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住居侵入罪は初犯でも逮捕・起訴される?起訴回避のポイントも解説

住居侵入罪は初犯でも逮捕・起訴される?起訴回避のポイントも解説
  • 「ちょっとした出来心で人の家に入ってしまった…」
  • 「初犯でも住居侵入罪で逮捕されるのだろうか…」

このような不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。

住居侵入罪は刑法130条に定められた犯罪で、たとえ初犯であっても状況によっては逮捕・起訴される可能性があります。

本記事では、住居侵入罪において初犯でも逮捕・起訴されるかどうか、実際に起訴を回避するためにできる対応策について、わかりやすく解説します。

「今後どう対応すればいいのかわからない」という方は、ぜひ最後まで参考にしてください。

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住居侵入罪の初犯で警察に見つかったらどうなる?

まずは、前科前歴のない初犯の犯人が住居侵入罪の容疑を警察にかけられたときにどうなるかについて解説します。

住居侵入罪は初犯でも逮捕される可能性が十分にある

住居侵入罪は比較的軽微な犯罪類型に分類されますが、犯罪である以上、初犯でも逮捕される可能性はゼロではありません

たとえば、他人の家に無断で立ち入ったところを家主に見つかり、110番通報によってかけつけた警察官にその場で現行犯逮捕される可能性があります。

また、防犯カメラの映像や目撃者の証言、ドアノブや窓、室内などに残された指紋などの客観的証拠から、後日逮捕状が発付されて、通常逮捕されることも考えられます。

そのため、「住居侵入罪は軽い罪だから逮捕されることはないだろう」「初犯だからいきなり逮捕されずに話を聞かれる程度だろう」というのは間違いです。

住居侵入罪は初犯でも起訴され有罪となる可能性がある

住居侵入罪は初犯だからという理由で見逃してもらえるわけではありません

令和6年版犯罪白書によると、令和5年に捜査機関が認知した住居侵入事件の件数は10,627件で、このうち実際に検挙に至った件数は5,454件です。

つまり、住居侵入罪に当たる犯罪に及んだ場合には、約50%の確率で警察などに犯人だと特定されて、逮捕されたり任意で事情聴取を求められたりしているということです。

また、住居侵入罪の容疑で起訴された2,072人のうち、前科がない、つまり初犯の人の割合は約43.7%にも及んでいます。

そのため、住居侵入罪で捕まった人が初犯であったとしても起訴されて有罪になる可能性は十分にあるといえるでしょう。

住居侵入罪は初犯で起訴されても、略式起訴で罰金刑となることがほとんど

住居侵入罪の法定刑は、3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金刑と定められてます。

ただし、被疑者・被告人に対してどのような刑罰を科すかは、さまざまな事情が考慮されたうえで決定されます。

たとえば、以下のような事情があれば、軽い量刑判断が下される可能性が高いです。

  • 被害者との間で示談が成立している場合
  • 前科・前歴のない初犯の場合
  • 自ら罪を認めて真摯に反省をしている場合 など

そのため、住居侵入罪の容疑で起訴されたとしても、初犯なら拘禁刑ではなく罰金刑が選択される可能性が高いといえるでしょう。

また、住居侵入罪の容疑で起訴される場合には、略式手続きの対象になることが多いです。

略式手続きとは、簡易裁判所の管轄事件のうち、100万円以下の罰金刑または科料を科すのが相当と認められる刑事事件について、被疑者の同意がある場合に限って、書面審理だけで刑事罰を確定させる手続きのことです。

検察官が略式起訴をしたときには、裁判所が求刑通りの罰金刑または科料を下します。

正式裁判ではなく略式裁判の対象と扱われると、公開の刑事裁判で反論をする機会が失われます。

しかし、正式裁判に対応する労力・時間が節約されるので、すぐに罰金刑を確定させて社会復帰に向けて準備できる点で大きなメリットがあります。

住居侵入罪はほかの罪が付随することが多い

他人の住居などへの侵入を理由に刑事訴追されるケースでは、住居侵入罪以外の罪状が適用されるかが問題になるケースも少なくありません。

ここでは、住居侵入罪以外の容疑をかけられたときの刑事実務の動向について解説します。

ほかの罪が付随すると、長期間身柄拘束される危険性がある

住居侵入罪だけの容疑をかけられて逮捕された場合、以下の期間、捜査機関に強制的に身柄拘束される可能性があります。

  • 逮捕段階(原則72時間以内)
  • 勾留段階(最長20日間以内)

ここで注意しなければいけないのが、捜査段階における強制的な身柄拘束処分の制限時間は、事件単位でカウントされる点です。

仮に、住居侵入罪の容疑で逮捕・勾留されたあと、窃盗罪などの別事件の容疑でも逮捕・勾留がおこなわれるとします。

その場合、検察官が公訴提起するかどうかの決定をするまでに、数ヵ月に及ぶ身柄拘束を強いられかねません

そして、捜査機関に身柄を押さえられている間は留置場に身柄を留められるので、起訴・不起訴にかかわらず、社会生活にさまざまな悪影響が生じることになります。

ほかの罪が付随していた場合、より重い刑罰が科せられる可能性がある

住居侵入罪が問題になる事案では、別の犯罪の容疑をかけられることも少なくありません

たとえば、財物を窃取する目的で他人の家に侵入した場合、住居侵入罪とは別に、窃盗罪や窃盗未遂罪の容疑で刑事訴追される可能性があります。

住居侵入罪の法定刑は3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金刑ですが、窃盗罪・窃盗未遂罪の法定刑は10年以下の拘禁刑罰または50万円以下の罰金刑です。

しかし、住居侵入罪と窃盗罪は、それぞれの刑罰を比較して重いほうが科されるので、住居侵入罪よりも重い窃盗罪の法定刑の範囲で刑事罰が科されます

ほかにも、他人の住居に侵入した人が以下のような目的を有していた場合には、住居侵入罪よりも重い刑事罰が科される可能性があります。

住居侵入時に抱いていた目的、住居侵入後に達成した行為 適用される犯罪類型(未遂犯を含む) 科される法定刑
他人の家に侵入して、財物を窃取する 窃盗罪 10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金刑
他人の家に侵入して、居住者を脅すなどして、財物を強取する 強盗罪 5年以上の有期拘禁刑
他人の家に侵入して、所在している人を殺す 殺人罪 死刑または無期もしくは5年以上の拘禁刑
他人の家に侵入して、被害者に対してわいせつな行為をする 不同意わいせつ罪 6ヵ月以上10年以下の拘禁刑の拘禁刑
他人の家に侵入して、被害者に対して性交等に及ぶ 不同意性交等罪 5年以上の有期拘禁刑
他人の家に侵入して、盗撮行為に及ぶ 性的姿態撮影等罪 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金刑
他人の家に侵入して、のぞき行為をする 軽犯罪法違反 拘留または科料

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住居侵入罪の初犯で罰金刑のみで済んでも、前科はついてしまう

住居侵入罪の容疑で起訴されたとしても、別の罪状で起訴されず、かつ初犯であれば、罰金刑になる可能性が高いです。

ただし、罰金刑であったとしても、有罪判決であることに変わりはありません。

つまり、実刑判決や執行猶予付き判決が確定した場合と同じように、罰金刑も前科として扱われるということです。

前科がつけば、普段の生活でさまざまなデメリットを受ける可能性がある

住居侵入罪の容疑で有罪になり、前科持ちになると、その後の社会生活にさまざまなデメリットが生じます

たとえば、前科は民法上の「法定離婚事由」に該当すると考えられているので、配偶者から前科を理由に離婚を求められると、離婚が成立する可能性があります。

そして、前科が原因で離婚に至った場合には、慰謝料や親権、面会交流権などの離婚条件も不利になってしまうでしょう。

また、前科がつくと、就職活動や転職活動が不利になる可能性が高いです。

というのも、賞罰欄付き履歴書の提出を求められたり採用面接で質問されたりすると、前科がある事実を申告しなければいけないからです。

ほかにも、前科があるとビザ・パスポートの発給が制限されたり、前科を理由に就業が制限される職業があったりするなど、さまざまなデメリットが存在します。

前科によるデメリットは以下の記事でも詳しく紹介しているので、あわせて参考にしてください。

住居侵入罪の初犯で起訴を回避し、前科をつけないためには?

前科による社会生活への悪影響を減らすには、不起訴処分の獲得を目指すことが重要です。

「他人の家に侵入した事実に間違いはないのだから、不起訴処分を獲得するのは難しいのではないか」と考える人も少なくはないでしょう。

しかし、これは間違いです。

実際に犯行に及んだ事実を争う余地がない状況でも、適切な防御活動を展開すれば、不起訴処分を獲得できます

ここでは、住居侵入罪の容疑で刑事訴追された場合に、不起訴処分を獲得するために役立つポイントについて解説します。

なるべく早く弁護士に相談する

住居侵入罪の初犯で不起訴処分を獲得するためには、なるべく早く弁護士へ相談することが大切です。

そもそも、検察官が起訴猶予処分を下すかどうかを判断するときには、犯人の性格、年齢、境遇、犯罪の軽重や情状、犯罪後の情況など事情が総合的に考慮されます。

たとえば、取り調べに対してどのような供述をしているか、反省の態度を示しているか、社会生活を送りながら自力更生を目指せる環境が整っているか、などの事情も判断材料に含まれます。

その点、刑事事件に力を入れている弁護士は、どのような事情があれば検察官から起訴猶予処分の判断を引き出すことができるかを熟知しているので、さまざまな手段を使って検察へ働きかけてもらえるでしょう。

被害者との示談を成立させる

起訴猶予処分を獲得できるかどうかの大きなポイントになるのが示談の成否です。

被害者との間で示談契約が成立していれば、検察が「当事者間で問題は解決済みである」と判断する可能性が高まり、起訴猶予処分を獲得しやすくなります。

なお、示談交渉は加害者本人が被害者との間で直接進めることも可能です。

しかし、示談成立によって起訴猶予処分獲得を目指すなら、示談交渉自体を弁護士に依頼することを強くおすすめします。

なぜなら、示談交渉を弁護士に任せることで、以下のメリットを得られるからです。

  • 検察官の公訴提起判断に間に合うように示談成立を目指してくれる
  • 相場どおりの示談条件での合意形成を実現しやすくなる
  • 感情的になっている被害者側からの不当な請求に対しても丁寧に交渉を進めてくれる
  • 弁護士が代理人に就くことで被害者側の連絡先を入手しやすくなる
  • 宥恕条項や清算条項など、示談書に盛り込むべき内容を全て記載して不足の事態に備えてくれる など

特に、住居侵入罪の容疑で逮捕・勾留された場合には、検察官が公訴提起するかを決定するまでの期間が限られてしまいます。

スピーディーに示談交渉を進めなければ、起訴・不起訴が決まるまでに示談成立が間に合わない危険性もあるので、できるだけ早いタイミングで信頼できる弁護士に問い合わせるようにしてください。

住居侵入罪の初犯についてよくある質問

さいごに、住居侵入罪の容疑をかけられた初犯の人からよく寄せられる質問をQ&A形式で紹介します。

住居侵入罪の示談金相場はどのくらいですか?

住居侵入罪の示談金相場は10万円~20万円程度です。

ただし、示談条件については法的な制限はありません。

そのため、被害者側の怒りが強く、示談相場通りの金額であっても示談が成立しないケースもあります。

また、住居侵入罪以外に窃盗罪や強盗罪などの罪状に問われるような事態では、被害額などを勘案したうえで示談金額が算出されるので、被害状況によっては示談金がさらに高額になる可能性もあります。

無断で住居に入っても住居侵入罪が成立しない「正当な理由」とはどんなものですか?

住居侵入罪は、「正当な理由がないのに」人の住居などに侵入したときに成立する犯罪類型です。

つまり、人の住居に侵入することについて正当な理由がある場合には、住居侵入罪は成立しません。

なお、正当な理由があるかどうかは、個別具体的な事情を総合的に考慮して判断されます。

たとえば、以下のような事情がある場合には正当な理由があると考えられます。

  • 住居の管理権限を有する人物から立ち入りの許可を得ている場合
  • 消防や救助、事件発生時の捜査などの目的で緊急で立ち入る場合
  • 自宅に居住している人物の消息が不明な状況で安否確認のために立ち入る場合 など

一方、以下のようなケースでは、正当な理由がないと判断される可能性が高いです。

  • 別居中の配偶者、元恋人、知人の自宅に無断で侵入する場合
  • 空き家や廃墟などに勝手に立ち入る場合
  • 自分の家と間違えて他人の部屋に立ち入る場合 など

不法侵入の悪意なし(例:私有地と知らなかった)でも、住居侵入罪で逮捕されますか?

住居侵入罪は故意犯です。

そのため、「正当な理由なく他人の住居などに侵入すること」に対する認識・認容がなければ住居侵入罪は成立しません。

たとえば、私有地だとは知らずに立ち入った場合には、住居侵入罪は不成立です。

ただし、故意があったかどうかは客観的な事実関係から総合的に判断される点に注意が必要です。

たとえば、被疑者が他人の私有地に立ち入る際に、周囲をキョロキョロと見回して人がいないことを確認している様子が防犯カメラなどで撮影されていた場合には、「私有地とは知らなかった」という言い訳は通用しにくいでしょう。

さいごに|住居侵入罪で前科をつけないためには弁護士に相談を!

住居侵入罪は刑法犯なので、初犯であったとしても逮捕されて、有罪になるリスクに晒されます

「住居侵入罪は軽微な犯罪だから大丈夫」「初犯だからいきなり逮捕されることはないはず」などと安易に考えるのではなく、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談をしてアドバイスをもらうべきでしょう。

なお、ベンナビ刑事事件では、住居侵入罪などの刑事事件を得意とする弁護士を多数紹介中です。

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この記事の監修者
前田 歩 (兵庫県弁護士会)
ご相談者様の信頼に応えるべく「明石で一番頼れる弁護士」を目指すというモットーのもと、日々精進しています。積み重ねた豊富な知識と経験をご相談者様の利益の最大化のために活かしています。
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編集部

本記事はベンナビ刑事事件を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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