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未成年の子どもが盗撮で逮捕されたらどうなる?罰則・逮捕後の流れ・対処法を解説

東日本総合法律会計事務所
加藤 惇
監修記事
未成年の子どもが盗撮で逮捕されたらどうなる?罰則・逮捕後の流れ・対処法を解説

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未成年の子どもが盗撮事件を起こしてしまったら、家族としては「嘘であってほしい」と信じられない気持ちでいっぱいでしょう。

盗撮をおこなった場合、たとえ未成年でも14歳以上であれば逮捕されて長期間の身柄拘束が続いたり、退学処分になったりするおそれがあります。

逮捕されたばかりの段階では「本当に盗撮をおこなったのか」「誤認逮捕なのか」などわからないこともありますが、いずれにしてもまずは弁護士に相談することが大切です。

本記事では、未成年の子どもが盗撮事件を起こした場合の処分や罰則、逮捕された場合の流れや逮捕後にやるべきことなどを解説します。

まずは本記事を参考にして、事件を早期解決するために行動しましょう。

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未成年の子どもが盗撮で逮捕された場合の処分の傾向

ここでは、未成年者による盗撮事件の処分の傾向について解説します。

未成年者でも14歳以上であれば逮捕される

たとえ未成年者であっても、14歳以上なら盗撮行為で逮捕される可能性があります。

刑事事件における未成年者の扱いは「14歳以上か14歳未満か」によって大きく異なります。

14歳未満の場合は「触法少年」として刑事責任能力は認められず、逮捕や処分を受けることはありません(刑法第41条)。

一方、14歳以上の場合は刑事責任能力があるとされ、刑事事件の嫌疑をかけられて逮捕や処分を受けたりすることもあります。

身柄事件ではなく在宅事件となるケースもある

盗撮事件では、身柄事件ではなく在宅事件として扱われる可能性があります。

刑事事件は「身柄事件」と「在宅事件」の2つに大きく分けられ、捜査機関によって判断されます。

  • 身柄事件:被疑者の身柄を拘束した状態で刑事手続きが進行する事件
  • 在宅事件:被疑者の身柄を拘束せずに刑事手続きが進行する事件

捜査機関側が「逃亡・証拠隠滅のおそれがない」などと判断すれば在宅事件になる場合があり、在宅事件では日常生活を送りながら捜査機関からの呼び出しに対応することになります。

未成年の子どもが盗撮で逮捕された場合の罰則

未成年者による盗撮事件の場合、刑事裁判となって刑事罰が科されるケースはまれです。

参考までに、盗撮事件に関する罰則としては以下のとおりです。

犯罪 罰則
性的姿態等撮影罪(撮影罪) 3年以下の拘禁刑・300万円以下の罰金刑(性的姿態撮影等処罰法第2条
迷惑防止条例違反 1年以下の拘禁刑・100万円以下の罰金刑など(自治体により異なる)
軽犯罪法違反 拘留もしくは科料(軽犯罪法第1条23号
児童ポルノ禁止法違反 3年以下の拘禁刑・300万円以下の罰金刑(児童ポルノ禁止法第7条5項
住居侵入罪・建造物侵入罪 3年以下の拘禁刑・10万円以下の罰金刑(刑法第130条

実際にどれが適用されるのかはケースによって異なり、たとえば被害者が18歳未満の児童の場合は「児童ポルノ禁止法」が適用される可能性もます。

また、盗撮のために正当な理由なく建物や敷地に侵入した場合は「住居侵入罪」や「建造物侵入罪」などが成立するおそれがあります。

ケースごとの罰則について、詳しくは以下の関連記事をご覧ください。

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未成年の子どもが盗撮で逮捕された場合の流れ

未成年の子どもが盗撮で逮捕された場合、基本的な手続きの流れは以下のとおりです。

少年事件|第二東京弁護士会

引用元:少年事件|第二東京弁護士会

ここでは、未成年者による盗撮事件での刑事手続きについて解説します。

1.逮捕から勾留までは成人の場合と同様

逮捕から勾留までは、成人の場合と同様に手続きが進行します。

まずは警察による取り調べがおこなわれたのち、逮捕後48時間以内に検察官へ送致されます。

検察でも取り調べがおこなわれ、送致後24時間以内に勾留を請求するか、または家庭裁判所へ送致するかが判断されます。

検察官による勾留請求が認められた場合、原則10日間の身柄拘束が続くことになり、なかには勾留延長が請求されて最長20日間も身柄拘束を受けることもあります。

2.勾留後に家庭裁判所へ送致される

逮捕後に勾留された場合、勾留期間の満了後は家庭裁判所へ送られるのが通常です。

未成年者による事件については「全件送致主義」が採用されており、原則として全事件が家庭裁判所へ送致されます。

家庭裁判所への送致後は、調査官によって本人の性格や家庭環境などの調査がおこなわれます。

3.観護措置で少年鑑別所に収容される

家庭裁判所が「観護措置が必要である」と判断した場合、送致後24時間以内に観護措置が取られて少年鑑別所に収容されます。

少年鑑別所での収容期間は原則2週間ですが、継続の必要があると判断された場合は4週間~8週間に延長されることもあります。

家庭裁判所は、これまでの調査結果を基に少年審判を開始するかどうかを判断します。

4.少年審判で処遇が決められる

少年審判の開始が決定された場合、家庭裁判所にて非公開で実施されます。

本人や付添人による意見陳述や、裁判官や調査官による質問などがおこなわれたのち、裁判官から処分内容が言い渡されます。

処分の決定 | 裁判所

引用元:処分の決定 | 裁判所

処分の種類は上図のとおりで、以下ではそれぞれの主な内容について解説します。

保護処分

保護処分は以下の3つに分類されます。

保護観察

保護観察とは、施設に入れずに日常生活を送らせながら更生を目指す処分のことです。

定期的に面会が実施され、保護観察所(保護観察官・保護司)による指導・監督のもとで社会復帰を目指します。

少年院送致

少年院送致とは、少年院に身柄を収容して矯正教育をおこなう処分のことです。

「再非行のおそれがある」などの理由で保護観察では更生が難しいと判断された場合、少年院送致となる可能性があります。

少年院では1日のスケジュールがきっちり決められており、生活指導・職業指導・教科指導・体育指導・特別活動指導などの教育活動がおこなわれます。

児童自立支援施設・児童養護施設送致

児童自立支援施設・児童養護施設送致とは、福祉施設にて生活指導を受けさせる処分のことです。

「比較的年齢が若く、少年院送致ほどの悪質性はない」と判断された場合、児童自立支援施設・児童養護施設送致となる可能性があります。

少年院に比べると開放的な環境にあり、個々の状況に応じた自立支援や指導を受けることになります。

知事・児童相談所長への送致

知事・児童相談所長への送致とは、都道府県知事や児童相談所長に引き渡す処分のことです。

「児童福祉法に基づく措置が相当である」と判断された場合、知事・児童相談所長への送致となる可能性があります。

送致された場合、本人を保護しながら更生を促すための指導がおこなわれます。

検察官送致(逆送)

検察官送致とは、刑事裁判で裁くために検察官に事件を送り返す処分のことです。

事件内容や本人の非行歴などの事情を総合的に考慮して「刑事処分が相当である」と認められた場合、検察官送致となる可能性があります。

基本的に送致後は検察官が起訴して刑事裁判となり、成人の場合と同じように有罪無罪や量刑などが言い渡されます。

不処分

不処分とは、処分をおこなわずに手続きを終了することです。

「非行事実が認められない」「すでに本人の問題点が改善されており、再非行のおそれが取り除かれた」というような場合は、不処分となる可能性があります。

不処分となった場合は、速やかに身柄が解放されて自由に日常生活を送ることができます。

未成年の子どもが盗撮で逮捕された場合の4つのリスク

未成年の子どもが盗撮で逮捕された場合、主に以下のようなリスクがあります。

  1. 学校に知られる可能性がある
  2. 学校を退学処分になるおそれがある
  3. 家宅捜索を受けることもある
  4. 最大23日間の身柄拘束を受けるおそれがある

ここでは、それぞれのリスクについて解説します。

1.学校に知られる可能性がある

未成年者が逮捕された場合、「学校・警察相互連絡制度」によって警察から学校へ連絡がいくケースがほとんどです。

学校・警察相互連絡制度とは、児童の健全な育成や非行防止などのために相互に情報交換をおこなう制度のことで、各都道府県の多くの学校で導入されています。

たとえ警察が学校に通知しなかったとしても、家庭裁判所への送致後に調査官が学校に学校照会書を送付して知られてしまうケースもあります。

2.学校を退学処分になるおそれがある

学校によっては、盗撮で逮捕された場合に退学処分となる可能性があります。

学校の校則・事件の内容・教育的配慮など、さまざまな事情を総合的に考慮したうえで決定されます。

なお、なかには退学処分ではなく自主退学するように勧められることもあります。

3.家宅捜索を受けることもある

盗撮で逮捕された場合、捜査機関によって家宅捜索を受けることもあります。

家宅捜索では自宅をくまなく調べられ、盗撮事件の場合はパソコンやデジカメなどが証拠品として押収される可能性があります。

家宅捜索となるかどうかは捜査機関側の判断次第で、必要と判断されれば裁判官による令状の発行を受けたのち実施されます。

4.最大23日間の身柄拘束を受けるおそれがある

盗撮で逮捕された場合、最大23日間の身柄拘束を受けるおそれがあります。

逮捕後に勾留されると原則10日間、勾留延長が認められた場合はさらに10日間勾留され、逮捕後から数えると最長23日間の身柄拘束が続くことになります。

身柄拘束が長期間続いてしまうと、本人の心身に大きな負担がかかったり、友人関係や家庭環境などが悪化したりする可能性があります。

未成年の子どもが盗撮で逮捕された場合の3つの対処法

未成年の子どもが盗撮で逮捕されてしまった場合は、以下のような対応を検討しましょう。

  1. まずは弁護士を呼ぶ
  2. 被害者と示談交渉をおこなう
  3. 再犯防止策を考える

ここでは、それぞれの対応内容について解説します。

1.まずは弁護士を呼ぶ

子どもが逮捕されたら、まずは弁護士を呼びましょう。

捜査機関による取り調べは厳しいものであり、特に未成年者にとっては精神的負担が大きく、なかには追い詰められて促されるままに不利な供述をしてしまうおそれもあります。

速やかに弁護士を呼べば、本人と接見・面会して取り調べの受け方を助言してくれて、不利な供述をせずに済む可能性が高まります。

ほかにも、早期釈放や退学回避に向けた働きかけ・被害者との示談交渉・更生のための環境整備など、できるだけ不利な扱いを回避できるように尽力してくれます。

盗撮事件で弁護士に依頼する際の選び方

盗撮事件で弁護士を探す際は「盗撮事件・少年事件の実務経験があるかどうか」を確認しましょう。

一口に弁護士と言ってもタイプは異なり、債権回収を得意としている弁護士もいれば、離婚問題に力を入れている弁護士などもいます。

的確なアドバイスやサポートを受けるためにも、注力分野や解決実績などを確認したうえで信頼できる弁護士を選ぶことが大切です。

当サイト「ベンナビ刑事事件」では、盗撮事件・少年事件が得意な全国の弁護士を掲載しています。

相談内容や地域を選択するだけで対応可能な弁護士を一括検索できますので、弁護士を探す際はぜひご利用ください。

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盗撮事件でかかる弁護士費用の相場

盗撮事件でかかる弁護士費用の内訳・相場は以下のとおりです。

内訳 詳細 費用相場
相談料 弁護士へ相談する際に支払う費用 1時間あたり5,000円~1万円程度
(初回相談無料の事務所もある)
着手金 弁護活動を依頼する際に支払う費用 20万円〜60万円程度
報酬金 弁護士のサポートによって解決した場合に支払う費用 10万円〜100万円程度
日当 弁護士が事件対応のために法律事務所を離れる場合に支払う費用 3万円~10万円程度
実費 弁護士が事件対応の際にかかった費用
(交通費・郵便切手代・コピー代など)
数千円~数万円程度

ただし、法律事務所によっても金額にはバラつきがあるため、正確な金額を知りたい場合は直接事務所にご確認ください。

2.被害者と示談交渉をおこなう

盗撮事件では、被害者との示談交渉も重要です。

被害者との示談が成立すれば、少年院送致のような重い処分ではなく保護観察となったり、不処分となったりする可能性が高まります。

ただし、盗撮事件では被害者が恐怖心や不信感を抱いていたりして、直接交渉しようとしても拒否されるケースも多くあります。

少しでも示談成立の可能性を高めたいのであれば、弁護士に依頼しましょう。

弁護士が代理人として交渉することで、被害者側も交渉に応じてくれる可能性が高まりますし、法律知識や交渉ノウハウを活かして進めてもらうことで、適切な金額での示談成立が望めます。

3.再犯防止策を考える

再び同じ過ちを繰り返すことがないよう、再犯防止策を考えることも大切です。

盗撮事件の場合、本人が性に対して誤った認識を持っていたり、性的嗜好について歪みがあったりして、専門機関でのカウンセリング・治療が必要なケースもあります。

再犯防止策を考える際も、弁護士は心強い味方になってくれます。

弁護士なら、家族側の監督体制や盗撮できる状況をなくすためのアドバイスをしてくれたり、適切な医療機関を紹介してくれたりなど、状況に応じたサポートが受けられます。

さいごに|未成年の子どもが盗撮で逮捕されたら、まずは弁護士に相談を

未成年の子どもが盗撮で逮捕された場合、捜査機関による取り調べや少年審判などを経て、保護観察や少年院送致といった処分が下されるおそれがあります。

少しでも不利な扱いを回避するためには、迅速な弁護士のサポートが必要不可欠です。

ただし、弁護士によっても動き方は異なるため、信頼できる弁護士にサポートしてもらいたい場合はベンナビ刑事事件をご利用ください。

ベンナビ刑事事件では、盗撮事件・少年事件が得意な全国の弁護士を掲載しています。

初回相談無料・土日祝日対応・スピード対応などの法律事務所も多く掲載しており、相談だけの利用も可能ですので、まずは一度相談してみることをおすすめします。

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この記事の監修者
東日本総合法律会計事務所
加藤 惇 (第一東京弁護士会)
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編集部

本記事はベンナビ刑事事件を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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