不同意わいせつの時効は12年?期間が長くなる場合やカウント方法などについて解説
近年の刑法改正により、不同意わいせつ罪の時効は12年と定められており、以前よりも長期間、刑事責任を問われる可能性があります。
また、被害者が18歳未満だった場合など、一定の条件に該当すると時効の起算点が遅れたり、時効が延長されたりするケースもあります。
つまり、「もう時効だから大丈夫」と思っていても、実際には時効が成立していない可能性もあるのです。
本記事では、不同意わいせつの時効期間(12年)の根拠や、時効が延びる条件・カウントの開始時点・捜査による時効停止の仕組みなどを詳しく解説します。
思い当たる行為があり不安を感じている方は、まずは時効の基本と適用範囲を正しく理解し、冷静に対応方法を検討しましょう。
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不同意わいせつ罪の公訴時効は何年?被害者の年齢によって異なる
不同意わいせつ罪の公訴時効は12年ですが、被害者が成人している場合と未成年の場合で、時効の起算点が変わるため注意が必要です。
以下では、それぞれのケースにおける時効について、詳しく見ていきましょう。
1.被害者が成人の場合|犯罪行為が終了したときから12年
被害者が18歳以上の成人の場合、不同意わいせつ罪の公訴時効は「犯罪行為が終了した時点から12年」です。
刑事訴訟法では以下のように規定されています。
③ 前項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる罪についての時効は、当該各号に定める期間を経過することによつて完成する。
(中略)
三 刑法第百七十六条若しくは第百七十九条第一項の罪若しくはこれらの罪の未遂罪又は児童福祉法第六十条第一項の罪(自己を相手方として淫行をさせる行為に係るものに限る。) 十二年
つまり、わいせつ行為が終了した日から12年が経過すれば、検察官による起訴は不可能となり、刑事処罰を受けることはなくなります。
2.被害者が未成年者の場合|被害者が18歳になったときから12年
犯罪行為をおこなった当時、被害者が18歳未満の未成年者だった場合、不同意わいせつ罪の時効は「被害者が18歳になってから12年」です。
刑事訴訟法では以下のように規定されています。
④ 前二項の規定にかかわらず、前項各号に掲げる罪について、その被害者が犯罪行為が終わつた時に十八歳未満である場合における時効は、当該各号に定める期間に当該犯罪行為が終わつた時から当該被害者が十八歳に達する日までの期間に相当する期間を加算した期間を経過することによつて完成する。
例えば、被害者が15歳のときに不同意わいせつ罪がおこなわれた場合、被害者が18歳になってから12年後、つまり被害者が30歳になるまでが公訴時効期間となります。
不同意わいせつ罪の公訴時効をカウントするときの基本的な考え方
不同意わいせつ罪の公訴時効は、単純に12年間経過すれば完成するわけではありません。
時効の開始時点や停止条件によって実際の期間は変動します。
ここからは、不同意わいせつ罪の公訴時効のカウント方法や時効が停止するケースについて、見ていきましょう。
1.時効のカウントは犯罪が終了したときからカウントする
公訴時効は、犯罪行為が終わった時点からカウントがスタートします。
この時効期間のスタート地点を「起算点」といいます。
不同意わいせつ罪の場合、わいせつ行為が終了した時点で犯罪行為が終了するので、被害者がわいせつ被害に遭った日から時効期間がカウントされます。
たとえば、2024年1月1日にわいせつ行為がおこなわれた場合、その日から12年間、つまり2035年12月31日までが公訴時効期間です。
なお、複数回にわたってわいせつ行為がおこなわれた場合は、最後の行為が終了した日が起算点となります。
2.時効のカウントがストップする場合がある
公訴時効は、一定の公訴時効の停止事由が生じると期間の進行がストップすることがあります。
主な公訴時効の停止事由は以下のとおりです。
- 事件が起訴された場合
- 共犯者の事件が起訴された場合
- 犯人が国外逃亡している場合
- 犯人が逃げ隠れしていて起訴状を渡すことができない場合
たとえば、海外に逃亡していた期間は時効期間が進行しないため、海外逃亡によって時効完成を待つ方法は効果がありません。
不同意わいせつ罪の公訴時効の成立を待つ前に検討すべき3つの対応
不同意わいせつ罪を犯してしまった場合、時効の成立を待つよりも適切な対応を取ることで、不起訴処分や軽い刑罰につながる可能性があります。
具体的には、以下3つの対応を検討しましょう。
- 被害者がわかるなら示談をする
- 事件発覚前なら警察へ自首をする
- 刑事事件が得意な弁護士に相談する
それぞれの対処法について、詳しく解説します。
1.被害者がわかるなら示談をする
被害者との示談成立は、不起訴や執行猶予付き判決を獲得するうえで非常に重要な対応のひとつです。
示談が成立すると、被害者が被害届や告訴を取り下げ、刑事事件化するのを防げる場合があります。
また、示談により犯罪の違法性が一定程度減少したと判断され、逮捕の回避や不起訴処分につながる可能性が高まります。
ただし、加害者本人が被害者と直接示談交渉をおこなうことは現実的ではありません。
なぜなら、性犯罪事件では被疑者に被害者の個人情報が提供されないためです。
さらに、被害者が加害者と直接連絡をとることを拒否するケースも多いでしょう。
そのため、不同意わいせつについての示談成立を目指す場合は、弁護士への依頼が不可欠です。
弁護士が代理人として示談交渉をおこなう場合であれば、被害者の承諾を得て連絡先を教えてもらえるほか、被害者の精神的負担も軽減されるため示談に応じてもらいやすくなります。
2.事件発覚前なら警察へ自首をする
不同意わいせつ行為をおこなってしまった場合、事件が捜査機関に発覚する前に自首することも検討しましょう。
自首とは、犯人が司法警察員・検察官に自発的に自己の犯罪事実を申告し、その処分を求めることです。
捜査機関に発覚する前に自首した場合、刑法第42条1項により刑を減軽することができます。
(自首等)
第四十二条 罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
さらに自首により「逃亡・証拠隠滅のおそれがない」と判断され、逮捕を回避できる可能性もあります。
また、反省の態度を示すことで検察官が不起訴の判断をする可能性も期待できるでしょう。
ただし、自首は全てのケースにおいて有効なわけではありません。
タイミングによっては逆に自分に不利に働く可能性があるため、弁護士と相談しながら検討することが大切です。
3.刑事事件が得意な弁護士に相談する
不同意わいせつ罪に問われる可能性があるなら、刑事事件を得意とする弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士であれば被害者との示談交渉を代理で進められるほか、示談書の作成や被害者が加害者を許す旨の条項・清算条項などの適切な記載も可能です。
また、自首をおこなう場合は弁護士に同行してもらうことで、身元引受人の存在や住居・職業の安定性を示し、身柄を拘束する必要性がないことを的確に主張してもらえます。
仮に逮捕・起訴された場合でも、不起訴獲得や減刑のための弁護活動を依頼可能です。
不同意わいせつ罪の公訴時効に関する3つの注意点
不同意わいせつ罪の公訴時効には、以下3つの注意点があります。
- 公訴時効が成立する前に警察に検挙される可能性が高い
- 相手にけがをさせている場合は公訴時効の期間が長くなる
- 強制わいせつ罪にも不同意わいせつ罪の公訴時効が適用される
それぞれの注意点について、詳しく見ていきましょう。
1.公訴時効が成立する前に警察に検挙される可能性が高い
不同意わいせつ罪の公訴時効は12年ですが、時効が成立する前に警察に検挙される可能性は非常に高いです。
実際、法務省の「犯罪白書」によると、令和6年の不同意わいせつ罪の検挙率は83.8%(認知件数6,992件に対し、検挙件数5,857件)と、非常に高い数値となっています。
性犯罪事件では捜査機関が総力を挙げて被疑者の特定を進める可能性が高いため、12年間逃げ切ることは現実的ではありません。
時効の成立を期待するのは極めて困難なので、早期に適切な対応をとることが大切です。
2.相手にけがをさせている場合は公訴時効の期間が長くなる
不同意わいせつ行為により被害者が負傷または死亡した場合、公訴時効の期間は大幅に延長されます。
| 成立する犯罪 | 公訴時効の期間 |
|---|---|
| 不同意わいせつ致傷罪 | 20年 |
| 不同意わいせつ致死罪 | 30年 |
わいせつ行為自体で負傷した場合や、わいせつ行為のための暴行で負傷させた場合、逃げようとした被害者が転倒して負傷した場合なども致傷罪に該当する可能性があります。
単純な不同意わいせつ罪と比べて、公訴時効期間が大幅に延長されることを理解しておきましょう。
3.強制わいせつ罪にも不同意わいせつ罪の公訴時効が適用される
強制わいせつ罪は、2023年7月13日に不同意わいせつ罪に罪名が変更されました。
また、強制わいせつ罪の公訴時効は元々7年でしたが、2023年6月23日の公訴時効改正により12年に延長されています。
これにより、2023年6月23日時点で時効が完成していない強制わいせつ罪についても、改正後の12年の公訴時効が適用されるようになりました。
不同意わいせつをした場合は民事責任も負う|消滅時効は3年・5年・20年
不同意わいせつをした場合、刑事責任だけでなく民事上の損害賠償責任も負うことになります。
被害者から慰謝料請求や損害賠償を求められるケースがあり、その際には「民事上の時効(消滅時効)」が問題となります。
民法では、被害者が加害者を特定した時点から3年で請求権が時効にかかるのが原則です。
ただし、性犯罪のように被害者が精神的ショックなどですぐに請求できない場合、一定の猶予や延長が認められることがあります。
また、2020年の民法改正により、被害発生から5年または20年(不法行為時から)という「客観的な上限期間」も設けられています。
つまり、加害者が誰かわからなかったとしても、行為から20年が経過すれば請求できなくなる仕組みです。
刑事の時効とは異なり、民事の請求は示談や訴訟など個人間で解決されるため、被害者から突然、慰謝料請求書や内容証明郵便が届くこともあります。
民事の時効や対応方法を正しく理解し、弁護士に相談して早めに対処することが重要です。
さいごに|不同意わいせつ事件は公訴時効の成立を待つより弁護士に相談を
不同意わいせつの時効は原則12年と長期にわたりますが、時効のカウントは「犯行時」から始まるとは限りません。
被害者が未成年だった場合や、捜査の進展によっては時効が停止・延長されるケースもあり、「もう時効だから安心」とは言い切れないことを覚えておきましょう。
また、時効が成立していない場合、被害者からの告訴や通報によって突然警察の捜査が始まる可能性もあります。
自分で判断して放置してしまうと、逮捕・起訴など事態が深刻化するリスクもあるでしょう。
そのため、不安を感じている場合は、早めに刑事事件に詳しい弁護士へ相談することが最も重要です。
弁護士であれば、時効の正確なカウントや証拠の扱い、被害者との示談交渉など、適切な対応方針を一緒に検討してくれます。
不同意わいせつに関わる不安がある方は、時効の成立を待つよりも、まず弁護士に相談することが最善の第一歩です。
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