生成AIと児童ポルノの関係性とは?未成年者の性的画像を作成したら処罰されるのか?
近年、生成AIの技術が進化し、誰でも簡単に画像や動画を作れるようになりました。
しかし、18歳未満の児童の性的描写に関する画像や動画を取り扱う際には、注意が必要です。
たとえ生成AIで作ったとしても、実在する児童を題材にしたものであれば、刑事罰の対象となる可能性があるからです。
本記事では、生成AIで児童ポルノを作成した場合の法律上や条例上の取り扱いや罰則、近年の参考判例についてわかりやすく解説します。
生成AIを安心して活用するためにも、ぜひ参考にしてください。
生成AIで児童ポルノを作成した場合に処罰されるのか?
2025年9月時点、生成AIでの児童ポルノの作成を明確に禁止する法律はありません。
しかし、生成AIを使って児童ポルノを作成すると、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(児童ポルノ法)」に違反して処罰される可能性があります。
児童ポルノ法によれば、「児童ポルノ」とは、以下のような描写を写真や電磁的記録媒体(CD、DVD、携帯電話のデータフォルダー、パソコン)などに収めたものをいいます。
- 児童を相手に性交や性交類似行為をし又は児童が性交や性交類似行為をしている姿
- 他人が児童の性器等を触り又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿で、性欲を興奮させ又は刺激するもの
- 衣類の全部又は一部を着けない児童の姿であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの
つまり、生成AIによって作られた画像や動画であっても、以上のような描写であれば、児童ポルノに含まれると判断される場合もあるのです。
鳥取県では条例でAIによる児童ポルノの作成を禁止している
法律で明確に禁止されていないものの、条例によって規制を設けている自治体もあります。
たとえば、鳥取県では生成AIやディープフェイクによる被害が報告されていることを踏まえ、2025年4月1日付で改正「鳥取県青少年健全育成条例」を施行し、生成AIによる児童ポルノの作成を禁止しました。
(児童ポルノ等の作成、製造及び提供の禁止)
第18条の3 何人も、児童ポルノ等の作成又は製造(県内に居住し、又は県内に通学若しくは通勤する青少年の容貌の画像情報を加工して作成した姿態に係る児童ポルノ等について本県の区域外で行われる作成又は製造を含む。)をしてはならない。
2 何人も、SNSの利用その他の手段により児童ポルノ等の提供(県内に居住し、又は県内に通学若しくは通勤する青少年の容貌の画像情報を加工して作成した姿態に係る児童ポルノ等について本県の区域外で行われる提供を含む。)をしてはならない。
引用元:鳥取県青少年健全育成条例
このような条例改正をきっかけに、今後は生成AIを利用した児童ポルノの作成や流通を規制する動きが全国的に広がることも考えられます。
生成AIで作成した画像が児童ポルノに該当した場合の罰則
児童ポルノ法に違反した場合の罰則は、違反行為の内容によって異なります。
該当する可能性がある主な違反行為は、以下の3つです。
- 所持
- 提供
- 製造
ここから、違反内容ごとの罰則についてそれぞれ解説します。
1.所持|1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
児童ポルノを個人的に保存しているだけでも「所持」とみなされ処罰の対象になります。
児童ポルノ所持罪の罰則は、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。
2.提供|3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金
児童ポルノを他人に渡したり、SNSや掲示板、ファイル共有サービスなどで公開した場合は「提供」にあたります。
児童ポルノ提供罪の罰則は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。
社会に与える影響が大きいため、所持よりも重い刑罰が科されます。
3.製造|3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金
児童ポルノを作成する行為そのものが「製造」に該当する可能性もあります。
児童ポルノ製造罪の罰則は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。
生成AIで作成した場合はその人物が実在するかどうかが争点になりえる
生成AIで児童ポルノを作成する行為は、以下の2種類に大別できます。
- 実在する児童を題材にしたパターン
- 実在しない児童を題材にしたパターン
そして、これらの行為が児童ポルノ罪に該当するかどうかは、「被写体が誰か」「どのような行為を描写しているか」「どのような媒体で作られているか」といった要素などを踏まえて判断されます。
そのため、「描写対象の児童が実在するか否か」が重要な争点となりえるのです。
【参考】CG画像が児童ポルノに該当するとした判例もある
生成AIで作成した画像が児童ポルノに該当するかどうかについて参考になるのが、2020年1月27日の最高裁判所判決です。
本事案では、30年以上前に販売された児童ポルノをスキャナーで取り込み、画像編集ソフトで新たなCG画像を作成した場合、当該CG画像が「児童ポルノ」にあたるのかが問題となりました。
最高裁は、「『児童ポルノ』とは、写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物であって、同項各号のいずれかに掲げる実在する児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいい、実在しない児童の姿態を描写したものは含まないものと解すべきである。」と判断しました。
つまり、最高裁はCGという編集方法ではなく、「描写対象が実在する児童か否か」を決定的な判断基準としたのです。
そのため、本判例の考え方は、CG画像を作成したケースだけでなく、生成AIを利用して画像や動画を作成したケースにも当てはまると考えられます。
実在する児童をもとに生成AIで児童ポルノを作成するのは、控えたほうがよいでしょう。
さいごに|生成AIによる児童ポルノの製造・所持はやめておこう
生成AIの発達により、誰でも手軽に画像や動画を作成できるようになりました。
しかし、児童を性的に描写したコンテンツの製造や所持は、児童ポルノ法に違反し、刑事罰の対象となる可能性があります。
たとえ意図せず生成した場合であっても、児童ポルノに該当すると判断されれば、逮捕や起訴といった深刻な事態に発展するおそれがあります。
そのため、生成AIに関連する児童ポルノについて不安がある場合は、刑事事件を得意とする弁護士に相談するのがおすすめです。
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