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不正アクセス禁止法で逮捕されるケースと具体例とは?逮捕後の流れや対処法も解説

東日本総合法律会計事務所
加藤 惇
監修記事
不正アクセス禁止法で逮捕されるケースと具体例とは?逮捕後の流れや対処法も解説

不正アクセスは、逮捕・起訴されれば懲役刑や罰金刑という深刻な結果につながる犯罪です。

「バレないだろう」という安易な行動が、ある日突然の逮捕につながるケースは少なくありません。

本記事では、不正アクセス禁止法の内容と罰則、逮捕後の流れを詳しく解説

家族が逮捕された場合の対処法や実際の裁判例まで詳しく解説するので、少しでも不安を感じている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

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目次

不正アクセス禁止法とは?逮捕される?

不正アクセス禁止法(正式名称:不正アクセス行為の禁止等に関する法律)は、インターネット上の安全と秩序を守るために設けられた法律です。

他人のID・パスワードを無断で使用してシステムにログインする行為などを禁じており、違反すれば犯罪となります。

総務省の統計によると、令和7年の不正アクセス禁止法の認知件数は7,190件。

前年から約34.2%増加しています。

また、不正アクセス後の行為は「インターネットバンキングの不正送金等」が最も多く、全体の約66%を占めています。

不正アクセス禁止法の対象となる行為は幅広く、単純なログインだけでなく、パスワードの不正取得・保管・第三者への漏えいなども規制対象です。

情報を閲覧しただけでも、他人のアカウントに無断でログインした時点で犯罪が成立します。

不正アクセス禁止法で規制されている行為と罰則

不正アクセス禁止法では、無断ログインだけでなく、その準備行為にあたるパスワードの不正取得・保管・提供、さらにフィッシング行為まで広く規制しています。

以下の表に、規制される主な行為と罰則をまとめます。

条文 行為 罰則
第3条(不正アクセス罪) 他人のID・パスワードで無断ログイン 3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
第4条(不正取得罪) 不正アクセス目的でパスワードを取得 1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
第5条(不正助長罪) 正当な理由なく他人のパスワードを第三者に提供
第6条(不正保管罪) 不正アクセス目的でパスワードを保管
第7条(不正入力要求罪) 偽サイトなどでパスワードを入力させる

これらの行為は複数が同時に問われるケースも多く、罰則が加重される場合があります。

不正アクセス行為自体の禁止|第3条(不正アクセス罪)

不正アクセス罪は、他人のID・パスワードを無断で使い、ネットワーク経由でシステムにログインする行為を禁じたものです。

不正アクセス事件の最も中心的な犯罪類型であり、罰則は3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。

第三条 何人も、不正アクセス行為をしてはならない。

引用元:不正アクセス行為の禁止等に関する法律 第三条

不正アクセスとは、本来アクセス権限を持たない人が、サーバーやSNS、情報システムの内部へ侵入する行為を指します。

重要なのは、ログインして情報を見ただけでも犯罪が成立する点です。

データを改ざんしたり何かを盗んだりしていなくても、無断でログインした事実があれば罪に問われます。

他人のパスワードなどの不正取得の禁止|第4条(不正取得罪)

不正取得罪は、不正アクセスをおこなう目的で他人のID・パスワードを入手する行為を禁じたものです。

罰則は1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。

第四条 何人も、不正アクセス行為(第二条第四項第一号に該当するものに限る。第六条及び第十二条第二号において同じ。)の用に供する目的で、アクセス制御機能に係る他人の識別符号を取得してはならない。

引用元:不正アクセス行為の禁止等に関する法律 第四条

具体的には、相手のパスワードを盗み見る、だまし取る、パソコンやスマートフォンのデータから抜き出すといった手口が該当します。

実際に不正アクセスを実行しなくても、パスワードを入手した時点で成立するので注意してください。

正当な理由がないパスワード伝達の禁止|第5条(不正助長罪)

正当な理由なく他人のID・パスワードを第三者に提供すると、不正助長罪に問われます。

罰則は1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。

第五条 何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、アクセス制御機能に係る他人の識別符号を、当該アクセス制御機能に係るアクセス管理者及び当該識別符号に係る利用権者以外の者に提供してはならない。

引用元:不正アクセス行為の禁止等に関する法律 第五条

典型的なケースは、システム管理者がその立場を悪用し、業務上知り得たログイン情報を外部へ漏えいさせるケースです。

また、友人のアカウント情報を別の知人に教える行為も該当します。

ただし、業務上の引き継ぎや権限を持つ上長への報告など、正当な目的がある場合は問題ありません

不正アクセスのためのパスワード保管の禁止|第6条(不正保管罪)

不正アクセスをおこなう目的で他人のID・パスワードを手元に保持する行為は、不正保管罪の対象です。

罰則は1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金となっています。

第六条 何人も、不正アクセス行為の用に供する目的で、不正に取得されたアクセス制御機能に係る他人の識別符号を保管してはならない。

引用元:不正アクセス行為の禁止等に関する法律 第六条

保管の具体例としては、以下のような行為が挙げられます。

  • スマートフォンのメモ帳にパスワードを記録する
  • 紙にパスワードを書き写して保管する
  • パソコンのテキストファイルに保存する

記録データが証拠として残りやすいため、摘発のきっかけになりやすい犯罪です。

デジタルデータは削除しても復元される可能性があり、「消してしまえばわからない」という考え方は通用しません。

不正なパスワードの入力要求の禁止|第7条(不正入力要求罪)

不正入力要求罪は、管理者になりすまして他人にID・パスワードを入力させる行為を禁じたものです。

違反すると1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科せられます。

第七条 何人も、アクセス制御機能を特定電子計算機に付加したアクセス管理者になりすまし、その他当該アクセス管理者であると誤認させて、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、当該アクセス管理者の承諾を得てする場合は、この限りでない。

引用元:不正アクセス行為の禁止等に関する法律 第七条

フィッシング詐欺がこの罪の典型例です。

「パスワードを変更してください」などの偽メールを送り付けて本物そっくりの偽サイトへ誘導し、入力された情報を窃取する手口が該当します。

利用者を欺いて情報を詐取する悪質な手口であり、被害者が気づかないまま情報を奪われる点で特に危険性が高いです。

不正アクセスに該当する具体例

法律の条文だけでは、自分の行為が該当するかどうか判断しにくい場合もあります。

ここでは、実際に不正アクセス罪に問われうる身近な行為を具体的に解説します。

動機が好奇心であれ、感情的なもつれであれ、法的にはいずれも同じ「不正アクセス」として評価されます。

被害者に精神的・経済的な損害を与える犯罪である点を、まず理解しておいてください。

他人のSNS・メールアカウントにログインする

他人のSNSやメールアカウントなどに無断ログインする行為は、不正アクセス罪の典型例です。

たとえ本人が教えたID・パスワードであっても、許可なく利用すれば違法になります。

具体例
  • 元交際相手のSNS(X、Instagram)にログインする
  • 配偶者の不倫を探るため、LINEにログインする
  • 以前知ったパスワードでGmailを閲覧する

重要なのは、メッセージを読む、写真を保存するなど情報を見るだけでも罪に問われる点です。

アカウント内のデータに変更を加えなかったとしても、ログインした事実があれば成立します。

また、こうした行為はストーカー事件の前兆として警察が注目するケースも多く、早期に発覚して逮捕につながるリスクが高い行為でもあります。

他人のアカウントを勝手に使用する

親しい友人や家族であっても、本人の明確な許可なくアカウントを利用する行為は不正アクセス罪に該当します。

「冗談のつもりだった」「少し借りただけ」という言い訳は通用しません

具体例
  • 友人のゲームアカウントにログインしてアイテムを使用する
  • 知人のサブスクサービスに無断でログインして動画を視聴する
  • 他人のアカウントの設定やプロフィールを無断で変更する

相手のアカウントに無断でアクセスした時点で、犯罪として成立します。

アカウントの乗っ取りや課金アイテムの不正使用は金銭的な被害に直結するため、被害届が出されれば確実に捜査の対象です。

勤務先システムへ不正にログインする

退職後や権限のない部署のシステムへのアクセスは、明確な犯罪です。

在職中に知り得たID・パスワードは、退職と同時にアクセス権限が消滅します。

具体例
  • 退職後も在職中のIDで会社のサーバーにアクセスする
  • 権限のない部署の顧客管理データベースを閲覧する
  • 元同僚のIDを借りて社内システムにログインする

情報を閲覧するだけにとどまらず、データを改ざんしたり消去したりした場合は、電子計算機損壊等業務妨害罪など、さらに重い罪に問われる可能性があります。

企業の機密情報や個人情報を漏えいさせれば、会社から高額な損害賠償を請求されるリスクも否定できません。

他人のパスワードを推測してログインに成功する

誕生日やペットの名前などからパスワードを推測し、ログインに成功した時点で不正アクセス罪が成立します。

「たまたまパスワードが合った」という状況でも、犯罪の成立を免れられません

具体例
  • 相手の誕生日や名前の組み合わせでログインに成功する
  • ペットの名前や記念日など、推測しやすい文字列を試して突破する
  • 複数のパスワードを繰り返し入力して侵入する

推測が容易であったとしても、他人のアカウントにアクセスする権限がない以上、ログインした事実そのものが犯罪に問われます

共有アカウントを私的利用する

家族や職場で共有しているアカウントを、定められたルールを逸脱して個人的な目的に利用した場合、状況によっては不正アクセスと見なされる可能性があります。

具体例
  • 業務用のシステムアカウントで私的な情報を取得する
  • 共有アカウントを使って個人的に有料コンテンツを購入する
  • 職場の共用アカウントで、業務と無関係なサービスを利用する

犯罪として立件されるケースは限定的であり、当事者間のトラブルとして解決されるケースが多いのが実情です。

ただし、民事上の損害賠償請求を受けるリスクは残るため、合意の範囲を超えた利用は避けるべきです。

他人がログアウトし忘れた端末を利用する

ID・パスワードを直接入力しなくても、他人のログイン状態を利用してシステムを操作すれば不正アクセス罪に問われます。

「パスワードは入力していない」という事実は、免責の理由になりません。

具体例
  • ネットカフェで他人がログインしたままのパソコンを操作する
  • 職場の共用パソコンで前の利用者のアカウントのままメールを送信する
  • ログアウトし忘れたスマートフォンでSNSに投稿する

被害者がログアウトし忘れていたとしても、それを悪用した行為は正当化されません。

さらに、なりすまし投稿などによって被害者の社会的信用を傷つけた場合、名誉毀損などの別の犯罪にも発展する可能性があります。

不正アクセスに当たらないケース

全ての無断アクセスが犯罪になるわけではありません。

正当な権限がある場合や本人の同意がある場合など、不正アクセス禁止法に該当しないケースも存在します。

ただし、該当するかどうかの判断が難しいケースも多く、自己判断は危険です。

自分の行為が犯罪にあたるか不安な場合は、弁護士への相談をおすすめします。

許可がある・委任されている

アカウントの持ち主本人から、明確な許可や依頼(委任)を受けて操作する場合は、不正アクセスには当たりません。

具体的には、高齢の親に頼まれてネットバンキングの操作を代行するケースが挙げられます。

本人から依頼されている以上、権限のないアクセスとは判断されません。

ただし、後から「許可をしていない」と言われてトラブルになるケースもあり得ます。

許可があったと証明するために、メールや書面で依頼内容を記録しておくことが望ましいです。

自分のアカウントを復旧する

パスワードを忘れた自分のアカウントに、秘密の質問に答えるなど正規の手続きでログインし直す行為は、不正アクセスには当たりません。

正当な権利者によるアカウントの利用回復行為です。

一方、他人のアカウントを復旧させようと、本人になりすまして秘密の質問に答える行為は不正アクセス罪に該当します。

「本人の代わりに助けてあげた」という善意の動機があったとしても、犯罪として処罰の対象となり得ると理解しておきましょう。

家族間でアカウントを使用する

家族間でID・パスワードを共有し、お互いの同意のもとでアカウントを利用している場合は、通常、不正アクセスには当たりません。

夫婦間でAmazonのアカウントを共有しているケースや、家族で動画配信サービスを共同利用しているケースなど、社会通念上許容される範囲での利用が前提です。

ただし、たとえば離婚協議中など夫婦関係が破綻している状況では注意が必要です。

相手の同意なくプライベートなSNSを監視する目的でログインすれば、不正アクセス罪に問われる可能性が高くなります。

家族という関係性だけで自動的に許されるわけではなく、相手のプライバシーを侵害していないかが判断の基準です。

業務上の正当な目的でアクセスする

企業のシステム管理者が、システムの保守・点検やセキュリティ上の問題調査のために従業員のアカウントやデータにアクセスするのは、業務上の正当行為です。

就業規則や情報管理規程など、社内ルールに基づいた権限行使であることが前提となります。

適切な内部手続を踏んだうえでのアクセスであれば、不正アクセス罪には該当しません。

ただし、権限を濫用し、業務と無関係な私的な興味から従業員のメールを閲覧するなどの行為は、不正アクセス罪やプライバシー侵害に該当します。

あくまで業務上の必要性と正当な目的が認められる範囲に限られるので注意してください。

不正アクセス禁止法違反で逮捕された後の流れ

不正アクセス禁止法違反で逮捕された後の流れ

不正アクセス禁止法違反で逮捕されると、警察での取り調べから始まり、検察への送致、勾留、起訴・不起訴の決定、そして刑事裁判という流れを辿ります。

身柄拘束の期間は最長23日間に及び、その間に弁護士がどう動くかが処分の結果を大きく左右します。

逮捕後48時間以内|逮捕期間-警察からの捜査~送検

逮捕されると、まず警察署に連行されて取り調べを受けます

警察は逮捕から48時間以内に、検察官に事件を送致(送検)するか、釈放するかを決定しなければなりません。

初期段階での取り調べへの対応が、その後の処分に大きな影響を与えます。

何をどのように話すか、どこまで認めるかについては、弁護士のアドバイスを受けたうえで判断すべきです。

弁護士は逮捕当日から接見(面会)が可能です。

逮捕直後から弁護士に依頼して、サポートを受けてください。

送検後24時間以内|逮捕期間-勾留請求

送検後、検察官は改めて取り調べをおこない、24時間以内に勾留を請求するかどうかを決定します。

弁護士は、検察官や裁判官に対して勾留の必要性がないことを積極的に主張します。

具体的には、逃亡や証拠隠滅のおそれがないこと、被害者との示談交渉が進んでいることなどを伝え、早期釈放を求めます。

逮捕直後から弁護士が動けば、勾留を阻止できる可能性が高まるでしょう。

勾留開始最大20日間|勾留期間・起訴・不起訴処分決定期間

勾留が決定すると、原則10日間、延長を含めると最大20日間身柄が拘束されます。

検察官が証拠を精査し、起訴するかどうかを決定する段階です。

否認している場合や関係者が複数いる場合は、証拠収集を理由に勾留が延長されやすい傾向にあります。

勾留が長引くほど職場や家族への影響も大きくなるため、弁護士は準抗告(勾留決定に対する不服申立て)をおこない、勾留中の釈放を目指します。

準抗告が認められれば、在宅捜査への切り替えが可能です。

また、弁護士は勾留中も接見を重ね、被害者との示談交渉を並行して進めます。

示談が成立すれば、不起訴処分となる可能性が高まるため重要な業務です。

逮捕後約1ヵ月〜2ヵ月|刑事裁判

起訴されると、おおむね1ヵ月〜2ヵ月後に第一回の刑事裁判が開かれます

有罪か無罪か、有罪の場合はどのような刑を科すかが、最終的に判決で言い渡されます。

日本の刑事裁判の有罪率は99%以上とされており、起訴された段階で無罪を勝ち取ることは極めて困難です。

前科をつけたくない場合は、起訴される前の段階での不起訴処分獲得が重要です。

そのためにも、逮捕直後から弁護士に動いてもらうことが、最善の結果につながります。

家族が不正アクセスで逮捕された場合の対処法

家族が逮捕されたと知らされたら、まずは落ち着いて弁護士に連絡することが最優先です。

家族にできる助けには限界があります。

面会できる時間や手続きにも制限があるため、法律の専門家である弁護士への依頼が、本人を助けるための最も確実な方法です。

弁護士に依頼して被疑者と接見してもらう

逮捕された本人と、時間や回数の制限なく面会できるのは弁護士だけです。

弁護士はすぐに接見へ向かい、法的なアドバイスを伝えるとともに、精神的な支えとなります。

取り調べでは、黙秘権や署名押印を拒否する権利があります。

こうした権利を本人が正しく理解していなければ、不利益な供述調書が作成されるリスクがあります。

弁護士の事前アドバイスにより、そのリスクを防げるでしょう。

また、弁護士は家族からの伝言を本人に届けたり、日用品の差し入れを手配したりする橋渡し役も担います。

逮捕されて孤独な状況に置かれた本人にとって、弁護士の接見は大きな支えとなる存在です。

弁護士と共に示談交渉の準備を進める

不起訴処分や刑の減軽を目指すうえで、被害者との示談成立は極めて重要です。

被害者の連絡先がわからない場合でも、弁護士を通じて検察官に照会し、交渉を始められます。

示談が重要な理由は、被害の回復と被害者の処罰感情の緩和が、検察官や裁判官の判断に大きく影響するためです。

示談が成立していれば、不起訴処分になる可能性が大幅に高まります

なお、加害者側の家族が直接交渉しようとすると、被害者の感情を逆なでし、かえって事態を悪化させるリスクがあります。

弁護士に対応を任せましょう。

不正アクセスと関連する犯罪

不正アクセス行為は単独で終わらず、得た情報を利用して別の犯罪に発展するケースが少なくありません。

複数の罪で起訴された場合、より重い処罰を受けることになります。

関連する犯罪を3つ解説します。

電子計算機損壊等業務妨害罪

不正アクセスによって企業のコンピューターシステムを破壊したり、データを改ざん・消去したりして業務を妨害した場合、電子計算機損壊等業務妨害罪が成立します。

具体的には以下のケースが該当する犯罪です。

  • ライバル会社のWebサイトを改ざんする
  • 退職した会社の顧客データを消去する
  • 企業のシステムに侵入してサービスを停止させる

罰則は5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金と、不正アクセス罪よりも重く設定されています。

また、業務妨害によって生じた損害の賠償請求額が高額になるリスクがあるのも特徴です。

不正アクセスにとどまらず、さらに手を加えた場合には罪が重なると理解しておきましょう。

電磁的記録不正作出罪

不正アクセスで得た権限を使い、ネットバンキングで不正に送金するなど、人の事務処理を誤らせる目的で虚偽の電子データを作成した場合には電磁的記録不正作出罪が成立します。

罰則は5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。

オンラインゲームのアイテムを不正に作り出す、他人のポイントを勝手に使用するといった場合にも成立する可能性があるでしょう。

財産的な被害を直接生じさせる悪質な行為と評価されるため、不正アクセス罪単独と比べて刑事処分が重くなる傾向にあります。

名誉毀損・プライバシー侵害

不正アクセスで入手した個人情報やプライベートな写真をインターネット上に公開した場合、名誉毀損罪やプライバシー侵害などに問われる可能性があります。

刑事罰の対象となるだけでなく、民事上も高額な慰謝料を請求されるリスクがあるでしょう。

一度ネット上に拡散された情報は完全に削除することが難しく、被害者に深刻かつ長期にわたるダメージを与えます。

被害者の人生を破壊しかねない重大な犯罪へと発展する危険性があることを、十分に認識しておきましょう。

不正アクセス禁止法の裁判例

実際に不正アクセス禁止法違反で逮捕・起訴され、裁判で判断が下された判例を紹介します。

どのような行為がどのような量刑につながったのかを知ることで、法律の現実的な適用イメージをもてるでしょう。

不正アクセスと相場操縦で懲役3年・罰金(執行猶予付き)が科された事例

証券会社のシステムに不正にアクセスし、他人名義の口座を操作して株式の売買を繰り返すことで相場を操縦した事件です。

不正アクセス禁止法違反のほか、金融商品取引法違反でも起訴されました。

裁判所は、不正アクセスが金融犯罪の手段として使われた悪質性を重く見たうえで、懲役3年(執行猶予付き)および罰金を言い渡しました。

複数の犯罪が競合する場合、量刑が加重される典型的な事例です。

不正アクセスが財産犯罪と結びつくと、起訴・有罪のリスクが一段と高まります。

フィッシングメールと遠隔操作ウイルスを駆使した複合的サイバー犯罪で懲役8年が科された事例

フィッシングサイトや遠隔操作ウイルスなど複数の手口を組み合わせ、複数企業のインターネットバンキングから不正送金を繰り返した事案です。

被告人は、銀行になりすましたフィッシングメールを送り、偽サイトで入力させたID・パスワードを詐取。

さらに遠隔操作ウイルスを添付したメールを送信して企業のパソコンを乗っ取り、不正ログインのうえ他人名義の口座へ合計519万円余りを不正送金しています。

また、証拠隠滅のために近隣住宅の無線LANの暗号鍵を不正に解読して接続元を偽装するなど、発覚を逃れるための工作も周到におこなっていました。

裁判所は、不正アクセス禁止法違反や電子計算機使用詐欺など複数の罪が競合している点に加え、常習性が顕著と認定しました。

反省の態度が見られないことも重く見られ、懲役8年の実刑判決が言い渡されています。

不正アクセス事件の相談はベンナビ刑事事件

不正アクセス事件で逮捕されたり、警察から連絡が来たりした場合、一刻も早く弁護士に相談することが不可欠です。

ベンナビ刑事事件なら、サイバー犯罪に強い弁護士をすぐに見つけられます。

不正アクセス事件には、IT・通信に関する専門知識や、証拠となるデジタルデータへの理解が求められます。

刑事事件全般を扱う弁護士ではなく、サイバー犯罪の解決実績がある弁護士に依頼することが重要です。

ベンナビ刑事事件は地域や相談内容で弁護士を絞り込んで検索でき、初回無料相談に対応している事務所も多数掲載されています。

逮捕されてからでは時間的な余裕が限られます。

「自分の行為が不正アクセスにあたるかもしれない」と感じた段階で、早めに相談してみてください。

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不正アクセスに関するよくある質問

不正アクセスと逮捕に関して、多くの方が抱く疑問についてQ&A形式で回答します。

個別の事案によって結論が異なる場合もあるため、詳しくは弁護士への相談をおすすめします。

逮捕されたら会社や学校に連絡されますか?

警察から会社や学校へ積極的に連絡することは原則ありません

警察には守秘義務があり、事件と無関係な第三者に情報を漏らさない、というのが基本的なルールです。

ただし、逮捕・勾留が長引いて無断欠勤・無断欠席が続けば、結果的に周囲に知られる可能性が高まるでしょう。

例外として、職場や学校が犯行現場である場合や、捜査への協力が必要な場合には連絡が行く可能性もあります。

社会生活への影響を最小限に抑えるためにも、早期に弁護士を通じた身柄解放の実現を目指すことが重要です。

家族や恋人のスマートフォンを合意なく見るのも逮捕対象ですか?

たとえ家族や恋人であっても、本人の許可なくID・パスワードを使ってSNSなどにログインすれば不正アクセス罪に問われる可能性があります。

不正アクセス禁止法は、当事者の関係性ではなく行為そのものが処罰の対象です。

恋人や夫婦だからという事情は違法性の判断には影響しません。

なお、ロックのかかっていないスマートフォンを勝手に操作した場合も、プライバシー侵害として民事上の損害賠償請求を受けるリスクがあるので注意してください。

逮捕されずに在宅事件になることもありますか?

逃亡や証拠隠滅のおそれがないと判断された場合、逮捕されずに在宅事件として捜査が進められます。

日常生活を続けながら、警察の呼び出しに応じて取り調べを受ける形です。

在宅事件になりやすい要素としては、定職に就いている、家族がいる、素直に容疑を認めている、被害が比較的軽微であるといった事情が挙げられます。

ただし、在宅事件であっても最終的に起訴されれば刑事裁判となり、前科がつく可能性は変わりません。

「在宅事件だから大丈夫」という判断は危険であり、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

まとめ

不正アクセスは、軽い気持ちでおこなったとしても逮捕されかねない犯罪です。

「ログインしただけ」「何も盗んでいない」という認識は通用せず、無断でアクセスした事実があれば罪が成立します。

身近なSNSや元交際相手のアカウントへのアクセスから、退職後の勤務先システムへの侵入まで、日常に潜む行為が不正アクセス罪に該当するケースは少なくありません。

逮捕後は最大23日間の身柄拘束を経て起訴・不起訴が決まり、その間の弁護士の活動が処分の結果を大きく左右します。

心当たりがある方、あるいはご家族が逮捕されてしまったという方は、一人で抱え込まずに弁護士へ相談してください

多くの法律事務所が初回無料相談に対応しており、まず状況を話すだけでも今後の見通しが明確になります。

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加藤 惇 (第一東京弁護士会)
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編集部

本記事はベンナビ刑事事件を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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