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万引きで刑務所に入ることはある?懲役刑になりやすいケースや回避するためのポイント

藤垣 圭介
監修記事
万引きで刑務所に入ることはある?懲役刑になりやすいケースや回避するためのポイント

万引きは、法律上「窃盗罪」として扱われる重大な犯罪行為です。

刑法第235条では、以下のように規定されています。

(窃盗) 第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

引用元:窃盗 | e-Gov 法令検索

窃盗罪として立件された場合、最大で10年以下の懲役刑、または50万円以下の罰金刑が科される可能性があります。

これは決して軽い刑罰ではありません。

万引きでも、刑務所行きになる可能性は十分にあるのです。

ただし、全ての万引き事件で懲役刑や罰金刑の刑罰が下されるわけではありません。

事案の内容や情状により、刑罰の重さは大きく異なってきます。

本記事では、万引きで実刑判決を受けるケースや、その可能性を最小限に抑えるための具体的な対応策について詳しく解説します。

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万引きで刑務所に入る可能性はある?

万引きは窃盗罪になるので、刑務所に入る可能性がないとはいえません。

初犯で被害額がそれほど大きくなければ刑務所に入ることは通常ありませんが、被害額が大きかったり常習犯だったりすると話は変わります。

万引きを何度も繰り返していたり、被害額が大きかったりする場合は刑務所に入る可能性もあるのです。

そのほか、万引きを含む窃盗罪で刑務所に入る可能性が高くなる例として以下があげられます。

  • 窃盗罪などの執行猶予中で、再び窃盗をした場合
  • 被害額が高額で、かつ示談や賠償ができていない場合
  • 振り込め詐欺の出し子を何度も繰り返している場合

なお「令和6年版犯罪白書」によれば、令和5年中に窃盗で警察に認知された件数、検挙された件数は以下のとおりでした。

  • 認知件数:483,695件
  • 検挙件数:157,115件

警察に認知されても検挙にまで至った件数は1/3以下にとどまっています。

さらに上記のうちで、最終的に窃盗罪で起訴されたのは30,373人です。

このデータをみても警察に認知されても、起訴され有罪に至る数自体は多くないことがわかるでしょう。

しかも有罪となっても、略式命令にとどまる数は5,511人で、刑務所に入る人員数はさらに少なくなります。

そのうえ窃盗罪には、万引きより被害が大きくなりやすいと考えられる空き巣などの侵入窃盗や乗り物盗なども含まれるのです。

万引きで起訴に至る割合は、さらに少なくなると想定されます。

あくまで参考程度のデータですが、これらのデータをみても万引きで有罪となり刑務所へ入る数はそれほど多くないと考えられるでしょう。

万引き(窃盗罪)で刑務所に入る可能性が高くなるケース3選

万引きを含む窃盗は、10年以下の懲役が科せられる可能性がある犯罪行為です。

万引き(窃盗罪)で刑務所に入る可能性が高くなるケースとして、下記3つのパターンが考えられます。

  1. 被害額が大きい場合
  2. 再犯や常習犯の場合
  3. 被害弁償・示談がおこなわれていない場合

1.被害額が大きい場合

犯罪の結果がもたらす被害の重大性は、刑罰の程度に大きく影響します。

たとえば、数百円程度の日用品の窃盗と、数百万円相当の貴金属窃盗では、被害者に与える影響が大きく異なります。

被害額が高額になるほど、個人の生活や事業の運営に深刻な打撃を与える可能性があり、実刑判決となる可能性が高まります。

また、複数の場所から継続的に窃盗をおこなうことや被害者が複数人いる場合など、被害が広範囲に及ぶ場合も、社会的影響の大きさから重大な処罰の必要性が増すことになります。

2.再犯や常習犯の場合

万引きの再犯や常習犯の場合、初犯と比較して刑罰が加重される傾向にあります。

これは、同様の犯罪を繰り返す可能性が高いと判断されるためです。

とくに万引きは常習性が認められやすい犯罪であり、再犯防止の観点から厳しい処罰が必要とされます。

刑法第56条や盗犯等防止法第3条においても、再犯・常習犯に対する加重処罰が定められています。

3.被害弁償・示談がおこなわれていない場合

被害の回復がすんでいるか否かは、実刑判決につながる重要な要因です。

被害弁償がすんでいなかったり、示談が成立していなかったりすると、被害者の経済的・精神的損害は継続したままと判断されます。

とくに窃盗罪は財産犯であるため、被害回復の有無によって検察や裁判所の判断が大きく左右されます。

被害者と和解していなければ、厳しい罪が下される可能性が高まるのです。

万引き(窃盗罪)で逮捕されてから刑務所に入るまでの流れ|6ステップ

万引き(窃盗罪)で逮捕されると下図の流れで有罪が決まり、刑務所に入る可能性があります。

本項では、逮捕されてから刑務所に入るまでの流れをみていきましょう。

逮捕されてから刑務所に入るまでの流れ

1.警察に逮捕される

警察は被疑者を逮捕すると身柄を留置場に拘束し、取り調べなどをおこない48時間以内に検察へ送致するか否かの判断をします。

送致(検察官送致)とは、検察官へ刑事事件を引き継ぐことです。

なお被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれがないと判断された場合などは、逮捕・勾留されることなく「在宅事件」になります。

在宅事件であれば被疑者は身柄を拘束されず、普段とかわらない生活を送ることが可能です。

ただし呼び出しを受けた際は、警察署や検察庁へ行って取り調べを受けなくてはなりません。

また逮捕されても微罪だったり示談が成立して被害者が刑罰を望んでいなかったりする場合、送致されず事件が終了することもあります。

2.検察に送致される

検察官は送致を受けた後、被疑者を勾留するか否かの判断を24時間以内におこないます。

勾留とは被疑者が逃亡したり証拠隠滅をはかったりするのを防ぐため、身柄を留置施設などに拘束するための手続きです。

検察官が勾留する必要があると判断した場合は、裁判所に対して勾留請求をおこないます。

勾留によって身柄拘束が続けば被疑者にとって大きな不利益となることから、裁判所の許可が必要なのです。

ただし勾留請求がおこなわれた場合は、そのほとんどが認められる傾向にあります。

令和6年 犯罪白書」によれば、令和5年の勾留請求却下率はわずか3.8%に過ぎません。

検察官が勾留の必要がないと判断した場合は、身柄を釈放されることになります。

なお釈放されたからといって、無実となったわけではありません。在宅事件となり、呼び出しを受けて取り調べを受ける必要はあります。

ちなみに「令和6年 犯罪白書」によれば、刑事事件で身柄が拘束されることを示す令和5年の「身柄率」は34.8%でした。

裏を返せば、残りの65.2%は在宅事件として進められているわけです。

この数値には、警察で逮捕後に送致されず、在宅事件になった数も含まれます。

3.勾留される

裁判所が勾留を認めると、原則10日間(最長20日間)の身柄拘束となります。

この間、被疑者は留置場や拘置所で過ごし、捜査官の取り調べを受けます。

接見禁止処分がなければ、家族や知人との面会が可能です。

4.起訴される

勾留期間中に、検察は起訴するかを判断します。

不起訴なら即時釈放されますが、正式起訴なら通常の公判手続きへすすみ、略式起訴なら罰金刑が科せられることになります。

略式起訴とは、100万円以下の罰金か科料を科す場合にえらばれる起訴の種類です。

略式起訴であればその日のうちに罰金を支払い釈放されます。刑務所に入ることはありません。

5.刑事裁判が開かれる

起訴されてから、事実関係の争いがなければ1ヵ月~1ヵ月半程度で刑事裁判が開かれます。

被告人が起訴内容を認めている場合は1回の公判で手続きが終了し、2週間程度で判決が言い渡されるのが一般的です。

6.判決が言い渡される

審理終結後、裁判官は判決を下します。

起訴された場合はほぼ100%の確率で有罪となりますが、執行猶予がつけば刑の執行が猶予されます。

一方、懲役刑の実刑判決が出た場合は、刑務所に入らなくてはなりません。

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万引きによる刑務所行きを回避するためには弁護士に依頼するのが重要

万引きで逮捕され、懲役刑を回避したい場合は一刻も早く弁護士に依頼することが重要です。

以下、その理由を解説します。

1.被害者との示談交渉を進めてくれる

刑務所行きを免れるには、示談を成立させることが非常に重要です。

検察官は起訴するか否かを判断するのにあたって、被害者感情を重要視します。

示談が成立し、被害者に処罰感情がないことがわかれば、検察官が不起訴の判断をする確率が高まるのです。

一方で被害を受けた店舗は、被害者に二度と来てほしくないと考えるかもしれません。

その点、交渉のプロである弁護士に示談交渉を依頼すれば、スムーズにすすめてくれるでしょう。

相手に適切な示談金額などを提示し、示談成立の可能性を高められます。

2.検察や裁判所などに働きかけをしてくれる

弁護士は、身柄拘束からの早期釈放を目指して、検察庁や裁判所に対して法的な働きかけをおこないます。

たとえば、逮捕後の勾留が相当でないとする法的意見書の提出や、勾留取り消し請求、準抗告などの法的手続きをおこなうことができます。

弁護士のこうした活動により、不必要に長期の身柄拘束を避け、早期の釈放を実現できる可能性が高まります。

3.クレプトマニアの治療のサポートをしてくれる

万引きを繰り返す背景に、クレプトマニア(窃盗症)などの精神疾患がある場合があります。

このような場合、適切な治療を受けないまま再犯を繰り返すと、刑務所へ収容されるリスクが高まります。

弁護士は専門医療機関を紹介するなど、治療記録を更生可能性の証拠として活用することで、刑務所収容を回避する方向で働きかけることができます。

また、治療を継続する意思を示すことで、裁判所からの評価も改善される可能性があります。

4.事件が発覚していない場合は自首のサポートをしてくれる

自首には、逮捕回避の可能性が高まる、報道を避けられる可能性が増す、示談がまとまりやすくなるといったメリットがあります。

刑法第42条第1項に基づく自首減刑の適用を受けやすくなり、処分が軽減される可能性も高まります。

とくに執行猶予中の場合、自首は「情状に特に酌量すべきもの」として考慮され、再度の執行猶予を得られる可能性が向上します。

弁護士に自首のサポートを依頼すれば、取り調べでどう話せばよいかアドバイスしてもらうことが可能です。

また自首に同行してもらい、取り調べが終わるまで警察署内で待機してもらえます。

そのうえで取り調べでどう答えればいいかわからなくなった場合は、取り調べを中断してもらい弁護士にアドバイスを求められるのです。

自首に弁護士が同行すると、同行しない場合に比べ取調官の対応が変わることも少なくありません。

刑事ドラマに出てくるような、怖い取り調べを回避しやすくなります。

また弁護士が必要に応じて上申書や意見書を書いてくれる点も、大きなメリットです。

これらで逃亡や証拠隠滅の恐れがないことを訴えてもらうことで、逮捕の可能性を下げられます。

さいごに|万引き事件が得意な弁護士はベンナビ刑事事件で探そう!

万引きは、10年以下の懲役という重い法定刑が定められている重大な犯罪です。

しかし、適切な対応と弁護活動により、刑務所収容を回避できる可能性は十分にあります。

とくに初期段階での弁護士への相談が重要です。

早期に相談することで、示談交渉の進め方や自首のタイミング、身柄拘束の回避など、状況に応じた最適な対応が可能となります。

ベンナビ刑事事件では、万引き事件の豊富な実績を持つ弁護士を簡単に探すことができます。

ひとりで悩まず、まずは専門家への相談をご検討ください。

早期の対応が、より良い解決につながります。

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この記事の監修者
藤垣 圭介 (埼玉弁護士会)
これまで500件以上の刑事事件に携わり、特に痴漢/盗撮/暴行/傷害に関する事件の解決を得意とする。レスポンスの早さにこだわりをもって対応し、豊富な経験をもとに即日接見を用いて、早期釈放を目指している。
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編集部

本記事はベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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