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刑事事件の有罪率は99.9%?起訴後の有罪率や有罪を回避するための対処法を解説

東日本総合法律会計事務所
加藤 惇
監修記事
刑事事件の有罪率は99.9%?起訴後の有罪率や有罪を回避するための対処法を解説

「日本の刑事事件で起訴された場合の有罪率は約99.9%」と言われています。

2024年に法務省が公表した「令和6年版犯罪白書」によると、2014年以降の確定裁判の総数・有罪率はともに右下がりの状態ではあるものの、有罪率は99%以上を維持しています。

たしかに日本の刑事裁判の有罪率は非常に高く、起訴されてしまうと多くのケースで有罪判決が下されて前科が付くことになります。

ただし、刑事事件を起こしたからといって必ず刑事裁判が開かれるわけではありません。

なかには微罪処分や不起訴処分となって刑事裁判が開かれずに捜査終了となり、刑罰も前科も付かずに済むケースもあります。

本記事では、刑事事件の有罪率の実態や有罪率が高い理由、自分や家族が刑事事件の被疑者になった場合に有罪を回避するための対処法などを解説します。

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日本の刑事事件で起訴された場合の有罪率は約99.9%

日本で刑事事件を起こして起訴された場合、高い確率で有罪判決が下されます

有罪率は年度によっても若干変動しており、ここ数年間は99.8%付近の状態が続いています。

ここでは、日本の刑事裁判の有罪率や、日本と世界の無罪率の違いなどについて解説します。

2023年の刑事裁判の有罪率は約99.8%

2024年に法務省が公表した「令和6年版 犯罪白書」によると、以下のとおり2023年の刑事裁判の有罪率は約99.78%となっています。

項目 件数・割合
裁判総数 20万1,990件
有罪判決の件数 20万1,548件
無罪判決の件数 79件
有罪率 約99.78%(小数点第5位で四捨五入)

冒頭のグラフにて示したとおり、過去10年間の有罪率を見ると、2016年の約99.88%をピークに年々下降しています。

2023年は過去10年間で最も低いものの、約99.78%という数値自体は十分に高いといえます。

外国の刑事裁判と比べると日本の無罪率は低い

外国と比べても、日本の刑事裁判の無罪率は低い状態にあります。

法務省の公表資料によると、日本・アメリカ・韓国・イギリス・ドイツ・フランス・イタリアでの否認事件の無罪率は以下のようになっています。

国名 無罪率
日本 約0.1%
アメリカ 約0.4%
韓国 約0.5%
イギリス 約2%
ドイツ 約4%
フランス 約4.3%(軽罪)、約6.4%(重罪)
イタリア 約20.7%

アメリカや韓国は比較的日本と近いものの、それでも4倍~5倍程度の差があります。

なかでもイタリアは約20.7%と最も高く、約5件に1件は無罪となっていて日本とは大きく異なります。

日本も海外も「有罪率よりも無罪率のほうが低い」という点は共通しているものの、日本の無罪率は極めて低い状態であることがわかります。

刑事事件の有罪率について知っておくべき3つのポイント

刑事事件の有罪率に関して、特に押さえておくべきポイントとしては以下の3つがあります。

  1. 刑事事件全体の有罪率が約9%というわけではない
  2. 刑事裁判にかけられるのは起訴された場合のみ
  3. 微罪処分・不起訴処分になれば罪に問われない

以下では、それぞれのポイントについて解説します。

1.刑事事件全体の有罪率が約99.9%というわけではない

まず押さえておくべきなのは「刑事事件全体の有罪率が約99.9%というわけではない」ということです。

なかには「刑事事件を起こしたら99.9%の確率で有罪になる」「逮捕されたら99.9%の確率で有罪になる」などと思い込んでいる方もいるかもしれませんが、これは誤りです。

刑事事件の中には、捜査機関が犯人を特定できないケースもあれば、逮捕されても刑事裁判が開かれずに捜査終了となるケースなども多々あります。

刑事事件全体の有罪率に関しては、刑事裁判の有罪率よりは低くなるのが通常です。

「刑事事件全体の有罪率」と「刑事裁判の有罪率」を混同しないように注意しましょう。

2.刑事裁判にかけられるのは起訴された場合のみ

2.刑事裁判にかけられるのは起訴された場合のみ

刑事事件では、検察官が被疑者を起訴した場合に刑事裁判が開かれます

刑事手続きの流れは上図のとおりで、警察官による取り調べ・検察官送致・勾留などを経て、検察官が起訴不起訴を判断します。

被疑者を起訴するかどうかは、証拠の有無や量・犯行の悪質性・被害者の処罰感情・加害者の境遇や反省の態度・前科の有無などを総合的に考慮したうえで判断されます。

起訴された場合は高い確率で有罪となるため、刑罰や前科を回避するためには起訴不起訴が決定する前に示談交渉などの活動をおこなうことが大切です。

日本の刑事事件の起訴率・不起訴率

令和6年版犯罪白書|法務省

引用元:令和6年版犯罪白書|法務省

上図は、法務省が2023年の刑事事件の処理状況をまとめたものです。

上図によると、検察官が起訴したのは23万8,145人で起訴率は約32%、不起訴としたのは50万7,221人で不起訴率は約68%です。

起訴された数に比べ、不起訴となった数のほうが2倍以上も多くなっています。

刑事事件の加害者になってしまったとしても、速やかに弁護活動を受けたりすることで不起訴処分を獲得できる可能性はあります。

3.微罪処分・不起訴処分になれば罪に問われない

刑事事件を起こしても、微罪処分や不起訴処分になった場合は速やかに身柄が解放され、刑罰も前科も付かずに刑事手続きは終了となります。

刑事手続きの流れは「2.刑事裁判にかけられるのは起訴された場合のみ」で示したとおりで、警察官が取り調べをおこなって「犯罪事実が非常に軽微で、検察への送致は不要」と判断した場合は微罪処分となります。

一方、警察から検察に送致されて捜査が続いたものの、検察官が「起訴しても有罪となる見込みがない」「刑事裁判を開くのは適切ではない」と判断した場合は不起訴処分となります。

なお、刑事手続きにはタイムリミットがあり、微罪処分とするかどうかは逮捕後48時間以内、不起訴処分とするかどうかは逮捕後23日以内に判断されます。

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日本の刑事事件で起訴後の有罪率が高い2つの理由

日本の刑事裁判の有罪率が高い理由としては、主に以下の2つがあります。

  1. 罪を認めている・自白事件の割合が高いから
  2. 検察官は有罪の可能性が高い事件を起訴しているから

ここでは、それぞれの理由について解説します。

1.罪を認めている・自白事件の割合が高いから

理由の一つ目は「自白事件の割合が高いから」です。

刑事事件は、被疑者・被告人が罪を認めている「自白事件」と、認めていない「否認事件」の2種類に大きく分類されます。

参考として、2020年度の裁判所統計では、自白事件の割合は約88.90%となっています。

項目 件数・割合
全国総数 5万1,018件
自白事件 4万5,354件
否認事件 4,256件
自白事件の割合 約88.90%(小数点第5位で四捨五入)

自白事件の場合、犯罪の事実は認めているため有罪無罪は争わず、有罪を前提に量刑を争う「量刑裁判」となります。

量刑裁判では基本的に有罪判決が下されることになるため、結果として刑事裁判での有罪率が高くなっていると考えられます。

2.検察官は有罪の可能性が高い事件を起訴しているから

理由の二つ目は「検察官は有罪となる見込みがある事件を起訴しているから」です。

検察官は、無駄な裁判を避けるためにも容易には起訴しない傾向にあります。

基本的には、有罪の立証が見込めるほどの十分な証拠が揃った段階で起訴を決定するため、結果として刑事裁判での有罪率が高くなっていると考えられます。

刑事事件で有罪を回避するための3つの対処法

刑事事件の加害者となってしまった場合、以下のような対応を検討しましょう。

  1. 素直に罪を認めて反省の態度を示す
  2. 身に覚えのない罪は否認する
  3. 早い段階で弁護士に相談する

ここでは、それぞれの対処法について解説します。

1.素直に罪を認めて反省の態度を示す

犯罪を犯したことが事実であれば、素直に取り調べなどに応じて反省の態度を示しましょう。

たとえば、暴行事件や窃盗事件のような被害者のいる刑事事件の場合は示談交渉も有効です。

被害者との示談を成立させることができれば、加害者側に有利な事情として考慮されるため、早期釈放や不起訴処分を獲得できることもあります。

なお、薬物事件や賭博事件などの被害者のいない刑事事件の場合は、医療機関の受診や自助グループへの参加といった再犯防止策を講じることで良い結果につながる可能性があります。

2.身に覚えのない罪は否認する

もし身に覚えのない冤罪事件の場合は、徹底的に否認することが大切です。

捜査機関による厳しい取り調べに屈して「自分がやりました」などと言ってしまうと、のちのちの刑事裁判で不利に働くおそれがあります。

なお、刑事事件の被疑者・被告人には、取り調べなどの際に沈黙して供述を拒否できる「黙秘権」の行使が認められています(日本国憲法第38条1項刑事訴訟法198条2項)。

不用意な発言をしてしまいそうで不安な場合は、黙秘権の行使も検討しましょう。

3.早い段階で弁護士に依頼する

刑事事件を起こしてしまったら、なるべく早い段階で弁護士に相談しましょう。

弁護士なら、刑事処分の見込み・取り調べの受け答えの仕方・黙秘権を行使すべきかどうか・再犯防止に向けてやるべきことなど、状況に応じた的確なアドバイスが望めます。

さらに、依頼者の代理人として示談交渉を進めてくれたり、依頼者にとって有利となる証拠を収集して捜査機関に提出してくれたりなど、不起訴処分の獲得に向けて尽力してくれます。

「刑事事件では初動対応が重要」と言われており、速やかに適切な弁護活動を受ければ重い処分を回避できる可能性も高まるので、まずは弁護士にご相談ください。

まとめ

日本の刑事裁判の有罪率は99%以上を維持しており、起訴されると高い確率で有罪となります

基本的に刑事裁判で無罪の主張を認めてもらうのは難しいため、もし刑事事件の加害者となってしまった場合は不起訴処分の獲得を目指すのが現実的です。

不起訴処分の獲得を目指すのであれば、弁護士のサポートが必要不可欠です。

当サイト「ベンナビ刑事事件」では、刑事事件の加害者弁護が得意な全国の弁護士を掲載しているので、弁護士を探す際はぜひご利用ください

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本記事はベンナビ刑事事件を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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