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騒乱罪とは?成立する要件と関連する罪を解説

騒乱罪とは?成立する要件と関連する罪を解説

騒乱罪とは、大勢の人が集まって暴行や脅迫をおこない、公共の平穏を乱す犯罪です。

ニュースなどで耳にする機会は少ないものの、デモや集団抗争、大規模な暴力事件などで問題となる可能性があります。

しかし「具体的にどのような行為が騒乱罪にあたるのか」「暴行罪や脅迫罪などとは何が違うのか」と疑問に思う方もいるでしょう。

本記事では、騒乱罪の概要や成立要件、法定刑をわかりやすく解説します。

また、騒乱罪とあわせて問題になりやすい犯罪や、実際に騒乱罪が適用された事件も解説します。

デモやイベントに参加する、居合わせて不安があるという方は、ぜひ参考にしてください。

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騒乱罪とは多衆が集合して暴行・脅迫をおこなう罪

騒乱罪とは、多くの人が集まって暴行や脅迫をおこない、社会の平穏や秩序を著しく乱した場合に成立する、刑法第106条で規定されている犯罪です。

もともとは騒擾罪(そうじょうざい)と呼ばれ、1995年の刑法改正で表記が現在の形に改められました。

騒乱罪は「多衆」「集合」「暴行・脅迫」という3つの要件全てを満たした場合に成立します。

本章では、騒乱罪が成立する3つの要件を詳しく解説します。

多衆とは|大勢の人間が集まること

多衆(たしゅう)とは、地域の安全が脅かされるほどの大勢の人が集まった状態をいいます。

何人以上から多衆になるかは、平穏を侵害するに足る人数とされているため、明確な基準はありません

極端な話、3人しか集まっていなくても、武装していてその地域の平穏が脅かされるのであれば、騒乱罪の多衆に該当します。

しかし、一人で行動しているなら、平穏が脅かされても人数の要件を満たさないため、騒乱罪は適用されません。

集合とは|共同意思を持った複数人が同じ場所に集まること

集合とは、共通の目的を持った人たちが同じ場所に集まっている状態をいいます。

ただ人が居合わせているだけの状態は、集合にはあたりません。

集まり方は問われず、事前に計画されたものはもちろん、現場で自然に合流した場合でも成立します。

デモの最中に通行人が次々と加わるようなケースも、集合に含まれます。

一方、現場をただ眺めているだけの野次馬は、共通の目的を持って参加したわけではないため、集合の要件にはあたりません。

ただし、野次馬であっても暴動の雰囲気に便乗して加われば、集合とみなされる恐れがあります。

勢いにまかせて行動しないよう注意してください。

暴行・脅迫とは|人への殴る・蹴る、物を壊す行為のこと

騒乱罪でいう暴行とは、人への暴力だけでなく、物を壊す行為まで含みます

殴る・蹴るといった行為はもちろん、投石や放火、警察車両を壊す行為も暴行にあたります。

脅迫とは、言葉や態度で相手を怖がらせる行為を指し、暴行と並んで処罰の対象です。

いずれの行為も、群衆が一体となって地域の平穏を脅かす規模に達していなければなりません。

一方で、個人同士の突発的な暴力を伴う喧嘩や、集団のうちの一人が急に暴れ出すケースなどは、騒乱罪の暴行・脅迫にはあたりません。

暴行罪や傷害罪など、騒乱罪以外の別の犯罪で処理されます。

騒乱罪の罰則は参加した者の立場で異なる

騒乱罪の罰則は、暴動のなかで果たした役割によって変わります。

首謀者、現場を指揮・先導した人物、便乗して加わった参加者の3段階にわかれます。

なお、最も重い首謀者でも、死刑にはなりません。

本章では、立場ごとの法定刑を順に見ていきましょう。

首謀者|1年以上10年以下の拘禁刑

暴動を計画し、全体を主導した首謀者は、1年以上10年以下の拘禁刑が科されます。

首謀者とは、群衆の先頭に立って集団を統率して暴動を扇動したリーダー格の人物です。

注目したいのは、本人が直接、暴行や脅迫をおこなっていない場合でも問われる点です。

本人が直接手を下していなくても、全体を指揮していれば首謀者として、騒乱罪のなかでもっとも重い処罰が科されます。

なお騒乱罪は、共通の目的を持った人たちが同じ場所に集まっていれば集合の要件を満たすため、首謀者が存在していなくても騒乱罪は成立します。

指揮した者、率先して他人の勢いを助けた者|6カ月以上7年以下の拘禁刑

暴動の指揮を執ったり率先して暴れたりした人物は、6ヵ月以上7年以下の拘禁刑に処されます。

指揮者に該当するのは、サブリーダーとして仲間に指示を出した人や、真っ先に物を壊して群衆を勢いづけた人です。

たとえば、現場でメガホンを使って人々をあおり、暴動を大きく広げたケースが当てはまります。

集団の勢いを増幅させた責任は、重く問われると考えてよいでしょう。

参加者|10万円以下の罰金

他人の行動に便乗して暴動に加わっただけの人物は、付和随行者(ふわずいこうしゃ)と呼ばれる立場に該当し、10万円以下の罰金が科されます。

付和随行とは、自分の考えではなく、まわりの雰囲気や勢いに流されて行動する状態をいいます。

軽い気持ちで暴動に加わったとしても、有罪には変わりありません。

前科として記録が残る点に注意してください。

周囲の空気に流されないよう、慎重に行動しましょう。

騒乱罪と内乱罪・外患誘致罪の違い

騒乱罪・内乱罪・外患誘致罪は、同じ犯罪と勘違いする方も少なくありません。

いずれも社会や国家の秩序を脅かす重大な犯罪ですが、国内の秩序を乱す騒乱罪に対し、内乱罪と外患誘致罪は国家の存立そのものを脅かす罪です。

罪名 主な目的 法定刑
騒乱罪 集団で暴動を起こし地域の平穏を乱す 1年以上10年以下の拘禁刑など
内乱罪 国の統治機構を破壊する(クーデターなど) 死刑または無期拘禁刑など
外患誘致罪 外国と通じて日本に武力を行使させる 死刑のみ

本章では、騒乱罪との違いを順に詳しく見ていきましょう。

騒乱罪と内乱罪の違い

騒乱罪と内乱罪の大きな違いは、国家の転覆を目的とするかどうかです。

内乱罪(ないらんざい)は、政府を倒して国の統治機構を破壊する、いわば国家転覆罪にあたります(刑法第77条)。

騒乱罪と同じく内乱者の立場で罰則が変わりますが、内乱罪には騒乱罪にはない死刑があります。

一方で、騒乱罪は、目的が国家を転覆させるわけではなく、社会の平穏を乱すことにとどまるため、死刑はありません。

各罪の立場ごとの刑罰を下表にまとめたので、参考にしてください。

立場 内乱罪 騒乱罪
首謀者 死刑または無期拘禁刑 1年以上10年以下の拘禁刑
率先した者 ・指揮者は無期または3年以上の拘禁刑
・その他諸般の職務に従事した者は1年以上10年以下の拘禁刑
6ヵ月以上7年以下の拘禁刑
参加者 3年以下の拘禁刑 10万円以下の罰金

なお、SNSなどで見かける「国家騒乱罪」は、法律上には存在しない造語です。

内乱罪と騒乱罪を混同した表現なので、報道やデマを見分ける際は注意してください。

騒乱罪と外患誘致罪の違い

外患誘致罪(がいかんゆうちざい)は、内乱罪と同じく国家転覆を目的とした犯罪ですが、外国と示し合わせて日本に武力を行使させた者に適用される罪です。

法定刑は死刑しかないため、非常に重い罪です(刑法第81条)。

騒乱罪は、国内の群衆が起こす暴動を対象としているため、外国勢力の介入は成立の要件に含まれません。

外患誘致罪と内乱罪が国家の存立を直接脅かすのに対し、騒乱罪は社会の平穏を守るための罪です。

同じ「国の秩序に関わる罪」でも、守ろうとする対象の大きさが違います。

騒乱罪とほかの犯罪が同時に成立するとどうなる?

騒乱罪と言われるものの中では暴行・脅迫行為がおこなわれることとなりますが、暴行罪・脅迫罪は騒乱罪に吸収され、成立しなくなります。

一方で、殺人罪・傷害罪・住居侵入罪・恐喝罪・公務執行妨害罪・建造物損壊罪などは、騒乱罪との観念的競合の関係になります。

観念的競合とは、1つの行為で2つ以上の罪に問われる場合に、法定刑が重いほうの犯罪のみを適用することです。

たとえば、暴動のなかで人を殺害した場合、騒乱罪ではなく殺人罪が適用されます。

騒乱罪の法定刑は、首謀者でも10年以下の拘禁刑です。

しかし別の重大な罪が加われば、死刑や無期拘禁刑が科される可能性も出てきます。

騒乱罪に関連する罪8つ

騒乱罪が問題になる暴動の現場では、ほかの犯罪も同時に成立しやすくなります。

代表的な8つの罪を、法定刑とあわせて一覧にまとめました。

罪名 法定刑
暴行罪 2年以下の拘禁刑/30万円以下の罰金/拘留/科料
脅迫罪 2年以下の拘禁刑/30万円以下の罰金
恐喝罪 10年以下の拘禁刑
公務執行妨害罪 3年以下の拘禁刑/50万円以下の罰金
多衆不解散罪 首謀者は3年以下の拘禁刑/ほかの者は10万円以下の罰金
住居侵入罪 3年以下の拘禁刑/10万円以下の罰金
傷害罪 15年以下の拘禁刑/50万円以下の罰金
殺人罪 死刑/無期もしくは5年以上の拘禁刑

本章では、8つの罪をひとつずつ詳しく見ていきましょう。

1.暴行罪|2年以下の拘禁刑/30万円以下の罰金/拘留/科料

人に暴力を振るったものの、けがなどの健康被害が生じなかった場合は、暴行罪が成立します(刑法第208条)。

暴行罪が適用されると、2年以下の拘禁刑か30万円以下の罰金、または拘留か科料に処されます。

暴行罪に該当するのは、胸ぐらをつかむ、突き飛ばす、物を投げつけるといった行為です。

相手にけががなくても、力を加えた時点で成立する点が特徴です。

デモの現場では、対立するグループに激しく詰め寄る行為なども、暴行罪にあたる可能性があります。

感情にまかせて手を出すと、思わぬ立件につながりかねないため注意してください。

なお、拘留とは1日以上30日未満の間、刑事施設に収容されることです。

科料とは1,000円以上1万円未満の金銭を支払う財産形を指します。

2.脅迫罪|2年以下の拘禁刑/30万円以下の罰金

脅迫罪とは、相手や家族の生命・身体・財産などに害を加えると告げて脅すと成立します(刑法第222条)。

法定刑は、2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金です。

実際に危害を加えなくても、口頭か文書かを問わず「殺すぞ」「家に火をつけるぞ」などと告げた時点で罪に問われます

デモでの激しい罵声はもちろん、近年はインターネット上での過激な書き込みでも成立する場合があります。

3.恐喝罪|10年以下の拘禁刑

相手を脅したり暴力を加えたりして怖がらせ、金品を要求して奪うと恐喝罪が成立します(刑法第249条)。

恐喝罪の法定刑は、10年以下の拘禁刑のみのため、暴行罪や脅迫罪よりもはるかに重く扱われる罪です。

暴動のどさくさにまぎれて店から商品を脅し取ったり、通行人から金銭を巻き上げたりする行為が当てはまります。

混乱に乗じて金品を奪う行為も、同じく対象になります。

群衆のなかでは気が大きくなり、普段ならしない行動に走りがちです。

勢いに飲まれて犯罪に踏み込まないよう、冷静さを保ってください。

4.公務執行妨害罪|3年以下の拘禁刑/50万円以下の罰金

職務中の警察官などの公務員に暴行や脅迫を加えると、公務執行妨害罪が成立し、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処されます(刑法第95条)。

デモの警備や暴動の鎮圧にあたる機動隊員に抵抗したり、物を投げつけたりする行為が典型例です。

公務員を突き飛ばすだけでも、暴行とみなされる場合があります。

公務員への暴力は厳しく取り締まられるため、現行犯逮捕につながりやすい点に注意しましょう。

勢いにまかせて手を出すと、すぐに身柄を拘束されかねません。

デモに参加する場合は、警察の指示に冷静に従うよう心がけてください。

5.多衆不解散罪|首謀者は3年以下の拘禁刑、ほかの者は10万円以下の罰金

多衆不解散罪は、暴行や脅迫をする目的で集まった多衆が、警察の解散命令を3回以上受けても解散しない場合に成立します(刑法第107条)。

刑罰は立場によってわかれ、首謀者は3年以下の拘禁刑、ほかの参加者は10万円以下の罰金です。

騒乱罪にまで至らなくても、解散命令を無視して居座るだけで犯罪が成立します。

集まった人々が立ち去らない状態そのものが、処罰の対象になります。

ハロウィンの混雑のように、暴動が目的でない場面でも油断はできません

警察の誘導や指示に従わずに残ると、逮捕につながる場合がある点を理解しておきましょう。

6.住居侵入罪|3年以下の拘禁刑/10万円以下の罰金

正当な理由なく他人の住居や建物の敷地に入るのは、住居侵入罪が成立する犯罪行為です(刑法第130条)。

3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金に処されます。

暴動を避けるためであっても、許可なく他人の敷地や店舗に逃げ込んで居座れば、罪に問われる可能性があります。

緊急時でも、無断での立ち入りが当然に許されるわけではありません。

また公共の場所などで退去を求められても応じない場合も、住居侵入罪にあたります。

混乱時は、立ち入ってよい場所かどうかを意識しておきましょう。

7.傷害罪|15年以下の拘禁刑/50万円以下の罰金

人に暴力を加えてけがをさせた場合は、暴行罪より重い傷害罪が成立し、15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処されます(刑法第204条)。

殴って打撲を負わせたり、投げた物を当てて出血させたりする行為が当てはまります。

デモでの小競り合いがエスカレートして相手を負傷させると、重大な事件へ発展する点に注意してください。

8.殺人罪|死刑/無期もしくは5年以上の拘禁刑

殺意を持って人を死亡させた場合殺人罪が適用されます(刑法第199条)。

法定刑は死刑か無期もしくは5年以上の拘禁刑です。

暴動のなかで、警察官や対立する相手を意図的に殺害したケースなどが当てはまります。

なお、殺意がなかったとしても、暴行の結果人が亡くなれば傷害致死罪に問われ、3年以上の有期拘禁刑に処されます。

「殺すつもりはなかった」という言い分だけでは、責任を免れられません。

暴力がどれほど重い結果を招くのか、改めて意識しておく必要があります。

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騒乱罪が適用された事件3つ

これまで解説してきた騒乱罪ですが、実際のところ騒乱罪が適用されることは滅多にはありません

過去に発生して騒乱罪も成立した事件をいくつか紹介します。

新宿騒乱

新宿騒乱は、1968年に新宿駅の周辺が群衆によって占拠・破壊された事件です。

戦後の日本で、騒乱罪が適用された代表的な事例として知られています。

きっかけは、ベトナム戦争に反対する国際反戦デーでした。

約2,000人もの過激派左翼や群衆の一部が暴徒化し、駅構内で電車への放火や施設の破壊に走りました。

騒ぎは深夜まで続き、新宿駅の交通機能や周辺の平穏は完全に麻痺。

警察が出動し、743名もの人が騒乱罪で逮捕される事態に発展した、今も語り継がれている事件です。

大須事件

大須事件は、1952年に名古屋市の大須周辺で起きた、デモ隊と警察が激しく衝突した事件です。

日本社会党の代議士に対しておこなわれた無届デモで、大須球場では約1,000人のデモ隊が集まりました。

デモ隊は警察の車に対して火炎瓶などを投げ込み、炎上させたことで、当時の騒擾罪、つまり現在の騒乱罪が適用されました。

同事件で、警察官70名・消防士2名・一般人4名が負傷、デモ隊は1名死亡、19名が負傷。

さらに、152名が騒乱罪などで起訴されました。

阪神教育事件

阪神教育事件は、1948年に大阪と兵庫で起きた、群衆が県庁などを占拠した事件です。

朝鮮学校の閉鎖を命じた行政の措置に反対した7,000人あまりの群衆が県庁になだれ込み、暴行や監禁に及ぶ事態へと発展しました。

混乱は深刻で、GHQ(連合国軍総司令部)が非常事態宣言を出すほどの規模になりました。

結果、179人が騒擾罪で検挙されたと言われています。

占領下の日本で、異例の対応がとられた出来事です。

まとめ

騒乱罪は、多衆が集合して暴行・脅迫をおこない、地域の平穏を乱したときに成立する犯罪です。

罰則はデモをおこなった者の立場でわかれ、最も罪が重い首謀者の場合は1年以上10年以下の拘禁刑に処されます。

デモやイベントに居合わせ、暴行罪や脅迫罪に問われないか不安が残る方もいるはずです。

気がかりな点があれば「ベンナビ刑事事件」を活用し、刑事事件に強い弁護士へ早めに相談してみましょう。

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吉田 要介 (千葉県弁護士会)
地域密着型の事務所として30年以上の歴史があります。町の弁護士として、常に地域の人々を支えられるような弁護士で在り続けるとともに、ご依頼への対応を通じて地域へ貢献してまいりたいと考えております。
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編集部

本記事はベンナビ刑事事件を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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