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刑事事件の弁護士費用が払えない時の解決法4選!選ぶ基準も解説

藤垣 圭介
監修記事
刑事事件の弁護士費用が払えない時の解決法4選!選ぶ基準も解説
  • 「刑事事件で弁護士費用が払えないときは、どうしたらいい?」
  • 「私選弁護士に依頼したいけれど、費用がネックで躊躇している…」

刑事事件で弁護士に相談したいけれど費用が心配、という状況は非常につらいものです。

費用面で弁護士への依頼を諦めてしまうと、不利益な結果を招く可能性も高くなります

しかし、弁護士費用がすぐに用意できない場合でも弁護士のサポートを得る方法はいくつかあるため、決して諦める必要はありません

本記事では、弁護士費用が払えない場合でも利用できる公的な支援制度や、私選弁護士の費用を抑える方法について、網羅的かつ具体的に解説します。

さらに、各状況に応じて適切な選択肢を選ぶための判断基準も紹介。

本記事を読むことで、あなたに合った選択肢が見つかり、適切な法的サポートを受けられるようになるでしょう

ぜひ最後までお読みください。

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目次

刑事事件の弁護士費用が払えない…まず知るべき4つの選択肢

弁護士費用がすぐに用意できない場合でも、弁護士の助けを得る方法は、主に4つ存在します。

経済的な理由で弁護士によるサポートを諦める必要はありません

選択肢

当番弁護士

国選弁護人

刑事被疑者弁護援助制度

私選弁護士

概要

逮捕直後に無料で弁護士に相談できる制度

国が弁護人を指定し、その費用を負担する制度

弁護士費用を立て替えてくれる制度

・自分で弁護士を選び依頼する方法

・分割払いなど柔軟に支払い方法を交渉できる

メリット

逮捕後、すぐに法的なアドバイスを受けられる

費用負担なしで弁護士を雇える

初期費用を立て替えてもらえるため、すぐに弁護士を雇える

・自分に合った弁護士を選べる

・連携が密で質の高い弁護活動が期待できる

デメリット

・利用回数は原則1回限り

・継続的な弁護活動は依頼できない

・弁護士は自分で選べない

・利用は勾留後に限られ、早期対応は難しい

・資力要件がある

・弁護士は自分で選べない

・立て替えた費用は返済が必要

・資力要件がある

・逮捕後の3日間しか利用できない

・費用が高額になりやすい

・全ての弁護士が分割払いに対応しているわけではない

※それぞれの選択肢をクリックすると、対応する見出しにリンクします。

各選択肢には利用条件やメリット・デメリットがあり、状況に応じた方法を選ぶことが重要です。

自分に合った方法を選ぶために、これからそれぞれの制度について詳しく見ていきましょう。

費用がないなら、まずは「当番弁護士・国選弁護士」が第一候補

当番弁護士・国選弁護人の利用条件

弁護士費用がまったく用意できない場合、まず検討すべきは「当番弁護士制度」と「国選弁護人制度」です。

2つとも公的な援助制度で、原則無料で弁護士のサポートを受けられます

ただし、これらの制度は原則として逮捕または勾留されていることが条件であるため、注意が必要です。

  • 当番弁護士→逮捕後に利用可能
  • 国選弁護人→勾留後に利用可能

そのため、以下のようなケースでは、私選弁護士など他の選択肢を選ぶ必要があります。

  • 自首を考えている
  • 警察から任意で事情を聞かれている
  • 現行犯で逮捕されたが、その後釈放され捜査が進んでいる
  • 検察庁から自宅に出頭の通知が届いた
  • 在宅事件で捜査が進んでいる

逮捕・勾留がない在宅事件の場合は適用されないため、私選弁護士への依頼が必要となります

「刑事被疑者弁護援助制度」を使えば、当番弁護士にそのまま依頼も可能

次に検討すべきが、弁護士費用を一時的に立て替えてもらえる「刑事被疑者弁護援助制度」です。

刑事被疑者弁護援助制度なら、公的な援助を受けつつ、自分で選んだ私選弁護士に依頼できます

また、刑事被疑者弁護援助制度と先述の当番弁護士は、併用可能です。

たとえば、当番弁護士の初回接見後、継続的な弁護が必要な場合に、刑事被疑者弁護援助制度を利用してそのまま私選弁護士として依頼し、費用を立て替えてもらえます。

刑事被疑者弁護援助制度の利用条件は、以下の2つです。

利用条件

内容

逮捕されていること

逮捕前や逮捕されない在宅事件では適用されない

資力要件を満たすこと

一般的には資産が50万円未満であること

刑事被疑者弁護援助制度も当番弁護士と同じく、利用は原則として逮捕後に限られます。

逮捕前から素早く弁護士のサポートを受けたい場合は、私選弁護士への依頼を検討するのがおすすめです。

刑事事件では、初期の対応が重要。

不起訴や起訴の判断、さらには最終的な刑罰に大きく影響を与えることがあります。

早期に弁護を受けたいなら「分割払いで私選弁護士に依頼」を

刑事事件でできるだけ早い段階で弁護士のサポートを受け、有利な結果を得る可能性を高めたい場合は、分割払いに対応している私選弁護士に依頼するのがよいでしょう

分割払いを利用すれば、一度に大きな費用を準備するのが難しい場合でも、月々の支払いで負担を軽減しながら必要な法的サポートを受けられます。

何より早期に弁護士が介入することで、証拠収集や被害者との示談交渉などを迅速に進められます。結果として、身柄拘束からの早期解放や、最終的な処分で有利な結果になる可能性も高まります

分割払いを希望する場合、できるだけ早く弁護士に相談することが重要です。

特に逮捕後では、弁護士は時間との勝負で動く必要があり、支払い方法に柔軟に対応できない事務所も少なくありません。

早めに相談することで、支払条件について交渉しやすくなります

【注意】刑事事件の加害者は法テラスの援助を受けられない

刑事事件を弁護士に依頼する際に注意しておきたいのが、「法テラス(日本司法支援センター)は刑事事件(加害者)についての法的援助はしていない」ことです。

法テラスは、経済的に余裕のない人が法的トラブルにあったときに、無料で法律相談をおこなったり、弁護士や司法書士の費用立て替えを支援したりする国の機関です。

しかし、これらの法律援助サービスは、主に民事事件や家事事件を対象としているため、「弁護士費用が払えないから法テラスに相談しよう」と考えても対応してもらえません。

この点は誤解されやすい部分であるため、刑事事件で弁護士を探す際には、法テラス以外の選択肢を検討する必要があることを忘れないようにしましょう

逮捕後に無料で弁護士を呼べる「当番弁護士制度」

ここでは、当番弁護士制度について、その内容や利用方法などを詳しく解説していきます。

  • 当番弁護士制度とは?
  • 当番弁護士のメリット:無料で迅速なアドバイスを受けられる
  • 当番弁護士のデメリット:1回限り・弁護士を選べない
  • 当番弁護士の呼び方・利用条件

当番弁護士制度とは?

当番弁護士制度とは、逮捕されてしまった加害者が、逮捕された後に一度だけ、無料で弁護士と接見し、法的アドバイスを受けられる制度です。

費用は各地の弁護士会が負担するため、利用者が支払う必要はありません。

当番弁護士制度は、逮捕という突然の事態に直面し、外部との連絡も制限される中で、加害者が速やかに弁護士のサポートを受ける権利を保障するために設けられました。

たった一度の面会でも、専門家である弁護士から以下のような点をアドバイスしてもらえるため、非常に心強い制度といえるでしょう。

  • 今後の取り調べにどう対応すべきか
  • 黙秘権などの権利について
  • 今後の手続きの流れはどうなるのか

当番弁護士のメリット:無料で迅速なアドバイスを受けられる

当番弁護士制度を利用する1番のメリットは、費用が一切かからず、逮捕後すぐに弁護士から直接アドバイスを受けられる点です。

逮捕直後は、慣れない環境と厳しい取り調べに、精神的に大きく動揺を感じることが多いです。

そのような状況で、法律の専門家である弁護士が駆けつけ、今後の流れや、自分の権利(黙秘権・署名押印を拒否する権利など)などについてわかりやすく説明してくれます。

「話したくないことは無理に話す必要はない」「供述調書への署名押印は内容をよく確認し、納得できなければ拒否できる」などの具体的なアドバイスは、不利益な供述を防ぐうえで非常に有効です。

少しでも落ち着きを取り戻し、冷静に対応するための精神的な支えになるでしょう。

当番弁護士のデメリット:1回限り・弁護士を選べない

無料で迅速なサポートを受けられる当番弁護士制度には、以下のようなデメリットもあります。

  • 利用回数は原則1回限り
  • 継続的な弁護活動は依頼できない
  • 派遣される弁護士を自分で選べない

あくまで逮捕直後の初期段階での応急的なサポートを目的としているため、その後の捜査や裁判に向けた継続的な弁護活動までは依頼できません

複雑な事件や長期的なサポートが必要な場合、当番弁護士による一度の接見だけでは十分に対応できないでしょう。

もし、当番弁護士に相談した後、その弁護士に引き続き弁護を依頼したい場合は、別途私選弁護士として契約を結ぶ必要があります。

さらに、派遣される弁護士は、その日の当番弁護士であり、事前に自分で選ぶことはできません。必ずしも刑事事件の経験が豊富な弁護士が派遣されるわけではない点には注意が必要です。

当番弁護士の利用条件と手続き

当番弁護士制度は、逮捕されており、まだ私選弁護士を選任していない被疑者であれば、基本的に誰でも利用できます

制度の趣旨にもとづき、利用のハードルは低く設定されており、資力の要件もありません。

本人の家族や知人でも依頼可能です。

当番弁護士を呼ぶ方法は、以下のとおりです。

手続きをする人

当番弁護士の呼び方

逮捕された本人

取り調べを担当している警察官に「当番弁護士を呼んでください」と伝える

逮捕された本人の家族や友人

逮捕された警察署を管轄する弁護士会に、電話で「〇〇警察署に逮捕されている〇〇(被疑者の氏名)に当番弁護士を派遣してください」と依頼する

国が費用を負担する「国選弁護人制度」

ここでは、国選弁護人制度について、その内容や利用方法などを詳しく解説していきます。

  • 国選弁護人制度とは?
  • 国選弁護人のメリット:費用負担がない
  • 国選弁護人のデメリット:対応が遅れる可能性がある・弁護士を選べない
  • 国選弁護人の利用条件と手続き

国選弁護人制度とは?

国選弁護人制度とは、刑事事件の加害者が、経済的な理由などで私選弁護士に依頼できない場合に、国が費用を負担して弁護士を選任する制度です。

原則として弁護士費用は国が負担するため、利用者は費用を支払う必要がないか、支払うとしても資力に応じて極めて低額な負担で済む場合がほとんどです。

憲法で保障されている弁護人依頼権(刑事事件の加害者が弁護人による弁護を受ける権利)を守るために設けられています。(日本国憲法第34条および第37条第3項)

国選弁護人は、被疑者が逮捕され勾留が決定された後、または起訴された後に利用できます

弁護人依頼権

第三十四条

何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。

第三十七条 全て刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。

② 刑事被告人は、全ての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。

③ 刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。

引用元:日本国憲法 | e-Gov 法令検索

国選弁護人のメリット:費用負担がない

国選弁護人制度を利用する1番のメリットは、原則として弁護士費用を自己負担する必要がない点です。

刑事事件を私選弁護士に依頼する場合、事件の内容や弁護範囲にもよりますが、一般的に着手金だけで30万~60万円程度、示談交渉や裁判対応などを含めると、総額で100万円を超えることも珍しくありません。

一方、国選弁護人制度を利用すれば、これらの弁護士費用は国が負担してくれます。

そのため、経済的に困難な状況にある方でも、費用の心配をすることなく、捜査段階から起訴後の裁判まで一貫した弁護活動を受けられます

国選弁護人のデメリット:対応が遅れる可能性がある・弁護士を選べない

国選弁護人制度は費用負担がないという大きなメリットがある一方で、以下のようなデメリットもあります。

  • 勾留後でないと利用できず、対応が遅れがち
  • 在宅事件では利用できない(勾留されないため)
  • 担当する弁護士を自分で選べない
  • 原則として弁護士の交代ができない

1番のデメリットは、逮捕後に最大で72時間経過しないと(=勾留後でないと)国選弁護人が選任されないことです。

以下の逮捕後の流れをご覧ください。

逮捕後の流れ

国選弁護人は、被疑者が「勾留」されたあとでなければ選任されません。

逮捕後から勾留決定まで最大で72時間(3日間)かかるため、最も重要な初期段階で弁護士のサポートを受けられないのです。

国選弁護人の利用条件と手続き

国選弁護人制度を利用するための条件は以下のとおりです。

起訴される前か起訴されたあとで条件は異なります。

依頼する段階

利用条件

被疑者段階(起訴される前)

●勾留されていること

●資力が50万円未満であること

被告人段階(起訴された後)

資力に関わらず国選弁護人制度を利用できる可能性がある

利用の手続きとしては、被疑者が勾留決定以降のどこかのタイミング(通常は勾留質問時)に国選弁護人の選任を希望する旨を伝えることで、裁判所が手続きを進めてくれます。

なお、当番弁護士とは異なり、逮捕されたご本人の家族などが本人に代わって国選弁護人の選任を請求することはできないため注意してください

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弁護士費用を立て替える「刑事被疑者弁護援助制度」

ここでは、刑事被疑者弁護援助制度について、その内容や利用方法などを詳しく解説していきます。

  • 刑事被疑者弁護援助制度とは?
  • 刑事被疑者弁護援助制度のメリット:早期対応・弁護士を選べる
  • 刑事被疑者弁護援助制度のデメリット:原則返済義務・利用条件がある
  • 刑事被疑者弁護援助制度の利用方法

刑事被疑者弁護援助制度とは?

刑事被疑者弁護援助制度は、資力が乏しい加害者に対して、弁護士費用を一時的に立て替える制度です。

日本弁護士連合会(日弁連)が実施しています。

逮捕されたものの、勾留前で国選弁護人制度の対象外となる期間でも、弁護士の援助を受けられない人を支援するために設けられました。

たとえば、以下のようなケースで活用できます。

  • 当番弁護士として接見した弁護士に、そのまま継続して弁護を依頼したいが費用が払えない場合
  • 逮捕されたため、自分で見つけた私選弁護士に依頼したいが費用が足りない場合

刑事被疑者弁護援助制度により、費用の問題を一時的に解消し、必要な弁護活動を早期に開始できます

刑事被疑者弁護援助制度のメリット:早期対応・弁護士を選べる

刑事被疑者弁護援助制度を利用する主なメリットは、以下の2つです。

  • 国選弁護人制度よりも早い段階(逮捕直後など)から弁護士の援助を受けられる
  • 原則として自分で弁護士を選べる

刑事事件では初期対応のスピードが非常に重要です。

この制度を利用することで、勾留を阻止するための活動や早期の身柄解放に向けた交渉など、より早いタイミングで取りかかれます。

また、刑事被疑者弁護援助制度は依頼したい弁護士を通じて申し込むため、信頼できる弁護士にサポートしてもらえるという安心感もあるでしょう

刑事被疑者弁護援助制度のデメリット:原則返済義務・利用条件がある

刑事被疑者弁護援助制度は有効な制度ですが、以下のようなデメリットもあります。

  • 立て替えてもらった費用は原則として後日返済しなければならない
  • 逮捕後でないと利用できない
  • 利用には資力要件がある(一般的には資産が50万円未満)
  • 制度の適用は、逮捕から勾留までの最長3日間のみ

1番重要なのは、あくまで費用を「立て替える」制度であり、費用が免除されるわけではないことです。

立て替えてもらった費用は、原則として後日、日本弁護士連合会に返済する必要があります

また、利用には逮捕後であることや資力要件を満たすことなどの条件があります。

さらに、この制度の適用は、原則として逮捕から勾留決定までの最長3日間(72時間)の弁護活動に限られます。

勾留が決定された後は、国選弁護人制度に引き継がれるため、援助の対象期間が限られている点も理解しておく必要があります

刑事被疑者弁護援助制度の利用条件と手続き

刑事被疑者弁護援助制度を利用するための条件は以下のとおりです。

  • 逮捕されていること
  • 資力要件を満たすこと(一般的には資産が50万円未満)

刑事被疑者弁護援助制度の申し込みは、弁護士を通じておこないます。

利用を希望する場合、まずは依頼したい弁護士に相談し、その弁護士が必要書類を作成して弁護士会に提出します。

弁護士会での審査を経て、援助が決定されれば、弁護士は立て替えられた費用をもとに弁護活動を開始します

一例として、以下の手順で利用すれば、逮捕直後から費用をかけずに一貫した弁護を受けることも可能です。

ただし、手続きの詳細は弁護士にご確認ください。

  1. 逮捕直後にまず当番弁護士を呼ぶ
  2. その弁護士が信頼できると感じたら私選弁護士として指名する
  3. 刑事被疑者弁護援助制度の利用を申請する
  4. 勾留が決定された後、同じ弁護士を国選弁護人として指名する

自ら費用を負担して自由に選んで依頼する「私選弁護士」

ここまで公的な援助制度を中心に見てきましたが、もうひとつの選択肢として、被疑者・被告人やそのご家族が、自ら費用を負担して自由に選んで依頼する「私選弁護士」があります。

費用はかかりますが、その分、他の選択肢にはないメリットも多く存在します。

ここでは、私選弁護士に依頼する場合のメリット・デメリットや、依頼方法について詳しく解説します。

私選弁護士のメリット:自分に合った弁護士をいつでも自由に選べる

私選弁護士に依頼する1番のメリットは、弁護士を自由に選べる点と依頼するタイミングに制限がない点です。

数多くの弁護士の中から、事件内容に精通している弁護士や人柄が信頼できる弁護士を納得いくまで探して選べます。

また、私選弁護士は、公的な制度と異なり、逮捕されていない段階でも相談や依頼が可能です。

たとえば、以下のような状況でも弁護を依頼できます。

  • 逮捕はされずに在宅事件で捜査が進んでいる
  • 警察から任意の事情聴取を求められている
  • 自首を考えている

早期に弁護士が介入することで、以下のように有利な展開が期待できます。

  • 逮捕そのものを回避できる可能性が高まる
  • 逮捕された場合でも早期の釈放を実現しやすい
  • 被害者との示談交渉を迅速に進めて不起訴処分を獲得しやすい など

さらに、私選弁護士は家族との連携も取りやすく、状況報告や方針の相談もきめ細やかにおこなってもらえる傾向があります。

費用はかかりますが、その分質の高い弁護が期待できるのが私選弁護士の強みです。

私選弁護士のデメリット:他の選択肢に比べて費用が高額

私選弁護士の1番のデメリットは、費用面です。

当番弁護士や国選弁護人などの公的なサポートと比較すると、高額になるのが一般的です。

弁護士費用は、主に「着手金」と事件が解決した際の「成功報酬(報酬金)」で構成されます。

刑事事件の場合、着手金だけで30万~60万円程度かかり、成功報酬などを含めると総額で100万円以上かかることもあります。

とはいえ、私選弁護士への依頼には費用面のデメリットを上回る多くのメリットがあります。

さらに、あとで紹介する方法を活用すれば、費用負担を軽減しつつ私選弁護士に依頼できる場合もあるため、すぐに諦める必要はありません

私選弁護士の費用相場についてより詳しく知りたいは、「私選弁護人の弁護士費用の相場|費用の事例と費用を抑える5つの方法」をあわせてお読みください。

私選弁護士の依頼方法

私選弁護士(私選弁護士)に依頼する場合、まずは信頼できる弁護士を自分で探すことから始まります。

探し方としては、インターネット検索が一般的です。

たとえば、「地域名 弁護士 刑事事件」といったキーワードで検索すれば、お近くで刑事事件に対応している法律事務所を見つけられるでしょう。

また、知人から紹介してもらうなどの方法もあります。

重要なのは、刑事事件の解決実績が豊富で、専門的な知識を持った弁護士を選ぶことです。

弁護士にも得意分野があるため、必ず刑事事件に注力している弁護士を選びましょう。

法律事務所のホームページなどで、過去の解決事例や弁護士の経歴などをチェックするのも有効です。

また、刑事事件に特化した弁護士検索サイト「ベンナビ刑事事件」では、刑事事件に強い法律事務所を多く掲載しており、地域や相談内容から絞り込んで探せます。

お住まいの地域の弁護士を比較したいときは、ぜひ参考にしてみてください。

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私選弁護士を依頼したいが費用が払えない場合の3つの対処法

刑事事件においては、早期対応や専門性の高い弁護活動が期待できる私選弁護士への依頼が望ましい場面が多くあります。

しかし、その費用が高額であるため、依頼をためらってしまう方も少なくありません。

ここでは、私選弁護士に依頼したいけれど、費用の支払いが難しいという場合に検討できる具体的な対処法を3つご紹介します。

  • 対処法①弁護士費用の分割払い・後払いに対応する事務所を探す
  • 対処法②無料相談を活用して複数の事務所を比較する
  • 対処法③大手ではなく中小規模の事務所も検討する

対処法①弁護士費用の分割払い・後払いに対応する事務所を探す

まず検討すべきは、弁護士費用の分割払いや後払いに対応している法律事務所を探すことです。

全ての事務所が対応しているわけではありませんが、依頼者の経済状況に配慮し、柔軟な支払い方法を提案してくれる事務所もあります。

重要なのは、支払い方法を相談する際は、できるだけ早い段階で行うことです。

特に、逮捕後など事件が進行している場合、弁護士は釈放活動など迅速な対応を迫られるため、後払いや分割払いの対応が難しいことがあります。

また、弁護士費用の分割払いや後払いについては、事務所のホームページに明記されていない場合もあります。

気になる弁護士を見つけた際には、法律相談の際に直接「分割払いは可能でしょうか?」と確認してみるとよいでしょう。

対処法②無料相談を活用して複数の事務所を比較する

複数の法律事務所の無料相談を積極的に活用し、料金体系などを比較検討するのも有効です。

現在、弁護士費用は自由化されており、同じ事件内容であっても事務所によって着手金や成功報酬が異なることがあります。

ある事務所では着手金が30万円でも、別の事務所では50万円ということも。

ただし、単に費用が安いという理由だけで選ぶのは避けるべきです。

料金が安い理由には、サービス内容が限定的・経験の浅い弁護士が担当するなどの可能性も考えられます。

刑事事件の実績や対応の質も見極めることが重要です。

多くの事務所では初回無料相談をおこなっているため、まずは複数の事務所に相談し、事件の見通しや、総額でどれくらい費用がかかるかを具体的に見積もってもらいましょう。

その際、着手金や成功報酬の算定基準が明確かどうか、追加費用が発生する可能性などについてもしっかり確認することが大切です。

対処法③大手ではなく中小規模の事務所も検討する

必ずしも知名度の高い大手の法律事務所だけでなく、地域に根差した中小規模の事務所も検討してみるのも良い方法です。

大手の法律事務所の中には、テレビCMやインターネット広告といったマーケティング活動に多額の費用を投じている場合があります。

広告を積極的におこなっている大手事務所の弁護士費用は、比較的高額になりがちです。

一方で、派手な広告活動は行わず、口コミや紹介などを中心に依頼を受けている中小規模の事務所の中には、実力がありながらも、比較的リーズナブルな費用で質の高いサービスを提供しているところも少なくありません。

インターネット検索だけでなく、地域の情報なども参考にしながら、視野を広げて探してみると良いでしょう

在宅事件の場合の弁護士費用|私選弁護士を選任するしかない

刑事事件には、逮捕・勾留を伴わずに捜査が進められる「在宅事件」があります。

在宅事件の場合、弁護士に依頼する選択肢は、基本的に「私選弁護士」に限られます

これは、当番弁護士制度などの公的支援が、いずれも逮捕や勾留といった身柄拘束を前提としているためです。

在宅事件では、日常生活を送りながら警察や検察の呼び出しで捜査に協力しますが、「逮捕されていないから罪は軽いだろう」「弁護士をつけなくても大丈夫」と安易に考えるのは危険です。

在宅事件でも、捜査の結果、起訴されれば刑事裁判となり、有罪判決を受ければ前科がつきます。

むしろ、身柄拘束されていないことで緊張感が薄れ、弁護士に相談するタイミングを逃すと、結果的に不利益な処分を受けることも

そのため、在宅事件であっても自分の権利を守り、最善の結果を目指すためには、費用を工面してでも私選弁護士に依頼するのを強くおすすめします

なお、在宅事件についてより詳しく知りたい方は、あわせて「在宅事件とは?在宅になる条件やその後の流れ・身柄事件との違いを解説」もお読みください。

刑事事件では結局どの弁護士を選ぶべき?国選と私選の比較

弁護士費用を支払える?

ここまで、さまざまな公的制度や私選弁護士のメリットとデメリットをお伝えしてきました。

それぞれに一長一短があり、どの選択肢が最適なのか、迷ってしまう方もいるかもしれません。

どの方法で弁護士に依頼するかを決める際の判断ポイントは、以下の2つです。

  • 弁護士費用を(分割払いや後払いを含めて)支払えるかどうか
  • 費用がかかっても一日も早く事件を解決し、有利な結果を得たいかどうか

ここでは、上記のポイントを踏まえ、どのような状況でどの選択肢を優先的に検討すべきか、判断の目安をお伝えします。

ただし、個々の事件の状況にもよるため、あくまで一般的な参考としてお考えください。

費用を最優先するなら「国選弁護人」

弁護士に依頼するにあたって、何よりも経済的な負担を避けたい、費用を限りなくゼロにしたい、あるいは最小限に抑えたいという場合には、「国選弁護人制度」の利用が適しています。

ただし、この制度を利用するには、前述したように以下の条件を満たす必要があります。

  • 勾留されていること(起訴前)
  • 資力が一定基準以下であること(原則50万円未満)

これらの条件を満たすのであれば、国が弁護士費用を負担してくれるため、自己負担は原則として発生しません

経済的な心配をせずに、刑事手続きにおける法的なサポートを受けられます。

早期解決・有利な結果を重視するなら「私選弁護士」

費用がかかるとしても、事件の早期解決やご自身にとって有利な結果を強く望むのであれば、「私選弁護士」を選ぶメリットは非常に大きいと言えます。

具体的には、以下のような希望があるなら私選弁護士への依頼が適しているでしょう。

  • 逮捕直後から迅速に対応してほしい
  • 逮捕や勾留を回避したい
  • 被害者との示談を早期に成立させて不起訴処分を獲得したい
  • 執行猶予付きの判決を得る可能性を高めたい
  • 刑事事件に精通した弁護士から質の高いサポートを受けたい

私選弁護士であれば、逮捕される前から依頼でき、弁護士を自由に選べるため、事件の見通しに応じた戦略を早期に立て、迅速な対応が可能です。

早期に釈放されれば、それだけ早く学業や仕事に復帰でき、事件がその後の生活に与える影響を最小限に抑えられます。

身柄拘束が長引くことによる解雇や退学といった深刻な事態を避けたいのであれば、費用をかけてでも私選弁護士を選ぶ価値が十分にあるでしょう。

弁護士を選びたいが費用が不安なら「私選弁護士(分割払い等)」or「被疑者弁護援助」

弁護士の経験や専門性、あるいは人柄や相性などを重視して、やはり自分で弁護士を選びたい、しかし、まとまった費用を一括で支払うのは難しい、というジレンマを抱えている方もいるでしょう。

そのような場合には、以下の2つが良い選択肢になります。

  • 費用の分割払いや後払いに対応してくれる私選弁護士を探す
  • 逮捕されている状況であれば「刑事被疑者弁護援助制度」の利用を検討する

国選弁護人制度では弁護士を選ぶことはできませんが、これらの方法であれば、信頼できる弁護士を選びつつ、費用負担を軽減できる可能性があります

諦めずに、まずは相談してみることが大切です。

刑事事件で弁護士費用が払えなくても諦めないで!まずは無料相談へ

刑事事件に関与してしまい、弁護士費用が払えないと悩んでいる状況は、精神的にも非常に大きな負担となります。

しかし、決して一人で抱え込まず、まずは弁護士に相談してみることが大切です。

多くの法律事務所では、刑事事件に関する初回の法律相談を無料でおこなっています。

無料相談を利用することで、利用できる公的な制度や事件の見通しなど、専門家である弁護士から直接、具体的な情報を得られます。

費用面の不安も含めて、正直に弁護士に相談することが重要です。

複数の法律事務所の無料相談を利用し、費用体系や支払い方法、弁護士との相性を比較検討することで、自分に合った弁護士に依頼できるでしょう。

刑事事件に強い弁護士を探すなら「ベンナビ刑事事件」

「ベンナビ刑事事件」は、刑事事件に特化した弁護士を簡単に検索できるポータルサイトです。

地域・相談内容・得意分野など、さまざまな条件で絞り込み検索できるため、自分に合った弁護士をスムーズに見つけられます。

また、夜間や土日・祝日対応可能な事務所も多数掲載されており、急な相談にも対応しやすいのが特徴です。

さらに、初回相談無料や電話・オンライン相談が可能な弁護士も多く、気軽に相談を始められます

刑事事件では、初期対応が非常に重要です。

適切な弁護を受けるためにも、「ベンナビ刑事事件」を活用し、信頼できる弁護士を早期に見つけてみてはいかがでしょうか。

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解決事例①【数百万を横領】会社側に告訴される前に示談で解決できたケース

「ベンナビ刑事事件」で解決できた代表的な事例をいくつかご紹介します。

刑事事件で弁護士への依頼をお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

【事故の内容】

相談者は中小企業の経理担当者で、出来心から会社のお金を1度懐に入れ、その後何度か横領を繰り返し、総額は数百万円に達していました。

会社にはばれていないと思い続けていましたが、上司に証拠を示され、警察に訴えると言われました。

絶望的な状況で、すぐに当事務所に相談に来ました。

【弁護活動の結果】

横領の事実が明らかだったため、弁護士は刑事告訴前に会社と示談交渉を開始しました。

迅速な対応により、早期に示談が成立しました。

【参考元】
ベンナビ刑事事件

このケースでは、弁護士が迅速に示談交渉を行うことで、刑事告訴を避け、早期に解決に導けました

早期の対応が有利な結果を生む一例といえます。

解決事例②覚えのない暴行を疑われ、徹底した取調対応により不起訴を勝ち取ったケース

【事故の内容】

相談者は建物の管理人で、悪質なポスティング業者に何度も出入りされ、防犯カメラで確認後、注意しに向かいました。

業者が逃げようとしたため追いかけ、車両に近づいたところ、ドアを開け閉めされ、身体を押されました。

業者の腕を掴んだところ、態度が豹変し警察を呼ばれ、相談者は犯人扱いされました。

【弁護活動の結果】

弁護人に就任後、警察に抗議文を提出し、数時間の交渉を経て、警察からの回答を得ることに成功。

その後、警察の対応が改善され、相談者の言い分がきちんと聞かれるようになりました。最終的に、検察に送致されず「不送致」となり、前科がつくことなく問題は解決しました。

【参考元】
ベンナビ刑事事件

このケースでは、弁護士が迅速に抗議文を提出し、警察との交渉を重ねたことで、相談者の言い分が認められ、不当な罪を避けることができました

弁護士の介入が早期の解決につながったといえます。

まとめ

本記事では、弁護士費用が払えない場合でも利用できる公的な制度や、私選弁護士の費用を抑える方法について解説しました。

刑事事件を起こしてしまい、弁護士費用が払えないと悩んでいる場合でも、決して諦める必要はありません

公的支援制度(当番弁護士、国選弁護人、刑事被疑者弁護援助制度)や、私選弁護士の分割払い対応など、さまざまな方法で費用負担を軽減しつつ法的サポートを受けられます。

特に逮捕後の対応は時間との勝負です。

できるだけ早く、刑事事件に詳しい弁護士に相談することを強くおすすめします。

多くの事務所では無料相談を実施しているため、まずは一歩踏み出し、専門家のアドバイスを聞いてみてはいかがでしょうか。

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この記事の監修者
藤垣 圭介 (埼玉弁護士会)
これまで500件以上の刑事事件に携わり、特に痴漢/盗撮/暴行/傷害に関する事件の解決を得意とする。レスポンスの早さにこだわりをもって対応し、豊富な経験をもとに即日接見を用いて、早期釈放を目指している。
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編集部

本記事はベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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