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【弁護士監修】盗撮で逮捕される?逮捕の可能性と刑罰、後日逮捕される可能性を解説

【弁護士監修】盗撮で逮捕される?逮捕の可能性と刑罰、後日逮捕される可能性を解説

盗撮は逮捕される可能性がある「犯罪」です。

盗撮をして逮捕された被疑者の家族の方や、盗撮をしてしまい、逮捕されないか不安に思っている人は、実際に逮捕されるかが気になりますよね。

しかし、盗撮で逮捕するにはいくつかの条件があるため、必ずしも逮捕されるとは限りません

本記事では、盗撮で逮捕される可能性や逮捕の条件を解説

さらに逮捕された場合の罰則・逮捕後の流れなどを詳しく解説。

逮捕されない場合の流れや、示談成立・不起訴処分になった実際のケースも紹介するので、参考にしてみてください。

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盗撮した場合、逮捕される?

盗撮をしてしまった場合、現行犯逮捕・後日逮捕どちらの可能性もあり得ます

盗撮の検挙件数は年々増加しており、2012年から2021年の間で、2倍以上になっています。

盗撮の検挙件数

盗撮が発覚した場合、その場で逮捕される現行犯逮捕と、後日捜査によって逮捕される後日逮捕のどちらのケースも考えられます。

なお、盗撮は基本的に「故意(=盗撮をする意思がある)」があって成立する犯罪です。

しかし、盗撮をしたという事実がある以上、逮捕は避けられない可能性が高いです。

「たまたまカメラを構えたらスカートの中がうつってしまった」などと過失を主張しても、撮影ビデオの内容や監視カメラの映像などの証拠や具体的事実関係に基づいて、故意・過失は客観的に判断されます。

盗撮に当てはまる行為

盗撮に当てはまる行為

盗撮で逮捕されるかどうかは、撮影対象が「性的姿態」にあたるがどうかが重要です。

性的姿態には、具体的に以下のようなものが該当します。

  • 性器・肛門・尻・胸などの性的な部位
  • 性的な部位を覆っている下着
  • わいせつな行為や性行為をおこなっている様子

たとえば、エスカレーターで前にいる女性のスカートの中を撮影したり、電車でカメラをスカートの下に入れて撮影したりすることは、逮捕される典型的な盗撮行為といえるでしょう。

一方、単に後ろ姿を撮影した場合など性的姿態にあたるものが映り込んでいなければ、基本的に盗撮には該当しません。

ただし、盗撮に類似する違法行為として、逮捕されるケースもあるので注意してください。

盗撮で逮捕される条件

盗撮行為で逮捕されるかどうかは、5つの要件に基づいて判断されます。

要件 内容
犯罪の成立 迷惑防止条例違反や刑法の性的姿態等撮影罪に該当する行為があったか。
盗撮行為の故意 故意に盗撮をおこなったか。
証拠の確保 盗撮映像・画像、スマートフォンやカメラのデータ、監視カメラ映像などが存在するか。
被疑者の特定 現場での発見、監視カメラ映像、目撃証言、所持品などによって加害者が特定されているか。
逃亡の恐れ 定職がない、住所不定、海外逃亡の可能性があるなど、身柄の確保が困難な状況か。
証拠隠滅の恐れ 撮影データの削除、機器の破棄、関係者への口止めなどをおこなう可能性があるか。

これらの要件が複数当てはまる場合、逮捕の可能性が高くなります。

特に、「逃亡の恐れ」や「証拠隠滅の恐れ」があると判断された場合、逮捕される確率はさらに上がります。

基本的に、盗撮が現行犯で発覚した場合は、逮捕されることが多いと思ったほうがいいでしょう。

盗撮した場合の罪状と刑罰

盗撮した場合の罪状と刑罰

盗撮行為は主に性的姿態等撮影罪迷惑防止条例違反で罰せられ、それぞれ刑罰が異なります。

撮影罪

性的姿態等撮影罪の法定刑は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。

性的姿態等撮影罪は、2023年7月13日に施行された比較的新しい法律。

人の性的姿態等を同意なく撮影する行為を処罰するものです。

性的姿態等撮影罪が成立するためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 性的姿態を対象としている
  • 相手の同意なく撮影している
  • 撮影行為に及ぶ正当な理由がない

撮影の対象となる「性的姿態」とは、人の身体の性的な部位や下着、わいせつな行為や性行為をおこなっている姿などを指します。

なお、未遂でも処罰の対象となるため注意してください。

迷惑防止条例違反

迷惑防止条例違反の罰則は都道府県で異なり、たとえば東京都では最も重い場合、2年以下の懲役または100万円以下の罰金です。

2023年7月12日以前の撮影は、原則として迷惑防止条例違反として裁かれることになります。

都道府県 常習の場合 常習でない場合
東京都 2年以下の懲役または100万円以下の罰金 1年以下の懲役または100万円以下の罰金
神奈川県 2年以下の懲役または100万円以下の罰金 1年以下の懲役または100万円以下の罰金
埼玉県 1年以下の懲役または100万円以下の罰金 6月以下の懲役または50万円以下の罰金
千葉県 1年以下の懲役または100万円以下の罰金 6月以下の懲役または50万円以下の罰金

迷惑防止条例違反は「公衆の場で他人のプライバシーを侵害する目的で盗撮する行為」を罰するもので、各都道府県で定められています。

東京都を例に挙げると、商業施設や駅・電車内などにおいて衣服で覆われている他人の身体を許可なく撮影する行為は禁止です。

次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しく は設置すること。

イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所

ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は 出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)

引用元:東京都迷惑防止条例 第5条

実際に盗撮で逮捕されたニュース

盗撮による逮捕のニュースは後を絶ちません。

最近の事例をいくつか紹介します。

駅で女性を盗撮し逮捕されたケース

JR摩耶駅のホームで女性を盗撮したとして、兵庫県警灘署は6日、性的姿態撮影処罰法違反(撮影)の疑いで、神戸市灘区に住む会社員の男(57)を逮捕した。通過車両の運転士が、女性の背後でしゃがみ込む人影に気付いて発覚。署の調べに、男は「間違いありません」と容疑を認めているという。

引用元:神戸新聞 NEXT

小学校教諭の盗撮が発覚し逮捕されたケース

2025年3月、熊本県玉名市の小学校教諭(27歳)が、勤務先の小学校の女子トイレに小型カメラを設置し、撮影しようとした疑いで逮捕されました。

引用元:読売新聞

客室露天風呂での盗撮が発覚し逮捕されたケース

また2024年、群馬県内のホテル客室露天風呂で入浴中の男女2人を一眼レフカメラで撮影した疑いで、55歳の男が性的姿態撮影処罰法違反(撮影罪)で逮捕された事案もあります。

引用元:上毛新聞

盗撮で逮捕される場合の2つのケース

盗撮で逮捕される場合、大きく分けて「現行犯逮捕」と「後日逮捕」の2つのケースがあります。

現行犯逮捕

現行犯逮捕とは、盗撮行為がおこなわれている現場で、警察官や被害者、目撃者などによって逮捕されるケースです。

具体例としては、以下のようなケースが挙げられます。

  • 電車内でスカートの中を盗撮しようとしたところ、周囲の人に見つかり、その場で取り押さえられた
  • 商業施設の試着室に小型カメラを仕掛けているところを警備員に発見され、すぐに通報された
  • 盗撮されている本人が盗撮行為に気付き、通報された

被害者本人や周囲の人によって盗撮行為が発覚し、駆け付けた警察官によって現行犯逮捕されるケースが多いでしょう。

また、現行犯に限り、一般人による逮捕が認められているため、警察官以外から私人逮捕されるケースも起こり得ます。

後日逮捕

盗撮したその場では逮捕されなくても、時間が経ってから後日逮捕されるケースがあります。

後日逮捕では、次のように被害者の届け出や証拠の収集などがおこなわれて逮捕にいたります。

  • 被害者が後日被害に気づき、警察に被害届を提出した
  • 商業施設のトイレに設置されていた隠しカメラ映像を解析した結果、容疑者が特定された
  • 盗撮時に第三者によって取り押さえられるものの、その場から逃亡。しかし防犯カメラの映像によって容疑者が特定された

盗撮被害が後日発覚するケースもあれば、その場で被害が発覚したものの、容疑者が逃亡したケースもあります。

後日逮捕の場合に重要となるのは、防犯カメラや駅の監視カメラの映像、目撃証言など。

これらをもとに捜査がおこなわれ、盗撮行為をおこなった人物が特定されます。

盗撮で逮捕されるとどうなる?その後の流れ

盗撮で逮捕されるとどうなる?その後の流れ

逮捕後の一般的な流れについて簡単に紹介します。

1.逮捕される

盗撮で逮捕されると、まず警察署に連行され、最大で72時間取り調べを受けます。

この間、弁護士を呼ぶ権利があります。

弁護士に依頼することで、取り調べに対するアドバイスを受けたり、早期釈放に向けた活動をしてもらったりできます。

早い段階で弁護士に依頼してサポートを受けるとよいでしょう。

2.検察庁へ送致

逮捕から48時間以内に、被疑者の身柄と事件に関する書類は検察庁に送致されます。

検察官は被疑者の供述を詳しく確認し、警察が集めた証拠を精査。

そして、供述内容や証拠をもとに被疑者を勾留するかどうかを判断します。

勾留とは、被疑者が逃亡したり、証拠を隠滅したりするのを防ぐために、引き続き身柄を拘束することです。

3.判官による勾留決定

検察官が勾留請求をした場合、裁判官が勾留の判断・決定をします。

勾留期間は原則10日間、最大20日間です。

勾留が決定されると、引き続き警察署の留置場に拘束されます。

なお、弁護士は勾留決定に対して準抗告を申し立てられます。

4.起訴又は不起訴の判断

検察官は、捜査の結果や証拠に基づいて、被疑者を起訴するかどうかを最終的に決定します。

起訴される場合、公開の法廷で審理がおこなわれる公判請求と、書面審理のみで罰金刑が科される略式起訴の2種類があります。

不起訴となる場合は、起訴猶予(被疑者が反省しており、被害者との示談が成立している場合など)や嫌疑不十分(証拠が不十分で犯罪の証明ができない場合)などです。

被害者との示談が成立しているかどうかは、不起訴の判断に大きく影響します。

示談が成立すれば、不起訴となる可能性が高まるでしょう。

起訴された場合は、裁判の手続きに進みます。

この段階でも、弁護士のサポートは非常に重要です。

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盗撮で逮捕されなかった場合のその後の流れ

盗撮で逮捕されなかった場合のその後の流れ

盗撮の事実を認めていたり、悪質性が低いと判断されたりすると逮捕されないことがあります。

逮捕されない場合は在宅事件として捜査が進められ、起訴される可能性があります

1.警察からの出頭要請

逮捕されない場合でも、警察から出頭要請があり、取り調べを受けることがあります。

被疑者本人から事情を聴取し、供述を得ることが目的です。

また、盗撮に使用された可能性のあるスマートフォンやカメラの提出を求め、証拠を確保するために呼び出される場合もあります。

さらに、防犯カメラ映像や目撃証言といった他の証拠と照らし合わせ、捜査を進める目的もあります。

出頭要請は任意のため拒否できますが、応じなかった場合は逮捕される可能性が高まると考えてください。

2.検察庁へ事件を送致(起訴・不起訴の決定)

警察は、捜査の結果、事件を検察庁に送致します(書類送検)。

書類送検後も、検察官による取り調べがおこなわれ、警察が収集した証拠や供述内容をもとに事件の詳細を確認。

その後、起訴するか不起訴とするかが決定されます。

不起訴となれば刑事処分はなくなりますが、起訴された場合は裁判に進み、有罪になれば前科がつく可能性もあります。

このように、逮捕されない場合でも起訴される可能性があるため、弁護士のサポートは必要不可欠です。

生活は変わる?盗撮で逮捕されたときの社会的影響

盗撮で逮捕されると、社会生活に大きな影響が出るケースが多いです。

具体的には、会社を解雇されたり、離婚に至ったりするなど、人生を大きく左右する事態に発展する可能性があります。

逮捕されると、取り調べや勾留等で拘束され、日常生活は送れなくなります。

会社に出勤できないため逮捕後の勾留期間が長引くと会社にバレる可能性が高まります。

当然、逮捕されれば一緒に暮らす家族に隠しておくのも難しいといえます。

また公務員や一部上場企業の社員など、社会的地位のある人物が逮捕された場合、ニュースとしての価値が高いと判断され、実名報道されてしまうリスクが高まります。

実名報道されると、再就職に苦労するなど長年にわたって影響があるでしょう。

盗撮してしまったらすぐに弁護士に依頼しよう

盗撮をしてしまった場合、できるだけ早く弁護士に依頼することを強くおすすめします。

弁護士に相談するメリットは、以下のとおりです。

  • 取り調べへの適切なアドバイスを受けられる
  • 被害者との示談交渉を任せられる
  • 早期釈放や不起訴処分の可能性を高められる
  • 家族や職場への対応について相談できる

弁護士は逮捕された被疑者と面会し、最適なアドバイスをおこないます。

また弁護士に相談することで、逮捕回避や不起訴処分に向けて動いてくれます。

ほかにも、被害者と交渉して示談成立を目指すのも弁護士の仕事。

示談成立は不起訴処分への大きな一歩です。

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さいごに

盗撮は性的姿態等撮影罪や迷惑防止条例違反に該当し、逮捕される可能性があります。

証拠が確保され、逃亡や証拠隠滅の恐れがある場合は、現行犯・後日逮捕のいずれかで摘発されます。

盗撮してしまった場合、できるだけ早い段階で弁護士に依頼するのがおすすめ。

示談交渉や不起訴処分へ向けた活動をしてもらえます。

盗撮で逮捕されるのは社会的影響も大きく、普段どおりの生活が難しくなります。

1日でも早く日常生活に戻るためにも、弁護士に相談して今後の対応を決めましょう

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この記事の監修者
澤田 剛司 (東京弁護士会)
【盗撮・風俗店トラブル・痴漢・暴行・傷害・窃盗・援助交際など】幅広い刑事事件に対応してきた経験豊富な弁護士がスピーディーに対応。「どこよりも素早い対応で、どこよりも安心して任せられる」を心がけている。
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編集部

本記事はベンナビ刑事事件を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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