ご家族の早期釈放を望んでいる方は、弁護士に依頼することをおすすめします。
弁護士に依頼すると、以下のようなメリットがあります。
- 取り調べのアドバイスを受けられる
- 逃亡や証拠隠滅をする可能性がないことを資料の提出とともに主張し、勾留を防ぐ
- 勾留取消請求や準抗告で早期釈放を目指せる
- 保釈のときの手続きを任せられる など
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保釈支援協会とは、保釈金の準備ができない人のために保釈金の立替制度などを行っている一般社団法人です。設立は平成16年、代表理事は弁護士が勤めています。
刑事手続きには保釈制度があり、保釈金を裁判所に一時的に預けておくことで裁判までの一定期間の身柄を開放してもらうことができます。
ただし、保釈金は相当高額な金額が設定されることも多く、簡単には準備できない人も多いでしょう。そのような人のために保釈支援協会では、1つの手段として保釈金の立替制度を実施しています。
この記事では、保釈支援協会がどのような団体で、どのようにして立替制度を利用できるのかを解説します。
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※弁護士には守秘義務があるので、相談内容が第3者に開示されることはありません。安心してご相談いただけます。詳細:弁護士職務基本規程第23条 |
保釈支援協会の解説の前に、まず保釈がどのような制度なのかを簡単におさらいしておきましょう。
保釈(ほしゃく)とは、起訴後に身柄を拘束されている被告人が釈放される制度です。
保釈…起訴から判決までの間、一時的に「勾留」を解除して身柄を解放すること
釈放…拘束された身柄の解放一般
保釈で重要となるのが保釈金の額ですが、保釈金は被告人に対して個々に決められます。人によっては数十万円になることもあれば、数千~一億円を超えるケースもあるでしょう。
よく著名人が逮捕された際に、数千万円程度の非常に高額な保釈金を納めたなどの話題が出ることがありますが、これはその著名人の収入や資産が大きいことに比例しているからと考えられます。
一般的には150~300万円程度が相場と思われます。保釈金を納める理由の1つに、被告人の逃亡を防ぐ目的がありますので、本人が失ってしまっては困るくらいの金額に設定されることになります。
誤解されている方も多いのですが、保釈金は、身柄解放の代わりに一旦国に預けるお金のことです。つまり、一旦身柄が解放された後、裁判所が指定する刑事裁判に出頭すれば、預けた保釈金は戻ってきます。
保釈の際に、禁止されていた行為を起こしたり、指定された裁判に出頭しなかったりした場合は、預けた保釈金の一部、もしくは全額が没収されることがありますが、このようなことが無い限りたとえ有罪判決であっても保釈金は全額戻ってきます。
そもそも、保釈には以下の3種類があり、主として問題となるのは①と②です。
権利保釈については、刑事訴訟法第89条に記載する事由がない場合は、保釈請求を認めなければならないとされています。
第八十九条 保釈の請求があつたときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない。
一 被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
二 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
三 被告人が常習として長期三年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
四 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
五 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏い怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
六 被告人の氏名又は住居が分からないとき。
【引用】刑事訴訟法|e-gov
また、仮に上記の事由に該当する事由があった場合でも、裁判所は、様々な事情を考慮し裁量で保釈を認めることができるとされています。
第九十条 裁判所は、保釈された場合に被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度その他の事情を考慮し、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。
【引用】刑事訴訟法|e-gov
一度に数百万円もの金額が指定される保釈金ですが、そう簡単には準備できない人も多いことでしょう。そのような場合に『保釈支援協会』を利用することができます。まずは、保釈支援協会がどのような団体なのかを見ていきましょう。
保釈支援協会は、数百万円にもなり得る保釈金の全額・一部を立て替えてくれるサービスを提供しています。
上でもお伝えしましたが、保釈金は裁判に出頭する等の保釈条件を守ることで還付されるお金ですので、実質手数料のみで保釈してもらうことが可能になります。
保釈支援協会の立替制度の詳細や手続き方法については次項以降で詳しく解説します。
『全弁協(全国弁護士協同組合連合会)』が保釈保証書を発行する事業を開始したことを受けて、保釈支援協会でも保釈保証書を発行できるようになりました。
裁判所が認めれば、保釈保証書を保釈金の代わりに活用することも可能です(刑事訴訟法第94条第3項参照)。
第九十四条 保釈を許す決定は、保証金の納付があつた後でなければ、これを執行することができない。
② 裁判所は、保釈請求者でない者に保証金を納めることを許すことができる。
③ 裁判所は、有価証券又は裁判所の適当と認める被告人以外の者の差し出した保証書を以て保証金に代えることを許すことができる。
【引用】刑事訴訟法|e-gov
「保釈金がすぐには準備できない」という人のための制度であることは、保釈金立替も保釈保証書制度も同じです。
なお、保釈保証書の制度は全弁協も行っており、保釈支援協会は全弁協に対抗する形で保釈保証書の制度を開始したという経緯があるそうです。
保釈支援協会では刑事事件や保釈制度に関する相談や指導も行っており、電話での相談も可能です。
ただし、刑事裁判を受けることになれば、基本的には国選弁護人や私選弁護人がつくことになりますので、詳しい相談は担当の弁護士に相談した方がスムーズでしょう。
保釈支援協会への相談は、主に保釈金の立替制度を利用する過程で不明点がある時に考えると良いでしょう。
以上のとおり、保釈支援協会は様々な取組みを行っていますが、主な取組みは『保釈金の立替制度』でしょう。
ここからは、保釈支援協会の保釈金立替制度の具体的な内容や金額について見ていきましょう。
申込み後には審査もありますが、基本的には上でお伝えした保釈制度を利用できる状況の方であれば、誰でも利用することができるでしょう。
ただ、事件の状況や被告人の前科の有無などによっては、一部自己資金を準備しておく必要があります(自己資金で納めた保釈金も保釈条件を守れば裁判後返還されます)。
また、審査は金融機関のように信用情報を参考にするのではなく、刑事事件の内容や前科等から判断するため、ブラックリスト入りなどで金融機関から借入ができない方でも利用は可能です。
保釈支援協会の立替制度での上限は500万円までです。多くの場合、500万円もあれば保釈金として十分でしょうから特に不足することはありません。審査結果によっては、上限以内での保釈金の全額立替も可能です。
保釈支援協会の立替制度を利用する場合、立替手数料を先に支払う必要があります。手数料は裁判後に申込人の元に返ってくるものではありませんので注意してください。
保釈支援協会で設定されている手数料は以下の通りです(税込)。
立替金額 |
2ヶ月立替時の立替手数料 + 事務手数料 |
50万円まで |
13,000円 |
100万円まで |
24,000円 |
150万円まで |
37,000円 |
200万円まで |
49,000円 |
250万円まで |
61,000円 |
300万円まで |
72,000円 |
350万円まで |
83,000円 |
400万円まで |
95,000円 |
450万円まで |
108,000円 |
500万円まで |
120,000円 |
割合にすると2.4%程度です。上でもお伝えしたように、申込人の信用情報を用いた審査もありません。
保釈支援協会で立替制度を利用するには、おおまかに以下の流れで手続きを進めていきます。主な特徴や注意点などを交えながら解説します。
申込みは起訴や保釈許可の有無に関わらず行うことができます。つまり、最短だと起訴前から申込みができますので、起訴後勾留されるような事件であれば、早々に申込むこともできます。
申込みは被告人の家族だけでなく知人・友人からの申込みも可能です。担当弁護人の協力が必要になるでしょうから、先に被告人を担当している弁護士と連絡を取った方が良いでしょう。
申込み方法は以下の3方法です。
例として、公式ホームページの申込みフォームのURLを載せておきます。
【申込みフォーム】https://www.hosyaku.gr.jp/apply/
申込み後は審査が行われ、最短30分で結果が出ます。上でもお伝えしたように、審査内容は事件内容や過去の犯罪歴等が主になるため、金融機関からの借り入れのような審査内容とは異なります。
審査が通った後は契約へと移っていきます。保釈支援協会へ直接赴くか、担当弁護人と協議のうえ手続を行うことになります。
契約締結にあたっては、本人確認書類と印鑑が必要になります。
契約が済み、保釈許可が決まった後は、必要書類を担当弁護人から送ってもらい、先に立替手数料を支払います。入金が済み次第、担当弁護人の口座へと立替金が送られます。
担当弁護人が立替金を裁判所に納付して、保釈されます。
被告人が保釈条件を守り裁判に出頭して判決が出れば、立替えられた保釈金が担当弁護人に還付されます。保釈金を受け取った弁護士は、その後、還付された保釈金を保釈支援協会に返還して契約終了になります。
なお、もし被告人が裁判に出頭しないようなことになれば、保釈金が没収される事態になります。そのようなケースでは、保釈支援協会に対して立替金相当額の賠償責任を負うことになりますので注意してください。
Q.保釈中の被告人が、指定条件を守らなかった場合はどうなりますか?
保釈が取り消しになり、保釈保証金は裁判所に没取されます。この場合、申込人は当協会に対して直ちに立替金相当額を賠償していただくことになります。
【引用】よくあるご質問|日本保釈支援協会
保釈支援協会は、保釈金が準備できない場合に立替制度や保釈保証書の発行を利用できる一般社団法人です。利用するにあたって、1~3%の手数料や保証料などが必要になりますが、早ければ当日中に立替金が振り込まれる場合もあります。
保釈金は保釈条件を守って裁判に出頭すれば返ってくるお金ですので、実際に必要になるお金は手数料(保証料)分だけです(審査によっては一部自己負担も必要)。
保釈金が無いからと保釈を断念するのではなく、このような立替制度があることを知っておきましょう。保釈金でお困りの方は、ぜひ前向きに利用を検討してみてください。
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