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傷害未遂は暴行罪に?傷害罪と暴行罪の違いや対処法をわかりやすく解説

東日本総合法律会計事務所
加藤 惇
監修記事
傷害未遂は暴行罪に?傷害罪と暴行罪の違いや対処法をわかりやすく解説

「相手とのちょっとした言い争いから、思わず相手に殴りかかってしまったが、幸い相手にけがはなかった」

このような場合に、傷害未遂が成立するか不安になっている方もいるでしょう。

結論からいえば、「傷害未遂」という罪名は存在しません

しかし、行為の内容によっては相手がけがをしていなくても暴行罪が成立し、逮捕される可能性もあるため注意が必要です。

本記事では、傷害未遂は刑法上存在しないことを前提に、傷害罪と暴行罪の違いや、それぞれの犯罪が成立するケース、逮捕を回避するための適切な対処法について解説します。

トラブルをできるだけ穏便に済ませ、刑処分を避けたい方はぜひ最後まで参考にしてください。

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傷害未遂罪という刑法上の罪は存在しない

前提として、刑法には「傷害未遂罪」という罪はありません

傷害罪とは、人の生理的機能に障害を与える行為に対して科される犯罪です。

創傷や擦過傷、打撲傷などの外傷を与えることに加え、人を失神させたり病気にさせる行為、精神的な不調を引き起こす行為も、「傷害を与える」に該当します。

そして、刑法で未遂行為が処罰の対象となるのは、その罪に「未遂も処罰する」という規定がある場合に限られます。

しかし、傷害罪については、未遂を処罰する条文が存在しません

そのため、「傷害未遂罪」として処罰されることはないのです。

相手を傷つけようとしたもののけがをしなければ暴行罪が適用される

相手を傷つけようとしたもののけがを負わなかった場合には、傷害罪ではなく「暴行罪」が適用されます。

暴行罪は、暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときに該当する犯罪類型です。

「相手がけがをしておらず、傷害未遂罪もないから大丈夫」と考えるのは間違いです。

傷害罪と暴行罪の違い | 相手にけがをさせたか否か

傷害罪と暴行罪は、主に以下のような違いがあります。

暴行罪と傷害罪の違い
  暴行罪 傷害罪
概要 他人を暴行した場合の罪 他人の身体を傷つけた場合の罪
法定刑 ・2年以下の拘禁刑
・30万円以下の罰金
・拘留
・科料
・15年以下の拘禁刑
・50万円以下の罰金

両者のもっとも大きな違いは、「相手にけがをさせたかどうか」です。

傷害罪は、相手の身体にけがを負わせたときに成立します。

一方、暴行罪はたとえけがをさせなくても、暴力をふるっただけで成立する点が異なります。

刑法は、行為の結果が重大であるほど、重い罪として処罰するという考え方が基本です。

そのため、実際にけがを負わせた場合は被害者に与えるダメージが大きく、傷害罪が適用されより重い刑罰が科されます。

暴行罪が適用されるケース例

暴行罪は、人の身体に対して不法な有形力を行使した場合に成立します。

一般的に思い浮かぶのは殴る・蹴るといった直接的な暴力行為ですが、刑法上の「暴行」は広く解釈されています。

暴行として解釈されるのは、たとえば以下のような行為です。

  • 衣服を強く引っ張る
  • 太鼓の音を大音量で連打して、相手の意識を混乱させる
  • 塩を振りかける
  • 相手に向かって物を投げるふりをする
  • 狭い室内で刃物を振り回す

必ずしも、殴る・蹴るだけが暴行になるというわけではないので注意しましょう。

暴行罪でなく傷害罪が適用されるケース例

傷害罪は、相手に傷害を負わせた場合に成立する犯罪類型です。

傷害には、出血や骨折などの身体的な傷だけでなく、精神的ダメージや病気も含まれます。

傷害に該当する具体的な行為は、以下のとおりです。

  • 相手を殴打して骨を折る
  • 嫌がらせ電話によって精神的に追い詰める
  • SNSへの悪意のある書き込みにより精神的ショックを与える
  • 騒音により頭痛や睡眠障害を引き起こす
  • 性病を隠して性交渉をして、相手を性病に感染させる

暴力事件を起こした場合にやるべきこと

傷害または暴行事件を起こしてしまい、何もしないまま放置すると、逮捕・起訴され、最終的に有罪判決を受ける可能性があります。

刑事処分を受けるリスクを少しでも軽減するためには、とくに以下の3つの対応が重要です。

  • 被害者との示談を成立させる
  • 十分に反省してそのことを被害者や捜査機関に示す
  • 刑事事件が得意な弁護士に相談する

ここからは、それぞれのポイントについて解説します。

被害者との示談を成立させる

暴行事件を起こした場合、できるだけ早い段階で被害者との示談を成立させることが重要です。

示談が成立すれば、被害者の被害届の提出を防げる可能性があります。

すでに提出されている場合でも、取り下げてもらえるかもしれません。

また、逮捕されたあとでも、示談が成立していれば、勾留や起訴につながる可能性があります。

ただし、加害者自身が被害者に連絡して示談を申し入れるのは、逆効果になるおそれがあるので注意が必要です。

被害者が強く怒っていたり、精神的ショックを受けていたりする場合には、話すことすら拒否される場合もあるでしょう。

また、不当に高額な示談金を要求されるリスクもあります。

そのため、示談交渉は弁護士に一任するのが安全かつ効果的です。

十分に反省してそのことを被害者や捜査機関に示す

暴力事件を起こした場合は、事件を起こしたことに対してしっかりと反省し、その気持ちを被害者や警察に伝えることも重要です。

具体的な方法としては、被害者宛に謝罪文を書く、反省文を作成して捜査機関に提出する、再発防止のためのカウンセリングを受けるなどが挙げられます。

反省している姿勢を魅せると、被害者の気持ちが和らいだり、警察や検察も「再犯の可能性は低い」と判断してくれる可能性があります。

また、たとえ傷害罪や暴行罪で検挙されたとしても、不起訴処分を得られる可能性も高まるでしょう。

刑事事件が得意な弁護士に相談する

暴力を起こしてしまったら、できるだけ早い段階で弁護士に相談しましょう。

刑事事件が得意な弁護士であれば、法律の専門知識に加えて、数多くの事件を扱ってきた経験があります。

そのため、一人ひとりの状況に応じた的確な対応やアドバイスをしてくれるはずです。

具体的には、示談交渉を円滑に進める、警察や検察に対する適切な対応をとるなどして、逮捕や起訴を回避するよう尽力してくれます。

無理に自分だけで対処しようとすると、かえって不利な結果を招くおそれもあるので、できるだけ穏便に解決するためには弁護士に依頼するのがよいでしょう。

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傷害未遂についてよくある質問

ここでは、傷害未遂に関するよくある質問をまとめました。

似たような疑問をお持ちの方は、ぜひここで疑問を解消してください。

傷害致死罪の未遂はありえる?

傷害致死罪の未遂は存在しません

傷害致死罪は、「けがをさせる」という行為と「結果として人が死亡する」という結果がそろって初めて成立します。

つまり、死亡という結果が発生しなければ傷害致死罪が成立しないため、傷害致死罪の未遂という考え方自体が成り立たないのです。

なお、暴行罪や傷害罪、傷害致死罪の成立要件を整理すると、以下のように分類できます。

暴行の結果 成立する可能性のある犯罪
相手にけがをさせていない 暴行罪
相手にけがをさせた 傷害罪
相手を死亡させた 傷害致死罪

ただし、もし最初から「相手を殺そう」という殺意があって暴行を加えた場合には、たとえ相手が死亡していなくても「殺人未遂罪」が成立する可能性があります。

暴行罪は未遂でも処罰される?

暴行罪の未遂も存在しません

暴行罪は「暴行しようとする行為」に着手した段階で成立します。

つまり、人を殴ったり蹴ったりするなどの行為を実際におこなった時点で、すでに暴行罪は成立したと判断されます。

いわば「未遂」の状態がすでに「既遂」と評価されるので、未遂という考え方が当てはまらないのです。

暴力事件での逮捕率は?

暴力事件は、通常「暴行罪」として扱われることが多いです。

そして、法務省が公表している「令和6年度 犯罪白書」によると、暴行罪における逮捕率は4割程度とされています。

逮捕されるかどうかは、証拠の有無や、逃亡・証拠隠滅のおそれがあるかどうかなど、個別の事情によって判断されますが、逮捕率は決して低くないことを覚えておきましょう。

逮捕を避けるためには、できるだけ早く弁護士に相談し、被害者との示談交渉などを進めておくことが重要です。

さいごに|暴力事件も犯罪になる可能性がある!まずは弁護士に相談を!

本記事では、傷害未遂についてわかりやすく解説しました。

傷害未遂罪という罪名は存在しませんが、相手に暴行を加えると暴行罪に問われる可能性があります。

暴行事件として警察から連絡があったり、捜査が始まったりした場合、自分だけで対応すると、かえって状況を悪化させてしまうおそれがあります。

そうしたリスクを避けるためにも、できるだけ早い段階で弁護士に相談することが大切です。

弁護士に相談すれば、示談交渉や証拠の整理、警察・検察とのやり取りを全て代理で進めてもらえるので、逮捕や起訴を回避できる可能性が高まります。

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困ったときはひとりで悩まず、まずは弁護士に相談しましょう。

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この記事の監修者
東日本総合法律会計事務所
加藤 惇 (第一東京弁護士会)
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編集部

本記事はベンナビ刑事事件を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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