【加害者向け】近隣トラブルの嫌がらせは犯罪になる?早期解決のための対処法も
近隣トラブルは、身近な法律問題のひとつです。
しかし、単なる嫌がらせのつもりでも、犯罪が成立する行為は多くあります。
犯罪に該当する嫌がらせをすると、刑事事件化して警察に逮捕されるリスクもあります。
本記事では、近隣住民へ嫌がらせをしたことがある方に向けて、以下の内容を説明します。
- 近隣住民への嫌がらせが犯罪になるか?
- 近隣住民への嫌がらせ行為別の成立する犯罪
- 嫌がらせ行為を警察に通報されるデメリット
- 刑事事件化させないために取れる3つの対処法 など
本記事を参考に、どのような犯罪が成立するか、今後どうするべきかを理解しましょう。
【加害者向け】近隣住民への嫌がらせ行為は犯罪になりえる
近隣住民に対して嫌がらせ行為をした場合、犯罪が成立する可能性があります。
| 区分 | 具体例 |
| 犯罪になりえる嫌がらせ | 著しく騒音・異臭を出す 根も葉もないうわさを流す 敷地内にポイ捨てをおこなう など |
| 犯罪になりにくい嫌がらせ | 挨拶を無視する 共有部に私物を置く 異なる曜日にゴミを出す など |
嫌がらせとは、一般的にされた側が不快に感じる行為を指します。
こうした嫌がらせの内容や程度などによっては、犯罪が成立することもあります。
警察に通報されたり、被害届を出されたりするリスクがあることを理解しておきましょう。
近隣トラブルで多い嫌がらせ行為と成立する可能性がある犯罪
よくある近隣トラブル・嫌がらせ行為には、以下のようなものがあります。
騒音、異臭、悪口・誹謗中傷、落書き、立ちション、ポイ捨て、ビラ貼り、配達物盗難など
ここでは、近隣トラブルに多い嫌がらせ行為と成立する可能性がある犯罪を紹介します。
1.騒音|軽犯罪法違反・暴行罪・傷害罪など
嫌がらせを目的とした騒音は、軽犯罪法違反や傷害罪などが成立する可能性があります。
| 犯罪 | 詳細 | 刑事罰 |
| 静穏妨害の罪 (軽犯罪法第1条14号) | 公務員(警察官)の制止を聞かずに大きな音で人々の静穏を害する | 拘留または科料 |
| 暴行罪 (刑法第208条) | 大きな音など他人に有形力を行使する | 2年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金 または拘留もしくは科料 |
| 傷害罪 (刑法第204条) | 大きな音で身体や精神に異常をきたす(体調不良や不眠症など) | 15年以下の拘禁刑 または50万円以下の罰金 |
一般的に、騒音問題は民事トラブルとして扱われることが多いです。
しかし「注意をしても改善しない」「健康被害が発生している」などの場合は別です。
特に、健康被害が発生している場合には傷害罪などが成立する可能性もあるでしょう。
2.異臭・悪臭|暴行罪・傷害罪など
異臭・悪臭も騒音問題と同じで、基本的には民事トラブルとして扱われます。
ただし、嫌がらせ目的の異臭・悪臭だと、暴行罪や傷害罪が成立する可能性があります。
なお、悪臭防止法の規制対象は業者であり、一般住宅や個人は処罰の対象になりません。
3.悪口・誹謗中傷|侮辱罪・名誉毀損罪など
悪口・誹謗中傷によって、侮辱罪などが成立する可能性はあります。
| 犯罪 | 詳細 | 刑事罰 |
| 侮辱罪 (刑法第231条) |
公然の場で他人を侮辱する | 1年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金 または拘留もしくは科料 |
| 名誉毀損罪 (刑法第230条) |
公然の場で事実を指摘して人の名誉を傷つける | 3年以下の拘禁刑 または50万円以下の罰金 |
たとえば、近所の人に根も葉もない悪口を言うと侮辱罪や名誉毀損罪が成立します。
また、XやInstagramのようなSNSに誹謗中傷の投稿をした場合でも犯罪になるでしょう。
なお、侮辱罪・名誉毀損罪は親告罪ですので、被害者が刑事告訴をする必要があります。
4.落書き・ビラ貼り|器物損壊罪・建造物等損壊罪など
他人の家や塀に落書きやビラ貼りをした場合は、器物損壊罪などが成立します。
| 犯罪 | 詳細 | 刑事罰 |
| 器物損壊罪 (刑法第261条) | 他人の物を損壊・傷害させる | 3年以下の拘禁刑 または30万円以下の罰金もしくは科料 |
| 建造物損壊等罪 (刑法第260条) | 他人の建造物や艦船を損壊させる | 5年以下の拘禁刑 |
一般的に、取り外しできるドアや窓への落書き・ビラ貼りでは器物損壊罪が成立します。
一方、壁面のように重要な部分への落書き・ビラ貼りは建造物等損壊罪に該当します。
なお、地域によっては、迷惑防止条例で落書きが禁止されていることもあります。
5.立ちション|軽犯罪法違反・器物損壊罪など
嫌がらせで立ちションをした場合は、軽犯罪法違反や器物損壊罪などが成立します。
| 犯罪 | 詳細 | 刑事罰 |
| 排せつ等の罪 (軽犯罪法第1条26号) |
人の集まる場所で大小便をする | 拘留または科料 |
| 器物損壊罪 (刑法第261条) |
他人の物を損壊・傷害させる | 3年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金もしくは科料 |
立ちションだけなら、軽犯罪法違反として扱われるだけでしょう。
しかし、建物や塀に立ちションして変色させたケースでは器物損壊罪が成立します。
なお、他人の敷地に無断で立ち入った場合は住居侵入等罪が成立する可能性もあります。
6.ポイ捨て|軽犯罪法違反・廃棄物処理法違反など
嫌がらせ目的で他人の敷地内にポイ捨てをすると軽犯罪法違反などになります。
| 犯罪 | 詳細 | 刑事罰 |
| 汚廃物放棄の罪 (軽犯罪法第1条27号) |
みだりにごみなどを捨てる | 拘留または科料 |
| 廃棄物処理法違反 (廃棄物処理法第25条) |
定められた処分場以外にごみなどの廃棄物を捨てる | 5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金 または併科 |
みだりにごみを捨てる行為は、軽犯罪法の汚廃物放棄の罪に該当します。
また、不法投棄などをおこなった場合には廃棄物処理法違反が成立するでしょう。
そのほか、事案によっては器物損壊罪や住居侵入等罪などが成立することも考えられます。
7.配達物盗難|窃盗罪や信書開封罪など
嫌がらせ目的で他人の配達物や郵便物を盗むと、窃盗罪などが成立するでしょう。
| 犯罪 | 詳細 | 刑事罰 |
| 窃盗罪 (刑法第235条) |
他人の財物を盗む | 10年以下の拘禁刑 または50万円以下の罰金 |
| 信書開封罪 (刑法第133条) |
封のしてある郵便物を開ける | 1年以下の拘禁刑 または20万円以下の罰金 |
たとえば、置き配などで届いた荷物を持ち去った場合は窃盗罪になる可能性があります。
また、嫌がらせが目的で他人の郵便物を開封した場合には信書開封罪が成立するでしょう。
近隣トラブルの嫌がらせを警察に通報された場合のデメリット
近隣住民への嫌がらせを警察に通報された場合は、以下のようなことが考えられます。
- 警察から注意を受ける
- 任意での取調べがおこなわれる
- 逮捕など身柄拘束をされる可能性もある
ここでは、近隣住民への嫌がらせを警察に通報された場合のデメリットを説明します。
1.警察から注意を受ける
軽度の近隣トラブル・嫌がらせであれば、警察からの注意だけで終わるでしょう。
嫌がらせの内容・種類にもよりますが、事件性がない場合は民事問題と判断されます。
そのため、警察に相談・通報されたとしても、注意や警告だけで済む可能性が高いです。
2.任意での取調べがおこなわれる
犯罪が成立する可能性がある場合は、必要に応じて任意の取調べがおこなわれます。
多くの場合は警察から呼び出しを受けて、事件の内容や経緯などについて確認されます。
通常は取調べ後に帰宅を許されますが、場合によっては逮捕される可能性もあるでしょう。
なお、任意とはいいますが、拒否し続けると逮捕されるリスクがあるため注意が必要です。
取調べについてより詳しく知りたい場合は、以下のページも一緒に確認してください。
3.逮捕など身柄拘束をされる可能性もある
嫌がらせの内容や加害者の状況次第では、逮捕されるリスクがあります。
- 通常逮捕:犯人としての疑いがあり身柄を拘束される
- 現行犯逮捕:犯行に及んでいる現場を取り押さえられる
たとえば、落書きしている姿を見られたら、現行犯逮捕される可能性が高いです。
捜査機関に逮捕・勾留されると、最長で23日間身柄を拘束されることになります。
その結果、仕事や学校など日常生活にも大きな影響が生じる可能性があるでしょう。
なお、逮捕の要件や種類を知りたい場合は、以下のページもあわせて確認してください。
近隣トラブルの嫌がらせを事件化させないための3つの対処法
近隣トラブルの嫌がらせを事件化させないためのポイントは以下のとおりです。
- 嫌がらせ行為を今すぐやめる
- 被害者に対して謝罪と被害弁償をする
- 弁護士に依頼して示談交渉をしてもらう
ここでは、近隣住民への嫌がらせを事件化させないための対処法について説明します。
1.嫌がらせ行為を今すぐやめる
まずは嫌がらせ行為を今すぐやめましょう。
嫌がらせをやめることで、それ以上の被害は発生させずに済みます。
その結果、警察に通報されたり、被害届を提出されたりするリスクを下げられます。
ただし嫌がらせをやめたからといって、過去の犯罪の事実がなくなるわけではありません。
何かしらの犯罪が成立している場合は、刑事事件化するリスクを負うことになるでしょう。
2.被害者に対して謝罪と被害弁償をする
嫌がらせ行為による被害者がいる場合は、謝罪と被害弁償を検討しましょう。
嫌がらせ行為について十分反省し、心から謝罪をおこなうことは非常に重要です。
また、被害が発生している場合、その被害について弁償する必要もあるでしょう。
謝罪や被害弁償を受け入れてもらえれば、穏便に問題を解決できる可能性が高まります。
ただし、嫌がらせの内容次第では、謝罪などを受け入れてもらえないこともあるでしょう。
3.弁護士に依頼して示談交渉をしてもらう
弁護士に被害者との示談交渉を依頼することもひとつの方法です。
直接の謝罪は難しくても、弁護士からの申入れには対応してくれる可能性があります。
そして弁護士は、より適切な落としどころを目指して示談交渉を進めてくれるでしょう。
また「被害届を提出しない」といった条項を含めた示談書の作成もおこなってくれます。
早めに弁護士に相談・依頼することで、刑事事件化するリスクをより回避できるでしょう。
近隣トラブルの嫌がらせに関する質問
最後に、近隣トラブルの嫌がらせに関するよくある質問に回答します。
Q.どのような嫌がらせだと刑事事件になりやすいか?
以下のような嫌がらせだと、刑事事件化しやすいです。
- 犯罪であることが明確な場合
- 悪質性が高い嫌がらせの場合
- 嫌がらせによる被害が明確な場合
- 犯罪に関する証拠が残っている場合 など
上記のようなケースでは、警察が被害届を受理する可能性が高いといえます。
特に、窃盗や器物損壊など明確な犯罪行為の場合は警察が動くと予想されるでしょう。
Q.嫌がらせが目的でなければ犯罪にはならないのか?
他人に不快な思いをさせるつもりがなくても、犯罪は成立する可能性があります。
たとえば、騒音について繰り返し注意を受けているのに改善しない場合などです。
このような場合は、嫌がらせが目的でなくても犯罪が成立する可能性があるでしょう。
なお、落書きなどは故意が推定されるため「そんなつもりはなかった」は通じません。
Q.証拠がなくても嫌がらせで刑事事件化することはあるか?
証拠がなくても、近隣住民への嫌がらせで刑事事件化する可能性はあります。
警察が動くかどうかは、窃盗・侮辱・器物損壊などによる被害があるかどうかです。
こうした明確な被害があれば警察は犯人特定や証拠収集のための捜査を開始します。
なお「証拠がない」とは限らないため、今すぐ嫌がらせ行為はやめるべきでしょう。
さいごに|近隣トラブルの嫌がらせに心当たりがあるなら弁護士に相談を
近隣住民への嫌がらせ行為は、内容や程度によっては犯罪が成立します。
そのため、今すぐ嫌がらせ行為をやめて、謝罪や被害弁償をおこないましょう。
また、刑事事件化するのが不安な方は早めに弁護士に相談するのがおすすめです。
弁護士であれば内容や事情などを確認し、事件化する可能性を判断してくれます。
さらに依頼をすれば、事件化を防ぐための弁護活動をおこなってくれるでしょう。
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