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公開日:2018.10.4  更新日:2021.6.24

刑事事件で弁護士をつけないことは可能?費用を払えない場合は?

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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犯罪を犯してしまうと、被疑者・被告人として捜査を受け、起訴された場合は刑事裁判を受けることになります。その際頼りになる存在が、弁護士(弁護人)です。

 

しかし、その一方で、弁護士への依頼は費用もかかり、「どうせ有罪になるのなら最初から弁護人をつけないで費用を抑えたほうがマシ」「そんなに大した事件ではないから、弁護士費用がもったいない」と、思う方もいるかもしれません。

 

この記事では、以下の点について解説します。

  • 刑事事件で弁護士をつけないことは可能か
  • 弁護士費用を払えない場合どうすればいいのか
  • 刑事事件で弁護士をつけないデメリット
  • 刑事事件で弁護士をつけるかどうかの判断基準

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刑事事件で弁護士をつけないことは可能か?

刑事事件では、弁護士に依頼せずに刑事裁判などを行うことも、可能です。一部の条件を除けば、弁護士に依頼せずに裁判を受けることも制度上はできます

 

ただし、略式手続ではなく、正式裁判で刑事手続きを進める場合、弁護人がつかないまま裁判が行われるということは実務的にはほとんどありません。一応制度上の整理をご説明しますと、刑事事件には、裁判をするにあたり以下の2つのタイプがあります。

必要的弁護事件

被告人に弁護士が選任されていないと裁判を行うことができない事件

  1. 法定刑が死刑または無期、もしくは長期3年を超える懲役もしくは禁錮に当たる事件
  2. 公判前整理手続や、即決裁判手続による事件
  3. 私選弁護人が選任されていない場合

任意的弁護事件

弁護士が選任されていなくても裁判を行うことは可能

被告人が次に該当する場合、国選弁護人が選任される

  • 被告人が未成年者・70歳以上
  • 耳が聞こえない・目が見えない場合
  • 心神喪失などの場合、その他必要であると判断された場合

必要的弁護事件であれば必ず、任意的弁護事件であっても正式裁判により手続きが行われる場合は、ほぼ例外なく弁護人が選任されます。仮に被告人が弁護士を選任(依頼)できない場合、裁判所が裁量を持って国選弁護人を選任します。

 

被告人が、裁判所の許可を得て国選弁護人を解任したとしても、裁判所の裁量で新たな弁護人が付されます。

 

したがって、弁護士に依頼せずに刑事裁判を受けることは理論上は可能ですが、実務的には弁護人がつかないまま刑事裁判が行われるというケースはほとんどありません(書面審理で即日終了する略式手続は別です)。

必要的弁護事件とは?

『死刑または無期もしくは長期3年を超える懲役、もしくは禁錮にあたる事件』などの場合、必ず弁護人をつけなくてはなりません。裁判までに弁護人がついていなければ、国選弁護人が選任されることとなります。

 

主な事件の種類はこちらです。

 

  • 殺人罪(死刑/無期・5年以上の懲役)
  • 強盗罪(5年以上の有期懲役)
  • 傷害罪(15年以下の懲役/50万円以下の罰金)
  • 詐欺罪(10年以下の懲役)
  • 窃盗罪(10年以下の懲役/50万円以下の罰金)

 

これは、裁判所の判断ではなく、刑事訴訟法第289条1項で定められています。

 死刑又は無期若しくは長期三年を超える懲役若しくは禁錮に当たる事件を審理する場合には、弁護人がなければ開廷することはできない。

任意的弁護事件とは?

任意的弁護事件に当てはまる事件内容は、「死刑または無期もしくは長期3年を超える懲役、もしくは禁錮にあたる事件」以外のものになります。具体的な罪名はこちらです。

  •  
  • 暴行罪(2年以下の懲役/30万円以下の罰金/拘留/科料)
  • 器物損壊罪(3年以下の懲役/30万円以下の罰金/科料)
  • 脅迫罪(2年以下の懲役/30万円以下の罰金)
  • 強要罪(3年以下の懲役)
  • 公然わいせつ罪(6ヶ月以下の懲役/30万円以下の罰金/拘留/科料)

 

また、上記でもお伝えしたとおり、任意的弁護事件であっても、被告人に弁護人が選任されておらず、かつ正式裁判で手続きを進める場合は、裁判所の裁量で国選弁護人が選任されるのが通常です。

被告人の状態によって選任されることもある

被告人が以下のような状態であれば、上記の罪以外であっても弁護人をつけることが、刑事訴訟法第37条に定められています。

 

  • 被告人が未成年
  • 被告人の年齢が70歳以上
  • 被告人の耳が聞こえない、話すことができない
  • 被告人が心身喪失者や心身衰弱状態
  • その他弁護人が必要な時

刑事事件の弁護士費用を払えない場合の選択肢3つ

弁護士費用が負担できないという理由で弁護士をつけられなくても、前述したとおり、裁判所の裁量で国選弁護人が選任されます。また、それ以外にも弁護士に依頼する方法はあります。

 

ここでは、国選弁護人を含め、弁護士費用の負担ができない場合に、少ない負担で依頼する方法を解説します。

国選弁護人を選任してもらう

国選弁護人は、国が費用を負担してくれる弁護士です。いかなる被疑者・被告人であっても、弁護を受ける権利が日本国憲法で定められているため、国選弁護人制度があるのです。

 

国選弁護人は、被疑者や被告人が、勾留後と起訴後に裁判所や捜査機関へ依頼することで、選任してもらえます。国選弁護人の選任には、原則資産が50万円以下などの条件が定められてはいますが、実務上、資力要件を満たさなくても私選弁護人が選任できないということになれば、国選弁護人が選任されますので、安心してください。

 

もし、弁護士費用の負担ができないのであれば、国選弁護人を選任してもらいましょう。

当番弁護士を呼ぶ

逮捕から起訴されるまでに、一度だけ無料で呼べるのが当番弁護士です。当番弁護士は相談に乗ることしかできず、その後の弁護活動の依頼には費用がかかります。

 

しかし、逮捕後にすぐに状況を確認したい場合、すぐに接見(面会)を行ってくれます。被疑者に対しても、取調べに対する法的助言、黙秘権や供述調書、逮捕後の流れを説明してくれます。

 

当番弁護士は、家族でも被疑者でも呼ぶことができます。無料ですので、とりあえず呼んでみて、今後の方針を決めてもよいでしょう

【当番弁護士の呼び方はこちら】

当番弁護士とは?呼び方や費用など、制度の概要をわかりやすく解説

安価な料金体系の私選弁護人を利用する

私選弁護人とは、あなた自身で直接弁護士を選び、費用を負担して依頼する弁護士のことです。費用の負担は大きいですが、一番おすすめできるのも私選弁護人です

 

当番弁護士のような弁護活動の制限もなければ、国選弁護人のように選任が遅い・どんな弁護士が派遣されてくるかわからないということもありません。

 

私選弁護人であれば、逮捕直後から依頼できます。私選弁護人の選任で、特にネックになるポイントは費用の負担ではないでしょうか?

 

刑事事件での弁護士費用相場は60~100万円と言われています。ただし、弁護士事務所の中には、無料相談を受けつけている、着手金が0円、分割払いを受けつけているなどの事務所もあります

 

そちらを利用することで、費用を抑えることはできます。『刑事事件弁護士ナビ』でも、無料相談を受けつけている弁護士事務所を掲載しています。

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【費用を抑えるコツを知りたい方はこちら】

刑事事件の私選弁護士費用相場|良い弁護士に出会う3つの方法

刑事事件で弁護士をつけないことのデメリット

中には、刑事事件で弁護士をつけたくないと思っている方もいるでしょう。理由として考えられるのが、「高額な弁護士費用」ではないでしょうか。

 

たしかに刑事事件での弁護士費用は安くはありません。「わざわざ弁護士費用を払うくらいなら、なるようになった方がいい」と、思われているかもしれません。

 

しかし、弁護人をつけないことにより、以下のような不利益が考えられます。それらを考慮しても納得できるのであれば、弁護士をつけない、または選任された国選弁護人を頼らないという選択もあるかもしれません。

勾留期間が長引くことによる大きな不利益

ご家族が逮捕・勾留されてしまった場合、勾留期間が長引くことによるデメリットを考えてみましょう。

社会生活への影響が出る

逮捕から起訴まで身柄拘束を受ける期間は13~23日間です。たとえば仕事面において、逮捕により数週間も欠勤した従業員をそのまま雇い続けてくれる会社はそう多くはないでしょう。

 

勾留期間が長引くことにより、解雇のリスクは高まります。弁護士費用は高額ですが、勾留が長期化することにより今後の収入を失うことにもなりかねません

 

起訴されてしまい、仮に実刑判決となって刑務所に収監されれば、社会復帰がますます難しくなってしまいますし、家族が受ける不利益も深刻です。弁護人がついていたとしても、必ずしも勾留期間が短くなるわけではありませんし、実刑を回避できるわけでもありません。

 

ですが、早期釈放や実刑回避へ向けた弁護活動や、接見、適したアドバイスを期待することができます。

長期勾留による精神的な苦痛

長期勾留は精神的な苦痛も大きなものがあります。逮捕されてしまった場合、被疑者は捜査機関から厳しい取調べを受けることになります。

 

厳しい取調べや、続く勾留で心が折れて、やってもいない罪を認めてしまうケースもないとは言えません。仮に接見禁止の処分を受けた場合、被疑者は家族との接見(面会)すらも許されず、誰からの援助も受けられないまま、見放された気持ちで孤独な時間が過ぎるのを待つしかありません。

 

弁護士の存在は、法的な知識で弁護してくれるだけにとどまりません。

 

弁護士がいるのといないのを比べれば、その精神的な安心感には大きな違いがあるでしょう。弁護士は、あなたや被疑者の味方となってくれるからです。

参考:勾留とは|拘束される期間と要件・早期釈放を目指す5つの方法を解説

周りの人に逮捕されたことを知られてしまう

人には知られたくない逮捕されたという事実を、会社や知人に知られるおそれがあります。場合によっては、実名報道されてしまうことも考えられます。

 

実名報道されれば、その影響が大きいことは想像ができるでしょう。社会的な信用は失われ、インターネット上に名前が残り続けることもあり得ます。

 

上記でお伝えしたように、会社に知られてしまうと、解雇されることもあります。性犯罪などでは、配偶者や家族に知られることで、家庭崩壊や離婚の原因ともなりかねません。

 

逮捕されるということは、それ相応のリスクが伴うということをご理解ください。このような場合に、専門知識を持つ弁護士であれば、何らかの相談に乗ってもらえるかもしれません。

刑務所で長期間過ごすこともある

起訴され、そして有罪と認定されたことで実刑判決を受けると、刑務所に収監されます。もちろん控訴することは可能ですが、控訴審で判断が覆る可能性は高くありません。

 

刑罰が確定すれば、刑の確定日から刑期を満了する日まで刑務所で過ごさなくてはなりません。そうなってしまうと、刑務所からの出所後に逮捕前と変わらない生活を送ることは難しいでしょう。

 

弁護士の的確な弁護活動によって、実刑を回避できるということもあるかもしれません。

関連記事:日本の懲役の実態|懲役刑が果たす3つの役割と問題点

被害者との示談が上手くまとまらない

刑事事件を穏便に解決させる方法の一つに、被害者との示談があります。しかし、加害者自ら被害者と示談することは現実的に困難なケースが多いです。

 

捜査機関は、被害者の連絡先を積極的に開示することはしませんし、被害者と連絡ができても被疑者やその関係者と示談交渉をすることを拒否されることもあり得ます。弁護士に依頼することで、被害者感情に配慮して、交渉してもらうことが期待できます。

 

被害者も、加害者と交渉するよりは、弁護士と交渉した方が冷静に話せることもあるでしょう。

関連記事:刑事事件加害者の示談|示談をする3つのメリットと注意点

結果的に再犯の可能性も高まる

このように、結果的に刑事事件の対応が上手くいかず、社会復帰に失敗すると、自暴自棄になって、再び犯罪を起こしてしまう人がいることも事実です。

 

令和2年版犯罪白書によると、再犯者の5年以内の再犯率は84.5%となっています。一回犯罪を犯してしまうと、短期間で再び犯罪を起こしてしまう確率がとても高くなってしまうということです。

再入者の再犯期間別構成比引用元:令和2年版犯罪白書

一度の犯罪でも、刑事事件での対応が上手くできず、社会復帰につまずいてしまえば、再犯の可能性も高まります。その結果、その後も犯罪から足を洗うことができない人生になりかねません。

かえって金銭的な負担が増えるリスクがある

身近な方が逮捕されている現在、弁護士に依頼しないという選択は、かえって金銭的な負担が増えるリスクがあります。日本の社会は罪を犯した人に寛容な社会ではありません。

 

犯罪により職を失った人間が、その後収入を得ていく方法は、ある意味限定的と言えるかもしれません。上記でお伝えしたような将来が待ち受けていないとも言えません。

 

このようなリスクを高めるよりも、きちんと弁護士に依頼して、今後の人生の立て直しを図った方が賢い選択だと考えます。無料で相談を受けつけている弁護士事務所も多くなっています。

 

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刑事事件で弁護士をつけるかどうかの判断基準

刑事事件で弁護活動を受けない場合、その後の人生をも脅かしかねません。それでも、「費用を払ってまで私選弁護人をつけるべきか」と思われている方は、以下の内容を元に弁護士依頼を検討してください。

 

くり返しますが、初回相談無料の弁護士事務所も多くあります。相談だけでも始めることをおすすめします。

現在身柄を拘束されているかどうか

身柄拘束によるリスクは上記でもお伝えしたとおりです。現在、逮捕された方が身柄を拘束されているのであれば、少しでも早く釈放されるためにも、弁護士を選任するという考え方はある意味正しいです。

 

ただ、勾留された場合は、被疑者国選弁護人の選任が可能であるため、無理して私選弁護を依頼する必要まではないかも知れません。むしろ、勾留されず国選弁護人をつけられない場合こそ、私選弁護人の選任を検討すべきかもしれません。

前科や執行猶予がついているかどうか

逮捕された方に前科があったり、執行猶予中だったりすると、下される判決も重くなる可能性が高まります。「前科があってどうしようもない」と諦める前に、何か取れる方法がないか弁護士へ相談してください。

何かしらの希望がある

被害者に謝罪して示談をしたい

 

不起訴を獲得したい

 

実刑を回避したい

上記のように、何かしらの希望があれば、弁護活動によってそれらの可能性を高めることができます。逮捕されてしまった家族や恋人、友人を助けたい気持ちがあるのでしたら、弁護士への依頼を検討してください。

まだ起訴されていない

まだ起訴されていない場合は、不起訴の可能性は残されています。刑事事件ではスピードが重要になります。

 

早い段階で弁護士に依頼することを考えてください。

 

もし起訴された場合は、事実を争って無罪を求めるのであれば無罪に向けた弁護活動が、事実を認めるのであれば刑の減刑や執行猶予判決に向けた弁護活動が、それぞれ期待されます。

あなたの選択が後悔しないかどうか

あなたが弁護士に依頼しないという選択が、後悔しないかどうか考えてみてください。もし少しでも後悔してしまいそうだと感じたのなら、弁護士に相談してください。

 

費用の負担ができないのであれば、国選弁護人を選任してもらってもよいですし、相談料が無料の私選弁護人に相談してみてもよいでしょう。

まとめ

刑事事件で弁護士をつけないことは理論上は可能ですが、実務的にはほとんどありません。

 

国選弁護人は、費用が負担できない被疑者や被告人のための制度です。私選弁護人を選任できない場合は、国選弁護人を選任してもらいましょう。

 

あなたが後悔しない選択をしてください「どうせ有罪だからどうでもいい」と諦めずに、相談だけでもしてみませんか

この記事の監修者を見るChevron circle down ffd739
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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事は刑事事件弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※刑事事件弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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