刑事裁判の流れとは?刑事裁判の全体像と法廷での具体的なやり取りについて解説
- 「刑事裁判はどのような流れで進むのか」
- 「被告人は刑事裁判でどのような対応を求められるのか」
一般的に、犯罪を犯して起訴されると刑事裁判が開かれます。
刑事裁判は有罪・無罪や刑罰が審理される重要な場となるため、基本的な知識を身につけたうえで臨むことが大切です。
しかし、刑事裁判は何度も経験するものではないため、具体的なイメージが湧かず、不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、刑事裁判の大まかな流れについて解説します。
今後の動きを把握し、心構えをしておきたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
刑事裁判の大まかな流れ|起訴から判決確定までの3ステップ
はじめに、刑事裁判の大まかな流れを解説します。
起訴・裁判・判決の3ステップに分けられるので、それぞれ詳しくみていきましょう。
1.検察が起訴をする
警察から事件を引き継いだ検察官は、被疑者が罪を犯していることが明白で証拠もあり、裁判にかけて刑罰を科すべきだと判断すると起訴をします。
検察官に事件が引き継がれてから起訴されるまでの期間は、被疑者が勾留されている場合と在宅事件とで異なります。
勾留されている場合は最長20日間、在宅事件の場合は2ヵ月〜4ヵ月かかるケースが多いです。
なお、起訴されない場合は不起訴となり、その時点で事件は終了し、刑罰を受けることも前科がつくこともありません。
2.刑事裁判が開かれる
検察官が裁判所に対して起訴状を提出すると、刑事裁判が開かれます。
事実関係に争いがなければ、1回の期日で審理が終了し、2回目の期日で判決を言い渡されるケースが一般的です。
多くの場合は、起訴から2ヵ月~3ヵ月程度で裁判が終了します。
一方、事件の内容が複雑で、被告人が否認している場合などは、期日が数十回に及ぶこともあります。
実際、判決が出るまでに1年以上を要するケースも少なくありません。
3.控訴しなければ判決が確定する
被告人が控訴をしなければ、そのまま判決が確定します。
控訴とは、判決の内容が不服であるとして、さらに上級の裁判所で審理をおこなうよう申し立てることです。
控訴ができるのは、判決の言い渡し日の翌日から14日以内です。
なお、法令の適用に誤りがあったり、刑の量定が不当であったりと、相当な理由がなければ控訴しても棄却されます。
控訴審で判決が覆る可能性は非常に低い点に注意してください。
刑事裁判の具体的な流れ|法廷でおこなわれる4つの主な手続き
次に、刑事裁判の法廷でおこなわれる4つの手続きについて解説します。
引用元:刑事事件 | 裁判所
1.冒頭手続|裁判所が被告人に間違いがないかなどを確認する
刑事裁判では、まず冒頭手続がおこなわれます。
冒頭手続の具体的な流れは以下のとおりです。
- 人定質問:裁判官から被告人への問いかけによって人違いでないかを確かめる
- 起訴状朗読:検察官が起訴状を読み上げて審判の対象を明らかにする
- 権利告知:裁判官が被告人に対して黙秘権の説明をおこなう
- 意見陳述:被告人・弁護人に罪状を認否する機会が与えられる
冒頭手続は、形式的なやり取りになるケースが一般的です。
通常は5分程度で終了し、次の「証拠調べ手続」に移行します。
2.証拠調べ手続|裁判所が証拠について確認作業をおこなう
冒頭手続のあとは、証拠調べ手続がおこなわれます。
証拠調べ手続は検察側、弁護側の順に以下のような流れで進められます。
- 冒頭陳述:証明しようとする事実を読み上げる(基本的には検察側のみ)
- 証拠調べ請求:裁判所に証拠の取調べを求める
- 証拠調べ請求に対する意見:対峙する側が証拠調べ請求に対する意見を述べる
- 証拠決定:裁判官が証拠を取り調べるかどうかを決定する
- 証拠調べ:証拠書類・証拠物の確認や証人尋問を通して事実認定をおこなう
また、証拠調べの最後には、被告人質問がおこなわれます。
弁護人・検察官・裁判から質問を受けるかたちで、被告人が自らの意見を主張することになります。
3.弁論手続|裁判所が検察官、弁護人、被告人の意見を聞く
証拠調べが終わったら、弁論手続に移行します。
弁論手続は、裁判官が検察官・弁護人・被告人の意見を聞く手続きです。
具体的には、以下の流れで弁論手続が進められます。
- 検察官による論告:事件に関する意見を述べて求刑する
- 弁護人による弁論:弁護人が事実関係をまとめて処罰などに関する意見を述べる
- 被告人による最終陳述:被告人本人が反省の弁や否認する理由などを述べる
最終陳述を終えると、刑事裁判の審理は終了します。
4.判決言い渡し|裁判所が有罪か無罪かなどを言い渡す
最後に、裁判官から被告人に判決が言い渡されます。
法廷で読み上げられる判決主文の内容は、おおむね以下のとおりです。
- 有罪か無罪か
- 刑罰の内容
- 執行猶予の有無
- 労務場留置における日当(罰金刑の場合)
- 訴訟費用を被告人に負担させるかどうか
判決に不服がある場合は、14日以内に控訴するかどうかを判断しなければなりません。
通常の刑事裁判以外の裁判の流れ|裁判員裁判・略式裁判
ここでは、裁判員裁判・略式裁判になった場合の流れを解説します。
1.裁判員裁判の場合|基本的な流れは通常の刑事裁判と同じ
裁判員裁判の基本的な流れは、通常の刑事裁判と同じです。
しかし、裁判員は一般市民から選ばれるため、日常生活への影響を考慮し、効率的に審理を進める必要があります。
そこで導入されている施策が「公判前整理手続」です。
裁判官・検察官・弁護人が裁判の前に争点を絞ったり、どんな証拠によって立証するのかをあらかじめ開示したりします。
また、裁判員裁判の公判は、通常の刑事裁判と違って基本的に連日開廷されます。
公判の回数は5日~10日ほどで、短期集中で事件を終結させるようスケジューリングされるのです。
なお、通常の刑事裁判であれば、審理を経て裁判官が判決を言い渡しますが、裁判員裁判においては、審理のあとで裁判官と裁判員が評議をおこないます。
被告人を有罪とするのか無罪とするのか、有罪とする場合どれくらいの刑罰を適用するのかなどを話し合うのです。
裁判官は、評議の結果に基づいて数日以内に判決を言い渡します。
裁判員裁判であっても、被告人は控訴が可能です。
控訴審は裁判員裁判ではなく、通常の刑事裁判と同様に裁判官のみの判断で判決が下されます。
【裁判員裁判になった場合の大まかな流れ】
- 公判前整理手続
- 公判
- 評議
- 判決
- 控訴
2.略式裁判の場合|検察が提出した書面で審理がおこなわれる
略式裁判は、100万円以下の罰金または科料に相当する事件について、書類のみで審理をおこなう手続きです。
略式起訴による事件処理が妥当と判断された場合、検察官が被疑者に説明し、同意を求めます。
そして、被疑者の同意を得られた場合に限り、検察官は裁判所に対して略式起訴を請求します。
最終的に裁判所が略式起訴を認めれば、書面での審理が進められ、判決が下されます。
判決は、略式命令という書面が届くことで確認可能です。
留置場で受け取るか、自宅へ郵送されるものを受け取ることになります。
そのあと罰金・科料の納付書が自宅に届くため、納付すれば手続きは終了です。
なお、略式命令の内容に不服がある場合は、略式命令を受け取ってから14日間以内に正式な刑事裁判を開くよう申し立てることができます。
また、支払いができない場合は、労役場で強制労働に服することになります。
【略式裁判になった場合の大まかな流れ】
- 起訴
- 判決
- 罰金の納付
さいごに|刑事裁判を理解したら判決を下されたあとの流れも確認しよう
刑事裁判で判決を下されたら、刑が執行されます。
拘禁刑であれば刑事施設に収容され、罰金刑であれば納付書が送られてくるので速やかに納付しなければなりません。
刑事裁判の各種手続きに関して、不明な点や疑問点がある場合は、できるだけ早く弁護士に相談しましょう。
経験豊富な弁護士に相談すれば、そのときの状況を客観的に分析したうえで、今後やるべきことを提案してくれるはずです。
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