執行猶予が取り消しされるケースとは?取り消しを回避したいなら弁護士に相談を!
刑事裁判には実刑判決と執行猶予付き判決があり、執行猶予が付くとすぐに刑罰が実施されることはありません。
しかし、執行猶予期間中に再犯し、実刑判決となった場合には、この執行猶予が取り消される可能性があります。
そのため、取り消しを防ぐためには、再犯をしないことはもちろん、不起訴処分などを獲得することも重要です。
本記事では、執行猶予期間中の方に向けて、以下の内容について説明します。
- 執行猶予の取り消しとは何か?
- 執行猶予が取り消しになる2つのパターン
- 再犯をして執行猶予が取り消しになるまでの大まかな流れ
- 取り消しを回避したい方が弁護士に相談・依頼するメリット など
本記事を参考に、執行猶予を取り消されないために何をすればよいのかについて理解しましょう。
執行猶予の取り消しとは?猶予されていた刑罰が実施されること
執行猶予の取り消しとは、猶予されていた刑罰(懲役刑、禁錮刑、罰金刑)が実施されることを指します。
そもそも執行猶予とは、刑事事件において有罪判決となった場合に一定期間刑の執行が先送りされる制度です。
先送りされているだけなので、以下のいずれかに当てはまる場合には刑罰が実施される可能性があるでしょう。
- 必要的取り消し:禁錮刑以上の犯罪をするなど必ず取り消しになるケース
- 裁量的取り消し:罰金刑の犯罪をするなど裁判所が任意に取り消すケース
上記に当てはまり、猶予されていた刑罰が実施されることを、一般的に執行猶予の取り消しなどと言います。
執行猶予を取り消しされた場合の刑の内容
執行猶予を取り消された場合は、猶予されていた刑罰と新しく有罪判決になった刑罰の両方が科されます。
たとえば「懲役3年・執行猶予5年」の最中に犯罪を起こして「懲役2年」の実刑判決を受けたとしましょう。
この場合は5年分(猶予されていた懲役3年+新しく有罪判決になった懲役2年)の懲役を受けることになります。
執行猶予が取り消しになる2つのパターン
執行猶予の取り消しには、以下の2パターンがあります。
- 必要的取り消し
- 裁量的取り消し
ここでは、執行猶予が取り消しになる2つのパターンについてそれぞれ説明します。
1.必要的取り消し|執行猶予が必ず取り消しになる場合
必要的取り消しとは、執行猶予が必ず取り消されるケースのことです。
執行猶予期間中に犯罪をして、禁固刑以上の実刑判決が下された場合には取り消しされます。
また、以下のようなケースに該当する場合も、執行猶予は取り消されることになるでしょう。
- 猶予の言い渡しの前にした犯罪について、禁錮刑以上の実刑判決が下された場合
- 猶予の言い渡しの前にした犯罪について、すでに禁錮刑以上の実刑判決が下されていた場合
基本的には「執行猶予期間中に犯罪をし、禁固刑以上になると取り消される」と理解しておけばよいでしょう。
(刑の全部の執行猶予の必要的取消し)
第二十六条 次に掲げる場合においては、刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消さなければならない。ただし、第三号の場合において、猶予の言渡しを受けた者が第二十五条第一項第二号に掲げる者であるとき、又は次条第三号に該当するときは、この限りでない。
一 猶予の期間内に更に罪を犯して禁錮以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。
二 猶予の言渡し前に犯した他の罪について禁錮以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。
三 猶予の言渡し前に他の罪について禁錮以上の刑に処せられたことが発覚したとき。
引用元:刑法 | e-Gov 法令検索
2.裁量的取り消し|裁判所の裁量によって執行猶予が取り消される場合
裁量的取り消しでは、裁判所の裁量によって執行猶予が取り消されます。
執行猶予期間中に犯罪をして、罰金刑の実刑判決が下された場合に取り消される可能性があります。
また、以下のようなケースに当てはまる場合にも、裁判所に執行猶予が取り消される可能性があるでしょう。
- 保護観察つきの執行猶予期間中に重大な遵守事項違反があった場合
- 猶予の言い渡しの前にした犯罪について、禁錮刑以上で執行猶予付きの判決が下されていた場合
なお、裁判所が執行猶予を取り消すかどうかは、犯罪の内容や種類などを個別具体的に判断して決定されます。
(刑の全部の執行猶予の裁量的取消し)
第二十六条の二 次に掲げる場合においては、刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消すことができる。
一 猶予の期間内に更に罪を犯し、罰金に処せられたとき。
二 第二十五条の二第一項の規定により保護観察に付せられた者が遵守すべき事項を遵守せず、その情状が重いとき。
三 猶予の言渡し前に他の罪について禁錮以上の刑に処せられ、その刑の全部の執行を猶予されたことが発覚したとき。
引用元:法令検索
再犯をして有罪判決となり執行猶予が取り消しになるまでの大まかな流れ
再犯をして有罪判決となった場合に執行猶予が取り消しされるまでの流れは、以下のとおりです。
- 執行猶予の取り消し事由が生じる
- 検察官が執行猶予取り消しの請求をする
- 裁判所が執行猶予の取り消しを決定する
ここでは、再犯をして有罪判決となった場合に執行猶予が取り消しされるまでの大まかな流れについて説明します。
1.執行猶予の取り消し事由が生じる
執行猶予の取り消される事由とは、必要的取り消しまたは裁量的取り消しのことです。
取り消し事由として最も多いのは、再犯をして実刑判決が確定したケースとされています。
2.検察官が執行猶予取り消しの請求をする
検察官が裁判所に対して、執行猶予取り消しの請求をおこないます。
検察官の請求によって手続きが開始することは、刑事訴訟法第349条1項に規定されています。
3.裁判所が執行猶予の取り消しを決定する
執行猶予の取り消し請求がされると、裁判所で本人または代理人に対する意見の聴取がおこなわれます。
禁錮刑以上の場合(必要的取り消しの場合)は、意見の内容にかかわらず執行猶予は取り消されるでしょう。
一方、罰金刑の場合(裁量的取り消しの場合)は、裁判所に執行猶予が取り消されない可能性は残されています。
もっとも実務上は検察が取り消しの請求しているため、罰金刑の場合でも取り消されることが多いといいます。
執行猶予の取り消しを回避できる3つのケース
執行猶予の取り消しを回避できる主なケースは、以下のとおりです。
- 不起訴処分や無罪を獲得した場合
- 有罪でも「再度の執行猶予」を獲得した場合
- 執行猶予満了後に取り消し事由が生じた場合
ここでは、執行猶予の取り消しを回避できる3つのケースについて説明します。
1.不起訴処分や無罪を獲得した場合
執行猶予の取り消し事由の多くは、懲役刑や罰金刑などの実刑判決が確定するというものです。
そのため、再犯をしても不起訴処分や無罪を獲得できた場合には取り消し事由が発生しないというわけです。
起訴された場合に無罪を獲得するのは非常に困難であるため、不起訴処分の獲得を目指すのが望ましいでしょう。
2.有罪でも「再度の執行猶予」を獲得した場合
再犯で有罪判決になったとしても、再度、執行猶予を獲得できれば取り消しを回避できる可能性があります。
ただし、再度の執行猶予を獲得するには、刑法第25条2項に規定された条件を全て満たす必要があるでしょう。
- 初犯の刑罰が全て猶予されていること
- 再犯の刑罰が1年以下の懲役刑または禁錮刑であること
- 犯罪の経緯などについて特に酌量すべき情状があること
- 初犯の執行猶予期間中に保護観察がついていないこと
もっとも反省していないと判断される可能性が高く、再度の執行猶予を獲得するのは非常に難しいとされています。
3.執行猶予満了後に取り消し事由が生じた場合
執行猶予満了後に再犯の有罪判決が確定した場合も、初犯の執行猶予の取り消しを避けられます。
- 再犯をして警察に逮捕される
- 捜査期間中に初犯の執行猶予期間が満了する
- 再犯に関する裁判がおこなわれて有罪判決が確定する
上記のような場合では「2.捜査期間中に初犯の執行猶予期間が満了する」の時点で初犯の刑罰は免除されます。
そのため、そもそも刑罰を科すことができなくなるため、執行猶予の取り消しがおこなわれることもありません。
ただし、再犯で有罪判決になった際に執行猶予を獲得できる可能性は低くなるでしょう。
執行猶予の取り消しを回避したい方が弁護士に相談・依頼するメリット
弁護士に相談・依頼すれば、執行猶予の取り消しを回避するために以下のような対応をしてくれるでしょう。
- 被害者との示談交渉を進めてくれる
- 再犯防止プランを検討・実行してくれる
- 検察官に対しての働きかけをしてくれる
ここでは、執行猶予の取り消しを回避したい方が弁護士に相談・依頼する3つのメリットについて説明します。
1.被害者との示談交渉を進めてくれる
弁護士に依頼することで、被害者との示談交渉を進めてくれます。
被害者に対して十分謝罪し示談が成立した場合には、通常、検察に被害感情が和らいだと判断してもらえます。
そのため、不起訴処分になる可能性が高まり、執行猶予の取り消し事由の回避につなげることができるのです。
また、裁判になった場合でも情状が考慮されて、再度の執行猶予の獲得を目指せる可能性があるでしょう。
ただし、加害者が被害者と示談をすることは困難なので、弁護士に依頼し対応してもらう必要があります。
2.再犯防止プランを検討・実行してくれる
弁護士に依頼することで、再発防止プランを検討・実行してくれることも多いです。
犯罪の内容によって異なりますが、主な再発防止策には以下のようなものが考えられます。
- 家族に協力を求める
- 不良グループと距離を取る
- 医療機関でサポートを受ける など
再発防止プランの検討・実行も、不起訴処分や再度の執行猶予の獲得などに役立つことが多いです。
また、再発防止プランへの取り組み状況を証拠化し、検察や裁判官などを説得してくれるでしょう。
3.検察官に対しての働きかけをしてくれる
弁護士は、検察官に対して以下のような働きかけをしてくれます。
- 勾留請求をしないように求める
- 不起訴処分になるように求める
- より軽い罪で起訴するよう求める など
示談交渉の結果や再発防止プランの内容などを提示しつつ、働きかけをしてくれることが多いです。
これにより不起訴処分を獲得できたり、再度の執行猶予を獲得できる条件を満たせたりする可能性があります。
さいごに|刑事事件が得意な弁護士はベンナビ刑事事件で探そう
執行猶予を取り消されないためには、再犯をしないことが何よりも重要です。
執行猶予期間中に再犯して、実刑判決が確定した場合には、執行猶予は取り消されてしまうでしょう。
もし執行猶予期間中に再犯をした場合には、できる限り早く弁護士に相談し不起訴処分の獲得を目指すべきです。
その際「ベンナビ刑事事件」を使うことで、刑事事件や再犯の弁護活動が得意な弁護士を効率よく見つけられます。
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