児童ポルノの公訴時効は何年?所持・提供・製造ごとに時効成立の期間を解説
- 「児童ポルノを所有しているが、それだけで罪に問われるの?」
- 「以前に児童ポルノを掲示板にアップロードしたが、罪に問われるの?」
このように、児童ポルノに関わった可能性がある方は、逮捕のリスクや刑事責任について不安を抱えているかもしれません。
刑事事件には「公訴時効」という一定の期間が経過すると起訴されなくなる仕組みがあり、児童ポルノ関連事件も例外ではありません。
ただし、児童ポルノ事件の時効計算は単純ではなく、行為の内容や状況によって時効の完成時期は異なるため、自己判断で「すでに時効が完成した」と考えるのは危険です。
本記事では、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(児童ポルノ法)」や関連する法律により禁止されている主な行為や犯罪類型別の公訴時効、さらには民事上の時効について詳しく解説します。
自分の立場やリスクを正しく理解し、適切な対応を検討するための参考にしてください。
児童ポルノ法で禁止されている行為とそれぞれの公訴時効
児童の権利や安全を守り、被害の拡大を防止する観点から、児童ポルノ法では幅広い行為が処罰の対象とされています。
以下、主な犯罪類型やそれぞれの公訴時効、法定刑をまとめました。
| 犯罪類型 | 内容 | 公訴時効 | 法定刑 |
|---|---|---|---|
| 児童ポルノ所持罪 | 自己の性的好奇心を満たす目的で児童ポルノを所持 | 3年 | 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 |
| 児童ポルノ提供罪 | 特定かつ少数の者に児童ポルノを提供 | 3年 | 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金 |
| 不特定または多数の者に児童ポルノを提供、または公然に陳列 | 5年 | 5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金(併科の可能性あり) | |
| 児童ポルノ製造(等)罪 | 盗撮による児童ポルノの製造 | 3年 | 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金 |
| 特定かつ少数の者に対する児童ポルノ提供目的での製造・所持・運搬・輸出入、画像データの保管 | 3年 | 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金 | |
| 不特定または多数の者に対する児童ポルノ提供目的または公然陳列目的での児童ポルノの製造・所持・運搬・輸出入、画像データの保管 | 5年 | 5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金(併科の可能性あり) |
このように、法定刑が重い犯罪ほど公訴時効も長く設定されています。
ここからは、それぞれの犯罪について詳しく解説します。
1.児童ポルノ所持罪|3年
児童ポルノ所持罪は、自己の性的好奇心を満たす目的で児童ポルノを所持した場合に成立します。
児童ポルノ所持罪に該当する行為の具体例は、以下のとおりです。
- インターネットから児童ポルノをダウンロードして、自分のパソコンに保存した
- 友人から送られてきた児童ポルノを削除せずにスマートフォンに保存した
児童ポルノ所持罪の公訴時効は「3年」です。
つまり、犯罪をおこなってから3年以内であれば、逮捕または起訴される可能性があります。
2.児童ポルノ提供罪|3年または5年
児童ポルノ提供罪は、児童ポルノを他人に提供した場合に成立する罪です。
ここでいう「提供」とは、画像や動画の販売や送信など、他人が利用できる状態にする行為を指します。
単に所持するだけではなく、児童ポルノを拡散させる性質を有するため、所持罪より重く処罰されるのが特徴です。
具体的な行為としては、以下のようなものが当てはまります。
- SNSに児童ポルノをアップロードして、他人に閲覧させた
- 共有フォルダに児童ポルノをアップロードして、他人が閲覧できる状態にした
また、営利目的かどうかは問われず、無償で提供した場合でも罪に問われる点に注意しましょう。
児童ポルノ提供罪の公訴時効は、提供範囲によって変わります。
提供範囲が広がるほど被害が大きくなる点が考慮されています。
- 特定かつ少数の者に提供した場合:3年
- 不特定または多数の者に提供した、または公然と陳列した場合:5年
3.児童ポルノ製造罪|3年または5年
児童ポルノ製造罪は、盗撮により児童ポルノを作成した場合、または他人に提供する目的などで児童ポルノを製造した場合に成立する罪です。
「作成」には、単なる撮影だけでなく、既存の画像や動画の編集やコピーなども含まれます。
児童ポルノ製造罪に該当する行為の具体例は、以下のとおりです。
- 児童を盗撮して児童ポルノを作成した
- 掲示板やSNSにアップロードする目的で、児童ポルノを編集した
また、児童ポルノ製造罪の公訴時効も、行為や提供範囲によって異なります。
- 盗撮により児童ポルノを作成した場合:3年
- 特定かつ少数の者に提供した場合:3年
- 不特定または多数の者に提供した、または公然と陳列した場合:5年
児童ポルノ法違反をした場合は民事上の時効は3年または20年
児童ポルノ法に違反した場合は、刑事上の公訴時効だけでなく、民事上の消滅時効も考慮しなければなりません。
なぜなら、民法では児童ポルノの被害者が受けた精神的苦痛や経済的損害を回復できるよう、加害者に対して損害を賠償する権利が認められているからです。
なお、民法上の消滅時効には以下2つの基準があり、いずれか早いほうが適用されます。
- 被害者が加害者および損害を知ったときから3年
- 不法行為がおこなわれたときから20年
つまり、損害賠償請求を受けるリスクは、事件発生から最長で20年間 残る可能性があるのです。
児童ポルノ法違反と関連する犯罪とその公訴時効の期間
未成年者を対象としたわいせつな行為については、児童ポルノ法以外にも、刑法や各種条例にも違反する可能性があります。
ここでは、未成年者にわいせつな画像を要求した場合や、性的な行為をした場合に成立する可能性のある犯罪と、その公訴時効の期間について以下2つのケースに分けて解説します。
- 未成年者にわいせつな画像を要求した場合
- 未成年者に対して性的な行為をしていた場合
それぞれのケースで問われる可能性がある罪とその時効について、詳しく見ていきましょう。
1.未成年者にわいせつな画像を要求した場合|3年
未成年にわいせつな画像を要求した場合には、各自治体の条例により刑罰を科される可能性があります。
たとえば、東京都では2018年2月1日に改正された「東京都青少年の健全な育成に関する条例」が施行され、以下の行為が禁止されています。
- 未成年に拒まれたにもかかわらず、児童ポルノを要求すること
- 未成年を脅したり騙したり、または対価を提供するもしくはその約束をして児童ポルノを要求すること
違反すれば、「30万円以下の罰金」が科される可能性があります。
また、ほかの自治体でも同様の条例が制定されています。
たとえば、愛知県では2025年7月1日に改正された「青少年保護育成条例」が施行され、同様の行為が禁止されました。
このような条例違反の公訴時効は「3年」です。
2.未成年者に対して性的な行為をしていた場合|3年以上
未成年者に性行為やわいせつな行為をした場合には、刑法や条例により刑罰を科される可能性があります。
以下、代表的な行為ごとに成立し得る罪名や公訴時効を整理しましたので、参考にしてください。
| 行為の内容 | 成立し得る罪名 | 公訴時効 | 法定刑 |
|---|---|---|---|
| 未成年者にわいせつな行為をする | 不同意わいせつ罪(刑法第176条) | 12年 | 6ヵ月以上10年以下の拘禁刑 |
| 未成年者に性交等をする | 不同意性交等罪(刑法第177条) | 15年 | 5年以上の拘禁刑 |
| 未成年にみだらな性交または性交類似行為をする | 青少年に対する反倫理的な性交等(東京都青少年の健全な育成に関する条例第18条の6)※東京都の場合 | 3年 | 2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金※東京都の場合 |
| 未成年者を相手に買春(お金・物品を対価に性的行為を要求)する | 児童買春(児童ポルノ禁止法第4条) | 5年 | 5年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金 |
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児童ポルノ法違反をした場合に今すぐ弁護士に相談すべき理由
児童ポルノ禁止法違反が発覚すれば、逮捕・起訴されるだけでなく、社会的信用が失墜する、就職や家庭生活に悪影響を与えるなど、深刻なリスクを負ってしまいます。
リスクを回避するためには、刑事事件を得意とする弁護士への相談がおすすめです。
弁護士に相談すると、主に以下3つのメリットを得られます。
- 時効が成立しているかどうかの判断をしてくれる
- 被害者やその親との示談交渉をおこなってくれる
- 自首についてアドバイスやサポートをしてくれる
ここからは、それぞれのメリットについて詳しく解説します。
1.時効が成立しているかどうかの判断をしてくれる
児童ポルノの単純所持罪の公訴時効は「3年」ですが、単純に3年経過すれば時効が成立するわけではありません。
児童ポルノを持ち続けている限りは犯罪が継続しているとみなされ、時効のカウントが進行しないからです。
また、児童ポルノの所持は、職務質問や別件での捜査(児童買春、盗撮など)をきっかけに発覚するケースも多く、時効成立まで逃げ切るのは難しいでしょう。
その点、弁護士であれば「すでに時効が完成しているのか」「捜査の対象となり得るか」といった点を事案の内容に即して判断してくれます。
仮に時効が成立していない場合には、今度とるべき対応についてアドバイスしてくれるので、今後の見通しも立ちやすくなるでしょう。
2.被害者やその親との示談交渉をおこなってくれる
児童ポルノのような性犯罪は、被害者や家族の処罰感情が大きい場合がほとんどです。
加害者が直接連絡を取ろうとすると、かえって感情的な対立を招き、トラブルに発展するケースも少なくありません。
その点、弁護士に相談すれば、被害者側との連絡窓口を引き受けてもらえます。
また、示談交渉に必要な書面の準備や、示談金額の妥当性の判断なども対応してくれるので、冷静かつ適切に話し合いを進められるでしょう。
早期に示談が成立すれば、不起訴処分や執行猶予つき判決につながる可能性が高まります。
3.自首についてアドバイスやサポートをしてくれる
まだ警察に発覚していない段階であれば、「自首」するのも選択肢のひとつです。
自首とは、まだ事件が発覚していない段階で、犯人が自ら進んで捜査機関に対して犯罪事実を申告することです。
刑法42条では、自首した場合には刑罰が軽くなる可能性があると定められているので、不起訴処分や執行猶予付き判決を得やすくなります。
ただし、自首すべきかどうかは状況次第です。
単に手元の画像や動画を破棄すれば済む場合もあり、必ずしも出頭する必要があるとは限りません。
弁護士に相談すれば、「今の段階で自首すべきか」「どのように供述すればよいか」といった判断やサポートを受けられるため、不要なリスクを避けながら適切に対応できます。
さいごに|児童ポルノ法違反の公訴時効は3年または5年が基本
本記事では、児童ポルノ法に違反した場合の公訴時効についてわかりやすく解説しました。
主な児童ポルノ法違反の公訴時効は、以下のとおりです。
- 児童ポルノ所持罪:3年
- 児童ポルノ提供罪:3年〜5年
- 児童ポルノ製造罪:3年〜5年
ただし、時効がいつから進行するか、いつ完成するかの判断は個人だけでは難しいです。
時効が完成しているか不安な場合や、逮捕リスクを軽減したい場合は、早めに刑事事件を得意とする弁護士へ相談することが重要です。
弁護士に相談すれば、時効が完成しているか判断してくれます。
また、示談交渉の進め方や自首の判断など、刑事処分の軽減に向けた具体的な方針についてアドバイスを受けられます。
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