不同意わいせつ罪(旧強制わいせつ罪)は、数多くある刑法犯の中でも「逮捕されやすい犯罪」のひとつです。
令和7年版 犯罪白書によると、2024年の不同意わいせつ事件の認知件数6,992件のうち、逮捕などの身柄拘束をともなうものは5,857件にものぼります。
とはいえ、不同意わいせつ罪に該当しうる行為をおこなったからといって、必ず逮捕されたり刑罰が科されたりするわけではありません。
実際の犯行状況や事件後の対応次第では、逮捕されなかったり、逮捕されても刑罰を回避できたりする可能性があります。
本記事では、不同意わいせつ罪で逮捕されるケースや逮捕後の流れ、逮捕されてしまった場合の対処法などを解説します。
なお、かつては「強制わいせつ罪」「準強制わいせつ罪」が規定されていましたが、2023年7月施行の改正刑法で統合されて「不同意わいせつ罪」が新設されました。
不同意わいせつ罪で逮捕されて前科を回避したい方へ
嫌がる相手に対して強引に衣服の上から身体を触ったり、キスをしたりするような行為は、不同意わいせつ罪が成立する可能性があります。
刑罰は6ヵ月以上10年以下の拘禁刑で罰金刑はなく、重い犯罪といえます。
性犯罪で逮捕されたあなたが以下のようなことを望むなら、不同意わいせつなどの性犯罪の加害者弁護が得意な弁護士に依頼しましょう。
- 性犯罪者として前科が付くような事態を回避したい
- 執行猶予や減刑を獲得したい
- 取り調べで不利にならないためのアドバイスを受けたい など
弁護士なら、依頼者の代理人として被害者側と示談交渉をおこなうこともでき、被害者との和解が成立すれば早期釈放が実現する可能性もあります。
服役することになって「もっと早く弁護士に依頼していれば」などと後悔する前に、今すぐ弁護士に連絡しましょう。
不同意わいせつ罪(旧強制わいせつ罪)とは
不同意わいせつ罪は、刑法第176条に規定されている犯罪です。
(不同意わいせつ)
第百七十六条 次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕がくさせること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
2 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした者も、前項と同様とする。
3 十六歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。
引用元:刑法第176条
ここでは、不同意わいせつ罪の成立要件や時効などについて解説します。
2023年の刑法改正で強制わいせつ罪は不同意わいせつ罪に統合された
冒頭でも触れたとおり、かつては強制わいせつ罪や準強制わいせつ罪などの犯罪が規定されていました。
(強制わいせつ)
第百七十六条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
(準強制わいせつ及び準強制性交等)
第百七十八条 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。
引用元:旧刑法第176条、第178条1項
ただし、2023年7月13日の刑法改正にともない、強制わいせつ罪や準強制わいせつ罪を統合する形で「不同意わいせつ罪」が新設されています。
したがって、2023年7月13日以降に発生したわいせつ事件については、原則として不同意わいせつ罪が適用されます。
不同意わいせつ罪の成立要件
不同意わいせつ罪は、以下の原因によって同意しない意思の形成・表明・全うが困難な状態にさせ、またはその状態にあることに乗じてわいせつな行為をした場合に成立します。
- 暴行や脅迫を用いる、または被害者が暴行や脅迫を受けたこと
- 心身の障害を生じさせる、または被害者に心身の障害があること
- アルコールや薬物を摂取させる、または被害者にアルコールや薬物の影響があること
- 睡眠やその他意識が明瞭でない状態にさせる、または被害者がそのような状態にあること
- 同意しない意思を形成・表明・全うするいとまがないこと
- 予想外の事態に直面させて恐怖・驚愕させる、または被害者がそのような事態に直面して恐怖・驚愕していること
- 虐待に起因する心理的反応を生じさせる、または被害者がそのような状態にあること
- 経済的・社会的関係上の地位に基づく影響力によって生じる不利益を憂慮させる、または被害者がそのようなことを憂慮していること
従来の強制わいせつ罪では「暴行や脅迫を用いたうえで、わいせつな行為をすること」が成立要件として定められていました。
一方、新設された不同意わいせつ罪では処罰範囲が拡大されており、暴行や脅迫などを用いずにわいせつな行為がおこなわれた場合も処罰対象になり得ます。
わいせつな行為とは
わいせつな行為とは「いたずらに性欲を興奮・刺激させ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為」のことをいいます。
たとえば「着ている服を脱がせる」「強引にキスをする」などの行為については、わいせつな行為として判断される可能性があります。
なお、わいせつ行為といえば「加害者は男性、被害者は女性」というイメージがある方も多いかもしれませんが、刑法の規定では性別を限定していません。
「加害者が女性、被害者が男性」という不同意わいせつ事件も発生していますし、同性間で不同意わいせつ罪が成立することもあります。
わいせつの定義や具体例などについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
被害者が16歳未満の場合は同意があっても処罰対象になり得る
刑法改正による不同意わいせつ罪の新設とともに、性交同意年齢は13歳から16歳に引き上げられました。
以下のとおり「被害者が13歳未満の場合」と「13歳以上16歳未満の場合」では、たとえ被害者側の合意があっても不同意わいせつ罪で処罰を受ける可能性があります。
| 被害者の年齢 |
刑法上の扱い |
| 13歳未満の場合 |
双方の間で合意があっても不同意わいせつ罪が成立する |
| 13歳以上16歳未満の場合 |
加害者が被害者よりも5歳以上年長の場合、双方の間で合意があっても不同意わいせつ罪が成立する |
ただし、不同意わいせつ罪が成立するためには、加害者側が被害者の年齢を認識している必要があります。
たとえば「被害者が『17歳だ』と偽っており、客観的にもこれを信じることが相当」というような場合は、16歳未満の者に対する不同意わいせつについての故意はなく、原則として同罪は成立しないことになります。
もっとも「自分は17歳だ」と偽った相手に対して強制的にわいせつ行為をおこなえば、不同意わいせつ罪が成立する可能性があります。
わいせつな行為が未遂に終わった場合も処罰対象となる
「相手の同意なくわいせつな行為をおこなおうとしたものの、何らかの事情で及ぶことができなかった」というようなケースでも、処罰対象となります。
以下のとおり、刑法第180条ではわいせつな行為の未遂犯についても処罰対象として定めています。
(未遂罪)
第百八十条 第百七十六条、第百七十七条及び前条の罪の未遂は、罰する。
引用元:刑法第180条
未遂罪の罰則は既遂罪と変わりませんが、事情によっては執行猶予が付いたり刑期が短く設定されたりする場合もあります。
不同意わいせつ罪の時効
不同意わいせつ罪には公訴時効が定められています。
公訴時効とは「犯罪発生から一定期間を過ぎた場合、検察官が容疑者を起訴できなくなる制度」のことで、公訴時効が完成すると刑事裁判にかけられずに捜査終了となります。
不同意わいせつ罪の時効期間は、以下のとおり「被害者が成人の場合」と「未成年者の場合」で異なります。
公訴時効のカウント方法や注意点など、不同意わいせつ罪の時効について詳しく知りたい方は以下の関連記事をご覧ください。
不同意わいせつ罪(旧強制わいせつ罪)とほかの犯罪の違い
わいせつな行為をおこなった場合に成立する犯罪は複数あり、たとえば監護者わいせつ罪や不同意わいせつ等致死傷罪などがあります。
ここでは、不同意わいせつ罪と混同されやすい犯罪について解説します。
1.監護者わいせつ罪との違い
18歳未満の者に対して、監護者の立場を利用してわいせつ行為をおこなった場合は、監護者わいせつ罪が成立する可能性があります。
監護者とは、両親・祖父母・養親・親の交際相手などが該当します。
なお、学校の先生も監護者的な立場にありますが、学校生活だけでの関与になるため、基本的には監護者わいせつ罪における「監護者」には該当しません。
ただし「全寮制の学校で、私生活面においても監護する立場にある」というような場合には監護者と判断される可能性もあります。
監護者わいせつ罪の罰則は不同意わいせつ罪と同様で、「6ヵ月以上10年以下の拘禁刑」です。
(監護者わいせつ及び監護者性交等)
第百七十九条 十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第百七十六条第一項の例による。
2 十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第百七十七条第一項の例による。
引用元:刑法第179条
2.不同意わいせつ等致死傷罪との違い
不同意わいせつ罪や監護者わいせつ罪などに該当する行為をおこなって被害者を死傷させた場合は、不同意わいせつ等致死傷罪が成立する可能性があります。
不同意わいせつ等致死傷罪の罰則は「無期または3年以上の拘禁刑」で、不同意わいせつ罪よりも重く設定されています。
(不同意わいせつ等致死傷)
第百八十一条 第百七十六条若しくは第百七十九条第一項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は三年以上の拘禁刑に処する。
引用元:刑法第181条1項
3.不同意性交等罪(旧強制性交等罪・旧準強制性交等罪)との違い
一定の原因によって同意しない意思の形成・表明・全うが困難な状態にさせ、またはその状態にあることに乗じて性交等をおこなった場合は、不同意性交等罪が成立する可能性があります。
性交等とは、性器性交・肛門性交・口腔性交・膣や肛門に陰茎を除く身体の一部や物を挿入するわいせつな行為などが該当します。
なお、不同意わいせつ罪と同じように、2023年7月13日の刑法改正によって「強制性交等罪」や「準強制性交等罪」を統合する形で不同意性交等罪が新設されました。
不同意性交等罪の罰則は「5年以上の有期拘禁刑」で、不同意わいせつ罪よりも重く設定されています。
(不同意性交等)
第百七十七条 前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛こう門性交、口腔くう性交又は膣ちつ若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。
2 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした者も、前項と同様とする。
3 十六歳未満の者に対し、性交等をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。
引用元:刑法第177条
4.痴漢との違い
痴漢行為も身近で起こりうる性犯罪のひとつですが、痴漢罪という犯罪はありません。
痴漢行為については、基本的に不同意わいせつ罪や各都道府県が定める迷惑防止条例などで処罰されることになります。
「どの程度の痴漢行為であれば不同意わいせつ罪が成立するか」という明確な線引きはありませんが、悪質であるほど不同意わいせつ罪が適用される可能性が高くなり、逮捕される可能性も高まります。
たとえば「被害者の下半身を服の上から1度だけ触った」というような事案では、迷惑防止条例が適用されることもあり得ますが、下着の中にまで手を入れたり、長時間触り続けたりすると不同意わいせつ罪に問われる可能性が高まります。
不同意わいせつ罪(旧強制わいせつ罪)で逮捕されるケース
被害者の同意を得ずに以下のような行為がおこなわれた場合は、不同意わいせつ罪で逮捕される可能性があります。
- 衣服の中に手を差し込んで身体に触れる
- 衣服の上から胸や陰部を触る
- 長時間にわたって身体を触り続ける
- むりやりキスをする
- 衣服を脱がせる など
なお、寝ている人や泥酔中で抵抗できない状態の人に対してわいせつな行為をおこなった場合も、不同意わいせつ罪で逮捕されるおそれがあります。
また、被害者の同意があったとしても「被害者が13歳未満の場合」や「被害者が13歳以上16歳未満で、加害者と5歳以上離れている場合」などは、不同意わいせつ罪が成立します。
不同意わいせつ罪(旧強制わいせつ罪)で逮捕された場合の罰則
不同意わいせつ罪の罰則は「6ヵ月以上10年以下の拘禁刑」で、罰金刑は規定されていません(刑法第176条1項)。
不同意わいせつ罪で逮捕されたのち、起訴されて刑事裁判となった場合は「実刑か執行猶予付きか」「刑期はどのくらいか」といった点が重要になります。
刑事裁判で裁判官が量刑を判断する際は、主に以下のような事情が考慮されます。
- 犯行の計画性・態様
- 犯行の結果・被害内容
- 被告人の反省の程度
- 被害弁償・示談の有無
- 再犯の可能性
- 更生の可能性 など
たとえば「初犯で被害者との示談も成立している」というようなケースでは、執行猶予付き判決となる可能性が高くなります。
ただし「犯行に計画性があり、わいせつ行為が複数回繰り返されるなど執拗かつ悪質で、被害者が通常の日常生活を送れなくなるほど大きな精神的ダメージを与えた」というようなケースでは、初犯でも実刑判決が下される可能性があります。
不同意わいせつ罪(旧強制わいせつ罪)で逮捕された場合の3つのリスク
不同意わいせつ事件を起こして逮捕された場合、主に以下のようなリスクがあります。
- 刑罰を受けて前科が付くおそれがある
- 家族や職場に知られるおそれがある
- 実名報道されるおそれがある
ここでは、不同意わいせつ罪で逮捕された場合のリスクについて解説します。
1.刑罰を受けて前科が付くおそれがある
不同意わいせつ罪で逮捕された場合、刑罰を受けて前科が付くおそれがあります。
詳しくは「不同意わいせつ罪(旧強制わいせつ罪)で逮捕されたあとの流れ」で後述しますが、逮捕後は捜査機関の取り調べを受けたのち、起訴された場合は刑事裁判にて有罪無罪や量刑が言い渡されます。
不同意わいせつ罪には拘禁刑しか設けられておらず、たとえ初犯であっても実刑判決が下されて刑務所に収容される可能性があります。
執行猶予が付いた場合は、裁判後は日常生活に復帰できるものの、有罪判決であることには変わりがないため前科が残ります。
2.家族や職場に知られるおそれがある
不同意わいせつ罪で逮捕された場合、家族や職場などに知られるおそれもあります。
逮捕されたからといって、警察から家族や職場などに対して直接連絡がされることはあまりありません。
ただし、逮捕されて身柄拘束の状態が続けば、家族や職場に事件を起こした事実を知られる可能性が高まります。
たとえば、逮捕後に数日間ほど音信不通になったことで、家族や職場の人が心配して警察に相談しに行き、結果的に事件のことが発覚することもあるでしょう。
もし配偶者がいる場合は、事件のことを知って離婚に繋がることも十分にあり得ますし、職場に知られた場合は懲戒処分を受ける可能性もあります。
3.実名報道されるおそれがある
不同意わいせつ罪で逮捕された場合、マスコミによって実名報道されることもあります。
実名報道に関する明確な判断基準はありませんが、たとえば社会的関心が比較的高い事件や被疑者の社会的地位が高い場合などは、実名報道される可能性が高まります。
一度でも顔や名前などが公表されると、インターネット上に情報が半永久的に残り続けて、どこに行っても犯罪者という目で見られて生活が大きく変わる場合もあります。
たとえ実名報道されなかったとしても、身近な人や被害者などがSNSで発信したりして情報が拡散されるおそれもあります。
不同意わいせつ罪(旧強制わいせつ罪)で逮捕されるまでの流れ
不同意わいせつ事件を起こした場合、警察に逮捕される可能性があります。
逮捕にはいくつか種類があり、不同意わいせつ事件の場合は「現行犯逮捕」または「通常逮捕」となるのが一般的です。
ここでは、不同意わいせつ罪で逮捕されるまでの流れについて、逮捕の種類ごとに解説します。
現行犯逮捕の場合
現行犯逮捕とは、犯罪の最中や犯行直後の犯人を逮捕状無しで逮捕することを指します。
なお「犯罪が発生したその場で身柄が確保される」という特性から、犯人の取り違えが起きるおそれが低いため、警察官だけでなく一般人でも逮捕が可能です。
不同意わいせつ事件の場合、犯行後に逃げようとしたところを被害者本人に腕をつかまれたり、周囲の目撃者に取り押さえられたりして現行犯逮捕となることがあります。
一般人によって現行犯逮捕された場合は、通報を受けて到着した警察官などに速やかに身柄が引き渡されたのち、警察署にて取り調べがおこなわれることになります。
通常逮捕の場合
通常逮捕とは、犯罪発生後に裁判所が発付した逮捕状に基づいて逮捕することです。
現行犯逮捕とは違って、犯行直後ではなく後日に逮捕されることから「後日逮捕」と呼ばれる場合もあります。
不同意わいせつ事件の場合、被害者や目撃者が警察に通報し、周辺の防犯カメラや関係者の証言などから身元が特定されたりして通常逮捕となることがあります。
通常逮捕の場合、基本的に事前予告なく警察官が逮捕状を持って自宅などに訪ねてきて、犯行の翌日に逮捕されることもあれば、数ヵ月~数年ほど経ってから逮捕されることもあります。
また、警察官から「まずは事情を聞かせてほしい」などと任意で呼び出されたうえで、容疑が固まれば速やかに逮捕状が請求されて逮捕されるというケースもあります。

不同意わいせつ罪で逮捕された場合、基本的に上図のような流れで刑事手続きが進められます。
ここでは、各手続きの進め方について解説します。
1.警察官による取り調べ・検察官への送致|逮捕後48時間以内
不同意わいせつ罪で逮捕されると、警察官による取り調べがおこなわれます。
刑事手続きには時間制限が定められており、警察官は逮捕後48時間以内に取り調べをおこなって、検察官に事件を送致するか微罪処分とするかを判断します。
微罪処分となった場合は、被疑者は釈放となり、警察限りで事件終結となります。
刑事裁判にかけられることもないため、罰則は科されませんし前科も付きません。
2.検察官による勾留請求|送致後24時間以内
検察官へ事件を送致された場合は、検察官による取り調べがおこなわれ、送致後24時間以内に勾留請求をおこなうかどうかが判断されます。
検察官が勾留請求しなかった場合や、勾留請求が却下された場合は在宅事件となり、被疑者の身柄は解放されて日常生活に復帰することが可能です。
ただし、在宅事件となって身柄が解放されても、捜査自体は進行しています。
被疑者は日常生活には復帰できるものの、取り調べなどのために捜査機関から呼び出しを受けた際は対応する必要があります。
3.勾留|原則10日間・最大20日間
検察官が勾留請求をおこなって裁判官が認めた場合は、引き続き身柄が拘束されます。
勾留期間は原則10日間ですが、検察官が「やむを得ない理由により身柄拘束が必要」と判断した場合は、勾留期間の延長を求めることが可能です。
検察官による勾留延長の請求が認められた場合は、さらに最大10日間の身柄拘束が継続します。
したがって、不同意わいせつ罪の被疑者として逮捕された場合は、最大で逮捕後23日間の身柄拘束を受けるおそれがあります。
4.検察官による起訴・不起訴の判断
検察官は、勾留期間が満了するまでの間に起訴・不起訴を決定します。
起訴とは「被疑者を刑事裁判にかける処分」、不起訴とは「被疑者を刑事裁判にかけずに事件を終結させる処分」のことです。
検察官が起訴を決定した場合、被疑者は被告人となって刑事裁判が開かれます。
一方、不起訴処分となった場合は、刑事裁判は開かれずに釈放となり、罰則も前科も付かずに終結となります。
5.刑事裁判での判決
勾留された状態で起訴された場合は、原則として保釈請求が認められないかぎり身柄拘束されたまま刑事裁判に移ります。
刑事裁判では、検察側と弁護側に分かれて主張を展開し合い、十分に主張や証拠などが出し尽くされた段階で裁判官が有罪無罪や量刑を言い渡します。
日本の刑事裁判は有罪率が99%以上と非常に高く、無罪判決を獲得するのは困難です。
不同意わいせつ罪の場合は罰金刑が設けられていないため、冤罪事件などのケースを除き、基本的に執行猶予の獲得や刑期の短縮を目指して争うことになります。
執行猶予付き判決となれば、前科は付くものの、裁判後は日常生活に復帰できます。
不同意わいせつ罪(旧強制わいせつ罪)で逮捕された場合の3つの対処法
不同意わいせつ罪で逮捕された場合は、速やかに以下のような対応を取ることで早期釈放や減刑獲得につながる可能性があります。
- 弁護士に相談する
- 被害者と示談交渉をおこなう
- 再犯防止に向けて取り組む
ここでは、不同意わいせつ事件の加害者がやるべきことについて解説します。
1.弁護士に相談する
不同意わいせつ罪で逮捕されたら、速やかに弁護士に相談しましょう。
弁護士なら逮捕直後でも会うことが認められており、今後の刑事手続きの進み方や、実際にどのように対応するべきかを的確にアドバイスしてくれます。
当サイト「ベンナビ刑事事件」では、不同意わいせつ事件などの性犯罪の加害者弁護が得意な全国の弁護士を掲載しています。
相談内容や相談地域を選ぶだけで対応可能な弁護士を一括検索でき、弁護士選びが初めての方でもスムーズに希望条件に合った相談先を探せます。
「最短で即日接見可能」「24時間・365日予約対応可能」「電話相談可能」などの法律事務所も多くあり、まずは一度利用してみることをおすすめします。
2.被害者と示談交渉をおこなう
なるべく重い処分を回避したいのであれば、被害者との示談交渉も有効です。
示談金額の相場は難しいところですが、不同意わいせつ事件では30万円~100万円程度の範囲内に収まるケースが多いです。
もっとも、被害者に上記の範囲内での示談金を提示しても、事案の性質や被害の内容などによっては被害者が納得してくれず、一般的な相場を大きく上回ることになる場合もあります。
また、被害者側の立場からしてみれば「ただ示談金を受け取るだけで問題解決とするのは不安」などと考える場合もあります。
たとえば、近所や同じ職場内でわいせつ行為があった場合には、日常生活を送るうえで被害者と加害者が遭遇する可能性もあります。
そのようなケースでは、引越しや退職などを示談条件として交渉を進めることもあります。
3.再犯防止に向けて取り組む
不同意わいせつ罪で逮捕された場合は、再犯防止に向けて取り組むことも大切です。
若干古いデータではありますが、不同意わいせつなどの性犯罪については、以下のとおり再犯率の高さも問題視されています。
調査の対象となった性犯罪事件の裁判確定から5年が経過した時点において服役中等の者を除いた1,484人について,罪名は問わずいずれかの再犯を行った者の比率である全再犯率は20.7%であった。性犯罪再犯率は13.9%であり,全再犯を行った者のうちの約7割を占めていた。
引用元:性犯罪者の実態に関する特別調査の結果について|一般財団法人 日本刑事政策研究会
加害者としては、自分が犯した罪について反省・謝罪するだけでなく、今後同様の事件を起こさないように再犯防止のための対策を取ることも考える必要があります。
家族による監視体制の強化やわいせつ犯罪に関するカウンセリングを受けるなど、根本的な解決に向けて取り組みましょう。
不同意わいせつ罪(旧強制わいせつ罪)で逮捕されて弁護士に依頼する3つのメリット
不同意わいせつ罪で逮捕された場合は、なるべく早いうちに弁護士の助けを得ましょう。
弁護士に依頼することで、主に以下のようなメリットが望めます。
- 逮捕直後から接見して精神的にサポートしてくれる
- 早期釈放を目指して被害者と示談交渉してくれる
- 不起訴処分や執行猶予判決を獲得できる可能性が高まる
ここでは、不同意わいせつ事件での弁護士のサポート内容について解説します。
1.逮捕直後から接見して精神的にサポートしてくれる
弁護士に依頼すれば、逮捕直後でも接見して精神的にサポートしてくれます。
逮捕直後の段階から被疑者と接見できるのは弁護士だけで、基本的に逮捕後72時間は家族・友人・知人などは一切会うことができません。
逮捕後は留置場に収容され、日常生活とはかけ離れた生活を強いられるため、肉体的にも精神的にも大きな負担がかかります。
過酷な状況下での弁護士との接見は、被疑者にとって大きな心の支えになるでしょう。
2.早期釈放を目指して被害者と示談交渉してくれる
弁護士に依頼すれば、被害者との示談交渉を進めてもらうことも可能です。
不同意わいせつ事件のように被害者が存在する刑事事件の場合、被害者と示談交渉をして成立すれば有利な事情として考慮され、早期釈放につながる可能性が高まります。
もっとも、すでに被疑者が逮捕されている状態では物理的に示談交渉はできませんし、被疑者本人が直接連絡したところで無視・拒否されるのが通常です。
弁護士なら代理人として動いてくれますし、第三者である弁護士が間に入ることで被害者も交渉に応じやすくなり、スムーズな交渉の進行が期待できます。
3.不起訴処分や執行猶予判決を獲得できる可能性が高まる
弁護士に依頼すれば、不起訴処分や執行猶予を獲得できる可能性も高まります。
日本の刑事裁判の有罪率は非常に高いため、前科が付くことを回避したいのであれば、検察官が起訴・不起訴を判断する前に対応を尽くすことが大切です。
弁護士なら、被害者との示談交渉だけでなく、証拠の収集・取り調べのアドバイス・検察官に対する意見書の提出など、あらゆる活動を通じて不起訴処分を目指してくれます。
たとえ起訴されて刑事裁判になったとしても、引き続き依頼者の味方として説得力のある主張を展開し、実刑の回避や刑期の短縮を目指して尽力してくれます。
さいごに|不同意わいせつ(旧強制わいせつ)で逮捕されたら、まずは弁護士に相談を
不同意わいせつ罪で逮捕されると、6ヵ月以上10年以下の拘禁刑が科される可能性があります。
たとえ初犯でも状況次第では実刑判決が下されることもあり、早期釈放や減刑などを獲得するためには弁護士の迅速なサポートが必要不可欠です。
ベンナビ刑事事件なら、性犯罪の加害者弁護が得意な弁護士を一括検索できます。
夜間や休日でも迅速に対応してくれる法律事務所も多く掲載しているので、今すぐ頼れる弁護士を探したい方はぜひご利用ください。