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強盗未遂とは?成立要件や刑罰、初犯の量刑相場などを解説

東日本総合法律会計事務所
加藤 惇
監修記事
強盗未遂とは?成立要件や刑罰、初犯の量刑相場などを解説

「勢いで強盗をしてしまったけれど、結局何も奪わずに逃げた。何か罪に問われるのだろうか?」

強盗をしようと思ったもののうまくいかず、このような不安を抱えていませんか?

この場合、たとえ実際に被害者から金品を奪っていなくても強盗未遂罪が成立し、逮捕される可能性は十分にあり得ます。

未遂であっても、法律上の刑罰は既遂(実際に奪った場合)と同じく重いので、決して安心はできません。

逮捕や処罰のリスクを少しでも軽減するためには、できるだけ早い段階で弁護士に相談し、適切な弁護活動を受けることが重要です。

本記事では、強盗未遂罪が成立する条件や法定刑、逮捕された場合の手続きの流れ、起訴された場合の量刑相場などを解説します。

今後に適切な対応がとれるよう、ぜひ最後まで参考にしてください。

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強盗未遂とは?

まずは、強盗未遂罪の典型例や、実行の着手時期・既遂時期について確認しておきましょう。

強盗未遂は強盗に着手したものの完遂できなかった場合に成立する

強盗未遂罪とは、暴行や脅迫を用いて財産を奪おうとしたものの、財産を奪えなかった場合に成立する犯罪です。

たとえば、金銭を奪うために被害者にナイフを突きつけたものの、被害者が抵抗したために奪えなかった場合や、金品を持っていなかったために何も得られなかった場合などに成立します。

実行の着手時期|強盗のために暴行・脅迫を開始したとき

強盗罪の実行の着手時期は、強盗をしようという意思をもって、暴行や脅迫を開始した時点です。

たとえば、強盗する目的で誰かの家に侵入しただけでは、まだ暴行や脅迫には至っていないため、強盗未遂罪にはなりません。

この場合、「強盗予備罪」や「住居侵入罪」として処罰されるにとどまります。

また、たとえ強盗の意思があったとしても、相手を脅したり暴力をふるったりせずに物を盗んだ場合は、強盗ではなく「窃盗罪」が成立するにとどまります。

強盗の既遂時期|強盗の対象物を奪い取ったとき

強盗罪の既遂時期は、被害者が持っていた財産や財産上の利益を、暴行や脅迫によって奪い取った時点です。

たとえば、相手の財布を強引に奪ったり、脅して現金を引き出させたりした場合は、強盗罪が成立しますが、財産を奪い取っていなければ、未遂となります。

また、強盗罪の対象になる財産は、原則として移転できるものでなければなりません。

情報やサービスのように形がなくて持ち運べないものは、基本的に強盗罪の対象とはならない点に注意しましょう。

強盗未遂罪が成立するケースの具体例

実際の事件を通じて、どのような行為が強盗未遂とされるのかを確認しましょう。

2024年11月、高松市林町のコンビニエンスストア「セブンイレブン高松林町店」で、刃物を使った強盗未遂事件が発生しました。

犯人の男性は、カッターナイフのような刃物を持って店に押し入り、レジにいた女性店員に「金を出せ」と脅しました。

しかし、店員がこれに応じなかったため、男は金品を奪うことなくそのまま自転車で逃走しました。

本件においては、金銭を奪うことができなかったとしても、男が刃物を使って金銭を要求した時点で「強盗に着手した」といえるので、男性は強盗未遂の容疑に問われています。

強盗未遂の刑罰|自らの意思で踏みとどまったかどうかで変わる

未遂を罰する規定がある犯罪は、既遂の場合と同じ刑罰が科せられます。

そのため、強盗未遂罪の法定刑は既遂と同様に「5年以上の拘禁刑」です。

ただし、強盗未遂罪の場合には、自らの意思で犯罪をやめたのか、それともほかの事情でやめざるを得なかったのかによって、最終的に言い渡される刑罰の重さが変わる場合があります。

自らの意思による未遂(中止未遂)|必ず減刑・免除される

強盗の着手したあとに、自分の意思で犯行を中止した場合は「中止未遂」に該当します。

たとえば、包丁を突きつけて「金を出せ」と言ったものの、急に罪悪感にかられてその場を立ち去ったようなケースなどです。

中止未遂は、自発的に犯罪をやめたという点が評価され、刑罰が必ず減軽・免除されます。

外的要因による未遂(障害未遂)|裁判官の裁量で減軽されることがある

強盗に着手したものの、外的要因で犯罪を完遂できなかった場合は「障害未遂」に該当します。

たとえば、包丁を突きつけて「金を出せ」と言ったものの、店員に抵抗された、周囲に人が集まってきたなどの理由でその場を立ち去ったケースです。

障害未遂は、状況によっては「反省の色が見られる」「被害が軽微」などと評価されるので、裁判官の裁量で刑罰が軽くなる場合があります。

強盗未遂初犯の量刑相場は?懲役(拘禁刑)になる可能性は?判例も紹介

強盗未遂罪の初犯の場合、実刑判決が下されるケースもあれば、執行猶予がつくケースもあります。

刑罰の量刑は、初犯かどうかだけで決まるわけではなく、以下のような事情も踏まえて総合的に判断されます。

  • どれくらい計画的だったか
  • 被害者にけがはあったか
  • 被害金額は多かったか
  • 示談が成立しているか
  • 犯行後にきちんと反省しているか

たとえば、初犯でありながら「懲役3年・執行猶予4年」という判決が言い渡された裁判があります(平成28年・前橋地裁)。

本事案は、店員を押さえつけて暴行や脅迫を加えたうえで20万円を奪ったという内容でした。

計画性がある、被害金額も多額、被害者が負った苦痛も大きいなど、犯行は悪質だったものの、示談が成立していた点や被告人が深く反省していた点、被害者や店舗側が寛大な処分を求める上申書を提出していた点などが考慮され、執行猶予付きの判決となりました。

一方で、初犯であっても「懲役5年の実刑」が言い渡された裁判もあります(平成29年・東京地裁)。

本事案は、被害者に飛び蹴りして転倒させたうえでバッグを奪った共犯者2名をバイクに乗せ逃走させたという内容でした。

被告人は、知人からの誘いを断れずに加担した従属的な立場であり、首謀者ではありませんでした。

しかし、暴力性の高い犯行内容であったこと、被害額が4,000万円以上と極めて高額であったこと、被害者の処罰感情が強かったことに加え、報酬として50万円を受け取っていた点などが考慮され、実刑判決が下されています。

このように、強盗未遂罪における初犯の量刑は、事案の内容によって大きく異なることを覚えておきましょう。

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強盗未遂で逮捕されたあとの流れ

強盗未遂の容疑で逮捕されると、以下の流れで刑事手続きが進みます。

  1. 警察にて取調べを受ける
  2. 検察に送致される
  3. 勾留される(警察署の留置場で身柄を拘束される)
  4. 検察が起訴・不起訴の判断をする
  5. 刑事裁判を受ける

それぞれのステップについて、順を追って解説します。

1.警察にて取調べを受ける

警察に逮捕されると、その場で身柄を拘束されて警察署に連行されます。

その後、警察によって最大48時間の取り調べがおこなわれます。

取り調べでは、警察官から以下のような質問をされます。

  • 犯罪をおこなったのか
  • 自分の意思でやったのか
  • どんな理由でやったのか
  • ほかに関わった人はいるか
  • (事件を認めない場合)アリバイはあるか

なお、軽微な犯罪の場合、検察への送致がなされずに警察段階で微罪処分として手続きが集結するケースもありますが、強盗未遂のような犯罪類型の場合、微罪処分となるケースはまれでしょう。

2.検察に送致される

警察の取り調べが終わると、事件は「検察」に送致され、検察による取り調べを受けることになります。

取り調べでは、警察官での取調べとほぼ同じようなことを聞かれます。

ただし、警察官と異なり、検察官は「この事件を起訴すると有罪判決を得られるか」という観点で取り調べをおこないます。

送致を受けた検察官は、24時間以内に被疑者を釈放するか、裁判所に勾留を請求するか決定します。

つまり、逮捕されてから警察・検察段階までで、最長72時間にわたり身柄を拘束されるのです。

3.勾留される(警察署の留置場で身柄を拘束される)

検察官が被疑者に対して、「逃亡のおそれがある」「証拠隠滅のおそれがある」と判断した場合は、裁判所に勾留請求をします。

そして、勾留が認められると原則として10日間警察署の留置場で身柄を拘束されることになります。

また、勾留の必要があると判断されれば、勾留期間は最長10日間延長されます。

つまり、最長20日間、警察署に身柄を拘束されることになるのです。

なお、勾留中は警察や検察からの取り調べが続きます。

仕事や学校にも行けなくなるので、日常生活に大きな影響が生じてしまうでしょう。

4.検察が起訴・不起訴の判断をする

勾留の期限が近づくと、検察官は被疑者を「起訴」するか「不起訴」にするかを判断します。

なお、不起訴には次のような種類があり、いずれかの処分が下された場合はそのまま釈放されて事件は終了します。

  • 嫌疑不十分:証拠が足りず、犯罪を立証できない
  • 起訴猶予:犯罪は成立する見込みが高いが、反省している・示談が済んでいるなどの事情から、あえて起訴しない

一方、起訴された場合は、その後も勾留が続きます。

起訴後の勾留期間は、原則として2ヵ月 です。

ただし、裁判所の決定により1ヵ月ごとに勾留期間を延長される可能性があり、延長回数に制限は設けられていません。

そのため、保釈が認められない限り、裁判が終わって判決が確定するまで身体拘束が続きます。

5.刑事裁判を受ける

強盗未遂で起訴されると、刑事裁判を受けることになります。

刑事事件には、正式な裁判手続きを経る「公開裁判」と、書面のみで罰金刑を科す「略式裁判」の2種類があります。

しかし、強盗未遂罪の法定刑は「5年以上の有期拘禁刑」であり、罰金刑では済まされないため、略式裁判が選択されることはほぼありません

公開裁判は1ヵ月に1回ほどのペースで開かれ、2回~3回の審理を経て、最終的に判決が言い渡されます。

最終的に有罪判決が下されて実刑となった場合は、被告人は刑事施設に収容されます。

強盗未遂事件を起こした場合にやるべきこと

強盗未遂事件を起こしてしまった場合は、できるだけ早く冷静に対応することが重要です。

とくに以下の2点は、今後の処分に大きく影響します。

  • 被害者との示談を成立させる
  • 刑事事件が得意な弁護士に相談する

それぞれのポイントについて、詳しく解説します。

被害者との示談を成立させる

強盗未遂事件を起こしてしまった場合は、なるべく早く被害者と示談を成立させることが重要です。

強盗罪は、被害者に対して経済的・身体的・精神的にダメージを与える重大な犯罪です。

そのため、検察官が事件を起訴するかどうかを判断する際には、被害者の処罰感情もある程度重視します。

仮に加害者が誠意をもって謝罪し、被害者と示談を成立させていれば、被害者の処罰感情が弱まったと判断され、不起訴処分につながる可能性が高まります。

また、起訴されてしまった場合でも、裁判官が量刑を判断するうえで、示談の有無は大きなポイントとなります。

被害者が処罰を望んでいないという意思を示すことで、執行猶予がつくなどの軽い処分を獲得しやすくなるでしょう。

刑事事件が得意な弁護士に相談する

強盗未遂事件を起こしてしまった場合は、すぐに刑事事件を得意とする弁護士へ相談するのが大切です。

弁護士に相談すれば、被害者との示談をスムーズに進めてもらえるだけでなく、逮捕後の早期釈放や、減刑につながる対応をしてもらえます。

たとえば、弁護士が示談交渉を代理すれば、被害者の不安を和らげながら、冷静かつ適切に話し合いを進められます。

また、弁護士は被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを検察官や裁判官に説明するなど、長期の身体拘束を防ぐために働きかけることも可能です。

そのほか、反省文の作成支援や、家族・勤務先からの嘆願書の提出、カウンセリングの受講、就職先の確保といった、裁判で有利に評価されやすい材料の準備もサポートしてくれます。

こうした取り組みにより、裁判官から「再犯のおそれが低い」と判断されれば、実刑を回避して執行猶予がつく可能性が高まるでしょう。

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強盗未遂についてよくある質問

ここでは、強盗未遂についてよくある質問をまとめました。

似たような疑問をお持ちの方は、ぜひここで疑問を解消してください。

強盗致傷罪の未遂はありえる?

強盗致傷罪の未遂は、法律上認められていません

強盗致傷罪とは、強盗の際に被害者にけがを負わせた場合に成立する罪です。

強盗という行為に加え、「人を負傷させた」という結果が実際に生じていることが必要です。

たしかに、強盗罪自体には未遂処罰規定があり、実際に金品を奪わなくても、脅したり暴力を振るった時点で未遂罪が成立する可能性があります。

しかし、強盗致傷罪は、「傷害」という結果が発生して初めて成立する罪です。

そのため、けがをさせていない段階では強盗致傷罪が成立する余地がなく、強盗罪または強盗未遂罪として処理されます。

強盗未遂罪で執行猶予がつく可能性はある?

強盗未遂罪であっても、執行猶予がつく可能性はあります

そもそも刑事罰の執行猶予がつくには、「3年以下の拘禁刑」または「50万円以下の罰金刑」が言い渡されることが必要です。

強盗未遂罪の法定刑は「5年以上の有期拘禁刑」と定められており、法定刑通りの判決が言い渡された場合は執行猶予は認められません。

しかし、被告人が深く反省している、被害者との間で示談が成立しているなどの事情がある場合には、裁判所が情状酌量を認めて法定刑より軽い刑を言い渡す可能性があります。

具体的には、情状酌量により「懲役3年以下」の刑が言い渡されれば、執行猶予がつく可能性が出てくるでしょう。

強盗未遂罪は「未遂減免」の適用により減刑されることもあり、強盗既遂罪に比べて刑が軽くなる傾向があります。

事案によっては、執行猶予が認められる可能性も十分にあるでしょう。

さいごに|強盗は未遂でも犯罪!一刻も早く弁護士に相談を!

本記事では、強盗未遂の成立要件や量刑について解説しました。

強盗未遂罪は、暴行や脅迫によって財物を奪おうとした時点で、実際に被害者からお金や物を奪っていなくても成立します。

強盗未遂罪は、強盗既遂罪に比べて刑が軽くなる傾向にありますが、それでも重い刑罰が科される可能性はあります。

初犯であっても実刑判決が言い渡されるケースも実際にあるため、甘く見てはいけません。

刑罰を少しでも軽くするためには、できるだけ早く刑事事件を得意とする弁護士に相談することが重要です。

弁護士に相談すれば、被害者との示談交渉や早期釈放に向けた弁護活動など、適切な対応を進めてもらえます。

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編集部

本記事はベンナビ刑事事件を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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