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公開日:2019.12.23  更新日:2020.2.26

傷害事件を起こしてしまった|被害届を出されたら逮捕される?

東京スタートアップ法律事務所
中川 浩秀 弁護士
監修記事
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傷害事件を起こしてしまったら、相手の負傷状況次第で非常に重い刑罰を科される可能性もあります。

 

万が一にも相手が死亡してしまったら、「傷害致死罪」として3年以上20年以下の懲役刑が適用されます。

 

傷害事件では、被害者の対応次第で状況が大きく変わります。被害届を出されるか出されないかで、逮捕されるかどうかや起訴・不起訴の判断が変わることもあります。

 

今回は傷害事件を起こしてしまったとき、被害届を出されたらどうなるのか、取り下げてもらう方法があるのかなどを解説していきます。

 

傷害事件を起こしてしまった場合に問われ得る罪

傷害事件を起こしてしまったときには、以下のような罪に問われる可能性があります。

 

相手の容態によって問われ得る罪が変わる

傷害事件では、被害者の容態によって成立する罪が異なります。

 

それぞれの正確な条文と、それらの罪が問われ得る要件を確認しましょう。

 

怪我をしてしまった場合は傷害罪に問われる

“人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。”

刑法第二百四条 傷害

人に暴行等を加え、相手がケガ、もしくは疾患を発症した場合には「傷害罪」が成立します。

 

刑罰は15年以下の懲役または50万円以下の罰金刑です。

 

怪我をしなくても暴行罪が適用される可能性がある

“暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。”

刑法第二百八条 暴行

幸い相手がけがをしなかった場合でも、暴力を振るってしまっていた場合には「暴行罪」が成立する可能性があります。

 

刑罰は2年以下の懲役、または30万円以下の罰金または拘留もしくは科料です。傷害罪よりも軽度ではありますが、手を出した時点で犯罪行為に問われる可能性があります。

 

最悪の場合は過失致死傷罪に問われる可能性もある

“身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、三年以上の有期懲役に処する。”

刑法第二百五条 傷害致死

傷害事件において最悪の場合は、結果として相手が死亡してしまった場合です。被害者が死亡すると「傷害致死罪」が成立します。

 

刑罰は3年以上の有期懲役刑です。

 

また「故意に殺した」と認定されれば、「殺人罪」が成立する可能性もあります。

“人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。”

刑法第百九十九条 殺人

その刑罰は死刑または無期懲役もしくは5年以上の有期懲役刑です。

 

この場合の「故意」には、「殺してやる」という強い意思を持って暴行に及んだ場合だけでなく、「最悪死んでもいいや」という気持ちで暴行に及んだ場合(いわゆる「未必の故意」)も含まれます。

 

傷害事件を起こしたときには、非常に重い処罰を受ける可能性があることを認識しておきましょう。

 

傷害事件で提出される被害届と告訴

傷害事件を起こしたとき、被害者からは「被害届」または「告訴状」が提出される可能性があります。

 

被害届|被害があったことを申告するもの

被害届とは、「犯罪被害に遭いました」という事実を捜査機関(主に警察)に届け出ることです。被害者が犯罪の内容を、警察などの捜査機関に知らせる意味を持ちます。

 

ただし被害届は、捜査機関が捜査を進めなければいけないという義務はありません。場合によっては、受理されるだけで終わる場合があります。

 

とはいえ傷害罪の被害届の場合は、捜査をせずに届出の受理だけで終わる可能性は低いでしょう。

 

告訴|加害者に処罰を求める訴え

刑事告訴は、単に警察へ犯罪被害の内容を申告するだけではなく「加害者を厳しく処罰してほしい」とする、被害者側の明確な意思表示です。

 

告訴が行われると、捜査機関は捜査を進め、起訴するかどうかというところまで判断しなければなりません。証拠が十分にある場合、逮捕にいたる可能性は十分にあるでしょう。

 

また、告訴されると被疑者の情状が悪くなるので、厳しく処分される可能性が高まります。

 

傷害事件で問われ得る罪はいずれも非親告罪

犯罪の中には、「親告罪」があります。親告罪とは、被害者による刑事告訴がない限り処罰されない犯罪です。

 

傷害事件によって問われる可能性のある傷害罪、暴行罪、傷害致死罪、殺人罪は、いずれも親告罪ではありません。

 

すなわちこれらの犯罪においては、被害者が刑事告訴をしなくても、逮捕・起訴されて刑罰を言い渡される可能性があるのです。

 

傷害事件で逮捕された場合の不利益

傷害事件で逮捕されてしまうと、以下のような不利益を受ける可能性があります。

 

身体拘束によって一定期間の出社・通学ができなくなる

逮捕されると最長で72時間、その後勾留されると合計で最大23日間も身柄拘束を受けることになります。

 

会社員であれば会社に出社できませんし、学生なら学校に通学できません。

 

会社や学校に通えなくなれば、それが長期になればなるほど謹慎解雇退学など相応の処分を下されるおそれがあります。

 

報道されてしまうと社会的信用を失う

傷害事件が大々的にニュースなどで報道されると、被疑者の社会的信用は失墜する可能性が高いでしょう。

 

特に社会的地位の高い方や有名人の場合、傷害事件の中でも比較的軽微な暴行罪でも、大きな非難を浴びるケースが多いので要注意です。

 

起訴されてしまうと高確率で有罪になり前科がつく

傷害事件で起訴されて刑事裁判になると、ほとんどのケースで有罪判決が出て「前科」がつきます。

 

日本の刑事裁判では、有罪率が99%以上であるためです。

 

不利益を避けるためには弁護士の協力が不可欠

上記のような不利益を避けるには、弁護士の協力が不可欠と考えて良いでしょう。

 

弁護士は、以下のような活動をして被疑者を守ってくれます。

  • 早期の身柄解放に向けて動いてくれる
  • 会社や学校へ適切な説明をしてくれる
  • 会社や学校が解雇や退学処分などの早計な決定をしないように対応・牽制してくれる
  • マスコミ対応もお願いできる
  • 不起訴処分に向けた活動をしてくれる
  • 刑事裁判になっても罪を軽くするための活動をしてくれる
  • 無罪判決を獲得してもらえるケースもある

 

被害届の取り下げに向けた弁護士の役割

傷害事件でいったん被害届を提出されても、被害者と示談が成立して取り下げてもらえれば不起訴処分を獲得して、前科をつけずに済む可能性があります。

 

とはいえ被害者との示談や被害届を取り下げてもらうための交渉は、被疑者本人には不可能です。示談交渉を検討する場合、早期段階で弁護士に依頼する必要があるでしょう。

 

以下で被害届の取り下げに向けた弁護士の役割をご紹介していきます。

 

示談成立に向けた交渉

刑事弁護人が選任されると、弁護人は被害者に連絡を入れて、謝罪するとともに示談交渉を開始します。

 

通常、傷害事件の被害者は加害者をおそれ警戒しているものですが、弁護士からの連絡であれば比較的受け入れやすくなります。

 

弁護士が主導して示談金額の決定など、具体的な示談の要件を定めていくことが可能です。

 

示談成立後の手続き

示談が成立したら、被害者との間で示談書を作成する必要があります。

 

弁護士であれば、示談金だけ払っておしまいということは基本的にはしませんので、被害者に示談書へ署名押印してもらい、被害届を取り下げるよう約束を取り付けます。

 

示談書の作成と同時に被害者から「被害届取下書」も取得し、示談書とともに捜査機関へ提出する弁護士もいます。

 

これは時々示談が成立し被害届取下げの約束をしたものの、それを取り下げるための手続を行わない被害者もいるためです。

 

釈放後の環境改善のサポート

無事に被害届が取り下げられて不起訴処分となった場合、今度は社会復帰を考えなければなりません。

 

弁護士は、釈放された後の環境改善を図ってくれる場合があります。刑事事件の処理に長けた弁護士であれば、今後どういった環境を作れば再犯に及びにくくなるかアドバイスをしてもらえます。

 

迷いや不安があれば、遠慮なく相談に乗ってもらうと良いかもしれません。

 

傷害事件で被害届を提出されている場合は早急に弁護士への相談を検討しよう

傷害事件を起こしてしまい、被害者から被害届を提出されてしまったら、一刻も早く弁護士に相談すべきです。

 

弁護士への相談がスピード勝負である3つの理由

刑事事件では、一秒でも早い弁護士への相談や対応の依頼が望まれます。スピード勝負になるのは、以下の理由があるからです。

 

逮捕前に示談を成立させられるかもしれない

被害届を提出されただけで逮捕がまだであれば、早期に弁護士に依頼して示談を成立させると、逮捕を免れることができるかもしれません。

 

逮捕されてしまうと、前述のように身体拘束による不利益が大きくなるので、その前に弁護士が動いて逮捕を阻止できると良いでしょう。

 

不利益供述、不当な取り調べを防ぐために早急に助言が必要

被害届を出されて逮捕されてしまった場合、早急に弁護士を選任して本人に接見してもらうべきです。

 

逮捕後勾留若しくは釈放されるまでは家族でも接見できず、弁護士しか接見を許されません。

 

逮捕から勾留までは最大で72時間なので、この間の対応状況は刑事手続上の処分決定に、大きな影響を与えるケースも多いです。

 

逮捕直後に弁護士に依頼すると、勾留そのものを阻止するために動いてくれ、72時間以内の早期釈放を獲得できる可能性も十分あります。

 

この間に弁護士による適切なアドバイスを受けておく必要性は、非常に高いといえます。

 

捜査官による不当な取調べを防いだり、本人の利益を守ったりするためには、刑事弁護人の存在が不可欠と考えて良いでしょう。

 

勾留された場合は弁護活動の時間が限られている

逮捕後「勾留」されると検察官による起訴・不起訴の決定までに、勾留延長を含んだとしても最大20日間しかありません。

 

示談による不起訴を目指している場合、その間に被害者と示談交渉を進めていく必要があります。

 

弁護士への依頼・示談交渉の開始が遅くなると、20日間の時間制限に間に合わず、示談成立前に起訴されてしまうおそれが高まります。

 

そのため逮捕された場合、すぐにでも弁護人を選任して、弁護活動を開始してもらう必要があるのです。

 

被害届が提出される前に相談することも有効

ここまでは「傷害事件で被害届を提出された場合の対処方法」をご説明してきましたが、被害届の提出前に先んじての対策も可能です。

 

「被害届けの提出前」に、弁護士を通じて被害者に連絡を入れ、示談を成立させることも有効かもしれません。

 

そうすれば被害者に被害届を出さないよう約束してもらえるので、逮捕される可能性を低くできます。

 

いつ被害届を出されるかわからない状態であれば、弁護士に相談して被害者との示談交渉を検討してみると良いでしょう。

 

まとめ|傷害事件を起こして被害届が心配なら弁護士への相談を検討する

傷害事件を起こした場合、態様によって暴行罪、傷害罪、傷害致死罪、最悪の場合殺人罪に問われる可能性があります。

 

また被害者から被害届を提出されると、捜査機関により逮捕される可能性が高くなります。

 

傷害事件を起こして被害届を出された場合、できるだけ早めに弁護士に相談しましょう。

 

弁護士が被害者に連絡を入れて示談交渉を進めれば、起訴前に事態が収まる可能性が高くなります。

 

特に既に逮捕された場合、早めに示談を成立させる必要があるでしょう。起訴されて刑事裁判となれば、非常に高い確率で有罪になってしまいます。

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この記事の監修者
東京スタートアップ法律事務所
中川 浩秀 弁護士 (東京弁護士会)
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本記事は刑事事件弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※刑事事件弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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