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暴行罪は初犯でも罰金刑?懲役など罰則の量刑の目安や判例を解説

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
暴行罪は初犯でも罰金刑?懲役など罰則の量刑の目安や判例を解説

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暴行罪の初犯はどのような処分が下されるのでしょうか。暴行罪は、起訴されて有罪判決を受けた場合は2年以下の懲役、30万円以下の罰金、拘留、科料のいずれかが科せられます。

ただ、すべての事案が立件されるわけではなく、警察の判断で立件されない例などもあります。

軽く見られがちな暴行罪ですが、法定刑は上記の通りであるため、場合によっては起訴されて懲役刑が科されないとも言い切れません。

万が一暴行罪で刑事責任を問われるような事態となった場合、しっかりと有効な対策を講じることで起訴処分を回避したり、仮に起訴されても執行猶予付きの判決を得たりすることが期待できます。

この記事では、以下の5点について解説します。

  1. 暴行罪初犯の量刑相場
  2. 暴行事件解決のポイント
  3. 弁護士に依頼したほうがよいケース
  4. 初犯の暴行罪の疑問
  5. 暴行事件の裁判事例

ぜひ参考にしていただき、事件解決のために行動しましょう。

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暴行罪の初犯の量刑相場

ここでは、暴行罪の初犯の量刑相場から、刑事処分が決まる基準、罰金刑の相場、執行猶予などについて解説します。

暴行罪の初犯の量刑は?

暴行罪の初犯の量刑の相場がどの程度かは、行為の程度によるため明確な相場を出すことはできません。

2019年の犯罪白書によると、2018年の暴行罪の起訴率は約30%です。起訴されたうち、ほとんどは略式裁判(※) による罰金刑となっています。

参考:法務省 令和元年版 犯罪白書|被疑事件の処理

公判請求は正式裁判を求める手続きのことです。これは検察に送致(送検)されたすべての暴行事件が対象となっていますので、初犯だけとは限りません。

初犯の正確な量刑の相場を算出することはできませんが、データを見る限りは不起訴処分が多く、起訴された場合は罰金刑が科されることが多いということがわかります。

ただし、刑事処分の軽重は行為態様や前科の有無によって判断が分かれます。すべてのケースで罰金となるわけではありませんので、安易に考えるのは危険です。

少しでも不起訴処分となる確率を高めたいのであれば、後述する『対策』を行うことをおすすめします。

用語解説
略式裁判
略式裁判とは、正式な裁判と比べ簡略化された裁判です。100万円以下の罰金刑の場合、被告人の同意のもとで行われます。裁判が長引かず事件が早期に解決するメリットがあるが、有罪判決を受けたのと同じに扱いになり前科がつきます。

【関連記事】略式起訴とは|概要と手続きの流れ・メリットなどを徹底解説

暴行罪の刑事処分が決まる基準は?

暴行罪の初犯で起訴・不起訴や量刑の判断がされる基準はこちらです。

  • 暴行の程度・悪質性・結果
  • 前科の有無
  • 事件の動機や経緯
  • 被害者との示談の成否
  • 被害者の処罰感情
  • 加害者の事情・立場・反省・監督者の有無・社会的制裁の程度

例えば、暴行の程度がひどい、または、悪質だと判断されれば、当然通常よりも重い処分が想定されます。

また、同種の前科が多数あるという場合も、反省がないとか再犯可能性が高いという観点から重い処分となる可能性も十分あります。

暴行罪の初犯の罰金の相場は?

暴行罪の初犯で、罰金刑が科された場合の相場も、罰金額はケース・バイ・ケースであるため、一概にこれという金額を断定することはできません。

初犯の暴行であれば、軽微なもの、あるいは、軽微でなくても示談が成立していれば不起訴、軽微でなく示談も成立してない場合は10~30万円の間で罰金刑となることがかんがえられます。

一応、暴行罪で罰金である場合の法定刑は30万円以下の罰金ですので、これを上限に刑が科されることになるでしょう。

暴行罪の初犯で刑務所に行く可能性はある?

もし、暴行罪の初犯であれば、被害者との示談が成立していれば不起訴となる可能性が高く、万が一起訴された場合でも初犯であれば通常は罰金刑となります。

そのため、暴行罪の初犯で実刑となり、刑務所に収監されるということはほとんど考えられないのが実情です。

ただ、これも絶対ではないので、理論的には刑務所に行く可能性はあるということは覚えておきましょう。

暴行事件解決のポイント

ここでは暴行事件解決のポイントについて解説します。

重要なのは被害者との示談の成否

刑事事件で、その後の処分に大きく影響するのが被害者との示談の成否です。

示談が成立して、被害者の許しが得られていれば、不起訴処分を獲得できる可能性が高く、万が一起訴されても略式手続で罰金刑となり即日釈放となるのが通常です。

可能であれば、早い段階から被害者と交渉して示談に応じてもらい、起訴されるまでに示談金を支払い終えることが望ましいです。

暴行罪の示談金の相場は10~30万円

暴行罪の示談金の相場も一概にいくらということはできず、行為の程度によって異なります。暴行の程度が悪質でない場合は、おおよそ10~30万円です。

暴行に至る経緯をふまえて、被害者にも一定の落ち度があると判断できるような場合であれば、示談金も低い傾向があります。

ただし、複数回に渡り執拗に暴行を加えているなど悪質であったり、被害者の処罰感情が強かったりした場合は、示談金が高額となる傾向があります。

また、初犯かどうかといった事情は、被害者にはあまり関係がないので示談金を減額する理由としては弱いかもしれません

個別の事情と、被害者に交渉した内容次第で、示談金の金額が左右されます。

【関連記事】【刑事事件】事件別の示談金相場一覧と示談交渉のポイント

被害者と示談をしない場合

被害者と示談をしない、あるいは、被害者が示談に応じてくれない場合は、起訴される、執行猶予がつかないことなども考えられます。

「どうせ罰金になるだろうから」と示談金を支払わないという考えの方もいるかもしれません。

しかし、被害者に謝罪を尽くして、一定の示談金を支払うことで、不起訴の確率が高まり、前科がつかないというメリットがあります。

起訴されて有罪となった場合は、たとえ略式手続で罰金刑となったとしても、暴行罪で有罪となった旨の前科がついてしまいます。

弁護士に依頼したほうがよいケース

もし、あなたが次に当てはまるのであれば、弁護士に依頼することをおすすめします。

被害者に執拗に暴行を加えた・凶器を用いて暴行を加えた

暴行以外にも脅迫行為などに及んだ

被害者がケガをしてしまった

被害者と示談をしたいが連絡先がわからない・応じてくれない

前科をつけたくない

早々に身柄を解放してほしい

被害者がケガをしてしまった場合は、傷害罪に問われる可能性もあり、量刑も変わってきます。

まずは、弁護士に依頼すべきか、被害者と示談すべきかどうかも含めて、弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

相談したからといって、相談した弁護士への依頼義務が生じるわけではありませんので、安心してご活用ください。

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暴行罪の初犯に関する疑問

ここでは、暴行罪の初犯に関する疑問にお答えします。

不起訴処分を獲得するには?

不起訴処分を獲得できる確率を高めるのは、被害者との示談交渉を進めるなど弁護士へ依頼して弁護活動を受けることです。

もちろん、逮捕されてしまった段階の取調べの受け方や、どの程度反省をしているかといったことも大切です。

それ以外にも、家族がしっかりと監督を約束する、反省文を提出するなどの方法もあります。しかし、最も効果が高いのは、やはり被害者の許しを得る示談の成立です。

逮捕された場合の身柄の拘束期間はどのくらい?

図:刑事事件の流れ

逮捕から起訴されるまでの身柄拘束を受ける期間はおよそ13~23日間です。

もし、起訴後も勾留された場合の拘束期間は、起訴事実を認めるのであればおおよそ2週間~1ヶ月ほどになることが多いでしょう。

短ければ逮捕後3~13日間で身柄解放されることもあり得ます。刑事事件の流れに関しては、関連記事もあわせてご覧ください。

【関連記事】
刑事事件の流れ|重要な48時間・72時間・23日以内の対応
勾留とは|勾留される要件と早期に身柄を釈放してもらうための対処法

起訴されて有罪となったらどうなるの?

起訴されて有罪となったら、暴行罪の法定刑内で量刑が決められます。前述したように、暴行罪の法定刑は、2年以下の懲役、30万円以下の罰金、拘留、科料のいずれかです。

懲役で実刑となった場合は、刑務所に収監されて刑務作業に服することになります。

拘留も刑務所に拘置される自由刑ですが、その期間は1日以上30日未満で、刑務作業に服する義務はありません。なお実務上、刑罰として拘留が選択されることはほとんどありません。

罰金は文字の通り、金銭を国に納める財産刑で、科料も同様です。(科料は1,000円以上1万円未満)したがって、暴行罪の場合、多くの場合は罰金刑か懲役刑となるでしょう。

【参考】日本の懲役の実態|懲役刑が果たす3つの役割と問題点

【関連記事】起訴されると99.9%の確率で有罪|不起訴処分となる3つのポイント

暴行罪初犯の裁判事例

ここでは、暴行罪初犯の裁判事例をご紹介します。

初犯・示談成立で執行猶予がついた事例

当時2、3歳であった実子に対しゴミ袋を顔にかぶせ、物を投げつけるなどの暴行を加えた事件では被告1年6ヶ月、執行猶予5年の判決が下されました。

日常的に暴行は繰り返されており、実父からの犯行であったため今後の成長への影響も懸念された。

裁判官は、被告の行為は強く非難されるべきであり、懲役刑はやむを得ないとしながらも、以下の点を考慮して、上記の判決となりました。

  • 被害者を代理する実母と示談が成立していること
  • 被告人の知人が被告人を監督することを誓っていること
  • 被告に前科前歴もなく初犯であることなど

 

参考:静岡地裁 平成30年10月2日(Westlaw Japan 文献番号 2018WLJPCA10026005)

初犯の暴行・脅迫で執行猶予がついた事例

元交際相手の女性への脅迫、女性の交際相手男性に対する暴行で起訴された男性に、懲役1年6ヶ月、執行猶予3年の判決が言い渡されました。

事件は、別れ話に納得のいかなかった被告が、交際相手だった女性を脅迫し、女性の交際相手である男性に対して胸ぐらをつかむ暴行を加えたというものです。

妻子ある身でありながら、教え子だった女性と交際していた上、別れ話に納得できず女性を脅迫するという犯行で、被害者女性が感じた不安も大きく、自己中心的・身勝手であるとしながらも、以下の点を考慮して、上記の判決となりました。

  • 暴行の程度は軽い
  • 被告に前科前歴はなく初犯であること
  • 家族が監督を約束したこと
  • 懲戒免職処分とされ、社会的な制裁は受けている

参考:神戸地裁 平成28年7月8日(Westlaw Japan 文献番号 2016WLJPCA07086003)

まとめ

ひとえに暴行罪といっても、暴行の程度によって、どういった処分が下されるかはわかりません。

逮捕されてしまった場合でも、送致されてしまい、検察庁から呼び出しを受けている在宅事件であっても、早い段階で反省をして、可能であれば被害者と示談交渉を行いましょう。

また、無料相談を活用して弁護士に相談してみることもおすすめします。逮捕されてしまった場合は、被疑者やご家族で1度だけ無料相談できる当番弁護士を呼んでもよいでしょう。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事はベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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