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公開日:2016.7.4  更新日:2020.2.25

傷害罪で逮捕されるケースとは?|傷害事件の刑罰や暴行罪との違い

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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傷害罪は、「人の身体を傷害した」ことを処罰するもので、刑法204条に規定された罪です。

 

人の身体や生命の安全を保護するためこれらを侵害する行為を処罰するものですが、最近では中高校生や軽度の障害者でも逮捕される事件が発生しており、性別や年齢を問わず加害者になりえる犯罪と言えるかもしれません。

 

傷害罪の場合、単体での犯罪以外にも暴行罪や現場助勢罪など他の犯罪が問題になるケースがありますから、どういった行為が傷害罪での逮捕につながるのかをきちんと知っておくことが大切かと思います。

 

今回は、傷害罪の基本的な知識や関連する犯罪、傷害罪で逮捕される可能性が高いケースをご紹介したいと思います。

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傷害罪とは

傷害罪は、他人の身体に対する侵害を犯罪とするもので、刑法204条以下の第27章に傷害の罪として規定が置かれています。

 

まずは、傷害罪の基本的な知識を整理してみましょう。

 

構成要件

(傷害)

第二百四条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

(傷害致死)

第二百五条 身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、三年以上の有期懲役に処する。

(引用元:刑法204条・205条

 

傷害罪の構成要件は、「他人の身体を傷害した」ことです。自分の身体に対する傷害は罪になりませんが、母親に傷害を加えて胎児に致死傷の結果を生じさせるのは、傷害罪が成立するとされています(最決昭和63年2月29日)。

 

また、暴行の認識があって傷害すれば傷害罪の故意があると判断されることになります(最判昭和25年11月19日)。

 

傷害とは「人の生理的機能に障害を加えること」をいい、次のような行為は傷害罪を構成するとされています。

 

  • めまい・下痢を起こさせる行為
  • 皮膚の表皮を剥離する行為(大判大正11年12月16日)
  • 性病であることを隠して相手を性病に感染させる行為(最判昭和27年6月6日)
  • 強度のキスマークをつける行為(東京高判昭和46年2月2日)
  • 怒号等の嫌がらせによって他人を不安・抑うつ状態に陥れる行為(名古屋地判平成6年1月18日)
  • 暴行や脅迫によってPTSDを惹起する行為(最決平成24年7月24日)

 

傷害の方法は有形・無形を問わないとされていますが(最決平成17年3月29日)、有形的方法による傷害未遂が暴行罪になるのに対し、無形的方法による傷害未遂は不可罰となるといった違いが出てきます。

 

なお、傷害行為によって他人を死亡させると、傷害致死罪(205条)が成立し、法定刑も重くなります。

 

法定刑

傷害罪の法定刑は15年以下の懲役または50万円以下の罰金とされており、傷害致死罪になると3年以上の有期懲役という、より重い罰が科されることになります。

 

傷害罪と暴行罪の違い

傷害罪と暴行罪は、どちらも人に向けられた暴行等によって生じた結果について処罰するものなので、両者の区別が難しく感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

結論から言えば、傷害罪は暴行罪の結果的加重犯とされており、傷害罪の故意が暴行の認識で足りるように、暴行罪から傷害罪に変わるのは決して珍しくないのです。

 

ここでは、傷害罪と暴行罪の違いを簡単に整理してみたいと思います。

 

暴行罪とは

暴行罪は、「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったとき」の罪で、刑法208条に規定されています。

(暴行)

第二百八条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

(引用元:刑法208条

 

暴行を加えるとは、他人の身体に対する有形力の行使のことをいい、暴行罪では「不法な有形力の行使が人の身体に対して加えられる場合(狭義の暴行)」が問題になります。

 

そして、具体的には次のような行為が暴行罪に該当します。

 

  • 他人の髪の毛を切る行為(大判明治45年6月20日)
  • 狭い4畳半の部屋で日本刀の抜き身を振り回す行為(最決昭和39年1月28日)
  • 携帯用拡声器で大声を発する行為(大阪地判昭和42年5月13日)

 

傷害罪と暴行罪の区別

傷害罪と暴行罪の区別としては、「人の生理的機能に障害が加えられたか否か」がカギになります。

 

例えば髪の毛を同意なく切る行為は暴行罪にあたるとされていますが、髪の毛を同意なく抜く行為は傷害罪になる可能性があります。また、髪の毛を切る際に誤って肌を傷つけてしまったり、単なる無言電話であっても相手方がPTSDなどになれば、暴行罪でなく傷害罪が成立する余地は充分あるのです。

 

このように、傷害罪が成立するか否かは行為態様や発生結果に左右されますので、暴行罪だと思っていたのに傷害罪になってしまった!という可能性には要注意と言えるでしょう。

 

直接傷害していなくても罪に問われる可能性がある!|現場助勢罪に注意

刑法206条は、傷害または傷害致死を生じさせる暴行が行われている際に、その場所で加害者を扇動したり、犯罪意思を強める行為を行った者も処罰すると規定しています。

 

このとき、加害者と一緒に自ら傷害した者については傷害罪の共同正犯または同時犯が成立するとされていますが、要は単にヤジを飛ばして行為者を煽った人であっても、処罰対象になる可能性があるということです。

 

(現場助勢)

第二百六条 前二条の犯罪が行われるに当たり、現場において勢いを助けた者は、自ら人を傷害しなくても、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

(引用元:刑法206条

 

現場助勢罪であっても、1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料が科されることになりますので、こういった行為に心当たりがある場合には、まず弁護士へ相談することをおすすめします。

 

 

傷害事件の逮捕・判決の割合

平成28年度の犯罪白書によれば、平成27年の傷害事件のうち、警察や検察で被疑者が逮捕されたケースは約57%です。傷害罪では、半数以上の加害者が逮捕されているということになり、逮捕された加害者について約88%で勾留請求が認容されています。


傷害罪の起訴率は約46%で、起訴された事件のうち、公判請求(※)される割合は約39%、略式起訴(※)される割合は約61%です。

暴行罪の公判請求が約18%であることに比べると、傷害罪では公判請求をされる割合がかなり高くなっています。


※公判請求:罰金刑以上の判決が必要な際、正式裁判を請求して審理すること。

※略式起訴:書面で行われる命令、請求のこと。100万円以下の罰金・科料など軽い罪状を伝える際に使われます。

 

傷害事件を起こしてしまうと、逮捕された人のうち約34%が起訴され有罪になり、実刑判決や罰金刑といった処罰が待っています。有罪=前科がつくということなので、就職等に不利になることがあります。

 

また、実刑とは、懲役刑を受けて実際に刑務所に入れられることをいいます。
 

 

傷害事件での逮捕後の流れ

傷害事件で逮捕されると、次のような流れで手続きが進んでいきます。

 

加害者の身柄は、逮捕から送検までは留置場、勾留請求が許可されれば留置場または拘置所に置かれることになりますが、いずれにしても家族等が簡単に面会できるわけではありません。

 

特に逮捕から3日間は家族等はまず面会できませんが、弁護士であれば被疑者の弁護のために接見交通権を行使することができるので、加害者に寄り添った対応を期待できます。

 

傷害罪の場合でも、起訴前に示談交渉がまとまれば罪が軽くなる可能性が高いので、早い段階から弁護士を選任しておくのが大切かと思います。

 

▶参考:

刑事事件の流れ|重要な48時間・72時間・23日以内の対応

【刑事事件】事件別の示談金相場一覧と示談交渉のポイント

 

傷害事件で逮捕されたら示談成立を目指そう

傷害事件を穏便に解決できる一番の方法に、示談があります。

 

傷害罪に問われたとしても、被害者と示談によって和解することができれば、不起訴処分となって前科がつくのを免れることができる可能性が高くなりますから、ここで示談について簡単にご紹介いたします。

 

示談金の相場

示談金の相場は、被害者の傷害の度合いや事件状況、動機・経緯にもよりますが、だいたい被害者の被った損害(治療費、休業損害等)+慰謝料20~40万円ほどを見積もった方がいいかと思います。

 

なお、被害者に後遺障害が残った場合には、後遺症逸失利益等の損害が加わるため、示談金は数百万円を超えることもあります

 

また、後遺障害は相当期間治療を継続して治癒の段階でなければ判断できないため、そもそもこのようなケースでは刑事手続中の示談は難しいでしょう。いずれにせよ、ケースバイケースで柔軟に考えることが大切です。

 

被害者側は相場よりも高めの金額を請求してくることも多いので、いかに双方の差額を少なくしていくかが示談成立のポイントになります。

 

示談を成立させるためには弁護人に依頼をする

示談成立のためには私選であれ国選であれ弁護人に示談交渉を依頼することから始めます。弁護人でなければ示談交渉を行えないのには、次のような理由があります。

 

被害者の電話番号や住所などの連絡先を知ることができない

もし見知らぬ人に怪我を負わせてしまった場合、被害者に謝罪や示談の話をしようとしても、警察は被害者の連絡先を教えてくれません。

 

被害者側は報復のリスクなどから警察やれっきとした弁護士以外の人に連絡先を知られるのを嫌がりますから、法律に詳しい友人などで対応しようとせず、きちんと弁護士資格を有する弁護人を立てることが大切です。

 

被害者と加害者の間に入ってくれる

仮に被害者の住所や電話番号を知っている場合であっても、加害者本人や家族が示談交渉をすることは避けたほうが無難です。

 

被害者を余計怒らせてしまうと、示談交渉の余地がなくなってしまいますし、そもそも加害者本人は身体拘束されており物理的に示談交渉ができないことが通常です。

 

したがって、示談交渉は弁護人に依頼する以外に方法はないと考えておくのが良いでしょう。

 

適正な示談金額を判断してもらえる

被害者のタイプによっては、前科を付けたくない加害者の足元を見て、明らかに高額な示談金を提示してくる場合があります。この場合、弁護士を立てていれば、正当な相場の示談金で解決を図ることができる可能性が高いでしょう。

 

とはいえ、あまりにも値切りすぎると被害感情を逆なでしかねませんから、そのあたりの見極めもプロに任せた方が安心です。

 

重要弁護士に示談交渉を依頼するメリットとは?

 

弁護士費用はいくらぐらい?

弁護士費用は事件の内容や事務所によってまちまちなので一概に言えませんが、私選で依頼する場合には相場として60~100万円くらいを見ておいたほうが良いでしょう。

 

なお、国選弁護人に費用はかかりませんが、一定のデメリットもありますので、より確実な示談を目指すのであれば、私選弁護人を選任することをお勧めします。 

▶参考:国が弁護士費用を負担する国選弁護人にはデメリットも多い

 

相談料

弁護士事務所の多くでは、初回相談無料を行っています。

 

基本的な相談料を1時間1~2万円としている事務所が多いので、困ったらまず相談してみましょう。

 

着手金

弁護士に依頼をする際に発生する料金です。相場としては、逮捕勾留されていない場合は25~40万円逮捕勾留されている場合は40~60万円です。

 

また、弁護士事務所によっては、起訴前の着手金、示談交渉の着手金などそれぞれの段階で着手金が発生する場合がありますので、事前に弁護士事務所にしっかり確認しましょう。

 

着手金に関しては、依頼をキャンセルしても戻ってこないのが通常なので、依頼の際には納得いくまで質問し、あなたに合った弁護士を選ぶことが大切です。

 

報酬金

弁護士の努力により、示談がまとまったり判決が変わった(無罪になったり軽い罪で済んだ)場合には、それに対する報酬金を払います。こちらも相場として30~60万円で、不起訴になった、示談交渉が成立したなど、それぞれの段階で報酬金が発生する場合もあります。

 

こちらも事前に弁護士事務所にきちんと確認して、どういった料金体系になっているのかを理解しておいた方が良いでしょう。

 

交通費、日当

事務所によっては、弁護士が勾留されている被疑者に会いに行く際の交通費や日当がかかる場合があります。

 

ここまで見てもわかるように、私選弁護人の弁護士費用は、一般的には高額になります。

 

しかし、被疑者が実刑や前科を免れることや、被疑者と家族の将来を考えるのであれば、起訴される前に示談を行って不起訴や減刑に持ち込んだ方が絶対に良いでしょう。

 

また、早い段階から弁護人がつくことで勾留を避けられる可能性もありますので、弁護士費用で悩む前に相談だけはしておいた方が良いかと思います。
▶参考:刑事事件の弁護士費用と弁護士費用を抑える3つの方法
 

 

 

まとめ

いかがだったでしょうか。

 

傷害罪は、酔って気が大きくなったり、むしゃくしゃしているときに起こりやすい犯罪ですから、誰でも加害者になり得る身近な犯罪と言えるでしょう。

 

もしも逮捕されてしまうと、誰とも連絡を取れず孤独な闘いを強いられることになりますので、まずは国選でも私選でも、弁護士と会ってみることをおすすめします。

 

本記事が、少しでもお役に立てれば幸いです。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
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編集部

本記事は刑事事件弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※刑事事件弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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