不同意性交罪は証拠がないと有罪にならない?被害者証言だけで有力な証拠になる?


- 「同意のうえで性行為に至ったはずなのに、相手に訴えられた。」
- 「証拠がないのに、不同意性交等罪で逮捕されたり有罪になったりすることがあるのか」
不同意性交等は密室でおこなわれることが多く、目撃証言などの証拠がないことがほとんどです。
不同意性交等で訴えられたときに、直ちに客観的な証拠が見つからないことも多いでしょう。
そのため証拠がなくても、不同意性交等罪で有罪になる可能性があるかは気になるところです。
本記事では、証拠がない状態にも関わらず不同意性交等罪で逮捕される可能性、冤罪なのに不同意性交等罪で訴えられた場合にどうすればいいか、不同意性交等罪や性交の同意があったことを立証しうる証拠の例についてわかりやすく解説します。
本記事を読めば、不同意性交等罪で訴えられたときにどうすればよいかを正しく理解し、冷静に対応を開始できるようになるでしょう。
不同意性交等罪は証拠がないと有罪にされない?
不同意性交等罪は密室での出来事である場合が多く、被害者の証言以外に証拠がないというケースが少なくありません。
そういった場合、加害者は有罪にならないのでしょうか。
以下、わかりやすく解説します。
ほかの証拠がなくても被害者の証言だけで、不同意性交等罪で有罪になる可能性はある
防犯カメラ映像や目撃者の証言などの客観的な証拠がほかになくても、被害者の証言で不同意性交等罪により有罪となる可能性はあります。
そもそも不同意性交等罪が適用される事件は密室でおこなわれることが多く、目撃証言などの客観的証拠がないことが少なくありません。
この場合、被害者の証言にもとづいて、起訴され有罪となることも十分にありえるのです。
被害者の証言以外に証拠がない場合は「証言の信用性」が問題となる
被害者の証言以外に、犯行を直接示すような客観的な証拠がない場合、裁判ではその証言の「信用性」が非常に重要なポイントとなります。
裁判官は、被害者の証言が本当に信用できるものなのかどうかを慎重に判断します。
その判断の際には、以下のようにさまざまな要素が考慮されます。
- 証言の内容には一貫性があるか
- 客観的な証拠と整合性はあるか
- 証言者の態度が真摯であるか
- 証言内容に迫真性があるか
- 証言者に虚偽の供述をする動機はあるか
- 反対尋問を受けても、証言の内容は揺らいでいないかなど
たとえば、被害者の供述が事件直後におこなわれたもので、その内容が具体的で一貫しているかどうかです。
仮に被害者が、以下のように証言をしたとしましょう。
「加害者Aと飲食店で食事をし、その際お酒をたくさん飲まされた。酔っぱらってしまい、記憶があまりなく、そのままホテルに連れ込まれ、無理やり性交渉をさせられた。」
こういった証言が捜査・裁判中にかわることなく一貫性があり、警察のその後の捜査によって、防犯カメラ映像などによって裏付けがとれたら、証言の信用性が高い、と裁判所が判断する可能性があります。
反対に供述があいまいだったり、途中で内容が変わったり、客観的な事実と食い違っていたりする場合は、信用性がないと判断されるわけです。
冤罪なのに不同意性交等罪で訴えられたらどうすればいい?
身に覚えがないのに不同意性交等罪で訴えられてしまった場合、まずは冷静に行動することが非常に重要です。
パニックになったり感情的になったりするのではなく、事実関係を整理し適切な対応をとる必要があります。
以下、具体的にどのような対応をすればよいかみていきましょう。
まずは冷静になって事実確認をおこなう
まずは冷静になって、相手の訴えを客観的に見直し事実確認をおこないます。
記憶が鮮明にのこっているうちに、相手とどのようなやりとりや会話をしたか、できる限り詳しく思い出してメモにまとめましょう。
同意があったことを客観的に証明できる証拠を探す
性行為について同意があったことを、客観的に証明できるような証拠を探しましょう。
LINEやメールのやりとり、当日の状況を把握できるような写真・動画があれば保存しておくことが重要です。
「また会いたい」など、同意があったことを間接的に裏付けるようなメッセージ、相手との仲睦まじい様子がわかる写真などを探します。
関係者の証言を得る
問題となっている日前後の様子について知っている知人・友人がいれば、その証言が有効な証拠になるかもしれません。
どうやって証言を集めればよいか、どのような証言が有効かなど弁護士のアドバイスをもらうことが推奨されます。
刑事事件を得意とする弁護士に相談する
不同意性交等で訴えられたときは、できるだけ速やかに刑事事件を得意とする弁護士に相談するべきです。
冤罪であれば、どのように対処すべきかを弁護士が適切にアドバイスしてくれます。
証拠を集める際は、どういった証拠が有効でどのように確保するべきかなども指示してくれるのです。
また刑事事件に発展した際は、取り調べでどのように対応すればよいかもアドバイスしてくれます。
逮捕・勾留を回避したり、仮に逮捕されても早期釈放されたりするための対応をしてくれるのも弁護士に相談するメリットです。
相手側とのやりとりが必要な際は、弁護士が代わりにおこなってくれます。
相手に直接連絡するのはNG
冤罪で訴えられた場合、感情的になって相手に直接連絡を取りたくなるかもしれませんが絶対に避けるべきです。
あなたが相手に送ったメッセージや電話での会話などが、あなたの不利な証拠として使われてしまう可能性もあります。
冷静に対処するためにも、相手とのやりとりは全て弁護士に任せることが推奨されます。
法律のプロである弁護士は早期に問題を解決するため、適切に対応をすすめてくれます。
不同意性交等罪を立証しうる証拠の例
不同意性交等罪の事件において、検察官が有罪を立証するために提出する可能性のある証拠には、さまざまな種類があります。
不同意性交等を認めない場合も反対に認める場合も、どのような証拠が有効なのか知っておくと役に立つでしょう。
以下、ひとつずつ具体的な証拠の例を解説します。
1.防犯カメラの映像
事件が発生した場所やその周辺の防犯カメラの映像は、客観的な状況を示す重要な証拠となります。
たとえば、被害者が抵抗している様子や、相手が酩酊している状態で連れ去られる様子などが映っていれば、不同意であったことを示す有力な証拠となります。
また、事件前後の2人の行動が記録されていれば、供述の矛盾点などを明らかにする手がかりとなることもあります。
2.第三者の証言
事件現場にいた第三者の証言があれば、有力な証拠となる場合があります。
被害者の供述と整合性があるかや、被害者の供述を客観的に裏付けられるかを確かめられるためです。
3.SNSやメールでのやりとり
事件前後におけるSNSやメールのやりとりが、不同意性交等の有効な証拠となることも少なくありません。
事件に至る経緯や、同意の有無などを直接的・間接的に裏付けられる場合があるためです。
4.被疑者のDNA
被害者の膣などから被疑者のDNAが検出されれば、少なくとも性行為があったことの証拠になります。
仮にそのDNAが被疑者のものでなかった場合は、被疑者と性行為があったこと自体が否定されることになるでしょう。
5.被害者の尿や残留アルコール、身体の傷やあざ
被害者の尿から、普段服用していない薬物の成分が検出された場合、不同意の状態であった可能性を示す証拠となります。
たとえば、睡眠薬などの成分が検出されれば、意識がない状態で性行為がおこなわれた可能性が考えられます。
また、被害者の身体に残された傷やあざは、暴行や抵抗があったことを示す可能性があります。
これらの傷やあざの写真や診断書なども、証拠として提出されることがあります。
同意があったことを立証しうる証拠の例
もしあなたが、性行為は合意の上だったと考えているのであれば、それを立証するため、以下にあげるような証拠を集めることが重要です。
SNSやメールでのやりとり
性行為の前に、相手が性行為に同意するようなメッセージを送っていた場合や、性行為後に仲睦まじい様子がわかるメッセージをやり取りしている場合などは、同意があったと評価されることがあります。
たとえば、「今日は楽しみ」「また近いうちに会いたいね」といったメッセージや、性行為の内容に触れた感謝のメッセージなどが考えられます。
会話の録音データや動画
もし、相手との会話を録音していたり、性行為の状況を双方の合意のもとで録画していたりする場合、それらは同意があったことを示す直接的な証拠となる可能性があります。
特に、性行為中に相手が明確に同意する発言をしている録音や動画は、非常に有力な証拠となります。
ただし、相手に無断で録音や録画をおこなった場合は、別の罪に問われる可能性もあるため注意が必要です。
第三者の証言
性行為の前後に、あなたが相手と楽しそうに会話していたり、親密な様子で一緒にいるのを第三者が見ていたりする場合、その第三者の証言は同意があったことを示す間接的な証拠となる可能性があります。
たとえば、友人や知人が、あなたが相手から好意的に誘われているのを目撃していたり、2人で楽しそうにデートしているのを見ていたりする場合などが考えられます。
同意文書やアプリによる同意確認
事前に、相手との間で性行為に関する同意書を作成していたり、同意を確認するためのアプリなどを利用していたりする場合、それらは同意があったことを示す直接的な証拠となります。
ただし、性行為の前にわざわざ同意書を取り交わすケースは一般的ではありません。
不同意性交等罪の証明についてよくある質問
不同意性交等罪の証明に関して、よくある質問とその回答をまとめました。
不同意性交等罪で立証責任は誰にある?
日本の刑事司法制度では、不同意性交等罪を含む全ての刑事事件において、被告人が罪を犯したことを証明する責任は検察官にあります。
検察官は裁判所に対して、被告が不同意性交等罪の構成要件を満たす行為をおこなったことを、合理的な疑いを挟む余地がない程度に証明しなければなりません。
被告人自身が、自分が無罪であることを証明する必要はないのです。
もし、検察官が十分な証拠を提出できず、被告人が有罪であることの証明ができない場合、被告人は無罪となります(「疑わしきは被告人の利益に」の原則)。
万が一示談が必要になった場合、不同意性交等罪の示談金相場はどのくらい?
不同意性交等罪の示談金(慰謝料)の相場は、一般的に100万円から300万円程度とされていますが、事案によって大きく変動します。
示談金の金額は、被害の程度、被害者の精神的苦痛、加害者の反省の態度、事件の悪質性など、さまざまな要素を考慮して決定されます。
さいごに|不同意性交等罪で訴えられたら早めに弁護士へ相談を
本記事では、不同意性交等罪における証拠の重要性について解説しました。
不同意性交等罪では、証拠が被害者の証言しかなくても、その信頼性が高いと判断されれば逮捕される可能性はあります。
もし、身に覚えのないことで訴えられてしまった場合は、冷静に事実を確認し、同意があったことを証明できる証拠を探すとともに、できるだけ早く刑事事件の解決実績豊富な弁護士に相談することが最も重要です。
不同意性交等罪は非常に重い罪であり、実刑判決となる可能性も十分にあります。
弁護士は、あなたの権利を守り、適切な弁護活動をおこなうことで、不起訴処分や無罪判決を得るために尽力してくれます。
また、万が一示談が必要になった場合でも、適切な金額や条件で示談を成立させるためのサポートをしてくれます。
不安な気持ちを抱えているのであれば、ひとりで悩まずに、まずは弁護士に相談してみることを強くおすすめします。
弁護士に相談することで、今後の見通しが立ち、安心して事件解決に向けて進むことができるでしょう。



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