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強姦事件・強制性交等事件で被疑者が不起訴になる理由や確率

強姦事件・強制性交等事件で被疑者が不起訴になる理由や確率

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強姦罪は2017年の法改正により、現在では強制性交等罪として、改正前よりも厳しく扱われています。

しかし実際には、法改正以前から一定数が不起訴になっており、検挙された加害者の全員が刑事裁判を受け、有罪判決を受けているわけではありません。

もちろん検挙された時点で罪は確定しないので、そもそも罪を犯しておらず、疑いが晴れただけという事件もあります。

とはいえ、強姦・強制性交等事件が実際にあったにも関わらず、不起訴になる場合があるのです。

強姦・強制性交等事件で適用される罪を正確に把握しておきつつ、不起訴になる理由や確率を確認しておきましょう。

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強姦事件・強制性交等罪とは

現行法では旧強姦罪は、強制性交等罪に法改定され、刑法第177条で以下のように定められています。

十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

刑法第百七十七条

一般的には同意がない強制的な性行為とされていますが、被害者が13歳未満であった場合、同意があった場合も強制性交等罪が適用されます。この規定に関しては、旧強姦罪の時代から変わりません。

強姦罪は強制性交等罪に法改正

強姦罪は2017年の法改正により、強制性交等罪に法改正されたことは前述の通りです。

法改正された理由も含め、改正内容を確認しましょう。

行為・性別の解釈拡大|行為の限定を一部解除

旧強姦罪の時点では、「十三歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし」と記されており、性別・行為ともに限定的なものでした。

そもそも姦淫とは、法律で性行為のみを意味しており、男性器を女性器に挿入することを限定的に意味します。そのため事実上は強姦ともとれる性交類似(肛門性交・口腔性交等)について、旧来の強姦罪を適用できなかったのです。

法改正により性交(姦淫)行為だけではなく、それらに類似する行為も罰則対象になりました。性別の規定もなくなり、女性が加害者で男性が被害者、あるいは加害者も被害者も男性の場合も強制性交等罪が適用されるようになったのです。

しかし、加害者も被害者も女性の場合、性交等とされる行為ができず、男女平等の観点から課題が残っているとも考えられるでしょう。

法定刑の厳罰化|罪に見合った罰則へ

旧強姦罪では、法定刑は「三年以上の有期懲役」でしたが、法改正により強制性交等罪では「五年以上の有期懲役」になりました。

結果として、有罪判決が言い渡された場合の最短の懲役刑が2年間拡張され、より厳しい罰が与えられることになったのです。

強制性交等罪に関する詳細については、以下も参考にしてみてください

【関連記事】強制性交等罪とは|構成要件と強姦罪から改正されたポイント

準強姦罪も準強制性交等罪に法改正

強姦罪が強制性交等罪に法改正されると同時に、準強姦罪も準強制性交罪に法改正されました。基本的には、法改正以前と同じ仕組みです。

準強制性交等罪は、暴行・脅迫を罪の構成要件としません。被害者の心神喪失もしくは抗拒不能に乗じる、あるいはその状態にして犯行に及ぶと、準強制性交等罪が成立します。

それぞれの状態としては、以下のような例が挙げられます。

状態

具体的な症例

心神喪失

知的障害、精神病、中毒性精神障害など

抗拒不能

四肢の拘束、酩酊・泥酔、錯誤、驚愕による動揺など

強姦事件・強制性交等罪に関する理解ができたところで、実際に不起訴になる割合を確認しておきましょう。

強姦事件の不起訴率は6割超

参考:平成27年版 犯罪白書 第6編/第2章/第2節

平成27年の犯罪白書を参考にすると、強姦罪(法改正以前のため強制性交等罪ではありません)では、6割以上が起訴されていません。

実際、すべての犯罪を起訴することはできませんが、これは刑事事件全体でみると高い不起訴率といえるのでしょうか。

刑事事件としては平均な数値

参考:平成30年版 犯罪白書 第2編/第2章/第3節

平成29年の刑法犯における不起訴率は62.5%であり、平成26年の強姦罪の不起訴率と0.2%しか違いがありません。

数値だけを見れば、強姦罪の起訴率は刑法犯として平均的な数値といえるでしょう。

強姦・強制性交等事件が許されているわけではない

不起訴率が6割を超えているからといって、決して強姦・強制性交等事件の加害者が許されているわけではありません。

刑事事件が不起訴になる場合、多くは「起訴猶予」として不起訴になるのですが、強姦罪においては起訴猶予の割合が4.3%と著しく低いです。

起訴猶予の割合が低いということは、起訴できるものは極力起訴している、と考えて良いでしょう。

強姦事件で不起訴になる4つの理由

なぜ強姦事件・強制性交等罪事件において不起訴になるかを知る前に、不起訴になりえる理由を理解しておきましょう。

原則として被疑者に不起訴の理由を伝えられることはありませんが、不起訴になり得る理由を知っておくことで、強姦事件において検察がどのような判断基準を持つかを確認できます。

①罪とならず

被疑者が犯罪を犯したとき14歳未満であったり、心神喪失状態であったりした場合などは、罪とならず不起訴になり得ることがあります。

心神喪失とは前述のとおり、知的障害、精神病、中毒性精神障害などを指します。いわゆる「刑事責任能力」を持たないと判断され、刑事裁判を受ける必要がなくなるのです。

ただ不起訴だからといってすぐに社会復帰できるというわけではなく、自傷他害のおそれがあるとして、精神衛生福祉法に基づき措置入院になることがあります。

②嫌疑なし

被疑者について、完全に人違いであり、無実であることが明白になった場合は当然不起訴になります。

検察官自身の捜査によって嫌疑なしと判明する場合もありますが、被疑者の選任した弁護士(弁護人)が、被疑者が無実であることに関する証拠を集めて検察官に提示した結果、検察官が嫌疑なしと判断する場合もあるでしょう。

ただし、そもそも証拠がない状態で捜査機関が逮捕や勾留をすることは少なく、嫌疑なしとの理由はあまり多い事例とはいえません。

③嫌疑不十分

捜査機関があらゆる捜査をしたものの、犯罪を立証する証拠が不十分な場合、嫌疑不十分として不起訴になることがあるでしょう。

また犯罪が成立するには、複数の構成要件を満たす必要があるものがあります。

たとえば強制性交等罪の場合、「暴行もしくは脅迫あるいは両方を用いて」、「性交等を行う」の2点を満たす必要があります。

「暴行もしくは脅迫あるいは両方を用いたが、性交等は行っていない」という場合、強制性交等罪は立証できません。そのため強制性交等罪としては、不起訴処分とするしかないのです。

とはいえ、この例の場合、強制わいせつ罪として起訴される可能性があるので、その場合は不起訴処分として完全な釈放とはならない可能性が高いでしょう。

④起訴猶予

起訴猶予とは、被疑者が犯罪を犯したことが明白で、証拠も揃っている状況であっても、起訴を見送ることを指します。

被疑者の性格や年齢、境遇や犯罪の重さなどを鑑みることもありますし、反省の状況や、情状によって判断される場合もあるでしょう。

わかりやすい例としては、犯罪を素直に認めて被害者に謝罪をし、示談をしたり、供託金を預け入れたりした場合が考えられます。

起訴猶予については、以下記事も参考にしてみてください。

【関連記事】起訴猶予とは|処分の内容と早期釈放のために出来ること

強姦事件で不起訴になり得る示談とは

強姦・強制性交等事件でも、被疑者と被害者間で示談が成立していると、不起訴になる場合があります。

一般的に、検挙後に被疑者が不起訴になるようにとれる行動としては、示談が考えられるでしょう。

当事者間で解決を図る

示談とは当事者間で話し合い、相互間で解決を図ることをさします。似たような言葉に「和解」というものがありますが、刑事事件においては示談という言葉の方が一般的です。

また多くの場合、示談をするには金銭の授受が伴います。被疑者が被害者に対して示談金を支払うことにより、被害者の納得・許しを得るものです。

被害者が納得しなければ成立しない

もちろん被害者には、示談金の受け取り、示談の成立を強制されることはありません。いくらお金を積まれようと、被害者が被疑者に対して罰を受けてほしいと思う場合は、これを拒否できるのです。

だからこそ、示談を行う場合は、被害者が納得できる示談金及びその他の条件の提示が必要といえるでしょう。

示談交渉には弁護士が不可欠

強姦・強制性交等事件の被疑者が示談交渉を行う場合、事実上弁護士が不可欠と考えて良いでしょう。

もしも逮捕により身柄を拘束されていれば、被疑者自身が被害者と接触することは物理的に不可能です。また身体拘束をされていなかったとしても、加害者自身が、多大なる精神的苦痛を与えてしまったであろう被害者と直接接触することは、非常に困難です。

被疑者の家族であっても同様ですし、そもそも家族には被疑者が未成年でない限り代理権限がありません。

そのため、示談交渉を行う場合、弁護士に依頼して謝罪・交渉をする必要があります。親身な弁護士であれば、被疑者の代理人として、誠心誠意謝罪してくれます。

実際に行われる示談交渉の内容

実際に弁護士が示談交渉を行う場合は、決まった手続きはありませんが、一般的には以下のような流れで進行します。

  • 被害者が作成した謝罪文の添削
  • 被疑者との示談に関する金額及び条件の協議
  • 弁護士が被害者の連絡先を捜査機関に照会
  • 弁護士が被疑者の代理人として被害者へ謝罪
  • 被疑者の書いた謝罪文の提出
  • 被害者へ被疑者の反省と謝意を伝える
  • 示談の提案と示談交渉
  • (以下示談が成立した場合)示談書の作成
  • 示談書を捜査機関へ提出

これらは一般的な流れであり、事件の内容・状況により柔軟に変化します。

弁護士が刑事事件・強制性交等事件の経験・知識を豊富に有していると、それだけ交渉の幅が広がるでしょう。

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強姦事件の被害者を保護するために不起訴になる場合もある

一般的な刑事事件においては、起訴猶予による不起訴の割合が大きいです。

嫌疑十分である場合、検察官としては起訴できる状況にありますが、強姦や強制性交罪の場合にも、起訴猶予とする場合があります。起訴することにより、被害者に負担をかけてしまう可能性があるためです。

その具体的な理由を、確認しておきましょう。

強姦事件の刑事裁判は被害者の心理的負担も大きい

強姦・強制性交等事件における刑事裁判では、被害者が法廷に立ち、事件当時の状況を説明しなければならない場合があります。

特に、被疑者が被疑事実を認めていない場合においては、状況把握を被害者の証言に頼ることにならざるを得ません。

このとき、被害者は被害状況について語ることによって、被害を追体験することになるため、さらに心に傷を負う可能性が高いです。

それでなくとも、捜査段階において被害状況について話しているため、心理的負担が重なるのです。

社会的関心が高いと被害者特定になりかねない

事件そのものが社会的関心の高いものであれば、報道機関は被害者についても探りを入れることになるでしょう。

日本の裁判は公開が原則ですから、刑事裁判となれば、第三者も裁判を傍聴することができます。法廷では被害者保護の観点から、遮へい措置等の被害者のプライバシーを守る制度はあるのですが、法廷の外に出ればそれらは機能しません。

法改正によって強制性交罪は親告罪(処罰のために被害者の告訴が必要な犯罪)ではなくなりましたが、被疑者を起訴することにより、被害者がより傷つくのであればと、検察が起訴を断念する場合もあるのです。

まとめ

強姦・強制性交等は、断じて許されるべきものではありませんが、そのすべてが刑事罰という形で裁かれるわけではありません。

被害者を守るためである場合もあれば、被害者が納得をして加害者の処罰を望まないということもありえます。

仮に強姦・強制性交等の事件を起こしてしまった場合は、その罪を認め反省し、弁護士へ相談して適切な弁護活動を仰ぎましょう。

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この記事の監修者
中川 浩秀 弁護士 (東京弁護士会)
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編集部

本記事はベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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