刑事事件の有罪率が高い理由と被疑者が無罪主張をする上で気をつけること
日本の刑事事件は、統計上、起訴された場合の有罪率は90%以上です。そのため、刑事事件の被疑者は起訴さた場合、たとえ無罪主張をしていても有罪となる可能性が極めて高いと思ってください。
引用元:「刑事事件の有罪率の高さとその理由|有罪判決を回避するために必要な事」
出展:「裁判確定人員の推移」
有罪率の高さに疑問を持つ方もいると思いますが、今回の記事では刑事事件の有罪率が高い理由について説明していきます。
刑事事件の有罪率が高い理由
では、早速ですが刑事事件の有罪率が高い理由について確認していきましょう。
自白の割合が高いから
まず、有罪率が高い理由の一つは、被告人のほとんどが自白をしているからです。「通常第1審事件の終局総人員」によると全被告人のうち90%近くの人が自白により有罪判決が下されていることがわかります。これは有罪事件のほとんどが自白事件であり、被告人がそもそも無罪主張をしていないということを意味しています。
有罪の可能性の高い事件しか起訴しないから
「平成28年版_犯罪白書_第2編/第2章/第3節」によると平成27年度の起訴率は33.4%です。
起訴率の低さから、起訴する前の段階で、有罪の可能性が高い事件とそうでない事件を、検察官がふるいにかけていることが伺えます。要するに、検察官は被疑者の自白の有無も踏まえた上で、証拠関係から確実に有罪判決を得られる事件を選別して起訴しているということです。
世界と比べても日本の刑事裁判の有罪率は高い?
では、世界と比べても日本の刑事事件の有罪率は高いのでしょうか。法務省のデータによると、日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、韓国など、各国の否認事件における無罪率は、以下の通りになります。
引用元:「刑事事件の有罪率の高さとその理由|有罪判決を回避するために必要な事」
出典元:「法務省:諸外国の刑事司法制度」
日本だけでなく他国の刑事事件の有罪になる割合が高いことがわかりますが、それでも日本の無罪率は極めて低いです。
無罪を主張するうえで気をつけるべき点
では、最後に被疑者が無罪を主張する上で注意すべき点について紹介します。
黙秘権を行使する
被疑者には取り調べの間ずっと無言で通すことができる黙秘権が認められています。取り調べの内容には何も返答しないのも一つの手段です。黙秘権を行使することで、必要な情報が集まらなければ、証拠不十分で起訴されないかもしれません。
ただし、他に有罪の証拠が十分にある中で黙秘権を行使しても、あまり意味はありませんし、相対的に不利な立場に置かれることもあります。黙秘権を行使すべきかどうかは、必ず弁護人と相談して決めてください。
供述調書はしっかり読む
取り調べが終わると、供述調書が作成されますが、供述調書の内容はしっかり確認しましょう。供述調書は、被疑者が犯行に至るまでの経緯が、被疑者の目線で記載されたもので、裁判の証拠として重要な書類だからです。
供述調書の内容が事実と異なる、供述と異なるという場合は納得するまで署名する必要はありません。
弁護士へ早期に依頼する
無罪を主張するのであれば、弁護人の力が必須です。早期の段階で弁護士に依頼することをオススメします。
まとめ
再三申し上げますが、刑事事件は、起訴されるとほとんどの確率で有罪になります。
もし無罪主張をする場合はそれなりの覚悟をもって臨む必要があります。
【初回相談料1時間1.1万円(逮捕されている場合等は無料)|弁護士直通TEL|夜間・休日◎】無罪を獲得した実績◎早期の身柄釈放を第一に!性犯罪/痴漢・盗撮/暴行傷害事件など元検事の弁護士に相談が◎今何をすべきか明確にご提示します
事務所詳細を見る【迅速対応・秘密厳守】ご自身/ご家族が加害者ならご連絡を◆周りに知られる前に解決したい/早めに話し合って解決したい方◆実名報道・解雇・前科を一緒に回避しましょう【弁護士と直接話せる】【関東エリア対応◎】
事務所詳細を見る当サイトでは、有料登録弁護士を優先的に表示しています。また、以下の条件も加味して並び順を決定しています。
・検索時に指定された都道府県に所在するかや事件対応を行っている事務所かどうか
・当サイト経由の問合せ量の多寡
刑事事件の基礎知識に関する新着コラム
-
受刑者は、どのように1日を過ごすのでしょうか。なぜ、刑務所での生活は辛いといわれるのでしょうか。本記事では、刑務所生活が辛いといわれる理由を紹介し、...
-
罪を犯してしまったものの、証拠がないから大丈夫だろうと安心している方もいるかもしれません。本記事では、警察がどのような状況で動くのか、証拠の種類や重...
-
本記事では、刑務所と拘置所の違いを分かりやすく解説します。それぞれの施設の目的・収容される方・生活の様子やルールなどについて詳しく紹介するので、ぜひ...
-
名誉毀損の可能性がある行為をしてしまったら、刑法第230条を理解することが非常に重要です。 本記事では、刑法第230条について、どのようなときに名...
-
犯罪をしてしまったときはもちろん、罪を犯していなくても指紋が警察のデータベースに登録されるケースがあります。 本記事では、警察に採取・登録された指...
-
ニュースやドラマでよく聞く「検察」について、警察との違いを知りたいけれどよくわからないという方は少なくありません。 本記事では、逮捕前後の流れを含...
-
どのような行為が強制執行妨害罪に該当するのか、もしも強制執行妨害罪にあたりそうな行為をしてしまったらどんな刑罰が科せられるのかなど、強制執行妨害罪に...
-
痴漢・万引き・盗撮・横領など、やってもいないのに犯人だと疑われてしまうケースは少なからず存在します。 どうすれば疑いを晴らせるのか悩んでいる方もい...
-
もしも自分や家族が刑事告訴され、警察から連絡があったら、逮捕後の流れや、各段階でやるべきことを確認しておく必要があります。本記事を参考に、早めに弁護...
-
本記事では、どのようなときに緊急逮捕されるのか、緊急逮捕をされるとどうなるのかなどについて、通常逮捕や現行犯逮捕との比較を交えながら解説していきます...
刑事事件の基礎知識に関する人気コラム
-
逮捕されて有罪になると前科が付きますが、前歴というものもあり、こちらは逮捕されただけで付きます。前科は間逃れても前歴が残ると今後の生活にどう支障がで...
-
犯罪事件捜査の対象になった場合、刑事手続きはスピーディに進行します。早期に刑事手続きから解放されるためには、初動の段階から迅速な対応をとることが肝心...
-
本記事では私人逮捕の条件や私人逮捕によるトラブルの対処法を解説します。
-
【弁護士監修】書類送検を徹底解説!書類送検とは被疑者を逮捕せず、書類のみ(証拠を含む)を検察官に送る手続きです。この記事では、そもそも送検とはどうい...
-
少年院(しょうねんいん)とは、家庭裁判所から保護処分として送致された少年を収容するための施設を言います。
-
鑑別所(かんべつしょ)とは、正式名称は少年鑑別所と呼ばれ、家庭裁判所の少年審判を開くために犯罪を犯した未成年の少年を収容し、少年審判で処分を決めるた...
-
観念的競合とは、1つの行動で2つ以上の犯罪を起こすことです。刑罰の考え方としては、2つ以上の犯罪の中で最も重い犯罪の刑罰が対象となります。
-
この記事では親告罪と何か、親告罪に該当する罪を解説したあと、告訴されたときの対処法について紹介しています。親告罪を犯してしまって告訴される可能性があ...
-
刑事裁判と言っても、事件内容によって方法が少し異なります。この記事では刑事裁判の種類や流れの他に、民事裁判との違いやよくある質問(裁判員制度について...
-
在宅起訴とは、刑事事件を起こした被疑者の身柄を拘束しないまま検察官が起訴することをいいます。逮捕を受けないまま起訴されるため日常生活に与える影響は少...
刑事事件の基礎知識の関連コラム
-
在宅起訴とは、刑事事件を起こした被疑者の身柄を拘束しないまま検察官が起訴することをいいます。逮捕を受けないまま起訴されるため日常生活に与える影響は少...
-
偽計業務妨害罪は身近にある犯罪であり、実際に自身の行為が該当するのではないかと不安に感じている方もいるのではないでしょうか。本記事では、偽計業務妨害...
-
鑑別所(かんべつしょ)とは、正式名称は少年鑑別所と呼ばれ、家庭裁判所の少年審判を開くために犯罪を犯した未成年の少年を収容し、少年審判で処分を決めるた...
-
2018年6月に施行された日本型司法取引制度。導入背景と、そもそもどのような制度なのか、メリット・デメリットと併せて詳しく解説します。
-
刑法第39条には『刑事責任能力のない人は処罰の対象外とする、または、処罰を軽減する』という記述がされています。刑法第39条とは具体的にどういうものな...
-
ニュースやドラマでよく聞く「検察」について、警察との違いを知りたいけれどよくわからないという方は少なくありません。 本記事では、逮捕前後の流れを含...
-
家宅捜索は予告なく、捜索令状を持った警察官や検察官が突然行うものです。家宅捜索に踏み入られた場合、どのような事態になり、捜索後には何が起こるのか紹介...
-
検察庁から呼び出され、取り調べを受けることになったら、どのように対応すればよいのかわからない方がほとんどでしょう。 本記事では、取り調べに臨むまえ...
-
刑事事件でよく聞く被疑者という言葉ですが、「容疑者」や「被告人」とはどういった違いがあるのでしょうか。そしてもしも自分が被疑者になってしまった場合、...
-
逮捕された場合、不起訴を期待するのは当然のことです。しかし、不起訴を勝ち取ったとしても、なんらかの不利益が生じるのではないかと不安に感じている方もい...
-
この記事では、現行犯逮捕についてくわしく解説しています。現行犯逮捕とは「目の前で犯行に及んでいる犯人を逮捕すること」です。現行犯逮捕できる要件や、一...
-
自首(じしゅ)とは、犯罪が起きた事や犯人が分かっていない段階で、犯人自らが捜査機関(おもに警察官)に犯罪事実を申告し、処分を求めることを言います。
刑事事件の基礎知識コラム一覧へ戻る