立ちションで罰金はいくら?問われる罪と警察沙汰になったときの対処法も解説
- 「立ちションをしたら罰金になるのか?」
- 「罰金になるとしたらいくらくらいになるのか?」
立ちション(立ち小便)は、軽犯罪法第1条26号に規定されている「排せつ等の罪」に該当します。
軽犯罪法の罰則は拘留または科料となっているため、軽犯罪法違反だけなら罰金刑になることはありません。
しかし、立ちションに伴ってほかの犯罪をした場合は、その犯罪の罰則で罰金刑が科される可能性はあります。
本記事では、立ちションと罰金の関係が気になる方に向けて、以下の内容について説明します。
- 立ちションだけなら罰金になる可能性はないこと
- 立ちションと一緒に成立する可能性がある犯罪4選
- 立ちションをした場合に賠償金などを支払うリスク など
本記事を参考に、立ちションによってどのような罰則を受けることになるのかしっかりと理解しましょう。
立ちションだけなら罰金はない!軽犯罪法違反で拘留や科料の可能性はある
立ちションは、軽犯罪法第1条26号に規定されている犯罪行為です。
第一条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
(中略)
二十六 街路又は公園その他公衆の集合する場所で、たんつばを吐き、又は大小便をし、若しくはこれをさせた者
軽犯罪法の刑罰は拘留または科料となっており、軽犯罪法違反だけでは罰金になることはありません。
財産刑である科料となった場合は、1,000円以上1万円未満の金銭の支払いが命じられます(刑法第17条)。
立ちションと一緒に成立する可能性がある犯罪|罰金になるリスクはある
立ちションに伴い、以下のような犯罪が成立する可能性があります。
- 住居侵入罪
- 公然わいせつ罪
- 器物損壊罪
- 威力業務妨害罪
ここでは、立ちションで問われる可能性がある犯罪とその法定刑について説明します。
1.住居侵入罪|3年以下の懲役または10万円以下の罰金
住居侵入罪とは、正当な理由がないのに他人の住居や敷地に侵入した場合に成立する犯罪です(刑法第130条)。
たとえば、立ちションに伴って以下のような行為をしていると、住居侵入罪が成立する可能性があります。
- 他人の家の庭に入って立ちションをした
- 他人のマンションのエントランスで立ちションをした
- 立ちション場所を探して他人の家の塀をよじ登っていた など
仮に住居侵入罪が成立した場合、3年以下の懲役または10万円以下の罰金を科される可能性があるでしょう。
なお、駐車場や空き地、田畑などに侵入しても住居侵入罪は成立しないため、軽犯罪法違反だけとなります。
2.公然わいせつ罪|6ヵ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料
公然わいせつ罪とは、公然の場でわいせつな行為をした場合に成立する犯罪です(刑法第174条)。
たとえば、以下のようなケースでは立ちションに伴い、公然わいせつ罪が成立する可能性があります。
- 他人から局部が見える状態で立ちションをした
- 人目に付くような場所を選んで立ちションをした など
公然わいせつ罪となった場合、6ヵ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料を科されます。
なお、局部を隠している場合や、誰もいない場所を選んでいる場合は、公然わいせつ罪は成立しない可能性が高いでしょう。
3.器物損壊罪|3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料
器物損壊罪とは、他人の物を損壊させたときに成立する犯罪です(刑法第261条)。
以下のような立ちションをおこなった場合には、器物損壊罪が成立する可能性があるでしょう。
- 他人の家の塀に立ちションをして変色させた
- 他人の自転車や車などに向けて立ちションをした
- 自動販売機や精算機などに向けて立ちションをした など
器物損壊罪が成立した場合は、3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料が科されるでしょう。
なお、器物損壊罪には「汚損」も含まれ、実際には壊れていなくても、使い物にならなくなれば成立します。
4.威力業務妨害罪|3年以下の懲役または50万円以下の罰金
威力業務妨害罪とは、暴力や騒音などによって他人の業務を妨害した場合に成立する犯罪です(刑法第234条)。
立ちションを理由に威力業務妨害罪が成立する可能性があるケースは、以下のとおりです。
- 店の業務を妨害する目的を持って立ちションをした
- 店の入り口に立ちションをされて開店ができなくなった
- 立ちションによるアンモニア臭で店の営業に支障を来たした など
威力業務妨害罪が成立した場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
なお、「威力」には暴力などの有形力だけでなく、悪臭が含まれることもあるといいます。
立ちションをすると罰金(科料)以外に賠償金などを支払うリスクもある
立ちション(軽犯罪法違反)だけなら、基本的に民事責任を負うことはありません。
しかし、立ちションによる被害者がいる場合は、民事責任を追及される可能性があります。
ここでは、民事責任として請求される可能性がある修繕費用と慰謝料について説明します。
1.修繕費用など|復旧にかかった費用を支払う
立ちションによる被害者がいる場合は、以下のような被害弁償を求められる可能性があります。
- 清掃費用
- 買替費用
- 営業損害 など
たとえば、立ちションにより他人の物を壊したり、営業に支障をきたしたりした場合に請求されます。
通常、修繕費用は言い値ではなく、見積書などを提示してもらい適切な金額を支払うことになるでしょう。
2.慰謝料|被害者の肉体的・精神的な苦痛に対して支払う
通常、立ちションによる民事責任だけであれば、慰謝料を支払うケースは少ないです。
しかし、被害者が、被害届を提出したり刑事告訴をしたりした場合は、示談をするのが望ましいです。
十分な謝罪と慰謝料の支払いをすることで、被害届や告訴状などの取り下げをしてくれる可能性が高まります。
なお、慰謝料相場は事件の内容によって異なりますが、数万円~10万円程度になることが多いでしょう。
立ちションと罰金に関するよくある質問
最後に、立ちションと罰金に関するよくある質問に回答します。
Q.立ちションをしたら必ず罰金(科料)になるのか?
立ちションをしたからといって、必ずしも軽犯罪法違反になるわけではありません。
軽犯罪法第4条には「この法律を濫用してはいけない」という規定があるため、注意だけで終わることも多いです。
また、警察署に連れていかれたとしても微罪処分といって厳重注意で刑事手続きが終了するケースもあるでしょう。
なお、あまりにも悪質な場合やほかの犯罪が成立している場合は、起訴されて罰則を受ける可能性はあります。
Q.「立ちションしたら罰金」という看板で罰金を支払う必要はあるのか?
土地の所有者が「立ち小便をしたら罰金○○円」という看板や張り紙などを用意していることがあります。
しかし、罰金は法律や条例によって定める必要があるため、一般人が他人に対して罰金を科すことはできません。
もっとも、立ちションによって民法上の不法行為が成立した場合には、損害賠償を請求される可能性はあります。
「罰金を支払う義務がないなら安心だ」と思うのではなく、所有者の意図もくみ取り立ちションは控えましょう。
Q.立ちションとほかの犯罪が同時に成立した場合の刑罰はどのようになるのか?
立ちションとほかの犯罪が成立した場合、併合罪として扱われる可能性があります。
軽犯罪法違反との併合罪が成立すると「ほかの犯罪の罰則+拘留または科料」が併科されます(刑法第53条)。
たとえば、住居侵入罪と併合した場合、3年以下の懲役または10万円以下の罰金+拘留または科料となります。
さいごに|立ちションだけなら罰金はないが科料になる可能性はある
立ちションは軽犯罪法違反となるため犯罪といえます。
軽犯罪法違反の罰則は拘留または科料であるため、通常であれば罰金が科されることはないでしょう。
ただし、立ちション以外の犯罪も成立している場合は、罰金刑などが科される可能性があるため注意が必要です。
立ちションはトラブルに発展しやすいため、できる限り公共トイレや携帯トイレなどを使うことをおすすめします。
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