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前科と前歴の違い|それぞれの定義・生活や就職・ローンへの影響を解説

前科と前歴の違い|それぞれの定義・生活や就職・ローンへの影響を解説

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前科と似た言葉に、前歴というものがあるのをご存知でしょうか?起訴されず前科がつかなくても、前歴がつくケースがあります

この記事でくわしく説明しますが、簡単には次のような違いがあります。

  • 前科は起訴され有罪判決を受けた場合につく
  • 前歴は捜査対象にされた場合につく

つまり、逮捕されても起訴されなければ、あるいは有罪判決を受けなければ前歴で済みますし、起訴されて有罪になれば前科がつくという事になります。

この記事でわかること

  1. 前科と前歴はどう違うのか?
  2. 生活にどのような影響が出るのか?
  3. 前科と前歴はどうやって調べるのか?
  4. 前科、前歴を消すことなどできないのか?
  5. これから前科がつきそうな場合の対策

それぞれくわしく説明します。

前科と前歴は大きな違いがあります

前歴は捜査機関に逮捕等の捜査をされた経歴でしかありません。

一方前科は起訴され有罪判決を受けた場合につくものであり、今後の生活に次のような影響を与える可能性があります。

  • 解雇の理由になる場合がある
  • 履歴書の賞罰欄に『前科』を記入しなければいけない場合がある
  • Web上に実名の記事が残り続ける恐れがある

ただ、不起訴を得られれば前科はつかないので前科がついてしまったことを気にしながら過ごさないでよくなります。

逮捕から起訴までは、長くても23日間しかありません。刑事事件が得意な弁護士を探し、刑事弁護を依頼しましょう。

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前科と前歴の違い|前科と前歴になるポイント

警察から捜査された時点で前歴として警察に記録が残されます。その後、起訴され有罪判決を受けることで前科がつくことになります。

前科と前歴の分かれ目

前歴

警察から捜査対象にされた

前科

起訴されて有罪判決を受けた

このように、刑事手続きにおいてどこまで進んだかによって、前科・前歴がつくのかが分かれます。

前歴がつくポイント|警察・検察から被疑者として捜査対象にされたら

前歴とは、警察や検察から被疑者として捜査対象になった履歴のことを言います。つまり、警察などから捜査対象にされた時点でつきます

捜査後、検察官が起訴するかしないかを判断します。検察官が起訴するべきでないと判断した場合不起訴処分を受けるわけですが、不起訴となる理由はおおまかに3つあります。

嫌疑なし

犯行に関わっている可能性がないと判断された場合

嫌疑不十分

犯行の可能性はあるが、それを立証する証拠が少ない場合

起訴猶予

犯行は行われたと認められるが、比較的罪が軽い場合や、被疑者が深く反省しているなど

このように不起訴となった場合、前科がつくことはありません。しかし、捜査をされたという事実は残りますので前歴はつくことになります。

要するに、逮捕等の事実があった場合には前歴がつくということです。

前科がつくポイント|起訴されて有罪判決を受けたら

前科とは、有罪判決を受けた履歴のことを言います。

懲役や禁錮などの実刑なら前科者のイメージがしやすいですが、略式起訴()で罰金刑を受けたという場合も有罪判決と同じです。

つまり、器物損壊罪などの軽い犯罪でも、罰金刑を受けてしまえば前科はついてしまいます。

略式起訴…公判を行わず、簡略的に書類で起訴をする場合があります。

生活への影響等は以下で解説しますが、前科から免れるような弁護方法を取ることも不可能ではありません。もしも、ご家族の方が逮捕されてしまったら、弁護士に一度相談してみましょう。

交通事故や交通違反で前科・前歴がつくことも

2020年の犯罪白書によれば、刑事事件の発生件数は約91万件で、そのうち道路交通法違反など交通違反・交通事故に関わるものが約30万件を占めています。

車を運転する人にとって交通違反は身近なものであり、些細な不注意や過失で、誰でも違反を犯してしまう可能性があります。

違反の内容や結果次第では、刑事罰を受けて前科が付いてしまうこともあるのです。

刑事事件の容疑者や被告人になったり、前科・前歴が付くのは、遠い世界の話ではなく、誰でも可能性があることは、認識しておく必要があります。

交通違反で前科・前歴がつかない場合

駐車違反や軽度の速度違反など、軽微な違反を犯した場合は、逮捕・起訴という通常の刑事処分ではなく、交通反則通告制度が適用されます。

反則通告制度は行政処分であり、警察官から反則切符を交付され、期限内に反則金を納付すれば処理は完了し、前科・前歴が付くこともありません。

なお、反則金とは別に、違反点数が一定以上に累積すると、運転免許の停止や取り消しなどの措置を受けることがあります。

こうした運転免許の停止や取り消しは刑事罰ではなく、行政処分であり、それによって前科・前歴が付くことはありません。

交通違反で前科がつく場合

交通違反で逮捕された場合も、前科がつくことがあります。 前科がつく交通違反には、以下のようなケースがあります。

悪質で危険性の高い違反行為や重大な事故

無免許・酒酔い・酒気帯び運転など、悪質で危険性の高い違反行為は刑法犯罪として扱われ、そのまま現行犯逮捕される可能性が高いです。また被害者が重傷を負ったり、死亡するような重大な交通事故を起こした場合も、逮捕される可能性が高くなります。特に無免許・酒酔い運転などの危険運転で被害者が死亡した場合は、最高で懲役20年の刑に厳罰に処せられます。

こうした重大な交通違反や交通事故で逮捕・起訴され、有罪判決が確定した場合は、前科がつきます。

報告義務違反(当て逃げ・ひき逃げ)

道路交通法では、交通事故が発生した際には、負傷者の救護と警察官への報告が義務付けられています。
被害者がいない物損事故を起こして、その場から立ち去る「当て逃げ」行為を犯した場合は、1年以下の懲役または10万円以下の罰金が課せられます。

また、歩行者を死傷させたにもかかわらず、救護せずに逃亡する「ひき逃げ」行為を犯した場合は、10年以下の懲役または100万円以下の罰金が課せられます。
被害者が死亡するような重大な事故を起こし、さらにひき逃げ行為を犯した場合は、凶悪犯罪として扱われ、厳罰を受けることは免れません。

ひき逃げ事故を起こして現場から逃走しても、逃げ切れることは滅多にありません。
現在は防犯カメラが多数設置されており、操作技術も発達しているため、ひき逃げ事故の大半が検挙されています。
当て逃げやひき逃げなどの報告義務違反で逮捕・起訴され、有罪判決が確定した場合は、前科がつきます。

警察官の指示違反や反則金の未納付

駐停車違反や一時停止違反など、軽微な交通違反でも、取り締まりを行っている警察官の指示に従わない場合は、現行犯逮捕される可能性があります。

また駐車違反を検挙され納得できずに、警官にクレームを付ける人がいます。クレームが執拗であったり、警官の身体に触れたりすると、公務執行妨害の現行犯として逮捕されてしまうこともあるので注意が必要です。

また反則切符を交付されたのに期限内に反則金を納付しない場合は、刑事手続きに基づいて処理され、事情聴取のために警察から出頭要請を受けます。それでも反則金を納付せず、出頭要請にも応じない場合は、逃亡や証拠隠滅を図るおそれがあるとみなされ、逮捕される可能性が高くなります。

警察官への指示違反や反則金未納付も、悪質だと逮捕・起訴され、有罪判決が確定した場合は前科がつきます。

刑事処分を受けるその他の交通違反

  • 一定以上の速度違反を犯した場合

一般道路では時速30キロメートル、高速道路では時速40キロメートルを超過するスピード違反を犯すと反則通告制度反則金の対象外となり、刑事処分を受けることになります。

【罰則】6か月以下の懲役又は10万円以下の罰金

  • スマホの使用中に事故を起こした場合

2019年12月から運転中のスマホの操作や使用に対する罰則が強化され、スマホを使用中に事故を起こした場合は、刑事処分の対象となりました。

またカーナビを注視しながら事故を起こした場合も、スマホ操作中の事故と同様に刑事処分を受けます。

【罰則】 「1年以下の懲役又は30万円以下の罰金」

一定以上のスピード違反や、運転中のスマホ操作によって事故を起こした場合など、1回の違反点数が6点以上の交通違反を起こすと、刑事処分に課せられます。

こうした事件は、公判を行わずに書面手続だけで済ませる略式起訴・略式裁判で処理されることが多いです。

略式裁判では、裁判所に出頭して裁判を受け、不服がなければ当日中に刑が確定します。

不服がある場合には2週間以内に不服を申し立てることで正式な裁判を受けることも可能です。

略式裁判であっても、有罪になれば「罰金・禁錮・懲役」の刑罰が課せられます。

最も軽い罰金のみで終わった場合でも、有罪に変わりはないので前科が付いてしまいます。

たかがスピード違反だと軽く思っていると、刑事犯として処罰され、前科・前歴が付いてしまうことがあるので注意が必要です。

交通違反で逮捕された後の流れ

刑事処分の対象となる重大な交通違反や人身事故、反則金の未納付などで逮捕されると、強盗・窃盗・傷害などの刑法犯と同様に扱われ、場合によっては警察に留置されます。

留置期間は通常は48時間で、警察での捜査が終わると検察へ送致されます。

検察では最長20日間拘留され、起訴されれば刑事被告人として、裁判にかけられることになります。

日本では刑事裁判での有罪率は99%なので、起訴された時点で前科が付くことは、ほぼ避けられないでしょう。

前科をつけない為の弁護方法があります
 

もしあなたの親族が「逮捕・勾留・起訴」されているのであれば、一刻も早く弁護士に相談されることをオススメします。事件の状況や弁護方法によっては前科を免れることも可能です。
被害者への示談や事件を深く反省することで不起訴処分を目指します。不起訴を獲得すると前科は付きません。不起訴獲得には弁護士の力が必要になってくるでしょう。

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前科と前歴の違い|それぞれの生活への影響

前科や前歴がついていることで、日常の生活に何か支障をきたすことがあるのでしょうか?それぞれの観点で解説します。

仕事や就職に関する前科と前歴の影響

企業に前科や前歴が知られることがある?

一般の企業では前科、前歴の有無を確認することも、知る方法も、本人からの申告がなければありえません。ただし、一部の企業によっては、前科、前歴を本人に確認する企業もあります。

その際に、前科、前歴がないと言ってしまうと、経歴詐称()となり得ます。

経歴詐称…重大なものでなければこれのみを理由に不利益を受けることはありませんが、経歴詐称の対象が重大であり、会社の採用・人事判断に支障を与えるような場合、解雇の理由となり得ます。

履歴書に前科や前歴を書く必要がある?

履歴書に前科や前歴を記載する必要は一般的にはありません。前科・前歴は、最も他者に知られたくない高度なプライバシー情報であり、これを積極的に開示する義務はありません。

ただし、採用手続の中で確認の必要性について十分な説明を受けた上で、特に前科・前歴の有無を質問された場合には、嘘を言えば経歴詐称となる可能性はゼロではありません。

この点は、前科・前歴を正直に打ち明けるリスク(不採用リスク)と後に発覚した場合の経歴詐称リスク(解雇リスク)を比較して、正直にいうべきかどうか、判断すべきでしょう。
現実的には、懲役刑を受けたことで履歴書に空白期間が生まれている場合に、会社から空白期間のある理由を確認されるというケースが考えられます。

1年以内の空白期間は、「無職」や「就職活動中」で通るでしょうが、1年以上の懲役の場合は、前科者を受け入れてくれる企業を探すか、詐称をしている現状があるようです。

前科、前歴があると就けない職業は有る?

前科者は刑の内容によって一定期間つけなくなる職業があります。

弁護士、弁理士、教員

禁錮以上の前科者は欠格事由となりますので、一定期間内は再度受ける権利を失います。

その他国家資格を必要とする職業(国家公務員、医師、警察官、救急救命士、薬剤師、介護福祉士、自動車整備士、測量士、美容師、調理師など)

国家資格によっては、禁錮以上の前科者は欠格事由とされます。やはり、この場合、一定期間は就業できないということになるでしょう。

警備員

警備業法により、禁錮以上の前科者は刑の終了から5年間警備員の仕事につくことができません。

金融に関する仕事

金融機関の職業の身元調査は、厳密に行われています。前科があるとかなり不利になってしまう可能性があります。

家族に関する前科と前歴の影響

学校で親の前科、前歴が判明することがある?

教育機関内で判明することはまずありえないでしょう。ただ、ことわざにも「悪事千里を走る」とあります。ニュースや近所の人のうわさ話によって話が広がることは考えられます。

親の前科、前歴で就職に不利になることはある?

判断が難しいところですが、金融機関などは身元調査が厳しいため、親が前科を持っていた場合、不採用の理由になる場合があるかもしれません。
ただ、基本的に前科・前歴の調査は困難であり、親族の前科・前歴を調べるのは容易では無いので、大きな心配は不要でしょう。

人間関係に関する前科と前歴の影響

前科や前歴が婚約相手にバレる?

普通にしていればまずバレることはありません。しかし、これから先のことを考えるのであれば、婚約相手には全てを打ち明けておいたほうが良いかもしれません。

特に、罪が重い場合、婚約相手の両親は反対をする可能性が十分にあります。ハードルも高くなりますが、誠意を見せましょう。

前科、前歴を理由に離婚は成り立つ?

離婚原因は民法で5つの類型が定められており、その5つめに「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。」とあります。

(裁判上の離婚)
第770条
夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

 一 配偶者に不貞な行為があったとき。
 二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
 三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
 四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
 五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
【引用】民法第770条|WIKIBOOKS

単に前歴程度では認められないといえますが、殺人や強盗などのよっぽど重い前科があり、これを隠していたことで夫婦の信頼関係が著しく崩れたという場合は離婚原因となる可能性があります。

お金に関する前科と前歴の影響

前科、前歴があると、ローンを組める?

前科・前歴そのものを理由に不利益になることはないでしょう。

ただし、服役中にカードの支払が滞り、ブラックリストに入ってしまっていたり、就職で苦戦していて収入が少なかったりという理由で審査が通らないことがあります。

前科、前歴があると、国からの保護を受けられる?

認定されれば受けることができます。すべての国民は法の下に平等であって差別されることはありません。そのため、前科、前歴を理由に国の保護を受けることができないことはありません。

海外旅行はできる?

ほとんどの場合で問題ありません。旅券法13条1項 各号に該当しない限り、パスポートは通常通り取ることができます。

なお、アメリカなど、逮捕歴がある場合には事前にビザを取らなければならないケースもあります。

前科・前歴の影響が大きくでる場面は再び刑事事件を起こしたとき

上でお伝えしたことをまとめると、社会生活を送る上で前科・前歴の有無はそこまで大きな影響を及ぼすことはありません

ただし、前科・前歴の影響がもっとも大きく出てくる場面があります。それは、再び刑事事件を起こしてしまった時です。

前科・前歴の情報は捜査機関側で保管されていますので、再び刑事事件を起こして捜査を受ける際に前科・前歴の有無を調査されてしまいます。

前科・前歴があるにも関わらず再び事件を起こしてしまうと、「反省していない」などと判断され、以前よりもより厳しい罰則を受ける可能性が高くなるでしょう。

例えば、初犯では略式起訴の罰金刑だったことに対し、同様の事件の再犯では身柄拘束も長引き懲役刑を受けるケースが出てくることがあるかもしれません。

薬物事件や窃盗などの再犯が多いとされる犯罪では、更生施設を利用したり医師の診断を受けたりするなどして、再犯防止の取り組みをするのも大事になるでしょう。

前科と前歴の抹消はできない

前科・前歴を消すことはできません。年数が経てば消えるようなものでもありませんので、一生涯残るものとなります。

また、仮に実名でニュースが報じられたり、インターネット上で話題になったりした場合、実名で逮捕や事件を起こした内容が残り続けてしまうこともあります。

しかし実際のところ、これは前科・前歴そのものよりも報道等による影響の方が大きいと考えられます。

特に、インターネット上の掲示板やSNSなどに事件概要や実名が掲載され、拡散されてしまうと、大きな影響があります。

インターネット上の前科・前歴の書き込みは削除できる?

前科・前歴は、最も他人に知られたくない、センシティブな個人情報です。そのため、事件が終了すれば警察や検察は前科・前歴情報を外部に提供することはありません。また、逮捕・起訴されて実名が報道されても、時間が経過すれば、世間の関心も薄れ、当事者以外は自然に忘れていくのが通常です。

しかし、事件や実名がインターネット上の掲示板に書き込まれたり、SNSで拡散されたりすると、前科・前歴情報は自然に消滅するものではなくなりました。インターネット上の情報は、人為的に削除しなければ、永久にサイバー空間に残り続け誰でも検索することが可能です。またいったん書き込まれたり、拡散したコメントや画像は簡単に消すことができないタトゥーに例えられ、「デジタルタトゥー」と呼ばれることもあります。

例えば就職を希望する企業の担当者に、インターネットで過去の素性を検索され前科・前歴情報が知られると、採用されない可能性もあります。また恋愛相手の名前をインターネットで検索して、過去の素性を調べるような使われ方をされる可能性もあるでしょう。前科・前歴などのセンシティブ情報のデジタルタトゥーによって、就職や結婚などの際に悪影響が生じ、加害者の更生が困難になることも考えられます。

インターネット上の誹謗中傷は、それによって自殺者が出るなど、社会問題になっており、法律の整備など対策が検討されています。しかしインターネットは匿名性が高いため、前科・前歴などセンシティブな個人情報を掲載したり、誹謗中傷を発信した人を特定することが容易ではありません。またサイトの運営者に、センシティブな個人情報の書き込みや誹謗中傷の削除を要請しても、無視されることも少なくありません。

インターネット上に書き込まれた前科・前歴を削除する方法

インターネットの事業者は、情報を発信するブログサイトやSNSの運営者と、インターネット回線への接続を行うプロバイダから構成されています。インターネット上に書き込まれた個人情報を削除したり、誹謗中傷を行った発信者を特定するには、サイトの運営者とプロバイダの双方に対する働きかけが必要です。

ただしインターネットの事業者は、利用者の情報を保護する必要があるため、事業者から情報を得るには複雑な手続きを経る必要があります。また発信者を特定するには、法的な書類の作成や、プロバイダへの情報開示請求やアクセスログの保存など、専門的な法律の知識が必要です。

インターネット上に晒された前科・前歴情報など、デジタルタトゥーで悩んでいる方は、弁護士に相談するのが一番です。

前科・前歴は取り消すことができなくても、弁護士への依頼で、過去の犯罪歴が書かれたネット記事を削除できる可能性があります。 姉妹サイト「IT弁護士ナビ」には逮捕・犯罪歴の記事削除に対応できる弁護士が掲載されていますので、逮捕歴の拡散などにより実生活で悪影響が生じているような方は、一度弁護士に相談してみましょう。

ポイント

前科・前歴が社会生活に影響することは限られています。大事なことは、再び犯罪を起こさないように気を引き締めておくことでしょう。

犯罪歴が保管される3つの場所

前科・前歴の情報は以下の3つの機関で厳重に保管されます。取り消すことはできませんが、外部に知られるようなこともありませんので、ご安心ください。

警察

前科、前歴とも警察のデータベースに保管されており、該当者が死亡するまで残ります。再犯の防止や、事件の解決のために使用されます。

検察

警察と同様、検察も前科前歴のデータベースを保有していて、該当者が死亡するまで残ります。再犯を犯した際の求刑にも影響します。

本籍地の市区町村

罰金刑以上(交通前科を除く)の罪を犯した者は、市区町村のデータベースに記録されます。

前科と前歴の有無を調べる方法

前科や前歴を警察庁、検察庁、市区町村から確認することは不可能です。これは、例え本人が前科を確認したいと申し出ても、教えてくれることはありません。

言い換えると、他人が自分の前科・前歴を知る術もないので、過度に心配し過ぎる必要もないのです。
ただし、マスコミによる、実名報道があった場合は、インターネットで名前を検索すると、事実上犯罪歴を調べることができてしまいます。

このような情報について心配な方は、上でもお伝えしたように、情報削除に精通した弁護士に相談してみることをおすすめします。

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前科を避けるための方法

一度有罪判決を下された場合、前科が消えることはありませんが、「逮捕・勾留・起訴」の段階であれば、弁護士に依頼し、刑事弁護を受けることで、前科がつくことを回避できる可能性があります。

起訴されずに済めば、前科もつきませんし、刑事罰も受けずに済みます。

まずは当番弁護士を呼ぶ

刑事事件で逮捕された被疑者が、起訴される前の段階に弁護士を一度だけ無料で呼べる当番弁護士制度というものがあります。

【無料で行ってくれること】

  • 初回の接見(面会)無料
  • 取り調べや供述を受ける際の法的なアドバイス
  • 逮捕、勾留、刑事裁判などの流れの説明

被害者との示談を進めるのが最も有効な手段

刑事事件において、起訴されてからの有罪率は99.9%とも言われており、起訴されたらほぼ間違いなく有罪判決が出るとされています。

刑事事件の有罪率

つまり、刑事弁護で前科をつけないためには被害者との示談を行うのが最も可能性の高い方法でしょう。

示談は被害者との和解や合意という意味で、弁護士をつけて被害者との「落とし所」を探っていくことで、被害届けや告訴を取り下げてもらおうという取り組みです。

具体的な示談方法は、

  • 示談金を支払う
  • 謝罪をして被害届や告訴の取下げてもらう など

示談金がいくらになるのか、謝罪をすれば許してくれるのかどうかに関しては、弁護士による交渉がものをいうことも多いので、刑事弁護が得意な経験豊富な弁護士を選び、弁護活動の依頼をしていくのがおすすめです。

まとめ

前科、前歴は一生残ってしまいます。犯罪の大きさでも影響度は違うでしょうが、禁錮以上の前科がある方は影響が出てくる場合があります。
前科、前歴の情報が周囲に知られてしまうことはほとんどありませんが、婚約者や会社など、必要に応じて打ち明けた方が良いケースもあるでしょう。大切なことは、その後反省し、二度と罪を犯さないことです。

もし、警察からの捜査を受けて間もない場合であれば、前歴はついても前科をつけずにできる場合があります。

不起訴になれば、刑事罰を受けずに済みます。

早めに弁護士に相談するようにしましょう。

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この記事の監修者
湯浅 大樹 (東京弁護士会)
慶応義塾大学法科大学院にて教壇に立ち、実務においては不起訴処分・執行猶予判決獲得・冤罪弁護・再審弁護・少年事件・裁判員裁判などの経験多数。
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編集部

本記事はベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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