刑事裁判の日程の決まり方|確認方法や本人の希望を聞いてもらえるか解説
刑事事件で起訴されると、刑事裁判に出廷しなければなりません。
では、刑事裁判は、どのように進むのでしょうか。
本記事では、刑事裁判の日程がどのように決まるのか、判決まで何がおこなわれるのか、各刑事裁判はどのように進むのかを説明します。
また、本人以外が刑事裁判の日程を知りたい場合についても、紹介します。
刑事裁判の日程はどうやって決まるのか
刑事裁判の日程がどのようにして決まるのか、気になる方もいるでしょう。
自分の予定を調整できるかどうかと、不安に思う方もいるかもしれません。
そこで、刑事裁判の日程はどうやって決まるのかを紹介します。
初公判の日程は弁護士や検察官と調整する
初公判とは、第1回目の裁判です。
初公判の日程は、裁判所書記官が弁護士(「弁護人」のことをいいます。以下同様)や検察官と調整します。
起訴状が被告人に送られたあと、基本的には電話で調整がされます。
調整のあと、最終的に日程を決めるのは、裁判官です。
初公判の日時が決まれば、裁判所から被告人に召喚状が送られます。
召喚状には、出廷の日時・出廷する法廷や事件番号・事件名などが記載されています。
召喚状が送られる場所は、身柄が拘束されていない場合は自宅となり、勾留されている場合は警察署や拘置所となります。
これは、起訴状も同じです。
初公判は、起訴から1ヵ月〜2ヵ月くらいのあいだにおこなわれることが多いですが、事件の内容などによっても異なります。
初公判後の日程は裁判官、弁護士、検察官が調整する
初公判が終わると、判決言い渡し期日または第2回公判の日程が決められます。
初公判のみで審理が終了する場合、次回は判決言い渡しとなり、初公判で判決が決まらない場合は、第2回公判となります。
判決言い渡し期日か第2回公判かにかかわらず、初公判の審理を終えたあと、法廷で、裁判官・弁護士・検察官がスケジュールを確認しながら日程を調整します。
次回期日は、前回の公判から約1ヵ月後の日程になることが多いです。
もっとも、事案によっては、初公判から1〜2週間あとに設定されることもあります。
次回の日程は、裁判官が被告人に対して、その場で告知します。
そのため、召喚状は送られません。
第2回公判以降も、同様の流れで日程を決め、その場で告知されることになります。
裁判員裁判の場合の日程調整
国民から選ばれた裁判員が参加する裁判員裁判の場合、全ての審理日程・判決言渡し期日は公判前整理手続きのなかで決められます。
公判前整理手続きとは、裁判の準備のことで、裁判が始まる前に事件の争点や証拠などを裁判官・弁護士・検察官が確認します。
あらかじめ事件の争点を明確にしたうえで、争点を判断するための証拠を厳選することで、審理計画を立て、この計画に基づいて裁判をおこなうという目的があります。
なかでも、裁判員裁判では、一般市民も裁判員として関わるため、何ヵ月も裁判に時間をかけることができません。
そのため、公判前整理手続きは必ずおこなわれます。
公判前整理手続きで日程を決める場合は、裁判開始の2ヵ月〜3ヵ月前に決まることが多いです。
刑事裁判の流れ
刑事事件が起訴されてから判決が出るまでの期間は、さまざまです。
初公判・第2回公判を経て、判決言い渡し期日が設定される場合、3ヵ月〜4ヵ月程度であることが多いでしょう。
刑事裁判の流れは、次のようになります。
- 初公判:起訴から約1~2ヵ月後
- 第2回公判:初公判から約1ヵ月後
- 判決言い渡し期日:第2回公判から約1ヵ月後
ただし、事件が複雑な場合、何度も公判前整理手続きがおこなわれるなど、起訴から初公判まで1年を要するケースもあります。
また、追起訴が予定されている事案など、第2回公判では終わらない場合もあります。
被告人が否認しているなど、審理が複雑な事件では、さらに複数回、公判がひらかれます。
刑事事件が長引けば、判決までに2年以上かかることもあります。
では、1回ずつの刑事裁判はどのような流れになるのでしょうか。
詳しくみてみましょう。
1.冒頭手続|公判の最初におこなわれる基本的な手続き
公判の最初には、冒頭手続がおこなわれます。
冒頭手続では、まず裁判官が被告人に対して、氏名・住所・本籍・生年月日・職業などを尋ね、本人確認をする人定質問がされます。
そのあと、起訴状が朗読されます。
検察官が起訴状を読み上げますが、当該刑事裁判で審理する対象を明らかにする目的があります。
そのあと、裁判所より、被告人や弁護士に対し、起訴状に対する言い分が確認されます。
ここで、公訴事実を認めるか、争うのであればどの点を争うのかを明らかにすることが多いです。
2.証拠調べ|提出された証拠を取り調べる手続き
次に、「証拠調べ手続き」がおこなわれます。
まずは検察官によって、証拠によって何を証明しようとしているのかを明らかにする冒頭陳述がおこなわれます。
冒頭陳述のあと、検察官・弁護士、被告人が提出した証拠をもとに、法廷で証拠の取り調べがおこなわれます。
証拠となるのは、被告人や被害者の供述調書をはじめ、事件に関する各種書類です。
また、証拠物として、被告人が犯行に使ったとされる凶器などが取り調べられることもあります。
さらに、証人や被告人への尋問もされます。
裁判官は、公平な判決を下さなければならないため、法廷で提出された証拠のみから審理をすることとなります。
3.弁論手続き|弁護士による最終的な主張
証拠調べ手続きが終わると、検察官と弁護士からそれぞれ「論告」と「弁論」がおこなわれます。
まず、検察官が論告といって、証拠調べのあとに事実をまとめて本件に関する意見を述べます。
そのあと、被告人の処罰や量刑について、懲役何年に処するのが相当であるなどの求刑をします。
次に、弁護士も同様に、事実をまとめて本件に関する意見を述べます。
弁護士が、被告人の処罰や量刑について意見することを弁論といいます。
弁論では、被告人にとって有利な事情を指摘し、被告人を無罪にしたり、少しでも軽い刑にしたりするための理由を主張します。
最後に、被告人の最終意見陳述があります。
被告人自身が事件についての意見を述べます。
4.結審|全ての審理を終えた段階
被告人の最終陳述が終わったときを、結審といいます。
初公判で終わらない場合は、第2回公判や第3回公判が開かれることになります。
公判での審理が終了すると、判決を待つ状態になります。
判決言い渡し期日に判決を聞くのが通常です。
5.判決言い渡し|裁判所による判決の言い渡し
判決言い渡し期日では、裁判所が判決を言い渡します。
判決が言い渡されるのは、結審から1週間~2週間後に設定されることが多いですが、複雑な事件では、1ヵ月程度後に設定されることもよくあります。
言い渡された判決の内容に不服がなければ、事件は終了です。
無罪判決または執行猶予つき判決が言い渡されれば、その場で釈放となります。
実刑判決が言い渡されれば、身柄は拘束されることとなります。
判決に不服がある場合は、14日以内に判決が言い渡された裁判所に控訴状を提出し、控訴することになります。
なお、身柄が拘束されていた状態で執行猶予判決などにより釈放された場合、荷物が拘置所などの留置施設にあることがおおいです。
そのため、判決言い渡し後に、一度拘置所に荷物を取りに行くことが多いです。
刑事裁判の日程についてよくある質問
ここからは、刑事裁判の日程についてのよくある質問に答えます。
刑事裁判の日程は被告人の希望を聞いてもらえる?
本人や家族の予定を考慮して、刑事裁判の日程を調整することは可能です。
その場合は、事前に弁護士に出廷できない日を伝えておきましょう。
それらの日程をふまえて、弁護士が、裁判所書記官や裁判官と調整してくれます。
刑事裁判の日程の確認方法は?
被告人の親族や関係者である場合は、弁護士や警察官から連絡がいくことが多いでしょう。
もしも連絡がないときは、弁護士に連絡して教えてもらいましょう。
裁判所には、当日におこなわれる裁判が掲示されますが、当日以外の裁判日程は掲示されません。
また、ウェブサイトで事前に調べたいという方もいますが、すべての裁判所が日程を公開しているわけではありません。
ただし一部、裁判員裁判の日程を公開している裁判所もあります。
例えば、大阪地方裁判所本庁は、裁判員裁判開廷期日情報を公開しています。
一度決まった刑事裁判の日程変更は可能?
公判期日が指定されると、原則として変更はできません。
やむを得ない事情によって期日を変更したい場合は、事前に裁判所に公判期日の変更請求をする必要があります。
その際には、期日を変更する必要を診断書などの資料に基づき説明することが必要です。
裁判所においてやむを得ない事由だと認められなければ、期日変更の請求は却下されます。
第二百七十六条 裁判所は、検察官、被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で、公判期日を変更することができる。
②公判期日を変更するには、裁判所の規則の定めるところにより、あらかじめ、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴かなければならない。
但し、急速を要する場合は、この限りでない。
③前項但書の場合には、変更後の公判期日において、まず、検察官及び被告人又は弁護人に対し、異議を申し立てる機会を与えなければならない。
第百七十九条の四 訴訟関係人は、公判期日の変更を必要とする事由が生じたときは、
直ちに、裁判所に対し、その事由及びそれが継続する見込の期間を具体的に明らかにし、
且つ、診断書その他の資料によりこれを疎明して、期日の変更を請求しなければならな
い。
2 裁判所は、前項の事由をやむを得ないものと認める場合の外、同項の請求を却下し
なければならない。
さいごに
刑事裁判に出廷するのは、それだけで大きなプレッシャーでしょうから、流れを把握して少しでも冷静になれるようにしましょう。
そのためにも本記事の流れを参考に、刑事裁判の流れをシミュレーションしてみることをおすすめします。
刑事裁判を乗り切るためには、加害者弁護を得意とする弁護士を味方につけることが大切です。
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