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強制わいせつ罪は、数多くの刑法犯のなかでも「逮捕されやすい犯罪」です。
令和元年版の犯罪白書(3-1-2-3表 検察庁既済事件の身柄状況(罪名別))によると、検察庁に送致された強制わいせつ事件のうち、身柄拘束を伴う事件の割合は58.6%でした。
全刑法犯の約70%を占める窃盗罪の身柄率が30.6%であることと比較すると、身柄を拘束されやすい犯罪類型といえるでしょう。
とはいえ、強制わいせつ罪に該当する行為を行ったからといって、必ず逮捕されたり、刑罰が科されたりするわけではありません。
強制わいせつ罪が成立する要件や事件後の対策によっては、逮捕されなかったり、逮捕されても刑罰を回避できたりする可能性があります。
この記事では、強制わいせつ罪での逮捕につながる行為に注目しながら、逮捕後の流れや逮捕されてしまった場合の対処法を解説します。
【関連記事】【被害者向】性犯罪被害の相談窓口|弁護士のサポート内容も紹介
強制わいせつ罪について前科を回避したい方へ
嫌がる相手を衣服の上から触ったり、キスを迫るような行為は強制わいせつ罪です。刑罰は6カ月以上10年以下の懲役刑のみで、重い犯罪と言えます。
そんな性犯罪で逮捕されたあなたが、もしも以下のことを望むなら弁護士に依頼しましょう。
- 性犯罪者としての前科を回避したい
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強制わいせつ罪とは
強制わいせつ罪は、刑法第176条に規定されている犯罪です。
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
刑法第百七十六条 強制わいせつ
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整理すると、次の2つの行為に分類できます。
- 13歳上の者に暴行・脅迫を用いてわいせつな行為をした
- 13歳未満の者にわいせつな行為をした
「わいせつな行為」とは、いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為をいいます。
強制わいせつに当たる行為
強制わいせつに該当する行為は以下のようなものがあります。
なお、強制わいせつに該当するためには、当該わいせつ行為が暴行や脅迫を用いて行われる、もしくは、暴行や脅迫が用いられていなくても、13歳未満の相手に対して行われる必要があります。
- 衣服の中に手を差し込んで身体に触れる
- 衣服の上から陰部を触る
- 長時間にわたって身体を触り続ける
- むりやりキスをする
- 衣服を脱がせる
暴行又は脅迫が用いられている
強制わいせつ罪は「暴行または脅迫」を用いることが要件とされています。
ここでいう暴行・脅迫は、殴る・蹴るといった具体的な暴行や「殺すぞ」といった直接的な脅迫文言のみに限定しません。
たとえば、以下のような場合、暴行または脅迫を用いていると判断される可能性があります。
- 大声を出して助けを呼ぶこともできない満員電車のなかで執拗にわいせつ行為を繰り返す
- 著しい体格差があり抵抗できないと感じさせつつ、執拗にわいせつ行為を繰り返す
上記の場合、当該状況で行うわいせつ行為そのものが、強制わいせつ罪における「暴行」「脅迫」に該当すると考えられます。
被害者・加害者の性別は問わない
刑法第176条の規定をみると、被害者となるのは「13歳以上の者」または「13歳未満の者」となっています。
わいせつ行為といえば、加害者は男性、被害者は女性というイメージがあるかもしれませんが、刑法の規定では性別を限定していません。
加害者が女性、被害者が男性という強制わいせつ事件も現実に発生しており、同性間の強制わいせつ罪が成立することもあります。
13歳未満の場合は暴行・脅迫がなくても適用され得る
被害者が13歳以上の者であれば「暴行または脅迫」という要件がありますが、13歳未満の場合はこの要件が設けられていません。
つまり、13歳未満の者に対しては、暴行・脅迫がなく、たとえ双方に合意があった場合でも強制わいせつ罪が成立します。
これは、13歳未満の者では性的な理解が備わっていないため、同意が有効でないと考えられるからです。
ただし年齢による区別は、加害者において被害者の年齢を認識している必要があります。
被害者が「17歳だ」と偽っており、客観的にもこれを信じることが相当な場合は、13歳未満の者に対する(176条後段の)強制わいせつについての故意はなく、原則として同罪は成立しないことになります。もっとも、「17歳」と偽った相手に対し、暴行・脅迫を用いて強制的にわいせつ行為を行えば、強制わいせつ罪が成立する可能性があります。
未遂の場合も罪になる
わいせつな行為をする意図で、相手に暴行または脅迫を加えたものの、何らかの事情でわいせつな行為に及ぶことができなかった場合は、強制わいせつ未遂罪が成立します。
(未遂罪)
第百八十条 第百七十六条から前条までの罪の未遂は、罰する。
引用:刑法第180条
※強制わいせつ罪については刑法第176条に記載があります。
もっとも、わいせつな行為に着手したと認められない場合、わいせつな行為をする意図を除いて、客観的には単に暴行、脅迫を行った場合と異ならないことから、暴行罪(刑法208条、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料)、脅迫罪(刑法222条、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金)が成立するにとどまります。
強制わいせつ罪に関連する罪
ここまでのご説明のとおり、暴行・脅迫を用いてわいせつ行為を行った場合には強制わいせつ罪に該当しますが、そのほかにも、わいせつな行為を行った場合に成立する可能性のある犯罪があります。これらの犯罪が成立する場合にも、事案によっては逮捕される可能性があります。
準強制わいせつ罪
暴行や脅迫を用いなくても、被害者が抵抗できない状態でわいせつ行為を行ったのであれば、『準強制わいせつ罪』に該当します。
たとえば、睡眠中や泥酔していて抵抗が困難な被害者の体を触るようなケースです。準強制わいせつ罪の罰則は強制わいせつ罪と同様です。
(準強制わいせつ及び準強制性交等)
第百七十八条 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。
2 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。
引用:刑法第178条
監護者わいせつ罪
監護者の立場を利用し、わいせつ行為を行った場合には、『監護者わいせつ罪』に該当します。もっとも、被害者は18歳未満に限定されます。監護者とは、親、祖父母、養親、親の交際相手などが挙げられます。
学校の先生も監護者的な立場にありますが、学校生活だけでの関与になるため、監護者わいせつ罪にいう「監護者」に該当するケースは基本的にはないでしょう。ただし、全寮制の学校で私生活面においても監護する立場にあるような場合には、「監護者」と判断される可能性もあります。
ちなみに、監護者わいせつ罪も強制わいせつ罪と同じ罰則が設けられています。
(監護者わいせつ及び監護者性交等)
第百七十九条 十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。
2 十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第百七十七条の例による。
引用:刑法第179条
強制わいせつ等致死傷罪
上記の強制わいせつ罪、準強制わいせつ罪、監護者わいせつ罪によって、被害者を死傷させた場合には、『強制わいせつ等致死傷罪』としてさらに厳しく罰せられます。
法定刑は、無期または3年以上の懲役刑とされ、非常に重いものとなっています。
(強制わいせつ等致死傷)
第百八十一条 第百七十六条、第百七十八条第一項若しくは第百七十九条第一項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は三年以上の懲役に処する。
2 第百七十七条、第百七十八条第二項若しくは第百七十九条第二項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は六年以上の懲役に処する。
引用:刑法第181条
痴漢行為
痴漢行為は身近で起こり得る性犯罪の1つですが、『痴漢罪』という罪名はありません。痴漢行為を行った場合には、『強制わいせつ罪』あるいは各都道府県の『迷惑防止条例違反』に該当することがほとんどです。
明確にどの程度の痴漢行為で強制わいせつ罪になるなどの線引きはありませんが、悪質な痴漢行為では強制わいせつ罪が適用される可能性が高くなり、ひいては逮捕される可能性も高まります。
たとえば、被害者の下半身を服の上から1度だけ触ったというような事案では、迷惑防止条例違反が適用されることが多いでしょうが、下着の中にまで手を入れたり、長時間触り続けたりすることで強制わいせつ罪に問われる可能性が高くなります。
強制わいせつをしたらどうなる?
強制わいせつ罪に対しては、【6月以上、10年以下の懲役】の法定刑が定められています。逮捕されれば、「起訴すべきか・不起訴にすべきか」「どの程度の刑罰を与えるべきか」などが判断されますが、強制わいせつ罪は、懲役刑しか設けられていない重い犯罪ではあるものの、場合によっては不起訴になったり、執行猶予付き判決が出されたりすることもあります。
しかし、犯罪行為を行ったことにより生じる不利益は、刑罰だけではありません。
強制わいせつをしたことで受けるリスク
上述のとおり、強制わいせつを行ったことにより生じる不利益は、刑罰を受けることだけではありません。強制わいせつを行うことで以下のような不利益が生じる可能性があります。
刑罰を受けるリスク
強制わいせつ罪の法定刑は、「6月以上、10年以下の懲役」です。事件内容や逮捕後の対応にもよりますが、初犯であっても実刑判決を受けて刑務所に収容されるリスクは十分にあります。
逮捕・身柄拘束による不利益
逮捕された場合、被疑者は基本的には誰にも連絡が取れなくなります。後述しますが、数日~数週間身柄拘束がされ、その間に会社や家族に事件を起こしたことが発覚し、その結果、社会生活に影響が出る可能性があります。
家族や会社に発覚するリスク
逮捕されたからといって、家族や会社に警察等から直接連絡がされることはあまりありませんが、逮捕によって身柄拘束が続けば、家族や会社から事件を起こした事実を知られる可能性は高くなります。
たとえば、逮捕後、本人が数日間音信不通になり、家族や会社の人が心配して警察に相談しに行き、その結果、事件のことが発覚することもあるでしょう。
逮捕された方が結婚している場合、配偶者が、強制わいせつの事実を知り、離婚に繋がることも十分にあり得ますし、強制わいせつの事実を会社に知られることで懲戒処分を受ける可能性もあります。
報道されるリスク
事件内容によっては、報道機関によって報道され、実名と強制わいせつの事実が世間に知れ渡るおそれもあります。また、身近な人や被害者などからSNSで情報が拡散される可能性もあります。『悪事千里を走る』と言いますが、刑事手続が終わった後も犯罪行為を行った事実が実生活に影響を及ぼす可能性も十分に考えられます。
強制わいせつに設けられている刑罰
強制わいせつ罪の法定刑は【6月以上、10年以下の懲役】で、懲役刑のみが規定されており、暴行罪などのように罰金刑は規定されていません。したがって、強制わいせつ罪で起訴され、裁判で有罪と判断された場合は懲役刑を科されることになりますが、その場合は、実刑か執行猶予付きか、懲役刑の期間はどのくらいかといった点が重要になります。
初犯で実刑になる可能性
強制わいせつ罪が初犯という場合は、被害者と示談できた場合は不起訴、あるいは起訴され有罪認定を受けた場合でも執行猶予となる可能性が高くなります。しかし、刑事処分や量刑を決める際には下記でご紹介する様々な要素が考慮され、事案によっては、初犯であっても実刑となる可能性は否定できません。
量刑判断の要素
上述のとおり、強制わいせつ罪の刑事裁判で裁判官が量刑を決める際は、主に以下の事情を考慮します。
- 行為の計画性や態様
- 行為の結果、被害内容
- 被告人の反省の程度
- 被害弁償・示談の有無
- 再犯の可能性
- 更生の可能性
上記のうち、まず重要視されるのは行為の態様、行為の結果、動機などの「犯情」です。そして、犯行に計画性があって、強制わいせつの手段である暴行又は脅迫やわいせつな行為が複数回繰り返されるなど執拗かつ悪質で、被害者が通常の日常生活が送れなくなるほど被害者に与えた精神的ダメージが大きい、などという場合は、初犯でも実刑となる可能性があります。
強制わいせつに該当し,逮捕される可能性がある行為の例
こちらの項目では、実際に強制わいせつ罪に該当する行為についてご説明します。
被害者の体を触る・キスする・抱きつく
被害者の体を触る・キスする・抱きつくなどの行為は、強制わいせつの典型例です。一見、暴力や脅迫を用いていないようにも思えますが、いきなり抱きつくなどの行為そのものが暴行と判断される可能性があります。
また、体格差や性別、前後の発言などによって、被害者が畏怖したのであれば脅迫があったと判断され、強制わいせつ罪に該当する可能性があります。
自分の体を触らせる
自分の体を触らせるような行為もわいせつ行為に該当し、暴行や脅迫を用いて体を触らせた場合に強制わいせつ罪に該当する可能性があります。
痴漢
上述のとおり、痴漢行為で強制わいせつ罪が適用されるケースもあります。痴漢行為には迷惑防止条例違反が適用されることもありますが、下着の中まで手を入れて触る、長時間触り続けるなどの悪質な痴漢行為では、強制わいせつ罪になる可能性が高くなります。
セクハラ
社会問題としても多く取り上げられるセクハラですが、特に、体を触る・触らせるなどの悪質なセクハラは、強制わいせつ罪に発展していくケースもあります。
被害者が社内での関係悪化や報復をおそれ、あるいは羞恥心などから泣き寝入りしてしまい、事件化しないことも多くありましたが、近年ではハラスメント問題に対して厳しい目を向けられていることや、企業がコンプライアンス対策(相談窓口の開設など)にも力を入れているため、セクハラも強制わいせつとして厳しい処罰を受けることは十分あり得ます。
睡眠中や泥酔している人に対するわいせつ行為
上述のとおり、寝ている人や泥酔者で抵抗できない状態の人に対してわいせつ行為を行えば、たとえ暴行・脅迫がなくても、『準強制わいせつ罪』に該当し、逮捕される可能性があります。
強制わいせつで逮捕された事例
こちらでは、強制わいせつ罪で逮捕された実際の事件をいくつかご紹介します。
被害者の体を触り強制わいせつの疑いで逮捕
見知らぬ女性に対して「ホテルに行こう」と、声をかけ胸を触ったとして男が強制わいせつの疑いで逮捕された事件です。
被疑者は「酒を飲んでいてホテルに行こうと言ったことを覚えていない」と容疑を否認しています。
参考:「ホテル行こう」74歳女性に声掛けて胸触った疑い 46歳男を逮捕
痴漢行為|強制わいせつ疑いで逮捕
満員電車内で女性を触るなどの痴漢行為を行い、大学生の男が逮捕された事件です。被害者の通報によって発覚し、防犯カメラの映像から被疑者の男が特定されました。被疑者は容疑を否認しています。
このように、そのときは逃げ切れたとしても、後日逮捕に至る痴漢事件も多くあります。
参考:痴漢の大学生を逮捕|埼玉新聞
マッサージを装い女性客の胸などを触った疑いで逮捕
マッサージ店利用客の女性に対し、マッサージと装ってわいせつな行為をしたとして、マッサージ店を営む男が逮捕された事件です。暴力や脅迫は用いられていませんが、マッサージと装い抵抗不能の状態にしたとして、準強制わいせつ容疑での逮捕となっています。
参考:マッサージを装って女性客の胸などを触った疑い|沖縄タイムス
休憩中の女性を触り準強制わいせつ疑いで逮捕
駐車中の車内で休憩中の女性の体を触り、準強制わいせつ罪で逮捕された事件です。繰り返しになりますが、暴力や脅迫を用いていないわいせつ行為であっても、被害者が抵抗できない状態であれば、準強制わいせつ罪として逮捕されることがあります。
参考:車内で休憩中の20代女性の体触る|読売新聞
強制わいせつ罪で逮捕された後の流れ
強制わいせつ罪で逮捕されてしまうと、逮捕から最長で23日間におよぶ身柄拘束を受けるおそれがあります。
検察官が起訴・不起訴の判断を下すまでのタイムリミットは最長で23日間なので、できるだけ素早く対応すべきです。
現行犯逮捕もしくは後日逮捕
上述のとおり、強制わいせつ事件の身柄率は58.6%という高い数字なので、事件を起こしてしまえば逮捕される可能性は高いでしょう。
警察による逮捕は、大きく分ければ『現行犯逮捕』と『通常逮捕』に分けられます。
現行犯逮捕の場合
犯行現場で逮捕された場合は『現行犯逮捕』となります。
なお、犯罪が発生したその場で身柄が確保されるという特性から、犯人の取り違えが起きるおそれが低いため、警察官だけではなく一般人にも逮捕権が認められています。
したがって、逃げようとしたところを被害者本人に腕をつかまれた、周囲の目撃者に取り押さえられたといったケースでは、その時点で「現行犯逮捕された」とみられるでしょう。
周囲にも人が多い痴漢事件では、現行犯逮捕が行われることも多くあります。
通常逮捕の場合
被害が発生したあとで被害者が被害届・告訴をすることで捜査がはじまり、警察が裁判所から逮捕状の発付を受けて逮捕する方法です。
『通常逮捕』の場合、警察官が逮捕状をもって自宅などに訪ねてくるので、いつ逮捕されるのかもわかりません。犯行の翌日に逮捕されることもあれば、数か月、数年経ってから逮捕されることもあります。
また、警察官から「まずは事情を聞かせてほしい」と任意で呼び出された上で、容疑が固まればすぐに逮捕状が請求されて逮捕されるというケースもめずらしくありません。
最長23日間の留置・勾留
警察に逮捕されると、まずは警察署の留置場に留め置かれて取調べが行われます。
そして、逮捕から48時間以内に検察庁へと送致され、送致を受けた検察官は、24時間以内に、被疑者を『勾留』すべきか(引き続き身柄を拘束すべきか)どうかを判断し、勾留すべきであると判断した場合には、裁判官に対して勾留を請求します。
これが認められると、原則10日間、延長を含めて最長20日間まで身柄拘束が延長されます。
これを経て、検察官は、被疑者を起訴すべきかどうかを判断します。
つまり、刑事事件を起こして逮捕された場合の身柄拘束の期間は次のとおりです。
- 警察段階…逮捕から48時間(2日間)
- 検察官段階…送致から24時間(1日間)
- 勾留段階…延長を含めて最長20日間
これを合計すると、逮捕から起訴・不起訴の判断に至るまでの身柄拘束の期間は最長で23日間に及びます。
23日もの間、社会から隔離されてしまい会社への出勤や学校への通学がかなわなくなるのですから、社会的な影響は非常に大きなものになるでしょう。
検察による起訴・不起訴の判断
検察官は、原則として、裁判官が認めた勾留の期限までに、起訴・不起訴を決定します。
証拠が揃い、十分有罪認定がされるという状態で、かつ諸般の事情を考慮して「起訴すべき」と判断されれば、裁判所に起訴されます。
わが国の司法制度では、検察官が起訴した事件の有罪率は99%を超えるとされているので、起訴されたとなれば、非常に高い確率で有罪判決が出され、刑罰が科されてしまうことになるでしょう。
また、起訴前に勾留されていた被疑者は、起訴後も、保釈が認められない限りは、被告人としての(刑事裁判のための)勾留が続きます。
刑事裁判は、特に争いがある事件においては、少なくとも2~3回程度は裁判が開かれ、また、おおむね1ヶ月に1度のペースで裁判が開かれるため、スムーズに結審できたとしても、起訴後さらに3ヶ月ほどの身柄拘束が続くことを覚悟しなくてはなりません。
一方で、証拠が不十分である、あるいは、証拠は十分にあるが示談が成立しているなどの事情から「起訴する必要はない」と判断されれば、不起訴処分となります。
不起訴処分となれば、刑事裁判は開かれないまま即日で釈放され、すぐに社会復帰が可能です。
刑事事件を起こしてしまった場合の手続の流れや各段階におけるタイムリミットについては、別の記事でも詳しく解説しています。
強制わいせつ罪で逮捕された場合の対処法
強制わいせつ罪の加害者として逮捕されてしまった場合は、ただちに弁護士に相談しましょう。
弁護士による面会で取調べに向けた助言を得て対策を講じるほか、不起訴処分を目指すなら被害者との示談交渉を進めていく必要があります。
早急に弁護士へ相談する
早急に弁護士へ相談すべき理由は大きく2つあります。
接見で取調べなどへのアドバイスを受けることができる
逮捕されたら早急に弁護士と接見しましょう。逮捕直後に接見できるのは、基本的に弁護士だけで、弁護士以外の家族、友人・知人は被疑者本人と接見することはできません。
逮捕されると留置場に収容され、日常生活とはかけ離れた生活を強いられます。そのため、肉体的にはもちろん精神的にも負担が大きいです。
そうした状況下での弁護士との接見は、被疑者にとって大きな心の支えとなります。また、刑事事件では、被疑者が逮捕直後の取調べで警察官や検察官に何を話したかが重要視されることもありますから、この段階で、被疑者の意思に反した供述調書が作られないよう、接見で弁護士から取調べに向けたアドバイスを受けることは大変大きな意義があります。
被害者との示談交渉、早期釈放が可能となる
早期釈放のためには、被害者との示談交渉に対する準備ができている点も重要なポイントとなります。なぜなら、被害者と示談する準備があるということは、通常は罪を認めていることが前提ですし、罪を認め反省をしているということは、被害者に働きかけて虚偽の供述を強いるなどして罪証隠滅行為をするおそれが低いとして、釈放しても問題はないと判断される可能性につながるからです。
もっとも、被疑者は逮捕されている以上、物理的に被害者との示談交渉はできませんし、被疑者との直接の交渉に応じる被害者は基本的にはいません。そのため、被害者と示談交渉を行うには、弁護士の力を借りるほかありません。
弁護士との接見では、弁護士から被害者と示談をする意向があるかどうかも聞かれるでしょう。罪を認め、被害者と示談する意向がある場合はその旨伝え、速やかに示談交渉を始めてもらうと早期釈放にもつながりやすくなります。
【関連記事】弁護士に無料法律相談できるおすすめ相談窓口|24時間・電話相談OK
弁護士に面会してもらい取調べに向けた助言を得る
逮捕されてしまうと、検察官送致までの48時間は警察の持ち時間として取調べが行われます。
逮捕直後の取調べは、犯行からの記憶が新しい段階での供述として重視されるので、不用意な発言は控えたいところです。
また、逮捕されてしまったことに動揺して事実と異なる供述をしてしまったり、厳しい取り調べに耐えかねて警察官の誘導に従ってしまったりするおそれもあります。
早い段階で弁護士と面会し、取調べに向けたアドバイスを受けましょう。また、勾留が決定するまでの72時間のうちの面会は、通常、家族であっても認められません。
この期間に面会が許されるのは基本的に弁護士だけなので、弁護士と面会をして必要なアドバイスをもらうのが賢明です。
被害者との示談交渉を行う
示談金額の相場というと難しいところですが、強制わいせつ罪の事案における示談金の額は、30万円~100万円程度になることが多いです。
もっとも、被害者に上記の範囲内での示談金を提示しても、事案の性質、被害者の受けた被害の内容などによっては、被害者の納得を得られず示談ができないこともあります。そのため、場合によっては上記の金額を上回る示談金となる可能性も否定はできません。
金銭以外の示談の条件
被害者の立場からしてみれば、示談金(慰謝料)を受け取るだけの解決には不安が残る可能性があります。たとえば、近所や同じ職場内でわいせつ行為があった場合には、日常生活を送るうえで被害者と加害者が遭遇することも心配されます。
そのようなケースでは、引越しや退職などを示談条件として交渉を進める場合もあります。重要なことは、被害者の方に誠心誠意謝罪し、再び事件に巻き込まれてしまう不安を払拭することですから、お金を払えばそれで解決というわけにはいきません。
再犯防止のための努力・対策をする
強制わいせつなどの性犯罪では、再犯率の高さも問題視されています。
調査の対象となった性犯罪事件の裁判確定から5年が経過した時点において服役中等の者を除いた1,484人について,罪名は問わずいずれかの再犯を行った者の比率である全再犯率は20.7%であった。性犯罪再犯率は13.9%であり,全再犯を行った者のうちの約7割を占めていた。
引用:性犯罪者の実態に関する特別調査の結果について|一般財団法人 日本刑事政策研究会
犯した罪について反省・謝罪をするだけでなく、今後同様の事件を起こさないような再犯防止のための対策を取ることも重要です。
家族による監視を強化するのはもちろん、わいせつ犯罪に関するカウンセリングを受けるなどして根本的な解決を図っていくことも必要になります。
身に覚えのない否認事件での対応
『冤罪』という言葉があるように、身に覚えのない罪で逮捕される事件も稀にあります。捜査機関から厳しい取調べを受けたり、被害者から示談金を請求されたりした場合には、大事にしないようにと考えて、やってもいない罪を認めたくなる場合もあるかもしれませんが、不用意に認めてはいけません。一度認めたことを後から覆すことは相当困難です。