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着服とは?横領との違いや発覚した際の対処法を解説

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「着服」と「横領」は、どちらも「他人の財物を自分のものにする行為」という点では共通しています。

しかし「着服」が、ニュースや日常会話などで使われる一般用語であるのに対して、「横領」は、刑法で定められた法律用語であるという点に違いがあります。

そのため、たとえば他人のお金をひそかに使い込んだり、会社の売上を不正に自分の口座に振り込んだりした場合は、「着服」という行為を通じて、横領罪に問われることになります。

実際のところ、日本では以下のような着服による横領事件が年間1,000件以上も発生しています。

認知件数 1,397
検挙件数 1,056

着服した金銭を返済することで事態が収束することもありますが、逮捕され、実刑判決を受けるケースも珍しくありません。

本記事では、着服とはどのような行為なのか、横領や窃盗との違い、着服が発覚した際の対処法について詳しく解説します。

着服を1回でもしてしまった方へ

たとえ1回だけ、あるいは少額であっても会社のお金を使い込んでしまった場合、「業務上横領」として逮捕される可能性があります。

しかし、法律知識や交渉経験のない方が会社側と対応するのは、どうしても不利な立場になりがちです。

 

着服により会社や警察への対応でお困りの方は、できるだけ早く弁護士に相談・依頼することをおすすめします。

弁護士に依頼するメリットは、以下のとおりです。

 

  • 今後の自分が取るべき対応がわかる
  • 逮捕や実刑を回避するための助言をもらえる
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着服とは

「着服」とは、「他人の金品などをひそかに盗み取り、自分のものにすること」を意味します。

この言葉はニュースや日常生活などで使用される一般用語であり、刑法上の法律用語ではありません

着服に関する詳しい概要は、以下のとおりです。

着服に該当する罪

「着服」は法律用語ではありませんが、「着服」行為は法律的には、「業務上横領罪」や「窃盗罪」に該当するおそれがあります。

「業務上横領罪」に問われた場合には、10年以下の懲役、「窃盗罪」に問われた場合には、10年以下の懲役または50万円以下の罰金、となるでしょう。

実際に発生した着服事件

直近で報道された代表的な着服事件としては、以下のような事例があります。

24時間テレビの募金が着服された事例

山陰地方を放送エリアとする日本海テレビの元経営戦略局長が、チャリティー番組「24時間テレビ」の寄付金を含む会社の資金、合わせて600万円を着服したとして、業務上横領の疑いで書類送検された事例です。

この元局長は、24時間テレビの寄付金を無断で持ち出して、自分の銀行口座に入金するなどの行為をしていたことが発覚し、懲戒解雇処分となっています。

なお、日本海テレビによると、着服された金額は全額返済されたとのことです。

明治安田生命の元職員が顧客から着服した事例

明治安田生命で、2020年まで東京・新宿支社に勤務していた元営業職員の女性が、27年間にわたり、顧客5世帯10人から総額1億3,000万円を着服していた事件です。

この元職員は、1994年から退職後の2021年までの長期間にわたり、保険契約者が一定の範囲内で保険会社から貸付を受けられる制度を悪用し、不正を繰り返していたとされています。

明治安田生命は、被害に遭った顧客に謝罪し、すでに全額を弁済済みであると発表しています。

着服・横領・窃盗の違い

着服と横領、窃盗は、いずれも「他人の財物を不正に自分のものにする」という点で似たような意味をもちますが、実際の意味や使われ方には違いがあります

ここでは、着服と横領、窃盗のそれぞれの違いについて詳しく見ていきましょう。

着服と横領の違い

着服と横領は、どちらも「他人の財物を自分のものにしてしまう行為」を指し、基本的には同じような意味を持ちますが、厳密には異なります。

着服は一般的な用語で、日常的な文脈で広く使われます。

一方、横領は法律用語であり、刑法上の明確な定義があります。

そのため、着服とされる行為の多くは、法的には横領に該当し、刑法の要件を満たす場合には、横領罪が成立します。

横領と窃盗の違い

横領と窃盗は、どちらも「他人の財物を不正に自分のものにする行為」という点では同じですが、財物の占有状況によって区別されます。

具体的には、その財物が自分に預けられていた場合には横領にあたり、他人が占有している財物を無断で持ち去った場合には窃盗となります。

たとえば、友人から預かっていた財布からお金を抜き取った場合は横領に該当しますが、友人宅に置かれていた財布から無断でお金を抜き取った場合は、窃盗にあたります。

着服で問われる罪とその罰則

着服によって問われる可能性がある罪は、「横領罪」または「窃盗罪」です。

ここでは、着服行為に該当する具体的な罪と、それに対する罰則について解説します。

単純横領罪

単純横領罪は、自己の占有下にある他人の財物を、不法に自己のものとして横領することで成立する罪です。

これは、業務とは関係のない通常の横領行為に該当します。

たとえば、他人から一時的に預かった物を、本人の承諾なく売却したり私的に使用したりする場合に、単純横領罪が成立します。

法定刑は、5年以下の懲役と定められています。

業務上横領罪

業務上横領罪は、業務に関連して自己が占有する他人の財物を横領した場合に成立する罪です。

たとえば、会社の経理担当者が会社の資金を自分の口座に振り込んだり、集金業務を任されている者が回収した現金を私的に流用していたりした場合には、業務上横領罪が成立する可能性があります。

この罪は、通常の横領罪の加重類型とされており、より重い法定刑が科されます

そして、法定刑は10年以下の懲役と定められています。

遺失物等横領罪

遺失物等横領罪は、遺失物や漂流物など、他人の占有を離れた財物を不法に自己のものとした場合に成立する罪です。

たとえば、道端に落ちていた他人の財布を警察に届け出ることなく、自分のものとして使用したり、自宅で保管し続けた場合などには、この罪に該当する可能性があります。

法定刑は、1年以下の懲役、または10万円以下の罰金もしくは科料と定められています。

窃盗罪

窃盗罪とは、他人の占有下にある財物を盗むことで成立する罪です。

たとえば、他人から財布を盗んだ場合や、店舗の商品を無断で持ち出すいわゆる万引き行為などが該当します。

なお、法定刑は、10年以下の懲役または50万円以下の罰金と定められています。

着服の時効

「着服罪」という名称の犯罪は刑法上存在しません。

そのため、着服行為に対しては、具体的な行為内容に応じて「横領罪」または「窃盗罪」として処罰されることになります。

着服が横領罪に該当する場合

着服が横領罪に該当する場合、その犯罪類型ごとに公訴時効の期間が異なります。

たとえば、単純横領罪の公訴時効は5年、業務上横領罪は7年、遺失物等横領罪は3年と定められています。

犯罪類型 公訴時効
単純横領罪 5年
業務上横領罪 7年
遺失物等横領罪 3年

これらの期間が経過すると、刑事裁判はおこなわれず、刑罰も科されません。

一方、民事上では、横領行為は不法行為として損害賠償請求の対象となります。

この場合、消滅時効は、被害者が損害および加害者を知った時から3年、または横領行為があった時から20年です。

  起算点 時効期間
損害賠償請求 損害および加害者を知った時点 3年
横領行為がおこなわれた時点 20年

また、横領によって得た財産については、不当利得として返還を求めることもできます。

この場合の消滅時効は、被害者が着服を知った時から5年、または着服がおこなわれた時から10年です。

  起算点 時効期間
不当利得返還請求 被害者が着服を知った時点 5年
着服がおこなわれた時点 10年

着服が窃盗罪に該当する場合

着服行為が窃盗罪に該当する場合、刑事上の公訴時効は7年です。

これは、窃盗罪の法定刑が「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」とされており、時効期間は7年に設定されているためです。

一方、民事上では、窃盗行為は不法行為にあたるため、被害者は加害者に対して損害賠償請求をおこなうことができます。

その消滅時効は、被害者が損害および加害者を知ったときから3年、または窃盗が発生したときから20年です。

会社内で着服が発覚した場合の対処法

役員や従業員による着服が会社内で発覚した場合には、まず事実関係を正確に把握し、そのうえで適切な対応を取ることが重要です。

着服が発覚した際の大まかな対処法は、以下のとおりです。

  1. 事実関係を把握する
  2. 行為者に事情聴取をおこなう
  3. 行為者と返済方法を協議する
  4. 懲戒処分などを実施する
  5. 社内や社外に説明する
  6. 再発を防止する仕組みを整える

この中でも、特に重要なのは「事情聴取」をおこなうことです。

なぜなら、事情聴取の段階で本人に着服したことを認めさせておかないと、後に返済や懲戒解雇を進める際に、法的な争いに発展するリスクがあるからです。

そのためには、入念に調査をおこなって確実な証拠を押さえたうえで、事情聴取に臨むことが大切です。

あらかじめ本人が言い逃れできない状況を作っておくようにしましょう。

着服について弁護士に相談・依頼するメリット

着服について弁護士に相談・依頼することには、次のようなメリットがあります。

適切な初動対応ができる

着服が発覚した直後の対応を誤ると、被害の回復や加害者の処分の可否に大きな影響を及ぼす可能性があります。

たとえば、初動対応を社内だけでおこなった結果、事情聴取で加害者から着服を認めさせることができず、後の懲戒処分や裁判で不利になるケースもあります。

弁護士に相談・依頼すると、証拠の保全や加害者への対応などを、法的な観点から適切に進めることが可能になるでしょう。

役員・従業員の処分について適切な判断ができる

着服が事実であった場合でも、加害者である役員や従業員の処分は慎重に判断する必要があります。

なぜなら、就業規則に則らない処分をおこなうと、不当解雇にあたるとして、会社側が逆に訴えられるリスクがあるからです。

弁護士に相談・依頼することで、法的に正当性のある懲戒処分の方法や、損害賠償請求の進め方などについて、適切な助言を受けることができます。

これにより、企業は不要なトラブルを回避しつつ、法に則した対応をおこなうことが可能となるでしょう。

再発防止に向けたアドバイスがもらえる

着服が発生した背景には、社内の管理体制やチェック機能の不備があるケースも少なくありません。

そのため、再発を防ぐためには、加害者を処分するだけではなく、組織全体として根本的な対策を講じることが重要です。

弁護士に相談・依頼すると、法的な観点から業務フローの見直しや内部統制の強化に向けた、実効性のあるアドバイスを受けることができます。

これにより、再発防止に向けた実効性のある取り組みを進められるでしょう。

着服行為を弁護士に依頼して解決した事例

以下では、当サイト「ベンナビ刑事事件」を通じて、実際に着服・横領に関する問題を解決できた事例を紹介します。

横領事件による出頭要請に同行し、逮捕を回避して不起訴を獲得できた事例

この事例では、依頼者が会社の売上金を複数回横領し、警察から出頭要請が来て、弁護士への相談を決意しました。

会社から請求された金額は弁償済みでしたが、会社の規模が大きく、ただ返済しただけで問題解決できるものではありませんでした。

警察からの第1回目の出頭要請時、弁護士が同行して逮捕回避の意見書を提出した結果、在宅捜査になりました(身柄拘束されず、通常通り出勤などが可能な捜査手続き)。

その後、検察と面談して不起訴の意見書を提出したところ不起訴を獲得し、前科がつかずにすみました。

着服金返済中に逮捕されたものの、実刑を回避できた事例

この事例では、福祉施設の事務長を務めていた依頼者が、数年間の間に2,000万円を超える着服をおこない、被害者に返済している最中に逮捕され、起訴された事件です。

弁護士がおこなったサポートとして、被害者との示談を成立させて示談書を交わしたほか、その示談に強制力を持たせるために、刑事和解の制度を利用して和解調書を作成しました。

さらに、新たな職場の確保と家庭環境の調整を図って、依頼者自身が犯した事実について見つめ直すことができる種々の教育を施し、罪の重大さを認識して再犯防止に努めていく姿勢をアピールしました。

その結果、このような多額の被害では異例の執行猶予判決を獲得することに成功しました。

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着服についてよくある質問

最後に、着服についてよくある質問を紹介します。

着服はなぜ起きるのか?

着服が起きる背景には、主に2つの要因があります。

それは、加害者である役員や従業員に強い動機があること、そして会社側に着服を防ぐための対策が講じられていないことです。

これらの条件が重なったときに、着服が発生しやすくなります。

ここでいう「強い動機」とは、ギャンブルや投資による生活苦、あるいは借金返済に追われているといった経済的な切迫状況を指します。

また、経理担当者を長期間固定し続けたり、会社の預貯金や小口現金をひとりで出金、管理できる体制が放置されていたりすることも、着服が発生する大きな要因となります。

着服の予防策にはどのような方法が考えられますか?

着服を未然に防ぐためには、組織全体でリスク管理体制を整えて、役員や従業員が不正に手を染めにくい環境を作ることが重要です。

たとえば、以下のような予防策が考えられます。

  • 業務の分担と相互チェックの仕組みを整える
  • 定期的な内部監査や外部監査を実施する
  • 職務のローテーションをおこなう
  • 内部通報できる体制を整備する
  • コンプライアンスに関する教育を実施する

これらの対策を単独ではなく、組み合わせて実施することで、着服のリスクを大幅に低減させることができるでしょう。

着服と横領の違いは何ですか?

着服と横領の違いは、一般用語であるのか法律用語であるのか、という点にあります。

どちらも、他人の財物を不正に自分のものとする行為を指しますが、意味や使われ方に明確な違いがあります。

着服は日常的に使われる一般用語であり、法律上の罪名ではありません。

一方で、横領は刑法で定められた法律用語で、自己の占有する他人の財物を不法に自分のものとする犯罪行為です。

つまり、着服という言葉そのものに刑罰の規定はなく、行為の内容に応じて「横領罪」や「窃盗罪」として法的に処理されることになります。

まとめ

「着服」とは、「他人の金品などをひそかに盗み取り、自分のものにすること」を意味する、日常的に使われる一般用語です。

一方、「横領」は刑法上の法律用語であり、この点に両者の明確な違いがあります。

また万が一、社内で着服が発覚した場合、まずは事実関係を適切に調査し、加害者に対する事情聴取を通じて、着服の事実を認めさせることが欠かせません。

着服の問題で何よりも重要なのは、初動対応です。

加害者の処分や、その後の刑事手続きで企業側が不利にならないよう、まずは「ベンナビ刑事事件」から刑事事件に強い弁護士に相談・依頼し、適切なアドバイスを受けることをおすすめします。

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編集部

本記事はベンナビ刑事事件を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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