【加害者向け】性病を理由に慰謝料請求をされたら?大まかな流れや対処法などを解説
性感染症(以下、性病)を移したことを理由に、慰謝料請求をされるケースはあります。
なぜなら、刑法上の傷害罪が成立したり、民法上の不法行為に該当したりする可能性があるからです。
そのため「性病なんかで慰謝料は認められない」と思わずに、適切な対応を取ることが望ましいでしょう。
本記事では、性病を移したことを理由に慰謝料請求をされた人に向けて、以下の内容について説明します。
- 他人に性病を移した場合に問われる2つの責任
- 他人に性病を移した場合の慰謝料の相場・目安
- 性病を移して慰謝料請求をされた際の大まかな流れ
- 性病を理由とする慰謝料請求を拒否した場合のリスク など
刑事事件化するリスクもあるため、性病で慰謝料を請求された場合の適切な対処法について確認しましょう。
【移した人向け】他人に性病を移した場合に問われる2つの責任
他人に性病を移した場合、以下のような責任を問われる可能性があります。
- 刑事責任|傷害罪などで処罰される可能性がある
- 民事責任|損害賠償を請求される可能性がある
ここでは、他人に性病を移した場合に問われる2つの責任について説明します。
1.刑事責任|傷害罪などで処罰される可能性がある
他人に性病を移した場合、傷害罪が成立する可能性があります(刑法第204条)。
(傷害)
第二百四条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
引用元:刑法 | e-Gov 法令検索
傷害罪とは人の生理的機能を障害した場合に成立する犯罪で、性病を移した場合も成立します。
実際、性病を他人に移したことで傷害罪が成立したケースもあります(最高裁判所昭和27年6月6日判例)。
なお、傷害罪には過失傷害罪(刑法第209条)もあるため、わざとでなくても罰せられる可能性はあるでしょう。
2.民事責任|損害賠償を請求される可能性がある
他人に性病を移した場合は、民法上の不法行為に該当する可能性があります(民法第709条)。
不法行為が認められるときには、治療費、休業損害、慰謝料などを支払う必要があるでしょう。
損害賠償の相場は性病の内容や完治までの期間などで異なりますので、ケースバイケースです。
なお、傷害事件として刑事裁判を受けている場合は「損害賠償命令制度」が使われることもあります。
【移した人向け】他人に性病を移した場合の慰謝料の相場・目安
他人に性病を移した場合の慰謝料の相場・目安は、事案ごとに異なります。
下記はあくまでも一般的な傷害事件についてですが、損害賠償金の相場について確認しておきましょう。
| けがの程度 | 損害賠償金(慰謝料)の相場 |
|---|---|
| 軽症の場合 | 10万円~50万円程度 |
| 重症の場合 | 50万円~100万円程度 |
なお、HIV感染症のように、生涯にわたって治療が必要な性病の場合は、慰謝料が高額になると考えられます。
性病を移して慰謝料請求をされた際の流れ|支払いに応じる場合
性病を移した相手から慰謝料を請求されて、応じる場合の流れは以下のとおりです。
- 請求内容をよく確認する
- 相手と金額や条件などを話し合う
- 示談書を作成して慰謝料を支払う
ここでは、性病を移して慰謝料請求をされた際に応じる場合の流れについて説明します。
1.請求内容をよく確認する
慰謝料を請求されたときは、まず以下の内容について確認しましょう。
- 賠償金の額
- 支払い期限
- 損害賠償の根拠
- 相手方の連絡先 など
慰謝料請求に応じる場合であっても、これらの内容を確認しておくことが重要です。
身に覚えがなかったり、相場よりも高い慰謝料を請求されたりしているケースもあります。
なお、請求内容に問題がないとしても、示談書(合意書)を作成しておくことが望ましいでしょう。
2.相手と金額や条件などを話し合う
「慰謝料が高額すぎる」「今は支払う余裕がない」といった場合は相手方との交渉が必要になります。
そこでまずは交渉の方針を決めて、それから実際に減額や分割払いなどについての交渉を始めましょう。
口頭だけだと「言った/言っていない」と水掛け論になることが多いため書面でのやりとりがおすすめです。
3.示談書を作成して慰謝料を支払う
話し合いがまとまった場合は、示談書を作成して慰謝料を支払います。
示談書には、基本的に以下のような内容を記載することが多いでしょう。
- 被害の内容
- 賠償金の額
- 支払方法・支払期限
- 被害届を出さない旨の条項
- 今後一切の請求をしない旨の条項
- 被害者・加害者双方の署名と押印 など
示談書の内容に不備や間違いがあると、あとからトラブルに発展するリスクがあります。
署名・押印をする前には、よく示談書の内容を確認し、心配なら弁護士に相談するのがよいでしょう。
性病を理由とする慰謝料請求を拒否した場合に取られる行動
性病を理由とする慰謝料請求をされた際に、その支払いを拒否することは可能です。
しかし、相手方が拒否に納得しない場合は、以下のような対応をしてくると考えられます。
- 民事調停を申し立てられる
- 民事訴訟を提起される
- 被害届を提出される
ここでは、慰謝料請求を拒否した場合に相手方が取る可能性がある行動について説明します。
1.民事調停を申し立てられる
慰謝料請求を拒否した場合、民事調停を申し立てられる可能性があります。
民事調停とは、裁判所の調停委員を介しておこなわれる話し合いのことです。
出席するかどうかは任意ですが、できる限り出席するほうが望ましいといえます。
なお、相手方が民事調停の申立てをしたかどうかは、裁判所から届く通知書でわかるでしょう。
2.民事訴訟を提起される
民事調停で和解に至らなければ、民事訴訟を提起される可能性があるでしょう。
訴訟を提起された場合は法廷で主張と立証を繰り返し、最終的な判断が裁判所から下されることになります。
民事訴訟では証拠がなければ敗訴する可能性もあるため、事前にしっかりと準備をしておくことが重要です。
3.被害届を提出される
慰謝料請求に応じなかったことで、警察に被害届を提出されることも考えられます。
警察が被害届を受理した場合、その内容次第では捜査がおこなわれる可能性もあります。
警察から呼び出しを受けたり、任意同行を求められたりするリスクなどもあるでしょう。
性病を移したことを理由に慰謝料請求をされた場合の3つのポイント
性病を移したことを理由に慰謝料請求をされたときのポイントは、以下のとおりです。
- 冷静になって対応する
- 医療機関を受診し検査を受けておく
- 刑事事件が得意な弁護士に相談・依頼する
ここでは、性病を移したことを理由に慰謝料請求をされたときの3つのポイントについて説明します。
1.冷静になって対応する
慰謝料請求を受けた際は、冷静になって対応することが重要です。
そのうえで請求内容や事実関係などを確認して、今後の方針を検討する必要があるでしょう。
慰謝料請求をされたからといって、内容を精査せずに支払いに応じることはおすすめできません。
2.医療機関を受診し検査を受けておく
性病で慰謝料請求をされた場合は、早めに医療機関を受診して検査を受けておきましょう。
性病の場合、泌尿器科、婦人科(女性の場合)、性感染症内科・性病科などを受診します。
検査を受けることで性病の有無や感染時期などを把握できるため、相手方とも争いやすくなります。
性病によっては自覚症状が乏しいものもあるため、自覚症状の有無にかかわらず検査を受けておくべきです。
3.刑事事件が得意な弁護士に相談・依頼する
慰謝料請求をされた場合は、弁護士に相談しておくことも重要です。
請求内容が正しいかどうか判断してくれますし、今後の方針についてアドバイスももらえます。
また、依頼すれば適切な賠償金の額に近づけられたり、刑事事件化を回避したりできる可能性も高まります。
傷害事件として発展するリスクがある場合は、特に刑事事件が得意な弁護士に相談するのが望ましいでしょう。
さいごに|慰謝料を請求されたら無視しないでしっかりと対応しよう
性病を理由に慰謝料請求をされた場合は、無視せずに適切な対応を取ることが重要です。
無視した場合、民事調停・民事訴訟に発展したり、被害届を出されたりするリスクがあります。
しかし、ひとりで対処するのが難しいケースも多いため、なるべく早く弁護士に相談するのが望ましいです。
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