律として「撮影罪」が制定されました。

これにより、従来よりも厳罰化されています。

撮影罪について、さらに詳しく知りたい方は「【弁護士監修】撮影罪(盗撮罪)とは?刑罰や構成要件をわかりやすく解説」をあわせてお読みください。

各都道府県の迷惑防止条例|最大2年の懲役または100万円以下の罰金

2023年7月12日以前の盗撮行為や、新たに創設された「撮影罪」に該当しないケースについては、「各都道府県の迷惑防止条例」によって処罰される可能性があります。

この条例による刑罰は自治体によって異なりますが、懲役刑は最大で1年から2年、罰金刑は最大100万円程度が一般的です。

たとえば、東京都の迷惑防止条例では、盗撮行為に対して「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」が科されます。

さらに、盗撮を繰り返すなど常習性が認められる場合には、「2年以下の懲役または100万円以下の罰金」と、より重い罰則が適用される可能性があります。

迷惑防止条例について、さらに詳しく知りたい方は「迷惑防止条例違反の初犯の量刑と罰則|事件を早期解決する方法」をあわせてお読みください。

軽犯罪法|拘留または科料

盗撮行為が、「軽犯罪法」に該当する場合もあります。

この場合の刑罰は、「拘留または科料」です。

  • 拘留:1日以上30日未満の間、刑事施設に収容される身柄拘束のこと
  • 科料:1,000円以上1万円未満の金銭徴収のこと

具体的には、軽犯罪法第1条23号で禁止されている「のぞき見」行為がこれにあたります。

第一条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。

二十三 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者

引用元:軽犯罪法 | e-Gov 法令検索

たとえば、盗撮をしようとしてトイレや更衣室をのぞき見たものの、実際に撮影はしなかった場合などに適用される可能性があります。

撮影罪や迷惑防止条例違反に問われないようなケースでも、この法律によって処罰されることがあるのです。

軽犯罪法について、さらに詳しく知りたい方は「軽犯罪法とは?知らないと逮捕されるかもしれない罰則と時効をあわせてお読みください。

児童ポルノ禁止法|3年以下の懲役又は300万円以下の罰金

盗撮の対象となった被害者が18歳未満の児童であった場合、「児童ポルノ禁止法」が適用される可能性があります。

適用された場合の刑罰は「 3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」です。

また、第三者への提供を目的として盗撮した場合は5年以下の懲役または500万円以下の罰金に引き上げられ、さらに重い処罰を受けることになります。

さらに、児童ポルノの画像や動画を所持する行為も「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」の対象となるため、撮影後の取り扱いにも注意が必要です。

児童ポルノ禁止法について、さらに詳しく知りたい方は「児童ポルノ事件は弁護士に相談・依頼するメリットを解説!」をあわせてお読みください。

住居(建造物)侵入罪|3年以下の懲役または10万円以下の罰金

盗撮行為そのものだけでなく、盗撮をおこなうための手段も犯罪として罰せられます。

盗撮目的で、正当な理由なく他人の住居や管理されている建物、その敷地内に立ち入った場合、「住居侵入罪」または「建造物侵入罪」が成立する可能性があります。

成立した場合の刑罰は、「3年以下の懲役または10万円以下の罰金」です。

たとえば、他人の家の窓から室内を盗撮するために庭に侵入したり、女子トイレに盗撮目的で立ち入ったりするケースがこれに該当します。

このように、盗撮行為と住居侵入罪の両方が成立する場合、科される刑罰もより重くなる可能性があることを理解しておく必要があります。

住居(建造物)侵入罪について、さらに詳しく知りたい方は「住居侵入罪とは?3つの成立条件や刑罰・処分を軽くする方法を解説」をあわせてお読みください。

盗撮で懲役刑になる可能性が高い4つのケース

盗撮事件において懲役刑が科される可能性は、犯行の悪質性や被害の程度によって大きく左右されます。

特に、以下4つのケースに当てはまる場合、懲役刑の可能性が格段に高まります。

  1. 被害者が多数いる場合
  2. 犯行が悪質的な場合
  3. 被害者との示談が不成立の場合
  4. 同種の前科・前歴がある場合

それぞれのケースについて詳しく見ていきましょう。

①被害者が多数いる場合

盗撮の被害者が複数いる場合は、罰金刑や公判請求の可能性が格段に上がります。

被害者の数が多いほど、犯行の常習性や悪質性が高いと判断され、厳しい処罰が必要だと考えられるためです。

また、被害者が多数の場合、各被害者との示談交渉も困難になりがちで、処罰感情が強いままであることも実刑リスクを高める要因となります。

被害者が多数いる場合の例
  • 押収されたパソコンやスマートフォンから、数十人分の盗撮データが見つかった
  • 長期間にわたって盗撮行為を繰り返していたことが発覚した

このような状況では、たとえ一つひとつの事件が逮捕や起訴に至っていなくても、厳しい処分が下される可能性が高いでしょう。

②犯行が悪質な場合

犯行の手口が特に悪質な場合、初犯であっても罰金刑や公判請求となる可能性が高まります。

裁判所は、犯行の計画性や執拗さ、被害者が受けた精神的苦痛の大きさを量刑の重要な判断材料とするからです。

たとえば、以下のようなケースは悪質と見なされやすいでしょう。

犯行が悪質的な場合の例
  • ペン型やボタン型のカメラなど、被害者が気づきにくい特殊な機材を用いた
  • 自分の地位や職権を利用して盗撮をおこなった
  • 撮影した画像をインターネットで販売していた
  • 複数人で計画し、役割分担して盗撮をおこなった

これらの行為は、被害者に与える恐怖心や精神的ダメージが非常に大きいと評価され、初犯であっても厳しい処分が下される一因となります。

③被害者との示談が不成立の場合

被害者との示談が不成立の場合、罰金刑や公判請求となるリスクが大幅に高まります。

これは、被害者が示談を拒否し、厳罰を望んでいるという事実が、検察官や裁判官の判断に強く影響するためです。

刑事事件における示談は、加害者の反省や賠償の意思を示す重要な情状であり、成立すれば不起訴や公判請求されたとしても執行猶予の可能性が高まります。

反対に、示談がまとまらない場合は、被害感情が重く受け止められ、起訴・有罪・懲役刑といった厳しい結果につながりやすくなります。

④同種の前科・前歴がある場合

過去に盗撮やそれに類する性犯罪で有罪判決(前科)を受けたことがある場合、再び同じような罪を犯すと、実刑判決を受ける可能性は極めて高くなります。

裁判所から「一度、更生の機会が与えられたにもかかわらず、反省せずに再び罪を犯した」と見なされるためです。

規範意識の欠如や性的な依存が深刻であり、社会内での更生は困難であると判断され、より厳しい処罰が必要だと考えられやすくなります。

具体的には、以前に盗撮で罰金刑を受けた後に再び盗撮で検挙された場合や、執行猶予期間中に再犯してしまった場合などが挙げられます。

このようなケースでは、次に言い渡される判決は懲役刑、特に執行猶予の付かない実刑となることを覚悟しなければなりません。

懲役刑や罰金刑になった場合、前科はつく?

懲役刑はもちろんのこと、罰金刑や執行猶予付き判決であっても、有罪判決であることに変わりはないため「前科」がつきます

前科とは、過去に裁判で有罪判決を受けた経歴そのものを指します。

前科がつくことを避けるためには、検察官が公判請求を見送る「不起訴処分」を獲得する以外に方法はありません

前科がついてしまうと、その後の人生にさまざまな不利益が生じる可能性があります。

  • 履歴書の賞罰欄への記載義務が生じ、就職活動で不利になる
  • 一部の国家資格の取得が制限される
  • 海外渡航の際にビザの取得が難しくなる

このような深刻な事態を避けるためにも、不起訴処分を目指した活動が極めて重要になります。

そして、その実現には弁護士の専門的なサポートが不可欠なのです。

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盗撮で懲役刑を回避するためにすべき3つのこと

盗撮が発覚した場合、今後の処分を大きく左右するのが「初動の対応」です。

刑罰を回避・軽減するためには、迅速かつ適切に行動することが不可欠です。

なかでも重要なのが、以下の3つです。

  • 被害者との示談を成立させる
  • 盗撮事件に強い弁護士に相談する
  • 再犯防止への具体的な取り組みを示す

これらのポイントを押さえることで、厳しい処罰を避けられる可能性が高まります。

以下で、それぞれの対応について詳しく解説します。

①被害者との示談を成立させる

示談の成立は、公判請求を回避し、不起訴処分を得るための最も有効な手段です。

示談が成立すれば、当事者間での民事的な解決が図られたとみなされ、被害者の処罰感情も和らいだと評価されます。

特に示談書に「加害者を許す」という宥恕(ゆうじょ)文言が含まれていれば、検察官が「刑事裁判に進む必要はない」と判断し、不起訴処分となる可能性が高まります。

示談を円滑に進めるためには、弁護士を通じて誠意ある謝罪の意思を伝えることが重要です。

とくに盗撮などのケースでは、加害者からの直接の接触が被害者にとって強い精神的負担となるため、弁護士による仲介が不可欠です。

なお、示談金の相場は事案の内容によって異なりますが、一般的には30万〜100万円程度が目安とされています。

盗撮事件の示談についてさらに詳しく知りたい方は「盗撮事件の示談とは?3つのメリットや相場金額・交渉の流れを解説」をあわせてお読みください。

②盗撮事件に強い弁護士に相談する

弁護士への相談は、示談交渉をスムーズに進め、有利な処分を得るために不可欠です。

加害者本人が被害者と直接交渉しようとすると、被害感情を逆撫でするおそれがあり、ほぼ不可能です。

刑事事件の経験豊富な弁護士が間に入ることで、冷静な交渉が可能となり、検察官や裁判官に対しても、反省や再犯防止の取り組みを的確に主張できます。

逮捕された場合、すぐに当番弁護士を呼ぶか、私選で弁護士に依頼しましょう。

弁護士は、取り調べへの対応をアドバイスし、身柄解放活動をおこなうとともに、速やかに被害者の連絡先を検察官から入手し、示談交渉を開始してくれます。

③再犯防止への具体的な取り組みを示す

「二度と繰り返さない」という姿勢を具体的な行動で示すことは、更生の意欲が高いと評価され、処分の軽減につながる可能性があります。

検察官や裁判所は、被疑者・被告人が本当に反省しているか、社会復帰が可能かどうかを慎重に見極めています。

単なる謝罪の言葉だけでなく、実際の行動が伴っているかどうかが重要な判断材料となります。

そのため、以下のような取り組みをおこない、診断書や通院記録などの客観的な証拠とともに提出することが有効です。

  • 性依存症の専門クリニックに通い、治療を開始する
  • 臨床心理士などによる継続的なカウンセリングを受ける
  • 家族による監督体制を整える(例:スマートフォンの使用を制限する など)

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まとめ

盗撮によって科される刑罰は、性的姿態撮影等処罰法の撮影罪(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)をはじめ、さまざまな法令により厳しく処罰されます。

しかし、逮捕直後から迅速かつ適切な行動を取ることで、懲役刑を回避できる可能性は十分にあります。

なかでも重要なのが、以下の3つの対応です。

  • 被害者との示談を成立させる
  • 盗撮事件に強い弁護士に相談する
  • 再犯防止への具体的な取り組みを示す

特に、示談の成立や不起訴処分の獲得には、盗撮事件の対応経験が豊富な弁護士のサポートが欠かせません。

不安や後悔を一人で抱え込まず、まずは専門家である弁護士に相談することが、ご自身とご家族の今後を守るための確実な一歩となります。

まずは無料相談のご利用をぜひご検討ください。

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この記事の監修者
笠井 勝紀 (愛知県弁護士会)
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編集部

本記事はベンナビ刑事事件を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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