弁護士による緊急接見|一般接見の違いやメリットを詳しく解説
刑事事件で逮捕、勾留されたら、家族や弁護士などに「接見」に来てもらうことができます。ただ家族や友人などの一般人と弁護士とでは、同じ接見でも大きな違いがあり、弁護士に依頼するメリットは非常に大きくなります。
以下では一般接見と弁護士接見の違いや、どうしてすぐに弁護士に依頼するべきかの理由やメリット、接見費用の相場について、ベリーベスト法律事務所の最前線で活躍する岡山弁護士に取材し、くわしく解説して頂きました。
21年間、検事という立場で活躍されていた弁護士先生ですので、
- 逮捕する側は被疑者にどのような対応をするのか
- なぜ接見を出来るだけ早く弁護士に相談すべきなのか
- 接見が遅れることによる被疑者本人・家族が被る可能性のあるリスク
- 元検事だからこそ言える弁護活動の優位性 など
検事と弁護士、両方の観点からご意見をいただきました。
ベリーベスト法律事務所 岡山 賢吾 おかやま けんご (千葉県弁護士会所属) 検事として21年、捜査・公判に従事したベテラン弁護士。警察の対応や検事から不起訴処分を勝ち取るポイントを押さえた弁護活動を熟知。起訴前の釈放、検事の立証活動を事前に予想し、早期解決に向けた最適な弁護活動を行う。警察大学、管区警察学校、県警本部等で、「検察から見た警察捜査」「知能犯事件の捜査」など多数の講義の経験もある。 |
通常の接見と弁護士による緊急接見の4つの違い
まずは家族などの一般人の接見と弁護士接見ではどのような違いがあるのか、基本的な差異を知っておきましょう。
接見日時や時間帯の指定を受けない
一般人の面会は、施設により異なることがありますが、平日の9時~17時くらいの時間でなければ許されません。弁護士であればこの制限を受けず、いつでも面会できます。したがって、逮捕当日の夜22時に面会するといった、スピード感のある対応を期待できます。
また、家族や友人などが接見しようとすると、警察から捜査の都合などで「今日は会えない」などと言われるケースもあります。
一方弁護士接見は被疑者・被告人の重要な権利なので、状況にもよりますが、警察が取り調べを中断してでも実施されることがあります。
被疑者・被告人が実況見分で外に出ているときなどを除いては、スムーズに接見が認められます。
弁護士の接見に制限時間がない
一般(家族など)の接見は、時間がかなり制限されます。留置施設にもよりますが10~20分程度しか会わせてもらえません。「元気か?」「元気」くらいのやり取りしかできないのが現実です。
弁護士接見の場合には、例外的に、何月何日の何時から何分間などと接見指定がなされることもないわけではありませんが、原則として、時間に制限はなく、事件内容や実際にやったのかどうかなど、込み入った話もできます。
警察官の立会がない
一般(家族など)の接見には警察官が立ち会い、会話の内容が記録されるため、自由な会話は難しくなります。一方弁護士接見の場合、警察官は立ち会うことができず、会話の秘密も保持されるので、自由に話ができます。
親族が接見禁止中でも弁護士は面会できる
接見禁止とは、文字通り被疑者との面会を禁止されることです。逮捕後、検察官が勾留請求するまでの最大3日以内は家族であっても接見することは難しく、また、勾留された際、同時に弁護士以外との接見の禁止が付けられると、以後、その接見禁止がなくなるまで、家族であっても面会することは禁じられます。
しかし、弁護士であればこの期間であっても面会できます。
逮捕後3日以内にも警察や検察による取り調べが行われるのですが、このときの供述も裁判で証拠として使われます。したがって、厳しい取り調べによって実際よりも重い罪を認めされられるなどといったことは避けたいところです。
弁護士が面会すると、取り調べへの対応方法を被疑者に伝えてくれるので、不利な証言をするリスクを減らせます。
弁護士にすぐ接見を依頼すべき理由と8つのメリット
次に、弁護士に接見を依頼すると具体的にどういったメリットがあるのか、ご説明します。
接見等禁止中でも弁護士なら面会できる
共犯者のいる事件や重大事件などでは、被疑者が逮捕されたときに「接見等禁止処分」がつけられるケースがあります。接見等禁止処分で多いパターンでは、弁護人以外の者とは一切接見を認めないというものです。
また、面会だけではなく、弁護人以外の者との手紙のやり取りや電報なども禁止されてしまいます。
そのような接見等禁止処分がついたら、家族であっても接見が認められず、被疑者は孤独で心細い時間を過ごすことになります。
そのような場合でも、弁護士であれば接見(面会)、弁護士との手紙のやり取りなどを自由に行うことができます。
早期示談につながりやすい
例えば、傷害事件のように被害者のある犯罪で事実を認める場合であれば、前科がないかや凶器を使ってないか、被害者の怪我の重さがどの程度かなどの事情によって、被害者と示談することで最終的な検察官の処分が『不起訴』となる可能性が高くなることがあります。
検事の経験があるからこそ、被疑者の状況を把握することでその事件のポイントがどこにあるのか、今後の対応でどう流れが分岐していくのか予測しやすいと言う。 |
そして、最終的な検察官の処分が起訴ではなく、不起訴処分となる見込みであれば、逮捕に引き続く勾留請求自体もなされなくなる可能性が高くなります。実際にそういう事例も過去にたくさんあります。
だからこそ弁護士が接見し、なるべく早い示談を目指すべきかと思います。
ただ、示談するにも被害者の方の気持ちに配慮しながら進めなければなりませんので、どうしても時間がかかります。
また、必要に応じて、お金も用意しないといけない。それらを考えるとできるだけ早く準備に入ることが求められますので、早い段階での接見が必要になるでしょう。
勾留を回避できる可能性もある
通常は、逮捕されたら、警察での弁解録取や取調べなどの捜査がなされ、その後、検察庁に送致され、検察庁での弁解録取や取調べが行われます。
その後、検察官の判断によって、裁判所へその人を勾留するよう求める勾留請求がなされます。
その流れのなかで、弁護士が早く接見でき、逮捕されている人の具体的な事情、例えば罪証隠滅のおそれや逃走のおそれがないといった事情がわかれば、調査してその裏付けになるものを準備したりして検察官に勾留請求しないよう申し入れをします。
これはよくやりますね。
勾留請求を受けてきた立場として、どのような内容であれば請求が認められるのか、要点を押さえやすい。 |
ただ、それでも事件の内容などよっては、勾留請求されることがあります。その場合は検察官の勾留請求を認めるか認めないか、つまり、勾留するかしないかを決める裁判官に、こういう理由があるから、勾留はしないでほしいとか、この程度の事案で、この状況下で勾留までするのは過酷にすぎるといった申し入れをします。
また、これら検察官や裁判官への申入れの際には、ご家族に、本人を監督して逃げたりなどさせないというような誓約書を書いてもらったうえで、それを提出したりもします。
これらの中で、検察官が勾留請求をしなかったり、裁判官が検察官の勾留請求を認めなかったりすれば、逮捕されていた人は釈放されることになります。
これらの勾留を阻止するための準備も、なるべく早く接見して、本人から様々な話を聞けた方が、じっくりと、広く、深く検討することができるのです。
取り調べへの対応を助言してくれる
窃盗や傷害、痴漢などで逮捕されたとき、多くの被疑者が恐れるのは「取り調べ」です。
どのようなことを聞かれるのか、どう対応すれば良いのか、自分の思っていることをどこまで述べて良いのか、署名指印を拒否して良いのか、黙秘しても問題ないのかなど、知っておくべきことが山ほどあります。
弁護士の接見では、こうした重要事項について、警察官の立ち会いや時間制限もなく、じっくり教えてもらえるので、被疑者としては非常に安心できます。
虚偽の自白を調書に取られずに済む
被疑者が逮捕・勾留されたとき、もっとも恐ろしいのが「虚偽の自白」です。
厳しい取り調べを受けると、ついついやってもいないことを「やりました」と言ってしまう人がいます。
また実際にやってしまったことであっても、実際より悪質なことをしたかのような表現で記録されたり実際より多く余罪を書かれたりして、不利な調書を作成されてしまうケースもよくあります。
このように虚偽の調書ができあがってしまうと、刑事裁判になったときの証拠に使われてしまうので、不利な判決が出てしまうリスクが高まります。
被疑者の精神状態は非常に不安定の場合が多く、いつの間にか不利な調書となってしまうケースも、一定数あるそうです。 |
弁護士が逮捕後すぐに接見に来ると、虚偽の自白の恐ろしさについてしっかり説明を行い、適切な対処方法をアドバイスしてくれるので、不本意な供述調書を作成されるリスクが低下します。
まず逮捕されると周囲に複数の警察官が付き添った状態で警察署に連れて行かれ、弁解録取と取調べ、指紋採取、所持品の確認などがなされますし、場合によっては逮捕に伴う捜索・差押えとして逮捕されば場所で捜索などがなされたりもします。
あれよあれよという間に次々と手続きが進んでいきますし、長い取り調べも始まります。
弁解録取とは・・・ 逮捕された後の警察による事件についての弁解を聴く手続き。その際作成されるのが、弁解録取書と呼ばれるもので、被疑者の供述を記録として残すためのもの。最初の供述でどんなことを話していたのかが記録され、その内容によっては、後に検察側の証拠としても利用される重要書類。なお、弁解録取の手続は、警察だけではなく、送致後の検察庁でも行われる。 |
密室の取り調べ室。厳しい追求などに晒された被疑者の精神的な安定につながるのも、弁護士が接見にいく大きなメリットになる。 |
また、警察の取り調べ室というのは、コンクリートの壁に囲まれ、事務机と椅子だけの非常に狭い空間、つまり密室ですね。逮捕された人は、その部屋の奥側に座らされ、出入り口側には警察官が座るほか、通常は、さらに、もう1人警察官が入ります。
もちろん、出入り口は完全に閉じられています。このような状態で取り調べが始まりますので、逮捕された人は、否が応でも『圧倒的な力関係の差』を意識せざるを得なくなります。
そのような状況では、自分は1人だけで、周りにいるのは全部警察官で、追求してくる人しかないわけですから、無意識のうちに迎合的になってしまうことも多く、気がつくと『調書(自分にとってはあまり好ましくないもの)』が出来上がってしまうこともあります。
送致される前後の記憶が曖昧に|弁護士がいることで得られる安心は大きい
現職検事の頃、検察庁での弁解録取手続きも日常的に行っていましたが、逮捕されて検察庁に送致されてきた人の中には、逮捕された前後のことをよく覚えていない方もいました。
逮捕されて取調べやその他の手続きを受けていく中で、パニックで頭が真っ白になってしまったのですね。
そういう場合には、一刻も早く弁護士が接見して、まずは、『あなたは一人ではない。弁護士という味方がいるんだ。』と知ってもらうことで、落ち着きを取り戻してもらう必要があります。
そして、気持ちの上でも、警察官や検察官に引けを取らず、臆することなく話ができるような心の状態になってもらうことがとても重要だといえます。
今後の見通しを立てやすい
逮捕勾留された被疑者としては、
- 今後どのような流れで手続きが進んでいくのか
- いつ頃身柄を解放されるのか
- どのくらいの刑罰が予測されるのか など
気になることがたくさんあるものです。弁護士に相談すると、刑事手続の一般的な流れと、逮捕されているそのケースで予測される事態への対応などを教えてもらえ、今後の流れの見通しを立てやすくなります。
性犯罪や傷害事件、横領・詐欺・窃盗といった事件内容によってポイントとなるものがあるそうです。いまどういった状況で、『●●だったら検察官に今後どう判断されるのか?』その上で自分が何をすべきかがわかるのも、元検事の特徴であるとおしゃってました。 |
逮捕された方と接見した際には、「警察からどんなことを聴かれているのか。」「警察からどんな話しをされているのか。」、「もし逮捕されている事実に身に覚えがないのであれば、なにかそれに近いことで心当たりはあるのか。」
などを詳しく聞いて弁護方針を考えていきます。また、もともと犯罪ごとに捜査官が注意しなければならないポイントとなる点があるのですが、それに加えて、事実の流れを詳しく聞きながら、その事件でポイントとなる点が具体的に見えてくることがあります。
そして、それらについて、どのように考えていくべきかなどを検討していくのですが...
これらが、後に起訴されるかどうか、起訴されたとして重い求刑となるのかなどに結びついてくケースが多いのです。
そして、それらを踏まえた上で、その時点で考えられる今後の見通しを伝えていくなどしていきます。
家族や職場との連絡をお願いできる
突然逮捕されてしまった被疑者は、家族がどうしているのか、会社にはどのように伝わっているのか、出勤しなくて大丈夫なのかなど気になることがたくさんあるものです。
弁護士に接見に来てもらったら、外部の状況についても確認することが可能ですし、家族への伝言もお願いできます。会社から家族に連絡が入ったりしている場合には、その対応方法を相談することもできます。
また留置場内で不足している物(衣類など)がある場合、家族に差し入れの連絡も入れてもらえます。
逮捕された事実を会社にどう伝えるのが良いのか、その人の立場を考慮した上でアドバイスや提案も行う。 |
会社への対応、伝え方の相談ができる
例えば、夫が捕まってしまった場合、その家族の方には、夫の仕事などがどのような状態になっているのか分からないことが多いと思われます。
逮捕されてしまった方が会社の経営者であったり、現場の責任者であったりすれば、ほかに対応できる人に適切な指示がなされないと会社の業務や現場が進まなくなってしまうこともありえます。
また、逮捕されてしまった人とそのお客さんとが明日合わなければならないというような場合、そのまま何の連絡もせずに、すっぽかす訳にも行きません。
そのような場合には、すぐに逮捕されてしまった方と接見して、会社を休むという扱いにするのか、業務上の指示をどうするのか、だれに伝えるのか、伝え方をどうするのかなど相談し、それを家族など適切な人に伝えたりすることもできます。
否認を貫ける気力を保てる
実際に罪を犯していないのに逮捕されてしまった場合、いわゆる「冤罪事件」では、取り調べ時に否認を貫くことが重要です。
しかし否認している被疑者に対する取り調べは厳しくなるので、被疑者1人では耐えられなくなるケースがほとんどです。
弁護士が常に接見に来て励ましてくれることにより、被疑者は否認を貫ける気力を維持できます。このように、弁護士が共に戦ってくれることで、やってもいない罪で逮捕されても乗り越えることができます。
弁護人として選任できる
刑事事件で逮捕されたとき、被疑者が自力でできることは限られています。不起訴処分を獲得したい場合や冤罪のケースなどでは、早期に弁護人を選任して示談交渉や証拠集めなどの防御活動を展開してもらう必要があります。
接見に来てくれた弁護士で問題がなければ、その場で弁護人として選任でき、その後来てほしいときに接見に来てもらえます。
そしてその状況に適したアドバイスをもらいながら、必要な弁護活動を行ってもらうことで、被疑者にとって刑事手続が有利に進みやすくなるでしょう。
弁護士に緊急接見を依頼した後の流れ
弁護士に接見を依頼するとどのような流れになるのか、流れを確認しましょう。
弁護士に接見を依頼する
弁護士に接見に来てもらうには、まずは接見を依頼しなければなりません。当番弁護士を呼ぶ方法と私選弁護人に依頼する方法があります。
当番弁護士であれば、被疑者が留置施設に申し出て呼ぶことができますし、家族が弁護士会に連絡を入れて派遣要請することも可能です。
私選弁護士に依頼するには、家族が弁護士に相談に行って接見を要請する必要があります。基本的には法律事務所に直接電話するなどして『家族が逮捕されてしまったと連絡があった。●●警察署に接見にいってほしい。』と伝えることで、弁護士が向かってくれます。
弁護士が足りず電話に出られない事務所もある
一概には言えませんが、少人数で運営している事務所では、即日対応可能な弁護士が足りず、「他の相談者の対応に追われて電話に出られない」というケースも多いようです。
その対策として、事務所に電話した際は事務所職員が出ることもあります。
ベリーベスト法律事務所には約180名の弁護士が所属。営業時間内は常に弁護士が複数人待機しており、スピード対応が求められる刑事事件において、早急に対応できる体制を敷いていた。 |
接見で当番弁護士を呼ぶのと個別の弁護士に依頼するのでは何が違うのか?
緊急接見だけなら1万円〜5万円、実際に依頼まですると割引かれるケースもありますが、当番弁護士を無料で呼ぶのと何か違うのでしょうか。
アドバイス等も当番弁護士でこと足りるはず…
もちろん、当番弁護士がいけないなどということは全くありません。また、当番をされている弁護士の中には、刑事弁護の経験が多い方ももちろんいらっしゃいます。
ただ、当番弁護士が接見にいく際の一般的な流れというのは、
1:本人が捕まり
2:警察に対して『弁護士を呼んでほしい』と連絡し
3:警察が弁護士会に連絡して
4:弁護士会がその日の『当番』の弁護士
に連絡します。
そして、
5:連絡を受けた弁護士が、○○時間以内に会い行く
という流れになります。
その流れの中で、やむをえず時間がかかってしまうということはあるかもしれません。
弁護士が対応できないというのは、被疑者にとって大きなリスクを伴います。常に弁護士が待機し、弁護士の人数を活かした急行体制が整えられていることが、弁護士を選ぶ一つの基準になるかもしれません。 |
弁護士が警察や拘置所に接見にやってくる
当番弁護士の要請が入った場合には弁護士会からその日の当番の弁護士に対して、被疑者のいる施設に接見に行くよう連絡します。
弁護士は留置施設に連絡を入れて被疑者がいることを確認し、当日~翌日には留置施設に接見に行きます。
家族が弁護士事務所に出向き、直接依頼したときには、弁護士が速やかに用意をして、被疑者の留置されている施設に在監を確認し、いるようであればすぐに接見に行きます。
接見を行う
弁護士が留置場に到着すると、警察に弁護士であることを告げて、接見の申請用紙を記入して提出、弁護士と被疑者が速やかに接見用の部屋に入り、接見を開始します。
このとき警察官は立ち会わず、時間制限もなく自由に話をすることが可能です。
弁護士と被疑者との間にはアクリル板があり、接触を伴うやり取りはできないようになっています。
話が済んだら弁護士が留置係に連絡を入れて接見を終了する
必要なことを話し終えたら、弁護士が警察の留置管理係に連絡を入れて接見を終了します。接見が終わったからといって、すぐに釈放されるわけではなく、被疑者は、その後も、取り調べを受けることになります。
接見後の受任に関して
接見をし、本人から依頼の申し出あれば弁護活動の契約を結び、正式な契約となります。
この時、必ずしも接見にきた弁護士に依頼する必要はなく、たとえ家族などの申し出であっても、被疑者本人が依頼しないという判断も可能ですから、接見時に別の弁護士に依頼したいという希望を伝えることで、家族からあらためて別の弁護士に依頼することも可能です。
接見を弁護士に依頼した際の費用相場と回数
1回の接見にかかる費用
弁護士に接見を依頼すると、一般的なケースでは1回につき3万円〜5万円程度の弁護士費用が発生します。
接見費用は、依頼する事務所によってさまざまですし、事務所から接見場所への距離(場所的距離と時間的距離)によっても変わってくる可能性があります。
また弁護人として選任後も、1回ごとに接見手数料がかかる事務所とかからなくなる事務所があります。
1回ごとの接見費用は安くても、依頼後もその都度費用が発生する事務所の場合にはトータルの弁護士費用が高額になる可能性があります。
できれば選任後は個別の接見費用のかからない事務所を選びましょう。
1回にかかる接見の時間は?
岡山弁護士によれば、早ければ30分〜程度で完了することもあるようです。
ただ、弁護士の接見には時間の制限がないため、できれば一度の接見で詳しく話しができるように、長めに接見をする弁護士もいます。
以前は『接見指定』といって、警察や検察官が1回の接見時間を指定することもありましたが、今はほとんどありません。
弁護士が回答!接見に関するよくある疑問と回答
最後に、逮捕されてしまった方や親族にとって不安に感じているであろう疑問をぶつけてみました。
弁護士の接見に親族は同伴できますか?
親族の方が接見する一般接見の場合と、弁護士が接見する場合(弁護士接見)とでは異なる扱いがなされます。
ただ、親族の方が弁護士と同席して接見するというのであれば、それは、弁護士接見ではなく、一般接見として扱われるでしょう。
そのため、弁護士接見のように、優先的に接見させてもらうというわけにはいかないでしょう。
逮捕された人とはどのような話をされているのか?
警察官側としては、何か犯罪が発生した場合には、正義感をもって、真実の発見、真相の究明を目指しています。
そのため、例えば、逮捕された人が事実を認めたとしても、それだけで満足せず、「なぜ、その事件を犯したのか」、『もしかしたらこういう筋だったのでは?』『他に余罪はないのか?』
などを聴取し、その事案の全容を解明しようとするでしょう。
そのため、逮捕された人は事実を認めたとしても、さらに様々な角度から追及されることがあります。
そこで、たとえ事実を認めるのであっても、言うべき事をきちんと言わないでいると、
『全体的に間違ってるという感じではないが、なにかちょっと違うな。』
という調書が出来上がってしまう可能性もあります。
検事として取り調べを経験していることで、被疑者側どう反論すれば良いのかを熟知。やっていないことはやっていないと言える強い意志を持つことが大事だと言う。 |
また、取調べに当たっては、警察や検察から『権利告知』が行われます。いわゆる黙秘権などですね。ただ、取調べをしてくる側である警察などから、形式的にそれを伝えられただけでは、逮捕された人は、具体的な取り調べの中でどうしたら良いかわからないことがあります。
警察や検察も黙秘権があると伝えた上で、その人から話を聞くわけですが、その人が『言いたくないです。』と黙秘権を使ったからといって、『ああそうですか。わかりました。』などと言って取調べを終えていたのでは、捜査になりません。
当然、警察官も検察官も、黙秘権があることを前提とした上で、そのさらに上を行って、様々な方法、言い方で供述を得ようとします。
そのような時に、落ち着いて心に余裕があれば、「自分のしたことは認めるけれど、警察官が思っているようなことまではしていない」ときちんと反論できます。
黙秘権など自分が持っている権利を取調べの中のどのような場面で、具体的にどのように使えばよいのかが分かっていれば、適切にそれを使って自分の身を守ることができるようになります。
弁護士は逮捕された人と接見した際には、それらに関するアドバイスなどを具体的に行っていきます。
そのほかに、取調べ中の警察官や検事の自分に対する態度や言動が気になってしかたないという場合にも、警察官らがそのような態度や言動をとる理由を推測できることもありますので、警察官や検事と対等に話ができるように、その点をお話しすることもあります。
接見が遅れることで示談金額に影響は出る?
あまりにも時間が経った後に、初めて示談のために被害者と接触した場合には、被害者の方によっては、『いままで何をしていたのか?』という気持ちになる方もいるかもしれません。
その場合には、その被害者の方の気持ちによって、示談金額に違いが出る可能性も考えられなくはないと思います。
ただ、逆に、被害を受けてすぐだと、まだ被疑者側、つまり逮捕されている側と冷静に話し合いができる気持ちになっていないという場合も考えられます。
そのため、どの時点で被害者に接触するのがよいかについては、ケースバイケースだろうと思います。
ただ、示談をする気持ちがあるのであれば、お金などの準備には時間がかかることもありますので、早く接見して、示談の準備には入った方がよいということは言えると思います。
逮捕後72時間(3日)以内に行動を起こさないとデメリットは何か?
逮捕後72時間(3日)以内に行動を起こさないと不利益が多いというが、3日を過ぎるデメリットは何かありますか?
3日以内(72時間)ということについてですが、詳しくいうと、警察は、被疑者を逮捕した後、48時間に検察庁に事件を送致しなければならず、検察官は、送致を受けてから24時間以内に被疑者の勾留を請求するか釈放するかを判断しなければなりません。
逮捕されてから3日以内が重要というのは、それは、検察官が勾留請求をするまでのリミットとなるこの合計72時間のこといいます。
ですが、その時間制限は、それらの時間を超えてはいけないという制限であって、通常その3日間ギリギリまで勾留請求されないということではありません。
つまり、『3日というのは、それを超えられない時間制限』のことであって、通常はもっと早い段階で勾留請求されてしまいます。
通常は警察に逮捕されると、48時間もかけず、逮捕翌日には『送致』されることが多い。また、検察庁でも、事件の数にもよりますが、平日の朝8時〜9時の段階で警察から送致がなされたら、その日の昼過ぎには勾留請求が終わっていることも多いそうです。 |
いつ家に帰ってこれそうそうですか?
検察官に勾留請求されてしまい、裁判所が勾留を認めてしまうと、自動的にまず10日間身柄が拘束されますし、勾留の延長が認められると、原則として、さらに最大10日間身柄が拘束されてしまいます。
その後、検察官がそのまま起訴すれば、起訴後も、身柄が拘束されたままとなります。
さらに、勾留の際、接見等禁止も付けられれば、勾留期間中弁護人以外の者との接見が禁止されることにもなってしまうのです。
逆に、検察官による勾留請求がなされなかったり、それがなされても裁判官が認めなかった場合には、その段階で釈放されて、『在宅事件』に切り替わります。
そのために、検察官や裁判官に申し入れなどをするわけですね。
会社に対して逮捕の事実を知られないようにできる?
まず、事件の現場が会社であれば、その会社でも様々な捜査がなされますので、会社に知られないようにすることは不可能かもしれません。
そうでない場合で、身柄の拘束が短期間であれば、とりあえず、休暇を取るなどの方法を考えていくことになるでしょう。
ただ、勾留までされてしまい、身柄拘束期間が長期間にわたる場合には、会社に行かない説明がつかなくなりますので、会社に知られないようにすることは難しくなってくると思います。
その場合、例えば…会社の信頼できる人に相談してなるべく情報が広がらないようにしてもらうなどの対応を考えることになろうかと思います。
実名報道を避けることはできますか?
まれに、報道されていないのに近隣の方が知っていることがありますが、なぜ知っているのか。
実名報道されていなくても住めなくなってしまうことは避けたい場合、どのような対策ができるのでしょうか。
実名報道となる前提として、警察が報道機関に対して、事件についての発表をすることがあります。
それは警察が、『悪いことをした人をちゃんと捕まえました。』と伝えることで、地域住民などに対して安心してもらうためと考えられます。
また同じような犯罪を犯している人に対する警鐘や被害者にならないための注意喚起の意味もあるでしょう。
また、近隣住民が知っている理由については、その事件が近隣住民の中で起きた傷害事件等であれば目撃している人がいたということが考えられますし、被疑者の自宅に警察が捜索や逮捕のために来たり、連れて行かれたりするところを近隣住民の方が目撃していたことによるものかもしれません。
実名報道を避けるための有効な対処法というのは難しい問題で、逮捕された後、警察による報道機関への発表などがされる前に接見して事情を聴き、警察に対して、報道されると残された家族への影響が大きいなどの事情を説明して、発表などをしないよう申し入れを行うことなどが考えられるというが。。。
ただ、それでも警察の判断で発表されてしまうこともありますので、100%止めるというのは難しいと思います。
元検事という肩書きをもつ弁護士は、検事の経験を弁護活動にも活かさせることは多い?
刑事事件において弁護士を選ぶひとつの基準にもなるのかなと思いますが、元検事という経験は、実務において役立つシーンはありますでしょうか?
ある程度長く検事の仕事をやっていた方であれば、取り調べのポイント、事実の流れを確認する上でポイントとなるところがわかっています。
それが有罪になるか無罪になるかの分岐点となることもありますので、元検事であれば、弁護士としての接見の際には、それらを重点的に確認してくことになるでしょう。
同様に、自分自身で様々な捜査をしてきていますので、その経験から、事案に応じて、どのような捜査がなされ、どのような証拠が集められていくかの見通しが立つこともあります。
また検事側として裁判もやってきていますから、弁護士の主張に対してどのような対応をするのかなどある程度予測がつく場合もあります。
元検事であれば、自分が検察側として捜査や公判をやってきた経験やそれによって得られた知識をもとに弁護活動をしていくことになるでしょうから、それが検事経験者の強みと言えるかもしれません。 |
元検事という肩書きで何か結果に影響はありますか?
元検事という肩書きのみで、結果に影響がでることはありません。
ただ、元検事であれば様々なパターンがある捜査や裁判の流れを理解・把握しており、事件に応じて証拠として通常何が必要か、検察官側が弁護士の主張に対してどのように反論するかなど、経験や経験に基づいた知識を持っています。
それらの知識や経験を、弁護活動に活かすことができるとは思います。
ここまでのまとめ |
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まとめ
刑事事件で身柄拘束されたら、早急に弁護士接見に来てもらうべき理由を多く語って頂きました。
対応の遅れによって不利な調書をとられてしまうと、後から取り返しがつかなくなる可能性も高まります。
家族などの一般接見と弁護士接見では、意味も取扱いも目的も、ほぼすべてが異なります。
ご家族が逮捕されたという連絡を受けたら、すぐに刑事事件に強い弁護士の事務所に連絡を入れて、接見を要請しましょう。
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親族や友人が逮捕されてしまい、どうすれば良いのか考えた末に「弁護士に相談する」という答えが出てきた方も多いでしょう。
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刑事事件で最も頼りになる存在が、私選弁護人です。しかし、弁護士費用はどのくらいかかるのでしょうか。この記事では、私選弁護人の弁護士費用の相場と内訳、...
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本記事では、刑事事件の弁護士費用や費用を抑えるコツ、私選弁護士への依頼を検討したほうがよいケースなどを解説します。
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覚せい剤事件で逮捕されると覚せい剤取締法で厳しく罰せられるが、弁護士に早期に依頼すれば早期釈放や減刑を受けられる可能性があります。本記事では、弁護士...
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家族が逮捕された際すぐ呼べるのが私選弁護人と当番弁護士。しかし、どちらの弁護士を選べばよいのでしょうか。この記事では、一番刑事事件に精通している弁護...
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