不法侵入で警察が動かないことはある?現行犯以外で逮捕される可能性も解説


- 「不法侵入程度の罪なら警察が動かないのではないか。」
- 「不法侵入で警察が動いて、現行犯でなく後日に逮捕される可能性はあるのだろうか。」
不法侵入をしてしまい、警察の捜査がはじまったり逮捕されたりすることを心配していませんか。
不法侵入罪という名称の罪はありません。
正当な理由なく他人の家へ侵入した場合は住居侵入罪、住居以外の建物へ侵入した場合は建造物侵入罪に問われる可能性があります。
住居侵入罪・建造物侵入罪の法定刑は3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金です。
このように不法侵入によって、重い刑罰を受ける可能性があります。
住居侵入罪・建造物侵入罪の詳細については、以下記事をご覧ください。
不法侵入によって警察が動いて、後日逮捕に至るケースがないわけではありません。
時効が成立するまで、不法侵入によって逮捕され刑罰を受ける可能性も十分にあるのです。
本記事では不法侵入で警察が積極的に動かないケースや現行犯以外で逮捕される可能性、不法侵入で警察に通報されそうな場合の対処法を解説します。
本記事を読めば個別のケースにあわせ、不法侵入で警察が動く可能性があるかイメージできるようになるでしょう。
不法侵入で警察が積極的に動かないケース
不法侵入で通報をしても警察が積極的に動かないケースは少なくありません。
以下では不法侵入で警察に通報しても、警察が積極的に動かないケースを紹介します。
被害が軽微な場合
形式的には住居侵入罪や建造物侵入罪などの不法侵入に該当する場合でも、軒下を少し借りただけのケースや玄関先に入ってしまった程度の被害が軽微なケースでは、警察は積極的には動かない可能性が高いでしょう。
警察は数多くの事件を抱えており、より重大な事件の方が優先的に捜査される傾向があります。
そのため、被害が軽微なケースでは被害届を受理しなかったり、受理しても積極的な捜査がおこなわれなかったりするのです。
証拠がない場合
被害があったことを客観的に証明する証拠がない場合、被害届が受理されない可能性があります。
不法侵入では、監視カメラの映像のような客観的な証拠がないと警察は被害があったことを把握できません。
そのため、被害届を受理しないといった対応をされる場合もあります。
住人・管理者の意思に反していない場合
住居侵入罪や建造物侵入罪は居住権や管理権を侵害する犯罪と考えられており、住人や管理者の意思に反する立ち入りが侵入とみなされます。
逆に言うと、住人や管理者の意思に反していない立ち入りは侵入には当たらず、不法侵入とはなりません。
たとえば自分で呼んだ客が自宅の建物へ入ったのであれば、居住権・管理権が侵害されたとは言えないでしょう。
また買いもの目的でお店に入ったのであれば、管理者の意思に反しているとは言えず建造物侵入罪にはあたりません。
一方で盗撮や万引きなどの目的でお店に入ったなら、管理者の意思に反しているといえるため建造物侵入罪が成立する可能性があります。
被害届が出されていない場合
被害届とは、被害者が警察に「こんな事件があり、このような被害に遭いました。」という申告をして、警察が捜査を開始するきっかけになるものです。
被害届が提出されなければ、犯罪の被害が発生したことが警察に認知されず結果として捜査が開始されない可能性があります。
仮に被疑者が自首して不法侵入が明らかになった場合でも、警察は被疑者の証言に基づき、侵入した家の住人に被害の有無を確認することになります。
しかし、被害届が出ていないということは、住人は侵入に気がついていないということですから、被害の有無が判明しないことも多いでしょう。
そのため、被害届が出ていないケースでは警察が積極的に捜査を開始しない可能性が高いと考えられます。
不法侵入は現行犯以外でも逮捕される
不法侵入事件では、被害者が犯人をその場で取り押さえたり、通報を受けた警察官によって現行犯逮捕されたりすることが多いです。
だからといって現行犯逮捕以外で逮捕されないというわけではありません。
目撃情報を受けた警察官が監視カメラや防犯カメラの映像をもとに犯人を特定し、後日逮捕に至るケースも少なくありません。
また、被害者が被害届を出したり、目撃者が通報したりして状況が変われば後日逮捕される可能性もあります。
後日逮捕する場合、どのくらいの期間で警察は逮捕に来るのかはケースバイケースです。
1週間ほどで警察が来る場合もあれば2、3ヵ月後に来ることもありますし、半年後・1年後のケースもあります。
建造物侵入罪や住居侵入罪の時効期間である3年が経過しない限り安心できません。
不法侵入で警察に通報されそうな場合の対処法
不法侵入で警察に通報されそうな場合にはどのように対処すべきでしょうか。
ここでは警察に通報されそうな場合の対処法について解説します。
刑事事件の対応が得意な弁護士に相談する
不法侵入事件について、刑事事件の対応が得意な弁護士に相談するメリットは多いです。
以下、主なメリットをみていきましょう。
■刑事事件化してしまうのを回避できる可能性が高まる
弁護士は被害届提出前に被害者と示談を成立させるなどして、刑事事件化の回避を目指します。
■逮捕を回避できる可能性が高まる
不法侵入が発覚した場合、弁護士は依頼者の自首に同行したり警察と交渉したりして逮捕回避を目指します。
■早期釈放を目指せる
依頼者が逮捕されてしまった場合、弁護士は警察・検察と交渉するなどして早期釈放を目指します。
■不起訴獲得や刑罰の軽減を目指せる
不起訴になれば前科がつくことはありませんし、刑罰を受けることも回避できます。
弁護士は不起訴獲得を目指し、示談を成立させるなど活動をおこなうのです。
また起訴されてしまった場合も、弁護士は依頼者にとって有利な弁護活動を展開し刑罰の軽減を目指します。
自首する
自首をすることによって、逮捕を回避できる可能性が高まります。
警察が被疑者を逮捕するのは、逃亡や証拠隠滅の恐れがある場合です。
自首をすれば逃亡・証拠隠滅の不安はないと考えられ、逮捕が回避されやすくなります。
被害者との示談を成立させる
弁護士に依頼することで、被害者との示談が成立しやすくなる点も大きなメリットです。
示談が成立すれば、逮捕や起訴を回避できる可能性が高くなります。
弁護士に依頼せず、加害者だけで被害者と示談を成立させるのは簡単ではありません。
不法侵入の被害者は加害者に対する怒りが強く、加害者と直接会って示談交渉をすることすら拒むことが多いためです。
弁護士が介入することで、ようやく示談交渉を開始できるケースは少なくありません。
不法侵入に対する警察の対応に関してよくある質問
不法侵入に対する警察の対応についてよくある質問をまとめました。
警察の対応に関して不安な方は是非ご参考ください。
不法侵入の時効は何年?
不法侵入(住居侵入罪、建造物侵入罪)の時効は3年です。
そのため不法侵入から3年経過すると検察は不法侵入を理由に起訴できません。
ただし、不法侵入以外に罪を犯した場合は、時効が3年になるとは限りません。
不法侵入は窃盗や強盗・傷害・殺人など、ほかの犯罪が目的でおこなわれることの多い犯罪です。
たとえば不法侵入にくわえ窃盗をおこなった場合、より刑罰の重い窃盗の時効が適用されます。
そのため、このケースでの時効は7年です。
警察が動き出してから後日逮捕されるまでの期間は?
住居侵入によって現行犯逮捕されなくても、後日管理者や住人の通報を受けた警察官に逮捕される可能性は十分にあります。
後日逮捕されるまでの期間はケースバイケースですが、1週間以内のケースもあれば1年以上かかるケースもあります。
住居侵入罪・建造物侵入罪の時効期間である3年が経過しない限り、後日逮捕の可能性がなくなったとはいえません。
悪意なしの不法侵入でも罰せられる可能性はある?
自分の家だと思って間違って入ってしまったというような、悪意のないケースでも不法侵入で罰せられる可能性はあるのでしょうか。
住居侵入罪や建造物侵入罪は故意犯と呼ばれる、罪を犯す意思が無ければ成立しない類型の犯罪です。
そのため間違って入ってしまったケースでは、故意が無く住居侵入罪は成立しないことになります。
ただし、立ち入りの状況によっては、「間違って入ってしまった」や「悪意は無かった」といった弁解が認められないケースもあります。
そのためケースによっては、弁護士に今後の対応について相談するとよいでしょう。
さいごに|不法侵入で検挙されるおそれがあるなら、まずは弁護士に相談を!
不法侵入事件では被害が軽微だったり証拠がなかったりすると、警察が積極的に動く可能性は低いです。
一方で被害の程度や証拠の状況などによっては、不法侵入は現行犯でなくても逮捕される可能性はあります。
被害届が提出されるなどして、警察が捜査を続けていることも考えられるのです。
ある日突然、逮捕状をもった警察が自宅にやってくることも否定できません。
不法侵入に関する罪の時効は3年であり、時効が過ぎるまで後日逮捕の可能性は消えないのです。
不法侵入に加え、窃盗などの罪もおかしていた場合は、時効が伸びることもあります。
不法侵入をしてしまい、逮捕や有罪になる不安があれば、なるべく早く刑事事件の対応が得意な弁護士に相談しましょう。
弁護士は状況に応じてどう対処すべきか、適切にアドバイスしてくれます。



【スピード重視】【電話/メール/LINEのお問い合わせ24時間受付中】盗撮/風俗店トラブル/不同意わいせつ/痴漢/暴行/傷害/窃盗/援助交際など、幅広い刑事事件に迅速対応いたします!経験豊富な弁護士にお任せください!
事務所詳細を見る
【弁護士直通ダイアル|夜間・休日対応可】早期の身柄釈放へ迅速対応!◆痴漢・盗撮・性犯罪はすぐにご相談を!取り調べ/逮捕から1~2日での対応が重要です!万引き/窃盗/薬物/詐欺/オーバーステイなどの外国人事件も取り扱い多数
事務所詳細を見る
【刑事少年事件専門・24時間365日受付・無料相談・全国に支店】年間相談数3000件超、年間解決事例数約500件、釈放保釈多数の圧倒的実績で社会復帰を強力に弁護する刑事特化のリーディングファーム
事務所詳細を見る当サイトでは、有料登録弁護士を優先的に表示しています。また、以下の条件も加味して並び順を決定しています。
・検索時に指定された都道府県に所在するかや事件対応を行っている事務所かどうか
・当サイト経由の問合せ量の多寡



刑事事件の基礎知識に関する新着コラム
-
本記事は不法侵入してしまった場合に警察がどのように対応するのか、またそれに対してどのように 対応すれば良いのか解説します。
-
この記事では、痴漢で解雇されるシチュエーションや、解雇するかどうかを判断するときに考慮されるポイント、弁護士に早期相談・依頼するメリットなどについて...
-
ニュースでよく聞く「検挙」という言葉の正確な意味を理解している人は、実はそこまで多くはありません。検挙という言葉がよく使われるシーンや、似た用語との...
-
本記事では告発とは何かや、告発が必ずしも受理されるとは限らない理由、告発と告訴・被害届や内部告発との違い、告発された場合に起こることを解説します。
-
盗撮の冤罪にあいそうなときでも、対応を間違えると逆に状況が悪化する可能性があります。万が一のときに冷静に対応できるよう、正しい対処法と注意点をおさえ...
-
犯罪を犯して起訴された場合は、通常、刑事裁判に移行します。刑事裁判は有罪・無罪や刑罰が決定する重要な場になるので、先を見据えてしっかりと準備しておく...
-
本記事では、刑事罰の役割や刑法で規定されている6つの刑事罰について解説します。2025年6月に運用が始まった拘禁刑の詳細や、刑事罰の種類・重さの一般...
-
事件を起こし警察に検挙・逮捕された場合は、不起訴処分の獲得を目指すのが一般的です。本記事では、不起訴処分とは何かや無罪との違い、不起訴処分を獲得する...
-
「立件」という言葉はニュースなどで頻繁に用いられます。しかし、具体的にどのような状況を指すのか理解している人は少ないはずです。本記事では、立件の意味...
-
正当な理由なく他人の建物に侵入すると建造物侵入罪にあたります。住居侵入罪との違い、構成要件、「侵入」や「正当な理由」の定義、刑罰、逮捕後の流れ、弁護...
刑事事件の基礎知識に関する人気コラム
-
逮捕されて有罪になると前科が付きますが、前歴というものもあり、こちらは逮捕されただけで付きます。前科は間逃れても前歴が残ると今後の生活にどう支障がで...
-
犯罪事件捜査の対象になった場合、刑事手続きはスピーディに進行します。早期に刑事手続きから解放されるためには、初動の段階から迅速な対応をとることが肝心...
-
本記事では私人逮捕の条件や私人逮捕によるトラブルの対処法を解説します。
-
【弁護士監修】書類送検を徹底解説!書類送検とは被疑者を逮捕せず、書類のみ(証拠を含む)を検察官に送る手続きです。この記事では、そもそも送検とはどうい...
-
少年院(しょうねんいん)とは、家庭裁判所から保護処分として送致された少年を収容するための施設を言います。
-
鑑別所とは、正式には「少年鑑別所」と呼ばれる施設で、家庭裁判所の少年審判をおこなうにあたって、犯罪を犯した未成年の少年を一時的に収容する場所です。本...
-
観念的競合とは、1つの行動で2つ以上の犯罪を起こすことです。刑罰の考え方としては、2つ以上の犯罪の中で最も重い犯罪の刑罰が対象となります。
-
この記事では親告罪と何か、親告罪に該当する罪を解説したあと、告訴されたときの対処法について紹介しています。親告罪を犯してしまって告訴される可能性があ...
-
刑事裁判と言っても、事件内容によって方法が少し異なります。この記事では刑事裁判の種類や流れの他に、民事裁判との違いやよくある質問(裁判員制度について...
-
公訴時効とは、刑事上の時効の概念で、犯罪が終わってから一定期間が過ぎると、公訴の提起(起訴)ができなくなることです。
刑事事件の基礎知識の関連コラム
-
この記事では親告罪と何か、親告罪に該当する罪を解説したあと、告訴されたときの対処法について紹介しています。親告罪を犯してしまって告訴される可能性があ...
-
本記事では、身元引受人になれる条件や具体的な役割、そして身元引受人が見つからない場合の対処法まで、分かりやすく解説します。
-
殺害された人が生前殺されることを承諾していた場合、犯行に及んだ人物は殺人罪ではなく、承諾殺人罪の容疑で刑事訴追されます。本記事では、承諾殺人の構成要...
-
防犯カメラの映像が決定的な証拠になる可能性がありますが、逮捕に繋がるかは状況次第です。防犯カメラの映像が与える影響や逮捕されるケースを理解しておきま...
-
風営法に違反すると、経営者・従業員が逮捕される可能性も十分あります。そのため、風営法の規定を正しく理解したうえで、事業を営むことが重要です。本記事で...
-
もしも自分や家族が刑事告訴され、警察から連絡があったら、逮捕後の流れや、各段階でやるべきことを確認しておく必要があります。本記事を参考に、早めに弁護...
-
犯罪を犯して起訴された場合は、通常、刑事裁判に移行します。刑事裁判は有罪・無罪や刑罰が決定する重要な場になるので、先を見据えてしっかりと準備しておく...
-
名誉毀損の可能性がある行為をしてしまったら、刑法第230条を理解することが非常に重要です。 本記事では、刑法第230条について、どのようなときに名...
-
この記事では、痴漢で解雇されるシチュエーションや、解雇するかどうかを判断するときに考慮されるポイント、弁護士に早期相談・依頼するメリットなどについて...
-
指名手配とは、一定の事件で逮捕状が発布されている被疑者について全国の警察で協力して捜査を行うためのシステムで、逮捕状が出ているものの被疑者が逃亡する...
-
本記事では私人逮捕の条件や私人逮捕によるトラブルの対処法を解説します。
-
本記事では、立ちションと罰金の関係が気になる方に向けて、立ちションだけなら罰金になる可能性はないこと、立ちションと一緒に成立する可能性がある犯罪4選...
刑事事件の基礎知識コラム一覧へ戻る