ベンナビ刑事事件  刑事事件コラム  痴漢事件を起こしたら  【徹底解説】痴漢の示談金相場はいくら?逮捕・前科回避から冤罪対処まで
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【徹底解説】痴漢の示談金相場はいくら?逮捕・前科回避から冤罪対処まで

【徹底解説】痴漢の示談金相場はいくら?逮捕・前科回避から冤罪対処まで
  • 「痴漢をしてしまい、これからどうなるのか不安で仕方がない…」
  • 「示談金は一体いくら払えばいいのだろうか?」

家族や友人、または自分が痴漢をしてしまったとき、今後どういった流れで事件が進むのか不安になりますよね。

示談交渉は、人生を左右する重要な局面です。

しかし、知識がないまま進めれば、高額な示談金を支払ったあげく、刑事事件化してしまうという最悪の事態も起こりえます。

解決のポイントは、「適正な相場を知り、交渉のプロに任せる」こと。

弁護士が交渉することで、示談金の減額や前科回避できる可能性が高まるでしょう。

この記事では、痴漢事件の示談金の具体的な相場から、逮捕や前科を避けるための正しい示談の進め方、万が一冤罪を疑われた場合の対処法までわかりやすく解説します。

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目次

痴漢の示談金相場は「10万円〜150万円」!犯罪の種類と状況で大きく変わる

痴漢の示談金相場は、比較的軽い「迷惑防止条例違反」で10万円〜50万円、重い「不同意わいせつ罪」なら30万円〜150万円が目安です。

示談金相場は法律で一律に決まっているわけではなく、行為の悪質さや被害の状況によって大きく変動します。

つまり、どのような痴漢行為だったかによって、適用される犯罪名が変わり、示談金の額にも影響します。

各犯罪の示談金の相場を詳しく見ていきましょう。

迷惑防止条例違反の示談金相場は「10万円〜50万円」が目安

迷惑防止条例違反の痴漢では、示談金の相場は10万円から50万円が目安となります。

迷惑防止条例に当てはまる行為は以下のとおりです。

  • 衣服の上から臀部や胸などを執拗に撫で回す行為。
  • 満員電車内などで、体を不必要に密着させたり、押し付けたりする行為。

例えば、東京都の条例では「6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金」となっています。

不同意わいせつ罪と比べて刑罰が軽く、それだけ行為が悪質ではないと判断されやすいため、示談金もそれに合わせて比較的低い金額になる傾向があります。

ただし、被害者の「許せない」という気持ちが強い場合は、相場を超える金額を求められる可能性も十分にあります。

不同意わいせつ罪の示談金相場は「30万円〜150万円」で高額化の傾向

不同意わいせつ罪にあたる痴漢の場合、示談金の相場は30万円から150万円程度です。

不同意わいせつ罪は、相手の同意なく無理やりわいせつな行為をすることです。

具体的にあてはまる行為は以下のとおりです。

  • 衣服の中に手を入れ、直接、胸や下半身などを触る行為。
  • 相手の抵抗を抑えつけたり、周囲に助けを求められない状況を利用したりして、無理やりキスをする行為。
  • 衣服を脱がせようとしたり、自身の性器を相手に押し付けたりする行為。

刑罰も「6ヵ月以上10年以下の懲役など」と非常に重く、前科が付けばその後の人生に大きな影響を及ぼします。

被害者の心や体に与えるダメージも非常に大きいと考えられるため、そのお詫びとなる示談金も高額になりやすいです。

例えば、相手が抵抗できない状況で胸を触ったり、下着の中に手を入れたりするなどの痴漢行為は悪質かつ被害者の精神的なショックが大きく、示談金は高額になると考えられるでしょう。

示談金と慰謝料の違い|痴漢事件での賠償の基本を解説

痴漢事件では「示談金」と「慰謝料」という言葉がよく出てきますが、示談金とは慰謝料を含んだ費用のことです。

つまり、事件全体を解決するために支払うお金の総額が「示談金」であり、その示談金というパッケージの中に含まれる費用のひとつとして「慰謝料」が入っているというイメージです。

では、それぞれの費用の違いを詳しく見ていきましょう。

慰謝料とは「精神的苦痛に対する賠償」

慰謝料とは、痴漢という卑劣な行為によって、被害者が受けた「心のキズ(精神的苦痛)」に対して支払われる、お詫びのお金です。

他人にけがをさせたら治療費を払うのと同じように、心のキズを与えた場合も、その償いをしなければなりません。

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

引用:e-Gov「民法709条(不法行為による損害賠償)」

痴漢による心のキズは、単に「怖かった」「気持ち悪かった」というだけではありません。

事件がトラウマになって電車に乗れなくなったり、夜も眠れなくなったりと、その後の生活に大きな影響を及ぼすことがあります。

慰謝料は、目に見えない心のキズを金銭という形に置き換えて、その回復のために支払われる法律で認められたお金なのです。

示談金とは「事件全体を解決するための総合的な賠償」

示談金とは、慰謝料も含めて、痴漢事件というトラブルの全てを解決するために支払われる、いわば「パッケージ料金」のようなものです。

示談金の中には、主に以下のようなものが含まれています。

  • 慰謝料:精神的苦痛に対するお詫び
  • 治療費:診察料、薬代、入退院の費用など
  • 休業損害:仕事を休んだ場合の給料の補償
  • 交通費:カウンセリングや病気に通った場合
  • 迷惑料:相手への迷惑行為に対し謝罪の気持ちを表すための金品

このように、示談金はさまざまな要素を全部まとめて、加害者と被害者の双方が「この金額で、この事件は完全に終わりにしましょう」と納得して決める「解決金」なのです。

痴漢の示談金相場を大きく左右する4つの重要な要素

痴漢の示談金は、犯罪の種類だけでなく、被害の大きさや事件の悪質さを判断するための、主に以下の4つの重要なポイントによって大きく変わります。

  • 被害者の年齢
  • 被害者の「許せない」という気持ちの強さ(処罰感情)
  • 加害者の社会的立場や経済力
  • 加害者の前科の有無

これらのポイントが示談金にどう影響するのか、具体的に見ていきましょう。

被害者の年齢

被害者が未成年者の場合、大人の被害者に対するケースと比べて、示談金は高くなる傾向があります。

なぜなら、子どもや若者は心も体も成長の途中であり、大人よりも精神的にデリケートで傷つきやすいと考えられるためです。

痴漢のような性的な被害が、その後の心の成長や人との付き合い方に、長く悪い影響を与えてしまう危険性が高いと判断されます。

また、示談の話し合いの相手は、被害者本人ではなく、親などの保護者になります。

自分の子どもが心と体を傷つけられた親の怒りや悲しみ、将来への心配は計り知れません。

そのため、加害者に対して非常に厳しい態度をとることが多く、簡単には許してもらえません

話し合いが難しくなり、結果として、被害者の将来の心のケアにかかる費用なども含めた、高額な示談金を求められることが少なくないでしょう。

被害者の処罰感情の強さ

被害者の「加害者を罰してほしい」という気持ち(処罰感情)の強さも、示談金の金額に直接影響します。

被害者の怒りが非常に強く、「絶対に許せない」と思っている場合、慰謝料が高くなる可能性があります。

場合によっては、弁護士からの連絡を拒否されたり、話し合いに応じてくれないなんてこともあるので、注意が必要です。

処罰感情の強さは、事件後の加害者の態度によっても大きく変わります。

言い訳をしたり、反省していないように見えたりする態度は、被害者の気持ちを逆なでするだけです。

反対に、事件後すぐに弁護士を通じて、誠心誠意お詫びの気持ちを伝え、心から反省している姿を見せることができれば、被害者の気持ちが和らぎ、円満な解決につながる可能性も高まります。

加害者の社会的地位や資力

加害者の社会的地位や、お金を持っているかどうか(資力)も、示談金に影響します。

法律ではお金持ちだから高く、そうでないから安くなるというルールはありませんが、実際の話し合いでは、間接的に影響することが多いです。

例えば、加害者が会社を経営している、学校の教師をしているといったケースでは、刑事事件化による社会的な影響が大きいため、示談金が高額になりやすいと言われています。

加害者の前科の有無

もし加害者に、過去にも痴漢などの同じような犯罪歴(前科)がある場合、示談金も高くなる傾向があります。

前科があるという事実は、被害者にとって「この人は前に捕まっても反省していない」「きっとまた同じことをするに違いない」という強い不信感や怒りを感じさせる大きな原因になります。

また、二度と過ちを犯させないための「罰」としての意味合いを込めて、通常よりも高い示談金を求められる可能性があります。

痴漢で「示談交渉」をするメリット

痴漢事件を起こしてしまったとき、最も効果的な方法が被害者との示談を成立させることです。

示談が成立すると、「被害者への償いは済み、許してもらえている」と検察や裁判所が判断します。

これは、その後の処分を決める上で、非常に有利な事情として扱われます。

実際に多くの痴漢事件で、示談が成立したことで裁判にならずに済んだり(不起訴)、刑務所に入るのを免れたり(執行猶予)しています

では、示談が具体的にどう有利に働くのかを見ていきます。

示談成立は逮捕・勾留の回避に繋がりやすいから

事件が起きてすぐの段階で示談が成立すれば、警察に捕まって自由がなくなること(逮捕・勾留)を避けられる可能性がぐんと高まります。

そもそも逮捕や勾留は、疑いをかけられている人が「逃げるかもしれない」「証拠を隠すかもしれない(例えば、被害者を脅してウソの証言をさせるなど)」といった心配がある時におこなわれる手続きです。

しかし、弁護士を通じてすぐに被害者と話し合い、示談が成立してお詫びのお金も支払っていれば、加害者が逃げたり、証拠を隠したりする心配は少ないと判断されやすくなります。

痴漢で捕まった直後であっても、弁護士が素早く動いて示談をまとめることで、逮捕されずに済んだり、逮捕されてもすぐに家に帰れたりするケースは多数あります。

示談成立で不起訴処分を獲得できる可能性があるから

示談の成立は、検察官があなたを裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)を決める上で、最も重要なポイントになります。

不起訴処分になれば、刑事裁判は開かれず、事件はそこで終わり、前科も付きません。

日本の刑事ドラマでもよく見られるように、証拠が十分にあっても、検察官の判断で、裁判にしないことを選べる仕組み(起訴便宜主義)があります。

検察官がその判断をするときに特に重視するのが、「被害者への償いは済んでいるか」と「被害者は加害者を罰してほしいと思っているか」という点です。

被害者と示談が成立したことを弁護士から検察官に報告すれば、「国がわざわざ罰を与えなくても、当事者間で解決している」と判断され、不起訴処分となる可能性が非常に高まります。

前科がつかないから

罰金刑よりも示談の成立を目指すべき一番の理由は、罰金刑は「前科」になりますが、示談が成立して不起訴になれば「前科」が付かないためです。

「罰金ならお金を払えば終わり」と軽く考えがちですが、罰金刑も有罪判決であり、一生消えない「前科」として記録が残ります。

前科が付くと、職業が限られたり、次にまた罪を犯したときに重い処分を受けたりと、将来の生活で不利になることがあります。

さらに大切なのは、罰金は国に納めるもので、被害者の元には一円も届きません

対して示談は、被害者への直接のお詫びと償いの気持ちを形にするものです。

被害者の心の回復を手伝うことこそが、事件解決の本来の姿であり、それが結果的に、処分を軽くすることにも繋がります。

民事上の紛争を完全に終結できるから

示談をすることのもうひとつの大きなメリットは、将来にわたって、同じ事件でまた訴えられる心配がなくなることです。

痴漢は、刑事事件であると同時に、被害者に損害を与えた「民事上」のルール違反でもあります。

たとえ刑事事件で罰金を払ったとしても、被害者から「慰謝料を払いなさい」と民事裁判を起こされる可能性があるのです。

このような場合に備え、示談をするときに「これ以上お互いに請求しないことを確認する条項(清算条項)」を書面に入れることで、示談金を支払った後は、被害者が追加でお金を請求したり、裁判を起こしたりすることができなくなります。

つまり、示談が成立すれば、後からトラブルが再発するリスクをなくし、事件に関する問題を完全に終わらせることができます。

冤罪の場合|示談は「しない」が原則!取るべき対処法

もしあなたが、まったく身に覚えのない痴漢の疑いをかけられた(冤罪)場合、「示談すれば穏便に済む」と安易に考えてはいけません。

示談することは罪を認めたことと解釈され、後から無罪を主張するのが極めて難しくなってしまうからです。

ここからは、冤罪の際に取るべき行動を解説します。

弁護士に相談する

痴漢の冤罪を主張する場合、何よりもまず、事件に巻き込まれたらすぐに弁護士に相談することが最も重要です。

警察から連絡が来た、駅で駅員に呼び止められたというまさにその瞬間から、弁護士の助けを求めることが大切です。

弁護士は、法律の知識と経験をフル活用して、あなたの権利を守ってくれる唯一の味方です。

具体的には、警察の取り調べで不利なことを話してしまわないようにアドバイスをくれたり、逮捕や勾留をされないように警察や検察に働きかけてくれたりします。

また、無実を証明するための証拠集めもしてくれます。

たった一人で警察という大きな組織と向き合うのは、精神的にも非常に辛く、危険です。

すぐに弁護士というプロに助けを求めることが賢明です。

黙秘権を行使する

身に覚えのない罪で疑われた場合、警察の取り調べでは「黙秘権」を使うことが、自分を守るための強力な武器になります。

黙秘権とは、「話したくないことは話さなくてもよい」という、憲法で保障された国民全員の権利です。

たとえやっていなくても、捕まったことに動揺して曖昧な答えをしたり、刑事のうまい言葉に乗せられて事実と違うことを話してしまったりすると、その内容が全て「供述調書」という書類にまとめられてしまいます。

この調書は、一度サインしてしまうと、後から撤回するのが難しく、裁判で不利な証拠になってしまいます。

「弁護士が来るまで一切話しません」とはっきり伝え、黙秘権を使うことが有効です。

無罪の証明のため証拠を収集・提出

無罪の主張を信じてもらうには、言葉だけでなく、それを裏付ける客観的な証拠を集めて、警察や検察に見せることが不可欠です。

日本の刑事裁判では、一度裁判にかけられてしまうと無罪を勝ち取るのは非常に難しく、その前の「捜査」の段階で、検察官からの疑いを晴らし、裁判にかけない決定(不起訴処分)をしてもらうことが何よりも重要になります。

弁護士は無実を証明するための証拠を探してくれる頼もしい味方です。

例えば、事件の時に別の場所にいたということを証明したい場合、電車のICカードの利用履歴、お店の防犯カメラの映像、クレジットカードの利用記録などから証拠(アリバイ)を見つけてくれます。

弁護士はこうした客観的な証拠を警察や検察に示し、無実であることを粘り強く主張してくれます。

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痴漢の示談交渉の具体的な流れ・進め方

痴漢の示談交渉の具体的な流れ・進め方

痴漢の示談交渉は、以下のように4つのステップで進みます。

  • STEP1: 被害者への連絡と示談の意思表示
  • STEP2: 示談金の金額交渉と条件の合意
  • STEP3: 示談書の作成と内容確認
  • STEP4: 示談金の支払いと示談の履行

ここでは、弁護士に依頼した場合の一般的な交渉の流れを解説します。

STEP1: 被害者への連絡と示談の意思表示

示談交渉の最初のステップは、弁護士を通じて被害者の方に連絡を取り、お詫びの気持ちと示談をしたいという意思を伝えることです。

加害者やその家族が、警察に聞いて被害者の連絡先を直接教えてもらうことは、まずできません。

そこで、弁護士があなたの代理人として、検察官などを通じて、「加害者が深く反省しており、謝罪と償いをしたいと言っているので、話し合いの機会をもらえませんか」と被害者の気持ちを確認してもらいます。

被害者が話し合いに応じてくれれば、弁護士だけに連絡先が伝えられ、交渉がスタートします。

加害者本人が直接連絡を取ろうとすることは、被害者にさらなる恐怖を与えてしまい、状況を悪化させるだけですので、絶対に避けるべきです。

STEP2: 示談金の金額交渉と条件の合意

被害者と連絡が取れたら、次はいよいよ示談の具体的な内容、特に示談金の金額について話し合います。

弁護士はまず、加害者の心からの謝罪の気持ちと反省している態度を、丁寧に被害者に伝えます。

事件の状況や過去の似たようなケースを参考に、妥当と考えられる示談金の額を提示します。

多くの場合、被害者側からも希望する金額や条件が伝えられますので、お互いの意見を調整しながら、双方が納得できる着地点を探していきます。

注意点として、話し合いは慎重に進める必要があります。

示談金の額は法律で決まっているわけではなく、あくまで当事者同士の合意で決まるためです。

弁護士は、被害者の気持ちに最大限寄り添いながらも、相場から大きく外れた高すぎる要求に対しては冷静に、そして法律の専門家として根拠をもって話し合い、妥当な金額で解決できるように努めます。

STEP3: 示談書の作成と内容確認

示談の金額や条件についてお互いが納得したら、「示談書」という正式な書類にします。

示談書は、話し合いがまとまったことを証明し、後々のトラブルが起きるのを防ぐための法的な証拠になります。

弁護士は、話し合った内容を正確に反映させ、法律的に不備のない示談書を作成します。

具体的には、「誰が誰にいくら支払うのか」や「加害者の処罰は望みません」など重要な約束事を全て文字にして残します

完成した示談書は、相手にも内容を確認してもらい、お互いが合意の上で、サインとハンコを押します。

STEP4: 示談金の支払いと示談の履行

示談書にサインとハンコを押したら、書かれている内容に従って、すぐにお金を支払い、そのほかの約束も守ります

これをもって、示談は正式に完了となります。

お金の支払いは、あとで「支払った」という証拠がはっきり残るように、銀行振込でおこなうのが一般的です。

そのときの振込明細は、示談書と一緒に大切に保管しておきます。

支払いが済んだら、弁護士は示談書のコピーをすぐに警察や検察庁に提出し、「被害者との間で、円満に解決しました」と報告します。

この報告によって、警察や検察庁は「被害者への償いは済んでいる」と判断し、不起訴処分など、あなたにとって有利な処分を検討してくれます。

被害届の取り下げなどが約束に含まれている場合は、その手続きがきちんとおこなわれたかも、弁護士が責任をもって確認します。

示談書の書き方と作成時の注意点

示談書は、口約束を法的な証拠として形に残し、将来のトラブルを防ぐための重要な「契約書」です。

内容に不備があれば、せっかくの示談が無効になってしまう危険があります。

そのため、示談書は書くべきことをきちんと網羅し、弁護士にチェックしてもらった上で作成することが望ましいです。

ここでは、具体的に何を書くべきか、そして作成するときの注意点を解説します。

示談書に記載すべき項目

後々のトラブルを防ぎ、法的にしっかりとした示談書にするためには、以下の項目を正確に記載することが不可欠です。

当事者と事件の特定 加害者と被害者の氏名・住所、事件があった日時や場所
示談金の支払い条件 示談金の総額、支払い期日、支払い方法(銀行振込など)
清算条項 「本示談書に定めるほか、本件に関し何らの債権債務がないことを相互に確認する」という将来の追加請求を防ぐための文言
宥恕(ゆうじょ)条項 「被害者は加害者を許し、刑事処罰を望みません」という被害者の許しを示す文言
被害届・告訴の取り下げ 「被害者は、警察署に提出した被害届を速やかに取り下げる」など刑事手続を止めてもらうための文言
日付と署名・捺印 示談が成立した日付、当事者双方の署名・ハンコ

これらは、誰が、どの事件について、どのような内容で合意したのかを明確にし、解決を確実にするための重要な約束事です。

示談書作成時の重要な注意点

示談書は、一度サインとハンコを押してしまうと、基本的に「やっぱりやめた」と内容を取り消すことはできないため、示談書を作る際には、弁護士と相談しながら、以下の3つのポイントを必ず押さえておきましょう。

ポイント1:将来の追加請求を完全に防ぐ

示談書の作成時には「この示談をもって、この事件に関する全ての問題は解決したこととし、今後お互いにこれ以上何も請求しません」という内容の文章(清算条項)が必要です。

この一文がないと、後からまた「慰謝料を払え」と請求されるトラブルになる可能性があるからです。

ポイント2:「許す」という言葉を明確に入れてもらう

示談書を作成する場合、「被害者は加害者を許します(宥恕します)」「刑事罰は望みません」といった許しの言葉をはっきりと示談書に書いてもらうように、弁護士を通じてお願いしましょう。

不起訴処分を目指すためには、被害者の「許す」という気持ちが何よりも重要になるからです。

ポイント3:示談書は2通作って1通ずつ保管する

示談書は、まったく同じものを2通作成し、双方がサインとハンコを押した上で、1通ずつ大切に保管するのが基本ルールです。

こうすることで、後からどちらかが「内容を書き換えた」などと言い出すトラブルを防ぐことができます。

痴漢の示談交渉を弁護士に依頼すべき3つの理由

痴漢事件の示談交渉を必ず弁護士に依頼すべき理由は、大きく分けて3つあります。

  1. 適正な示談金相場での交渉が可能になる
  2. 被害者との直接交渉を回避し、精神的負担を軽減できる
  3. 示談成立後の刑事手続まで一貫してサポートを受けられる

以下で、それぞれの理由を詳しく解説します。

理由1:適正な示談金相場での交渉が可能になる

弁護士に頼む一番のメリットは、適正な金額で示談の話し合いができる点です。

ほとんどの人は、痴漢の示談金の「相場」を知りません

そのため、被害者から相場よりずっと高い金額を要求されても、「自分が悪いのだから仕方ない」と焦ってしまい、言われるがままに支払ってしまうケースが後を絶ちません。

弁護士は、過去のたくさんの裁判例や経験から、あなたの事件の状況に合った、適切な示談金の金額を知っています。

被害者の気持ちに寄り添いつつも、法的な根拠をもって冷静に交渉することで、不当に高すぎる金額を支払うことを防ぎ、お互いが納得できる妥当な金額で解決することを目指せます。

実際に、弁護士が入ったことで、最初に請求された額から大幅に減額できた例もたくさんあります。

理由2:被害者との直接交渉を回避し、精神的負担を軽減できる

弁護士があなたの代理人として窓口になることで、被害者と直接顔を合わせたり、電話やメールでやりとりしたりする必要がなくなります。

これは、加害者だけでなく、被害者にとっても、精神的な負担を大きく減らすことにつながります。

被害者にとって、加害者本人と会うことは、事件の恐怖を思い出させ、さらなる苦痛を与えることになりかねません。

そのため、ほとんどの被害者は加害者と直接会うことを拒否します。

一方で、加害者にとっても、被害者に直接謝り、お金の話をすることは、とてつもないストレスです。

緊張のあまり、うまく話せずに逆に相手を怒らせてしまう危険もあります。

弁護士という法律と交渉のプロが、冷静な「クッション役」として間に入ることで、感情的なぶつかり合いを避け、スムーズに話し合いを進めることができます。

理由3:示談成立後の刑事手続まで一貫してサポートを受けられる

弁護士の仕事は、示談をまとめるだけではありません。

示談交渉は、あくまで刑事事件を解決するための弁護活動全体の一部です。

弁護士に依頼すれば、示談の話し合いと同時に、逮捕や勾留をされないための活動、警察の取り調べへのアドバイス、そして最終的に不起訴処分を勝ち取るための検察官への働きかけなど、事件解決までの一連の流れを全てまとめてサポートしてもらえます。

痴漢事件は、示談さえすれば終わり、というほど単純ではありません。

捜査のそれぞれの段階で、専門的な知識にもとづいた正しい対応が必要です。

弁護士は、示談という当事者間の問題を解決に導くだけでなく、その結果を警察や検察に効果的に伝え、一番良い結果(不起訴など)になるよう、あらゆる角度から活動してくれる、最も頼りになる味方です。

痴漢の示談交渉で注意すべきこと・よくあるQ&A

痴漢の示談交渉を成功させるには、できるだけ早く始めること、冷静に対応すること、そして約束を書面に残すことがポイントです。

示談の進め方は、その後の処分に大きく影響しますし、後々のトラブルを防ぐためにも正しい知識が必要です。

ここでは、よくある疑問に答える形で、注意点をわかりやすく解説します。

示談交渉のタイミングは?

痴漢事件の示談交渉は、事件が起きてしまったら「一日でも、一時間でも早く」始めることが非常に重要です。

一番良いのは、警察が本格的に動き出す前や、逮捕される前の段階です。

なぜなら、タイミングが早ければ早いほど、被害届が出されること自体を防いだり、逮捕されて自由を奪われたりすることを避けられる可能性が高まるためです。

例えば、被害者が警察に行く前に示談が成立すれば、事件にならずに解決できるかもしれません。

また、たとえ被害届が出された後でも、検察官が裁判にかけるかどうかを決める前に示談を成立させられれば、前科が付かない「不起訴処分」になる可能性が飛躍的に高まります。

逮捕されてから裁判にかけられるまでの時間は最長でも23日間と非常に短いので、この間に示談をまとめる必要があります。

時間が経つほど、被害者の気持ちが固まって交渉が難しくなるなど、あなたにとって不利な状況になりかねません

警察から連絡があったり、事件を起こしてしまったりした場合は、すぐに弁護士に相談し、示談の話し合いを始めることが重要です。

示談金を釣り上げられた場合は?

被害者から、明らかに相場からかけ離れた高額な示談金を要求され、話し合いが難しくなることがあります。

そんなときは、感情的になったり、慌てたりせず、弁護士を通じて冷静に対応することが大切です。

被害者も、怒りや不安から、相場を無視した金額を言ってくることがありますが、だからといって言われるがままの金額を支払う必要はありません。

弁護士は、まずお詫びの気持ちを伝え続けながら、過去の似たような事件の例などを客観的な資料として示し、なぜその金額が相場から外れているのかを丁寧に説明します。

それでも話し合いがまとまらないこともありますが、その場合でも「こちらはこれだけの金額で、きちんと誠意を示そうと努力した」という事実は、後の処分を決める際に、あなたにとって有利な事情として考慮される可能性があります。

不当な要求に一人で対応するのは非常に難しいため、専門家である弁護士に任せ、法律に基づいた粘り強い交渉をしてもらうことが賢明です。

まとめ

痴漢事件を起こしてしまった場合、あなたの未来を守る最大の鍵は、被害者との示談をできるだけ早く成立させることです。

示談は、単にお金を支払うことではありません。

被害者へ心からのお詫びの気持ちを形にし、逮捕や前科といった、その後の人生を大きく左右する最悪の事態を避けるための、最も有効な手段です。

しかし、法律の知識がないままご自身で対応しようとすると、かえって事態を悪化させたり、不当に高額な示談金を支払うことになったりする危険が常に伴います。

また、あなたがやっていない罪(冤罪)で疑われているのであれば、そのときは示談についても安易に応じず、慎重に対応を検討することが大切です。

どちらの状況であっても、あなたの人生を大きく左右する非常に重要な局面となるため、一日も早く痴漢事件の解決経験が豊富な弁護士に相談することが重要です

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この記事の監修者
宮地 政和 (東京第二弁護士会)
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本記事はベンナビ刑事事件を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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