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無料で1回呼べる当番弁護士とは?逮捕後の呼び方や条件を解説

藤垣 圭介
監修記事
無料で1回呼べる当番弁護士とは?逮捕後の呼び方や条件を解説

突然の逮捕で本人も家族も動揺し、何をすればいいか分からない。

そんなとき、無料で1回だけ利用できる「当番弁護士制度」があります。

逮捕直後の不安な状況の中で、法的なアドバイスや手続きの説明を受けられる、非常に心強い仕組みです。

当記事では、当番弁護士を利用できる条件や呼ぶ方法、具体的なサポート内容を解説

当番弁護士を呼んだ後の対応も解説するので、緊急時に慌てないためにも、制度の仕組みを知っておきましょう。

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当番弁護士とは?費用無料で1回だけ呼べる制度

当番弁護士は、逮捕後に無料で1回だけ弁護士による接見(面会・相談)を受けられる制度です。

逮捕直後の法的な権利や今後の手続きについて説明を受けられます。

当番弁護士の利用は完全無料。

相談料や弁護士の交通費・日当などを支払う必要は一切ありません。

ただし、無料でのサポートは原則としてひとつの事件につき1回限りです。

もしその弁護士に引き続き弁護活動(たとえば、被害者との示談交渉や裁判での弁護)をお願いしたい場合は、別途有料契約が必要となります。

当番弁護士の呼び方と必要な手続き

当番弁護士を呼ぶことができるのは、逮捕・勾留されている本人だけではありません。

家族(配偶者、親、子、兄弟姉妹など)、知人・友人、勤務先の関係者など、ご本人と何らかの関係がある方であれば広く認められています。

家族や知人が当番弁護士を呼ぶ方法

家族や知人が呼ぶ場合、逮捕された警察署の所在地を管轄する各都道府県の弁護士会に電話して当番弁護士を依頼します

その際、以下の情報を正確に伝えてください。

  • 申込者の氏名、連絡先(電話番号など)
  • 逮捕されている人の氏名、性別、生年月日
  • 逮捕されている警察署
  • 逮捕された日時、罪名(わかれば)
  • 申込者と逮捕されている人の関係

なお、弁護士会の連絡先窓口は、インターネットで「〇〇県弁護士会 当番弁護士」と検索すればすぐ見つかります。

逮捕された本人が当番弁護士を呼ぶ方法

逮捕された本人が呼ぶ場合、警察官や検察官に対して「当番弁護士を呼びたい」と明確に伝えて呼んでもらいます

すでに逮捕されているため、自分で電話をかけたりインターネットで検索したりといったことはできないためです。

弁護士を呼ぶ(依頼する)権利は憲法及び刑事訴訟法で保障されており、警察はこの要望に応える義務があります。

たとえ取り調べの最中であっても「弁護士を呼んでほしい、それまでは何も話さない」と主張して問題ありません

当番弁護士を呼ぶための条件

当番弁護士を呼ぶための条件

当番弁護士は年齢や事件内容に関わらず誰でも呼べます

ただし、すでにほかの弁護士に依頼している場合には利用できないため注意してください。

逮捕後に利用できる

当番弁護士を呼べるのは、警察に逮捕されたあとです。

逮捕前や在宅事件の場合は利用できません。

ただし起訴後は、当番弁護士を呼ぶことができない場合があります。

その場合、起訴後に弁護活動ができるのは、私選弁護士または国選弁護士です。

当番・私選・国選弁護士のちがいはのちほど解説します。

年齢・事件に関わらず呼べる

当番弁護士制度は、逮捕・勾留された方の年齢や疑われている事件の種類、あるいは本人が容疑を認めているか否認しているかといった事情に関わらず、誰でも利用できます

たとえば高校生の子どもが万引きで逮捕された場合でも、親が当番弁護士を呼ぶことが可能。

未成年者の事件では、特に早期の弁護活動が重要になります。

また比較的軽微とされる万引きや痴漢のような事件でも、殺人や強盗といった重大事件でも、逮捕されていれば当番弁護士の対象です。

すでに弁護士に依頼していない

当番弁護士制度は、原則として、まだ弁護士(私選弁護人や国選弁護人など)に依頼していない方が対象です。

すでに特定の弁護士に弁護を依頼し、その弁護士が活動を開始している場合には、新たに当番弁護士を呼ぶことはできません。

ただし、弁護士に相談しただけで正式な委任契約に至っていない場合や、どの弁護士に依頼するかまだ決まっていない段階であれば、当番弁護士を利用できる可能性があります。

もし状況が曖昧な場合は、弁護士会に問い合わせて確認するのが確実です。

当番弁護士にできること・具体的なサポート内容

当番弁護士にできること・具体的なサポート内容

当番弁護士は、逮捕後の流れの説明、取り調べへの対応方法のアドバイス、家族への連絡まで、多岐にわたるサポートをおこないます

今後の刑事手続きの流れの説明

当番弁護士は、逮捕された本人や家族に対して「この後、勾留請求される可能性があります」「起訴されると裁判になります」と、一連の刑事手続きが今後どのように進んでいくのかを説明します。

また罪名や状況をもとに、「今後どのような処分が予想されるか」も大まかな見通しを伝えます

逮捕された方やその家族は、突然の出来事に混乱し、次に何が起こるのかまったく分からない不安な状態です。

逮捕後の流れについて熟知している人も少ないでしょう。

弁護士が今後の見通しを具体的に示すことで、本人や家族は冷静さを取り戻すことができます。

黙秘権の告知と取り調べへのアドバイス

当番弁護士は、憲法で保障されている「話したくないことは話さなくてもよい(黙秘権)」「供述調書の内容が違えば署名を拒否できる」といった重要な権利を説明します。

また、「取り調べでどのように対応すれば不利にならないか」という具体的なアドバイスも、当番弁護士のサポート内容のひとつ。

逮捕されると、捜査官からの厳しい追及や誘導によって意図しない供述をしてしまったり、不利な内容の調書に署名してしまったりするリスクがあります。

本当は罪を犯していないのに「自分がやった」と言ってしまえば、無実の罪で裁かれることになりかねません。

弁護士が権利を明確に伝え、適切な対応方法を助言することで、不当な取り調べを防いで被疑者を守ります

家族への連絡と伝言

当番弁護士は、逮捕された本人に代わって家族に状況を説明したり、本人からの伝言を家族に届けたりします

また、逆に家族からの励ましの言葉や伝言を本人に伝えることも可能です。

逮捕されると、外部との連絡は大幅に制限され、家族と直接話すことは原則としてできません。

このような状況で、弁護士は本人と家族の間の重要なパイプ役となり、双方の精神的な不安を和らげることができます

着替えの差し入れのお願いや、仕事関係の連絡依頼などがある場合は弁護士に頼みましょう。

 

当番弁護士を呼ぶときの4つの注意点

当番弁護士を呼ぶときの4つの注意点

当番弁護士制度は非常に心強い制度ですが、利用にあたってはいくつかの注意点があります。

具体的には、呼べるタイミングやケースが限定的であること、弁護士を自分で選べないことなどです。

呼べるタイミングやケースが限られる

当番弁護士を呼べるのは、逮捕後から起訴が決定されるまでの間であることが多いです。

それ以外のタイミングでは呼ぶことはできない場合もあります

具体的には次のようなケースです。

  • 逮捕されていない在宅事件
  • 任意同行の段階
  • 起訴後の事件 など

これらのタイミングで弁護士に依頼したい場合は、国選弁護人か私選弁護士に依頼する必要があります。

また、すでに私選弁護人がついている場合や、同一事件で過去に当番弁護士を利用したことがある場合も利用できません。

好きな当番弁護士を選べない

当番弁護士を呼ぶ際、依頼する側が特定の弁護士を指名したり、選んだりできません

当番弁護士制度は、その日に担当として登録されている弁護士が、弁護士会からの連絡を受けて派遣される仕組みになっています。

どの弁護士が派遣されるかは、実際に接見に来るまで分からないのが通常です。

特定の弁護士に依頼が集中することを避け、多くの弁護士が協力して制度を維持するために、指名制は取られていないのです。

24時間いつでも駆けつけるわけではない

当番弁護士は原則として24時間体制で対応していますが、弁護士の移動時間などもあり、依頼から接見までには数時間かかる場合があります。

弁護士会はできる限り迅速な派遣を目指していますが、即時対応が難しいケースも存在するのが実情です。

特に深夜や早朝に依頼した場合、弁護士が警察署に到着するまでに多少時間がかかることもあります。

ただ、通常は依頼を受けてから遅くとも当日中(または翌朝)には接見がおこなわれるよう調整されます。

さらに、緊急性が高いことを伝えれば、より迅速な対応を配慮してもらえる場合もあるでしょう。

無料利用は1回のみ

当番弁護士制度を利用して無料で弁護士による接見・相談を受けられるのは、原則としてひとつの事件につき1回限りです。

もし、当番で来てくれた弁護士に継続して弁護活動を依頼したい場合は、その弁護士と個別に「私選弁護人」としての契約を結ぶ必要があります。

その際には着手金や報酬金といった弁護士費用を支払います。

もちろん、次回からは別の弁護士に依頼したいと思えば、別途自分で探した弁護士に有料で依頼することも可能です。

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当番弁護士を呼んだあとはどうすればいい?

当番弁護士による初回の接見が終わった後は、主に「今後の弁護活動を正式に依頼する」「早期の身柄解放を目指す」「示談交渉で不起訴処分を目指す」という3つのステップで対応を進めることが一般的です。

不起訴処分のために示談交渉をする

被害者がいる犯罪の場合、弁護士を通して被害者との間で示談交渉および示談成立をおこない、不起訴処分の獲得を目指します

不起訴処分になれば前科はつきません。

被害者との示談が成立し、被害者が加害者の処罰を望まない意思を示していることは、検察官が起訴・不起訴の判断をするうえで非常に重要な要素

特に、窃盗罪、傷害罪、暴行罪などの一部の犯罪や、名誉毀損罪や器物損壊罪といった親告罪(告訴がなければ起訴できない犯罪)では、示談成立が不起訴処分に直結するといっても過言ではありません。

当番弁護士は示談をおこなってくれないため、示談交渉を求めるなら私選弁護士の選任が必要不可欠です。

私選弁護士に依頼する

当番弁護士を利用できるのは1回のみのため、その後も引き続き弁護活動(勾留請求への対応、被害者との示談交渉など)を依頼したいなら、私選弁護士に依頼する必要があります。

当番弁護士に継続して依頼する場合、改めて委任契約を結ぶ流れです。

また当番弁護士とは別の弁護士に依頼したい場合は、インターネットや弁護士会の紹介制度を利用して新たな弁護士を探し、相談の上で委任契約を結びます。

なお、弁護士に依頼する費用を捻出できない場合は、国が費用を負担してくれる「国選弁護人」も利用可能です。

弁護士とともに早期釈放を目指す

弁護士に依頼したあとは、勾留の必要性がないことや逃亡・証拠隠滅のおそれがないことなどを捜査機関や裁判所に主張し、早期の身柄解放を求めます

具体的には、検察官に対して勾留請求をしないよう求める意見書を提出したり、裁判所が下した勾留決定に対して不服申し立て(準抗告など)をおこなったりします。

身柄拘束は、被疑者・被告人の精神的・肉体的負担が大きいだけでなく、職を失うリスクや家族関係への影響など、社会生活に重大な不利益をもたらすもの。

一刻も早い釈放が、一日でも早い社会復帰につながります。

当番弁護士と国選・私選弁護士とのちがい

「当番弁護士」は逮捕直後の初回無料相談、「国選弁護人」は資力がない場合に国が選任する弁護人、「私選弁護士」は費用を自己負担して自分で選ぶ弁護人です。

それぞれ制度の目的、利用できるタイミング、費用負担、弁護士を選べるかどうかが異なります。

  当番弁護士 国選弁護人 私選弁護士
費用 無料 無料 自己負担
依頼タイミング 逮捕直後~ 勾留決定後 いつでも(逮捕前を含む)
弁護士の選択 × ×
特徴・条件 ・1回限りの初回接見 ・迅速なアドバイスを受けられる ・資力がない場合にのみ利用できる ・継続的な弁護が可能 ・自由に選任できる ・迅速かつ手厚い継続的な弁護が可能

国選弁護人とは

当番弁護士は「逮捕後に1回だけ無料で呼べる弁護士」であるのに対し、国選弁護人は「勾留後(逮捕から最大72時間後)、資力がない場合に国が費用を負担してくれる弁護士」

一定以下の資力(収入や資産)しかない人だけが利用でき、原則無料です。

費用がかからない点や弁護士を選べない点は当番弁護士と同じですが、利用できるタイミングと条件が異なります。

  当番弁護士 国選弁護人
費用 無料 無料
依頼タイミング 逮捕直後 勾留決定後
弁護士の選択 × ×
特徴・条件 ・1回限りの初回接見 ・迅速なアドバイスを受けられる ・資力がない場合にのみ利用できる ・継続的な弁護が可能

まず当番弁護士に相談したうえで、当番弁護士にそのまま私選弁護人として依頼するか、国選弁護人の選任を待つか、新たに私選弁護士を探すかを検討するのが一般的な流れです。

国選弁護人について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

私選弁護士とは

私選弁護士は、お金を払って依頼する一般的な弁護士

費用がかかりますが、自分で好きな弁護士を選んで依頼できるのがメリットです。

また逮捕前から依頼できるため、捜査段階や逮捕直後、裁判まで継続的かつ手厚い弁護活動を期待できます。

ときには警察署への自首に伴ってもらうことも、私選弁護士なら可能です。

  当番弁護士 私選弁護士
費用 無料 自己負担
依頼タイミング 逮捕直後 いつでも(逮捕前を含む)
弁護士の選択 ×
特徴・条件 ・1回限りの初回接見 ・迅速なアドバイスを受けられる ・自由に選任できる ・迅速かつ手厚い継続的な弁護が可能

できる限り早い解決を望む場合や、逮捕そのものを避けたい場合などには、早期に私選弁護士に依頼しましょう

刑事事件に強い弁護士探しは「ベンナビ刑事事件」

早期釈放や不起訴処分、示談交渉などを目指す場合、当番弁護士の初回接見だけでは十分とは言えず、その後の継続的な弁護活動を担う私選弁護士の力が不可欠です。

特に刑事事件は、対応が早ければ早いほど良い結果につながる可能性が高まります。

刑事事件の解決実績が豊富で専門知識を持つ弁護士に依頼することが、一日も早く元の穏やかな日常生活へ戻るための秘訣でしょう。

「ベンナビ刑事事件」は、済んでいる地域や相談したい事件内容ごとに、刑事事件の弁護を得意とする専門家を探せるポータルサイト

「初回面談無料」や「オンライン面談対応可」といった条件で絞り込むこともできるので、状況に合った弁護士を効率よく見つけられます。気軽に探してみてください。

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さいごに

当番弁護士は、逮捕直後に1回限り無料で接見・相談できる制度

今後の流れや取り調べへの対応、家族との連絡などをサポートしてくれます。

ただし、起訴後やすでに弁護士を依頼している場合は使えません。

また利用できるのは1度だけのため、その後は新たに弁護士に依頼する必要があります。

私選弁護士であれば、逮捕前からサポートを受けられ、示談交渉や釈放への対応も可能。

できるだけ早い段階で専門知識をもつ私選弁護士に依頼するほど、日常生活が戻ってくるのは早くなるでしょう。

まずは「ベンナビ刑事事件」で最適な弁護士を探してみてください。

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この記事の監修者
藤垣 圭介 (埼玉弁護士会)
これまで500件以上の刑事事件に携わり、特に痴漢/盗撮/暴行/傷害に関する事件の解決を得意とする。レスポンスの早さにこだわりをもって対応し、豊富な経験をもとに即日接見を用いて、早期釈放を目指している。
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編集部

本記事はベンナビ刑事事件を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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