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みだらな行為とは?どんな罪が成立するかや具体的な事件の例までわかりやすく解説

みだらな行為とは?どんな罪が成立するかや具体的な事件の例までわかりやすく解説
  • 「みだらな行為って、どこからが犯罪になるの?」
  • 「相手が同意していれば問題ないのでは?」

女性との行為について、このような疑問を持つ方も多いかもしれません。

実は「みだらな行為」は、行為の内容や相手の年齢、合意の有無によっては、刑法上の犯罪として処罰される可能性があります。

特に近年では、SNSなどを通じた出会いややり取りがきっかけで、意図せず法に触れるケースも増えているため、正しい知識を持つことが重要です。

この記事では、「みだらな行為」とされる具体的な内容や、成立しうる罪名、過去の事件例までをわかりやすく解説します。

トラブルを未然に防ぐためにも、ぜひ最後まで参考にしてください。

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みだらな行為とは?|青少年との性的行為を指すことが多い

みだらな行為とは、性交や性交類似行為のうち、性的道義観念を逸脱した社会通念上不適切とされる行為を意味します。

みだらな行為は法律用語ではなく、一般的に使用される用語なので、明確な定義は存在しません。

みだらな行為とわいせつな行為、淫行との違い

みだらな行為と似た用語に、淫行やわいせつな行為が挙げられます。

ここでは、それぞれの意味について見ていきましょう。

淫行とは

淫行とは、各都道府県が規定する青少年保護育成条例で使用されることが多い法律用語です。

最高裁判所では、淫行について「青少年を誘惑し、威迫し、疑罔し、または困惑させるなど、その心身の未成熟に乗じた不当な手段によっておこなう性交や性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交や性交類似行為をいう」と判断を下しています。

つまり、淫行は、「青少年に対するみだらな行為」と言い換えられるでしょう。

わいせつな行為

わいせつな行為とは、刑法に規定される不同意わいせつ罪、公然わいせつ罪、わいせつ物頒布等罪などの構成要件要素のひとつに掲げられる法律用語です。

まず、公然わいせつ罪、わいせつ物頒布等罪における「わいせつ」とは、いたずらに性欲を興奮または刺激せしめ、かつ、普通の人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものを意味すると解されています(最判昭和26年5月10日)。

次に、不同意わいせつ罪における「わいせつな行為」とは、性的な意味を有する行為、本人の性的羞恥心の対象になるような行為のことです。

具体的には、以下のような行為が該当します。

  • 無理やりキスをする
  • 陰部や乳房に触れる
  • 洋服を脱がせる
  • 裸にして写真を撮影する
  • 自分の性器を触らせる など

わいせつな行為に該当するかどうかは、被害者の具体的な感受性を基準とするのではなく、一般的な基準によって判断されます。

なお、不同意性交等罪と不同意わいせつ罪との関係には注意が必要です。

たとえば、以下の行為は「性交等」に含められるものであり、「わいせつな行為」からは除かれることを覚えておきましょう。

  • 性交
  • 肛門性交
  • 口腔性交
  • 膣もしくは肛門に身体の一部(陰茎を除く)もしくは物を挿入する行為であってわいせつなもの

みだらない行為とは具体的にどこからどこまでの行為を指す?

「みだらな行為」という用語は一般的に使用されるため、明確な定義は存在しません。

しかし、「淫行」が「青少年に対するみだらな行為」と言い換えられることを考慮すると、「みだらな行為」に該当する行為として以下のものが含まれると考えられます。

  • 性交
  • 肛門性交
  • 口腔性交
  • 膣もしくは肛門に身体の一部もしくは物を挿入する行為であってわいせつなもの
  • 無理やりキスをする
  • 陰部や乳房に触れる
  • 洋服を脱がせる
  • 裸にして写真を撮影する
  • 自分の性器を触らせる など

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みだらな行為で適用される可能性がある「青少年保護育成条例」とは?

青少年に対してみだらな行為に及んだ場合、各自治体が制定する青少年保護育成条例に違反する可能性があります。

ここでは、青少年保護育成条例の規制内容や法定刑、同条例違反を理由に検挙される具体的な行為について解説します。

みだらな行為をはじめ、青少年保護育成条例違反とされる行為の例

青少年保護育成条例は、18歳未満の青少年の健全な成長を阻害したり、非行を誘発したりするおそれがある行為を規制する条例です。

各自治体によって制定内容は異なりますが、一般的には、以下のような行為が青少年保護育成条例違反に該当します。

  • 青少年の深夜外出の制限
  • 青少年の深夜興行などへの立ち入りの制限
  • 青少年に対するみだらな性行為及びわいせつな行為の禁止
  • 青少年に対して入れ墨をほどこす行為などの禁止
  • 青少年に対して、みだらな性行為、わいせつな行為、賭博、飲酒、喫煙、大麻の使用などを目的とした場所の提供・周旋の禁止
  • 青少年に対して性的感情を刺激したり犯罪を誘発したりするおそれがあるがん具刃物類・図書類の販売や広告物の制限
  • 青少年に対する有害興行の閲覧の制限
  • 青少年に対する質受け、買受け及び金銭貸付けの制限 など

青少年保護育成条例違反として、みだらな行為が処罰される要件

ここからは、青少年保護育成条例で規制される「みだらな性行為及びわいせつな行為」に及んだことを理由に刑事訴追される要件について解説します。

 

相手が18歳未満であること

青少年保護育成条例が適用されるのは、性行為などの被害者が青少年である場合に限られます。

そして、青少年保護育成条例における「青少年」とは、18歳未満の者を指すことが多いですが、自治体によっては青少年の下限の年齢を定めている場合があります。

被害者の年齢が18歳以上の場合、みだらな性行為やわいせつな行為に及んだとしても、青少年保護育成条例違反ではなく、不同意性交等罪や不同意わいせつ罪の成否が問題になります。

相手が18歳未満であると知っていたこと

青少年保護育成条例違反は故意犯です。

そのため、青少年保護育成条例違反の容疑で刑事訴追されるには、「被害者が18歳未満であること」に対する故意が必要とされます。

被害者が18歳未満であると知らなかった場合や、18歳未満であると知りようもなかった場合には、青少年保護育成条例違反には該当しません

たとえば、以下のようなケースでは故意があると認定されます。

  • 生徒証や制服などから被害者が18歳未満であることを明確に認識していた場合
  • 被害者は18歳以上であると偽っていたが、会話の内容や身体の様子などから、18歳未満であると認識できる可能性があった場合
  • 被害者本人は自分の年齢を明かしていなかったが、雰囲気などから「18歳未満かもしれない」と思っていた場合 など

性交や性交に類似する行為をしたこと

青少年保護育成条例違反の実行行為は、性行為や性交類似行為です。

性行為だけではなく、口淫、手淫、前戯、裸で抱き合う、服を脱がすなどの行為も幅広く含まれます。

未成年との性行為が「真剣な交際」のうえであれば、処罰されない可能性がある

青少年保護育成条例違反に問われるのは、青少年に対して「みだらな」性行為及びわいせつな行為に及んだときです。

「みだらな」性行為及びわいせつな行為に該当すると判断されるのは、以下のようなケースです。

  • 心身の未成熟な青少年を誘惑したり騙したりすることで性行為などに及んだ場合
  • 自分の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性行為などに及んだ場合

これらを言い換えると、真剣に交際している場合や、結婚を前提としたお付き合いをしている場合なら、「みだらな」性行為及びわいせつな行為には該当しない可能性があるということです。

ただし、青少年保護育成条例違反に該当しない真剣交際であったかを判断する際は、個別具体的な事情が総合的に考慮される点に注意が必要です。

特に、一方当事者だけが真剣に交際していると思い込んでいても、被害者側が「無理やり付き合わされている」「断れなかった」などと感じていた場合には、青少年保護育成条例違反の容疑で検挙されるリスクがあります。

みだらな行為により、青少年健全育成条例違反とされた場合の罰則

青少年保護育成条例の規制内容や法定刑は、各自治体によって異なります

たとえば、東京都青少年の健全な育成に関する条例では、みだらな行為に及んだことを理由に青少年保護育成条例違反に問われる場合の法定刑を、2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金刑と定めています。

青少年健全育成条例違反の時効

青少年保護育成条例違反の行為に及んだとしても、公訴時効が完成すれば刑事責任を追求されることはありません

みだらな行為に及んだ事実が青少年保護育成条例違反に該当する場合の公訴時効期間は、犯罪行為が終わってから3年間です。

青少年へのみだらな行為で適用される可能性があるそのほかの主な罪

青少年に対してみだらな行為に及んだ場合には、青少年保護育成条例違反以外の容疑をかけられる可能性があります。

罪状 内容 法定刑
不同意わいせつ罪 暴行や脅迫、心身の障害、アルコールや薬物を使うなどして、被害者が同意しない意思を表明等できないことに乗じて、わいせつな行為をしたときに成立する。 6ヵ月以上10年以下の拘禁刑
不同意性交等罪 暴行や脅迫、心身の障害、アルコールや薬物を使うなどして、被害者が同意しない意思を表明等できないことに乗じて、性交等に及んだときに成立する。 5年以上の有期拘禁刑
児童ポルノ禁止法違反 ・児童買春をする行為
・児童ポルノを製造する行為
・児童買春罪:5年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金刑
・児童ポルノ製造罪:3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金刑
出会い系サイト規制法違反 ・出会い系サイトを使って、児童を性交等の相手方になるように誘引する行為
・出会い系サイトを使って、金銭を供与して異性交際をする相手方になるように児童を誘引する行為
100万円以下の罰金刑

青少年や児童に対してみだらな行為に及んだ場合、事案の個別事情次第では、青少年保護育成条例違反よりも重い刑事罰が科されるリスクが存在します。

早期に示談交渉を開始したり捜査活動へ適切な初期対応をとったりすれば有利な刑事処分を獲得しやすくなるので、心当たりがある人は、できるだけ早いタイミングで刑事事件を得意とする弁護士まで相談してください。

青少年に対するみだらな行為で事件になった事例・判例

ここからは、青少年に対してみだらな行為に及んだことを理由に刑事訴追された実例を紹介します。

【2025年6月】30万円の略式命令が出された例

本件は、2024年10月に25歳男性のが10代の女性に対してみだらな行為に及んだとして、青森県青少年健全育成条例違反の容疑で逮捕された事案です。

途中で在宅事件に切り替わりましたが、検察官が任意で捜査活動を進めた結果、2025年5月22日に略式起訴の判断を下しています。

最終的に、裁判所は罰金30万円の略式命令を下しました

【2002年1月】当時の強姦罪とあわせ懲役5年の実刑判決が出た判例

本件では、被告人が及んだ以下2つの行為が刑事処罰の対象とされました。

  1. 平成9年1月5日、配偶者の連れ子A(当時11歳)に対して、13歳未満であることを知りながら、就寝中のAをうつぶせにして、その背後から覆い被さるなどの暴行を加えて反抗を抑圧して姦淫した行為
  2. 平成13年3月9日午後1時頃、配偶者の連れ子A(当時15歳)に対して、18歳未満の青少年であることを知りながら、性交等をした行為

①については強姦罪(現在の不同意性交等罪)、②については埼玉県青少年健全育成条例違反が適用されています。

刑事裁判において、被疑者は犯人のおこないを許す旨を証言しました。

しかし、被告人本人は、「被害者と一緒に暮らしたい」「私が身を引けば被害者が家族と暮らせることはわかるが、その判断は被害者に任せる」など、被害者の心情や心理的後遺症を自覚しているとは思えない供述を繰り返しており、十分な反省の態度をうかがい知ることはできない状況でした。

このような事情から、裁判所は、懲役(拘禁刑)5年の実刑判決を言い渡しています。

さいごに|みだらな行為で逮捕されるのが不安な場合は弁護士に相談を!

本記事では、みだらな行為の定義やそれによって生じるリスクなどについて詳しく解説しました。

青少年や児童に対してみだらな行為に及んだために逮捕されるか不安を抱えているなら、すぐに刑事事件が得意な弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士に相談すれば、相談者が過去におこなったみだらな行為がどのような罪状に当てはまるのか、現段階でどのような防御活動を展開するべきなのかなどについて、的確なアドバイスを期待できるでしょう。

また、事件の状況次第では、自首に向けた準備や被害者との示談交渉を開始してくれます。

なお、ベンナビ刑事事件では、青少年保護育成条例違反などの性犯罪弁護が得意な専門家を多数紹介中です。

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この記事の監修者
前田 歩 (兵庫県弁護士会)
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編集部

本記事はベンナビ刑事事件を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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